あらぬ愛情
「手駒が殺られたか
だが……もう私の準備は既に……
この地上のエネルギーが私を高みへと連れて行ってくれる!」
神父の周囲の全てが鳴動する
「人の罪が更に私を導くのだ……
神をこの地に引きずり下ろし……人々は目覚める……
罪は我々に与えられた希望への道だ!」
次第に神父の体は浮きはじめる
人類が積み重ねてきた罪が彼に力を与え
彼はその力を神と人のために行使する
「仕上げだ……」
・・・
キャシィとフレイラ、そしてソーニャは急いで神父のもとへと向かっている
アクセル全開、タイヤから煙を吐くその車は誰にも止められない
「ソーニャったらキャシィに懐いてるのね
ここまでついて来てくれるなんて」
「……お前もだろ
アタシら三人は居場所を持たない」
「……そうね」
「だが、まだまだこんなんじゃあ足りねぇ
神父を殺して本当の自由を手に入れてやる
ヤツがどんな目的で何をしようとしてんのかは関係ねぇんだ
人の命は平等に簡単に奪える……だから『貴重』なンだってな」
「良くない生き方だけど憧れるわ、そういうの」
「良い悪いなんてねーよ、好きに生きりゃOKさ
死んだヤツは……自分自身の『運の悪さ』を呪うだけだ」
「……私は……そうね、私らしく戦うわ」
「なら、いつも通りだ」
「これが最後だもの」
「ま、そうだな」
「神父を殺せば、今度は私の番
そういう運命なら従うわ、だから神父との戦いは……
あなただけじゃなく私にとっても重要なものになる
……ソーニャは……まあ、いつも通りね」
曲がり角
その向こうにシスターが立っている
路上を爆走する車を見ても微動だにしない
「ああ畜生、前に誰かいるな
どうせ敵だ、轢き殺していこう」
「……様子がおかしいわ、慎重にね」
そこでキャシィはブレーキを踏んだ
「……」
「……」
「……」
車内の三人は沈黙し、車から降りる
「……ああ、お前……何でそんなところに……!?」
「路上よ、車が来たら危ないわ!」
キャシィとフレイラがそのシスターに声をかける
ソーニャは遠巻きにその様子を見守る
「……その必要はありません」
シスターは静かに、しかし獣のように激しい殺意をもって二人の腹を殴った




