修行回その1
森の中を探索していると頭のてっぺんが私の膝ぐらいの大きさの恐竜もどきの魔物を数メートル先で見つけた。
恐竜はティラノやトリケラトプスとかのメジャーどころしか知らないから例えろと言われてもよく分からない。どちらかというと肉食っぽい姿をしている。
鑑定すると種族はエッグラプトル、HPが300で、素早さが私の1.2倍ぐらい高い。でも他の能力は私の能力よりも下にはなっている。素早いけれど私の動体視力は大丈夫かしら。
魔物がこっちを見たと思ったら水の塊がバレーボールのシュートみたいにこっちに向かって来て防御膜の上を伝ってどこかに行った。
割れなかったと思ったらもう一発来て割れた。防御膜をもう一度再展開する。今度は1回目で成功した。
こっちに向かってきた。
相手に野球のフォームをイメージしながら炎の魔法を飛ばす。避けられた!木に着弾したから森が燃えるかと思ったけれど燃え広がらなかった。このワールドだから云々とかは今はいい。後で考えよう。
昔見た水球?の中に入れて溺死させる戦法をしてみる。水球の中に魔物の体を包み込めたので浮かべて……よし。逃げられないように水球を空中に浮かべる。
……そういえばこの大きさの生き物をこの手で殺すのは初めてかも。
黙祷。自分のためだ。ちょっとどころじゃなく手がふるえている。涙も出てきた。
落ち着いたので解体をしたいけれど魚すら捌いたことがない。これはどうすればいいんだろうか?
とりあえずアイテムボックスの中に入れる。だめだ、解体はできない仕様みたいだ。
死体ごと引き取ってくれるかしら……?
よかった、引き取ってくれるみたいだ。銅貨50枚。売る。もう一体同じっぽいのを倒したら解体してみよう。
体感20分後ぐらいに現れたもう一体も同じ方法で倒した。……魔法……ウィンドカッターを使い、控えめに言ってボロボロだけれど解体出来た。
動画サイトの狩猟動画で慣れているせいなのか分からないけれどグロさへのそれは思ったよりもだったけれど、臭いが本当にきつかった。
換金金額は身体パーツとかお肉とかを全部で銅貨96枚。解体した割にあんまり高くないのはボロボロだからだろう。それと、一定以上の強さの魔物から採れる、いわゆる魔石と呼ばれる薄いべっこう飴みたいな色の結晶が銅貨70枚。魔石のMPは83。何かに使ってみたいのでこっちは一応置いておこうか。
それからも何体かエッグラプトルを倒した。ここは同じのしか出ないのかなぁ。何回か体力や怪我を治したせいで魔力が100を切っている。いつにもまして頭がぼやぼやする。
このワールドひいては宇宙は一日に繰り返しエーテルとかマナポーション的なアイテムを使うのもあまりよくないタイプの宇宙やったりするんかな?いつかやってみようかしら。
今のうちに鍛えておかないと。これ、数値化されてなかったら倒れる頻度がめちゃくちゃ多くなってるんだろうな。……魔力の増やし方、聞いてもいいのかな?
空が日が沈んだ時の色になっている。野宿はまだ無理だ。ポータブルインを使おうと思う。今は木陰にいる。リスキルっぽことにならないといいけれど。
今持っているお金は銅貨1200枚ちょいぐらいあるけれど銅貨20枚のやつにしようか。
ポータブルインはアイテムボックス経由で支払って動く仕組みだからなのか、お金の投入口がなかった。
アイテムボックスの一つ下にあるお金のU Iのページの右下にあった宿のピクトグラムをタップするとメニューが出てきて選択するとOK?といいえとOKが出てきたのでOKを押す。
ゲームにありそうな軽い金属の効果音が鳴った。
床に置くと圧縮された布団が戻る動画みたいに変形していく。変形した後の見た感じの姿はなんとなく昔やったRPGでみた敵のアジトの秘密の入り口的な場所を思い出した。入る前の見た目は小さな倉庫にみえるけれど、中に入ると地下に行く階段が……みたいなやつ。
階段は公園とかにあるコンクリ製のやつに近い。
手すりを使いながら下に降りるとニス?が塗られたちょっと模様の彫られた木製のドアがあってそれを開いたら検索サイトの画像一覧とかに出てくるmedieval innやpubなどの言葉で出てくる画像っぽい光景が広がっていた。宿兼酒場タイプのやつ。
管理者様が受付にいたのでとりあえずそこに行く。姿や服装は最初のと全く同じだ。場違いなやつだけれど多分アバターさんだろう。
「おかえり〜お疲れ様〜」
外出た時にリスキルっぽい事にならないかどうか聞くと、「あ〜」と言って、「考えてなかった。じゃあ、ステルス機能とそういうアイテムでよくある任意の人しか入れないやつにする」と言われた。
「結界を張っておこうかね。そうだ、ご飯は何にする?」
兼任なんすね。
紙でできた注文のやつを渡された。
メニューはファンタジーっぽいものと現代風のものがある。ファンタジーのやつの方は煮込み料理とかのメインと、パンと飲み物だ。ビールやエールとかがある。果物入りジュース、美味しそうだなぁ。現代風のメニューは、ドリンクは全て銅貨6枚。
食事系メニューとかを見た感じ、地球のメニューは銅貨一枚100円換算なのかも知れない。
銅貨5枚のシチューと銅貨1枚追加して黒パン3切れのセットにした。
水はセルフで無料のようだ。アバターさん曰く、「安い、銅貨1枚で20枚買える系の安いチケット制でも良かったけれどねぇ。」とは言っていた。アイテムボックス的にはすごいありがたい。
他に席があるのは雰囲気のためだから、他に人はいない。ちょっと寂しい。
席についてフードコートみたいに呼ばれているのを待っていたら、アバターさんが運んできてくれた。かたじけない。
シチューの見た目はビーフシチューっぽい感じだ。量が思っていたよりも多い。肉は5個入っていた。多分牛?ありがたい。
旨みがすごい。疲労がたまっていたからとても美味しい。ホロホロのお肉が美味い。黒パンはちょっと記憶のよりも硬かったけれど、そのまま食べられるぐらいの硬さだった。そしてやっぱりつけるととても美味しい。
「ご馳走様でした!美味しかったです」
「そうかあ、んふふ……嬉しいや。じゃあ、これ部屋の鍵だから」
廊下と食堂の中間地点に洗面所とその奥にトイレがあった。
すごい雰囲気がミスマッチしているけれど、ぼっとん便所はまだしも歯木を使えと言われても状態なので甘えよう。
にこやかに渡してきた鍵の番号を見るに廊下エリアの一番奥かな。
ドアは木製のやつ。おばあちゃんちのトイレを思い出して懐かしくなった。
部屋の内装はベッド横に魔道具のランプの置かれた小型のチェストがあった。後は木でできた椅子とテーブルと荷物置きの籠がある感じ。部屋の広さは3畳ぐらいだろうか。広いのかどうかはよく分からない。ホテル自体記憶のある中では幼少期と修学旅行でぐらいしか泊まったことがない私から見るとこう言うもんなのかなと言う感想しか湧けない。
でも、だいぶ年季が入っているなぁ言うのと、清潔で、ちゃんと手入れがされているそれであるのは分かる。
部屋の中の調度品のベッドのシーツに触るとすごいなんかごわついている。
深く触ってみると藁ベッドだった。初めてだ。その上には掛け布団というよりは毛布っぽいやつがついている。
荷物とかも無いし、今は特にすることが無いのでベッドの上にアイテムボックスに入り切らなかった魔石達を広げた。同じ魔物でも違う数値のものは別種類になるんだろう。アイテムボックスの仕様、名前を教えてくれるだけでも本当に便利だ。
どうしようかなと思って鍵になっているアイテムボックスの欄を押す。ヘルプのやつがあったかららそれを見るとどうやらアンロックするにはMP5000分がいるらしい。一度にしなくても大丈夫らしい。でもお金に換算するとめちゃくちゃかかる。
特別に銀貨5枚でプラス200枠までアンロック可能と書かれている。めっちゃ安い。こっち前提っぽいな。
でも銅貨はある。
両替のメニューを探すとあったので両替してアンロックをした。
……魔石、3個残して売ってしまえ。
圧迫度合いがすごいからね。当面泊まれる余裕もあるのでもう一枠アンロックする。
魔石は何かに使えるのかなと思いながら手の中で弄ぶ。魔石に魔法をエンチャントして魔道具にしているやつはやってみたいなあと思ったけれど今やると絶対失敗するのでやめておこう。
洗面所に行って夜の支度を済ませて眠ることにすよう。




