12-パターンの外側
通学路。
何の変哲もない住宅街を、
拓海はぼんやりと歩いていた。
──周囲の”人間たち”を、意識しながら。
一度気になり始めると、
もう、止められなかった。
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信号が青に変わる。
一斉に歩き出す人々。
──だが、その動きに、規則性があった。
右足から動き出す。
肩の揺れ方が似ている。
歩幅も、ほとんど同じだ。
(……おかしい。)
あまりにも「自然に見えるように作られた動き」だ。
個性が──ない。
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店先で立ち止まるサラリーマン。
カバンを持ち替えるOL。
自転車を押す学生。
全部、
どこかで見たような、同じ動作だった。
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(みんな……同じだ。)
拓海は、胸の奥がぞわぞわするのを感じた。
NPCたちは、個性を持っている「ように見える」だけだ。
よく観察すれば、違いなんてない。
型に嵌められた存在たち。
──でも。
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ふと、
拓海の視界に、一人の人物が入った。
フード付きのパーカーに、
ラフなジーンズ姿。
何気ない格好だった。
だが──
歩き方が、違う。
重心の置き方。
腕の振り方。
歩幅。
タイミング。
“パターン”から外れていた。
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(……あれは──)
拓海は、思わず足を止めた。
だが、
その人物は、
雑踏に紛れるようにして、あっという間に視界から消えた。
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ほんの一瞬だった。
それでも、
拓海の胸には確かな感触が残った。
(今の奴……絶対に、“こっち側”だ。)
プレイヤーかもしれない。
いや、きっと。
直感が、告げていた。
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まだ確信には至っていない。
けれど、
この世界に”例外”が存在するという事実を、
拓海は、はっきりと感じ始めていた。




