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1話: 目覚め



真っ暗闇の中、何も聞こえなくなったと思っていたのに、遠くからかすかにわたくしを呼ぶ声が聞こえてきます。




目を開くと眩い光がいっぱいに広がり、ふにゃふにゃ、とはっきりとせず、けれども力強い声が響き渡ります。ぎゅうぎゅうに潰れるほど押さえつけられていた所から解放されましたが、身体が思うように動かず、周りを見ようとしても視界はぼんやりとしてよく見えません。




「旦那様、奥様…元気なお嬢様でいらっしゃいます…」




聞き覚えのある声は…ばあや…?




でも記憶と違うような、わずかな違和感があります。わたくしは声の主の顔を見上げるようにしていて、どうやら仰向けに抱かれているようです。ばあやに抱かれていたのは礼儀作法を学び始めた頃までだったはず。




傍らに立つ男性らしき人とベッドで身体を半分だけ起こしている人がいて、わたくしの顔を覗き込むと小さく、ひぃ、と息を呑んだのが分かります。




「…何ということだ…、信じられない…」




「…嘘、わたくしたちの娘が、こんな…。…あぁ、神よ…」




「…エラ、しっかりするんだ!…だれか、気付け薬を彼女に…」




くらり、と眩暈を起こして倒れ込んだようなお母様らしき姿。そして、ばあやからわたくしを受け取って震えながら頬に触れているのはお父様だったらしく、記憶よりずっと若い声は悲鳴を必死に押し殺したものです。



…そう、悲鳴。



どうやら、わたくしは今、赤子で、両親ですら一目見て悲鳴を上げるほどの、とんでもなく醜い姿で産まれてしまったようです。




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