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6話:タウンハウス



その後も何回か宿泊を繰り返して、王都のタウンハウスに着いたのは領地の屋敷を出発してから四日目のことでした。わたくしたちの到着にタウンハウスの使用人たちが玄関ホールにずらりと立ち並んでいます。誰もが慎ましく微笑んでおり、歓迎してくれているのが分かります。




「お帰りなさいませ。我ら一同、旦那様、奥様ならびにお嬢様の到着をお待ちしておりました」




「ありがとう。留守の間に変わりはないか?」




「万事滞りなく」




「そうか。…シア、彼がタウンハウスの家令だ。ほら、挨拶をしてごらん」




お父様に促され、スカートを摘んでお辞儀をします。




「ルーフェルシアです。これからお世話になります」




「丁寧なご挨拶、痛み入ります。私は王都の屋敷を任されております、ローレンスと申します。お嬢様にお会いできて光栄です。屋敷の皆も貴女様にお会いするのをそれはそれは楽しみにしておりましたよ」




家令のローレンスは白髪の老紳士で落ち着いた声の持ち主です。微笑むと浮かぶ目尻の皺が優しげで、わたくしは一目で好きになりました。




「さぁ、皆さまはこちらのお部屋でお寛ぎください。私は荷解きを見て参ります」




通された居間は領地の屋敷とはまた違った内装で整えられていました。お父様が一人掛けのソファに、お母様とわたくしが並んで隣りのソファに腰掛けると、メイドがお茶の準備をしてくれます。領地の屋敷は重々しく伝統的な内装でしたが、こちらは曲線的な調度が多く使われていて華やかさがあります。どちらも見覚えがあり懐かしい気持ちになります。



出されたお茶は飲み慣れた味で、あぁ、やっと着いたんだな、と身体の力が抜けていくのが分かります。慣れない移動で知らぬ間に身体も気持ちも強張っていたようです。そう気付いてしまうと、急に眠気が襲ってきました。




「おやおや、我が家のお姫様はお疲れのようだね。ローレンス、シアの部屋の準備は終わっているのかい?」




「もちろんでございます」




采配を終わらせて部屋に入ってきた家令にお父様が声をかけます。彼の目配せに今回の旅路に着いてきてくれたばあやが頷きます。




「さぁ、お嬢様、お部屋へご案内します。あと少しだけ起きていてくださいませ」




「…うん。お父さま、お母さま、お先に失礼します」




「あぁ、ゆっくりお休み。夕食になったら声をかけるよ」




促されるまま両親に挨拶して部屋に向かうと、ばあやは素早く着替えを済ませてくれ、わたくしはベッドに入ります。よほど疲れていたのか声をかけられても起きられず、夕食も食べずにそのまま朝までぐっすりと眠ってしまいました。



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