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黒の慈悲 命の闇
シスターに殴られた二人だが、不思議なことに『敵意』を抱くことはなかった
何ら抵抗することなく攻撃を受け入れ
むしろシスターの心配をしている
シスターはキャシィの顔を殴って笑う
「……私に対しては誰であろうと『敵意』や『殺意』を持てなくなる……それが私の能力
私に殴られても蹴られても、もう『愛情』や『仲間意識』しか感じることはできない
もちろん、そのことを知っても……能力には抗えない」
次にフレイラの首を絞め、地面に倒す
苦しみ悶え涎を垂らしながらも、シスターに対してはやはり『仲間意識』を抱いたままである
「……ぅぐ……ッ!
……シ……ス、ター……ァァ」
「……さあフレイラ、私だけのものになりなさい」
わたしだけのものになりなさい
ワタシダケノモノニナリナサイ
シスターの言葉がフレイラの心を揺らす
鐘の響きのように
聖歌隊の声のように
たとえ彼女の言葉が悪意に満ちた猛毒の類いであっても
もう誰も抵抗出来ない
甘美な魅力に犯され溶けてしまっているから
フレイラは既に光を失いつつある目をシスターに向け、全てを受け入れる
毒を飲んだ者は死に至り
毒を与えた者は優しく微笑む
闇の底へ誘う漆黒のごとき黒
シスターの修道服が告げる『死』の色




