表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ


 まどろみの中、意識が浮かび上がる。自動車との事故で死んだはずなのに、痛みが無い。


 今までのことを振り返る。

 ああ、私はどうしようも無い人間だった。

 あまりにも恥ずかしいとしか言いようのない人生。


 そう言えばメガネをしていないのに景色がはっきりとしている。

 シックでおしゃれな部屋の中、目の前でポロシャツとジーパンの格好をした昔バッドエンドしか無いと聞き齧ったゲームに出てきた少年を連想させる顔立ちの少年が木製のテーブルでストレートの紅茶を飲みながら空中に文字を打っている。何かの手続きをしているのかな。地獄に運ばれる手続きでもしているんだろうか。


 目の前の金色の人は私が起きていることに気づいたのか、こっちを見てきた。


 「やぁ、こんにちは、桑谷日菜子。ワタシは管理者。名乗ることはセキュリティ上できない。単刀直入に言おう。君を異世界に送る。ワタシが君を異世界に送る理由は完全にワタシのお遊びに巻き込まれてしまうって思ってくれればいいよ。ここ最近20年はよく君の世界の小説を見たり、後輩が死んだ人を誘ったりしてそれっぽいことをしているのを見ていてね、実際にワタシが管理する宇宙の中のその一つの星に異世界人が来たらどうなるんだろうなって考えていたんだよ。んでそこにさっき君の魂がたまたまワタシの家的な場所に落っこちてきた。だからいい機会だと思って。君が降り立つ星はざっくりいうと中世時代……剣と魔法のファンタジー世界に近い状態だ。君の宇宙の管理者はいないけれど、何も連絡無しだとちょっと問題が発生する。一応ワタシみたいな存在達に連絡してって感じだね」


 異世界かぁ。すぐ死にそうだな。はたして目の前の存在の暇つぶしになれるだろうか。……無理じゃろこれ。


 「だからね、すぐ死なないように君が納得いくまでは真っ白い空間とかワタシの宇宙とも違う箱庭的ないわゆるプライベートワールドで場所で修行した後にワタシの宇宙の星にきてもらうって感じになる。君が生きている期間にこの先行く星が滅ぶとか無い」


 管理者。異世界ものではよく聞く神様の別の言い方だ。


 ……向こうで人攫いからなる奴隷になってしま未来がありありと見える。野垂れ死ぬ確率もめちゃくちゃ高い。せめて野垂れ死なないように修行できるならやりたい、と言うかしなければならない。


 「色々あってそんな感じになってしまった人がいるのは他の管理者から聞いたけれど。君の魂は……なるほど、穢れも汚れもあるから、今から修行の前にちょっとだけ痛いことしないといけない。そこまで痛くはないよ。今地球人を誘っている後輩のとは違ってワタシが君を送る所の宇宙の格は君の方と変わらないからね。浄化しないとただでさえ社会不適合者の君にはハードなのがルナまっしぐらだし。連れて行くためにはチートな設定にさせておきたいんだ。ごめんね」

 自分が何も言っていないのに会話できているの、建前ラノベの神様って感じがする。


 管理者様の言葉に頷いた瞬間、 目眩に近い感覚とともにガクンと下に落ちる感覚がした。

 思わず足元を見たけれど足が無い。

 もしかして、今自分は光の玉になっているのかなと思った瞬間、全身に痛みが走った。



 すわ地獄の絵巻にあるようなやつをされるのかなと思ったら、最初は普通に痛かったけれど、なんかだんだんとそこまで痛く無くなってきた。なんだろう、ストレッチの時のあの感覚がする。伸びをしている時にあったかいのが流れていく感覚に近い。運動不足だからこの感覚になっていたのかな。

 幼少期の夜にいつもしていたストレッチを思い出していた。


 情けない人生の回想を数周できるほど長い時間が経ってから「終わりだよ」と声がして、引き上げられるような感覚がした。


 「うぐ……」


 思わず出た声は前と同じだ。多分。


 ふと見ると前とは違い自分の手足がある。記憶にあったのよりも筋肉質になっていた。


 服も着ており上は緑色の無地のトレーナーで下に茶色のキュロットスカートを履いている。ポケットのレースがかわいい。


 「よし、今から修行しよう!えーっと、年数とかは好きなだけいていいからね。まずどこ行く?プライベートワールドの場合だとそこで生活してもらうことになるね。世界観はドラゴン版の恐竜時代とかそんな感じだよ。そこにいるのはみんな動物と言うよりも魔物とかそう言うのだから。後、大事なことなんだけれどそこの魔物は仲間にすることはできない。全部敵だ。負の感情が凝り固まって生まれたものだからね。まあ、ここのワールドの魔物は本物だけれどシミュレーターだと思って欲しい」


 管理者様はそう言いながらむすびを投げてきた。


 浄化の時間が長かったからだいぶ久しぶりに感じる。よもつへぐい的なのを一瞬想像したけれど想像したところでという状態なので遠慮なく食べる。


 久しぶりだから今まで食べたことがないくらい美味しい。

 「いや、泣くほど……?」

 おかわりが欲しいけれどやめておこう。


 「ごちそうさまです!ありがとうございました!」


 「……それはよかった。個人的にこれつけてみたいなって言う特典的なのも色々つけたしまあ、ちょっとだけお試しで行ってみよう!」


 いつのまにか異世界あるあるの特典をつけられたらしい。食べるのに夢中で気づかなかった。


 管理者様が指をパチンと鳴らすと、画面が移り変わるように景色が変わった。


 あたり一面美しい緑豊かな草原と森が見える。地元にはこんな所は無かったからとても新鮮だ。


 まず……目の前に生えている15センチぐらいのニラとかスイセンっぽい形の葉っぱの草をつかんで、いわゆるアイテムボックスとかストレージに入らないかなぁと念じてみる。


 「おおっ」


 入った。特に何かが抜けたような感覚はない。


 魔封じとかそう言うのがあっても使えそうだな。

 そう思っていたら上から丸まった紙が降ってきた。


 『考えなしに掴むのはよしなさい。とりあえずステータスをある程度細かいのまでみれる特別性の鑑定といわゆる魔封じされても使えるアイテムボックスを使えるようにしておいたよ〜。アイテムボックスの容量は現在10枠で拡張は上限なしの課金制な感じだよ〜』


 見回しても管理者様はいないけれどなんかまあ、見れるぐらいはできそうだな。


 「アイテムボックスの1つの枠ってどれぐらい入りますかー!」


 架空に向かって叫ぶとまた紙が降ってきた。『お金系やアンティークコインみたいなポジションはアイテムボックスとは別のUIにしてかつ入れられる数は無限にするけれど他はざっくり言うと9999個とか本とかkgとかそんな感じ』と書かれている。なるほど。


 ありがたい。なるほど、枠の管理とかが難しいって感じなんかな。


 アイテムボックスの中身的なやつは念じると画面として出てきた。触れるやつ。


 ちょっと前に熱病で馬鹿になってしまったからとても助かる。


 アイテムボックスのリストはなんか横向きに並ぶ小さい10個の枠の一番左にさっきの草が1本入っているやつがあって、その横や下の欄には多分課金で使える様になるのだろうか、一つ一つに鍵がかかっている。見た感じは……うーん、言い方がわからないけれどUI?的にはMMOのアイテム欄のやつと一昔前のゲームハードでのホーム画面を混ぜたような感じだ。


 持ち物とかは特に入って無かった。

 さっきの草を取り出して鑑定してみると、食べられることが分かった。味はニラに近いみたい。


 ステータスを見るとMPは500で今は5減っている。鑑定は一回でMPが5減るのかな。……自分のステータスを見るのって流石に鑑定には入らないと思う。HPは200。減っていない。

 他のステータスはようわからん。なんか物理よりも魔法とかそっち寄りのステータスだった。

 大体50から70の間。運は項目自体が無い。

 それと、どうやらレベルとかそういうのが無いみたいだ。

 私にとっては数値化してくれて助かる。

 

 他にも摘もうかなと思ったら目の前にボールペンみたいなものと手のひらぐらいの冊子がポトリと落ちてきた。


 ボールペンかと一瞬思ったけれど全然ちがうや。 なんだろう、箸箱みたいな四角いのがボールペンみたいな大きさになっている。んで、それに色んな部屋みたいなのが描かれている。どうやら使用すると寝床になるようだ。


 冊子も開くと色々と書かれている。


 ポータブルイン説明書

 値段表

 ※あなたの背中を押すために臭いや雰囲気をリアルに再現しております。

 宿・コース

 道端のスラムの葦のゴザ:銅貨3枚

 藁ベッドありの部屋:銅貨5枚

 村の馬小屋風:銅貨10枚

 街の宿、下級:銅貨20枚

 街の宿、中級:銅貨30枚

 カプセルホテル:銅貨50枚

 街の宿、高位:銅貨50枚

 街の宿、低級スイート枠:銅貨100枚

 ビジネスホテルもどき:銅貨100枚

 貴族の客間:銀貨2枚

 街の中級宿スイート枠:銀貨3枚

 貴族の部屋風:銀貨5枚

 高位の町の宿スイート枠:銀貨5枚

 現代風ホテル:銀貨6枚etc……


 ※レートはいわゆる銅貨一万枚=銀貨百枚=金貨一枚だからよろしくね!

 部屋は24時間分使えます。


 天井は金貨5枚だった。管理者の趣味部屋らしい。

 うん……金とるのかぁ。まあ確かにそうしないと自分だとなぁ。うん。しゃあない。


 etcで貴族のとか王族の部屋みたいなのとか現代風のスイートルームとかがあった。現代風の方が利便性とかのやつがあってカプセルホテルでも高くなっているのかな。

 

 ※全て素泊まりです。食事・風呂は別料金となっております。

 ※歯磨き、トイレはアニメティとし、専用のエリアを作らせていただきます。どのランクでも現代風エリアなのでかなり場違いな風景ですがご了承下さい。


 目の前の草って納品できるかしら。


 また管理者様の声が頭の中に響いてきた。


 話を要約すると管理者様が冒険者ギルドの受付みたいな感じのポジションになってくれることは分かった。

 アイテムボックスから直接売れるらしい。

 例として薬草は1本で銅貨5枚だった。

 ポーションも特別に市場価格で買い取ってくれるらしい。この世界も薬草をポーションに加工するとだいぶ高くなる。低級ポーション、150mlで銅貨50枚だってさ。普通のギルドで売る場合だと手数料としていくつか取られて8割になるらしい。


 ニラもどきの換金は1枚。料理にしたら美味しそうだ。

 2回霧散して失敗したけれどドーム状の防御膜をかけることができた。MPが485になっている。多分失敗でものこりMPは減らないのかもしれない。体感薄く感じるけれど効果はどうなのだろうか。薄いとはいえ張れたは張れたので森の中を歩くことにする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ