表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/24

14-微かな声

放課後。


拓海は、昨日足を運んだ街を、今日も歩いていた。


──黒パーカーの少年を、探して。


(あいつは、絶対に……普通じゃない。)


目を凝らして、

人混みの中に異物を探す。



世界は、今日も滑らかに回っている。


まるで一枚の絵の上をなぞるように、

NPCたちは”それらしく”振る舞っている。


同じ歩き方、

同じ表情、

同じタイミング。


全部が、あまりにも予定調和だった。



(……やっぱり、どこか薄っぺらい。)


(全部、上っ面をなぞってるみたいだ。)



そして、

ふと、前方に目を向けたとき。


黒パーカーの少年が、

駅前の大通りを横切る姿が見えた。


──拓海を、見た。


確かに、こちらを、見た。



拓海は、反射的に駆け出す。


人々を押しのけ、

信号無視すれすれで道路を渡り、

ひたすらに少年を追った。



少年は、逃げない。

ただ、ゆっくりと歩いていく。


それでも、拓海が追いつくことはなかった。


一定の距離を、絶妙に保ったまま。



やがて、少年は、

古びた路地裏の入口で、

一度だけ、拓海を振り返った。


そして、ぼそりと呟いた。



「……ここは、浅い。」



それだけ言い残して、

少年は、路地裏の奥へと消えた。


追いかけたときには、

もう、そこには誰の姿もなかった。



拓海は、荒い息を吐きながら、立ち尽くした。


(……浅い、か。)


言葉の意味は、まだ、はっきりとは分からない。


だが、

少年の言葉は、

拓海の心のどこかに、確かに突き刺さった。



この世界は、作られている。


人間たちは、プログラムのように動いている。


そして──

見えない部分は、最初から、存在していないのかもしれない。



拓海は、空を仰いだ。


夕焼けに染まる空さえ、

どこか作り物めいて見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ