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拒絶 ⑥
「殺人鬼が『仲間』を助けるとは驚いたぞ、キャシィ……
今更お前のような悪人が罪の赦しを乞うつもりか?」
神父は首の傷を再生させながらキャシィの方へ向き直る
「仲間が死にゃあ不利になるのはこっちなんだからあたりめーだろバーカ
行動の基準は『利益か不利益か』だけだ
不利にもならねーなら天使でも助けねーし、利益になるなら悪魔だって助けるさ
長く生きすぎて青カビ生えたその哀れな脳ミソに刻み込んどけ糞っ垂れ」
「実に良からぬ生き方だ……だが、その罪深さは神に届くだろう
神はお前のような極悪人にこそ愛を与えなさる……」
「金にもならねー、ましてや快感にも変えられねー愛なんていらねーよ
一人で勝手にマスでもかかせてろ」
「……大きなことを言ってるが、お前は結局私には勝てない……
吸血鬼の力は人間などはるかに凌駕しているし、弱点もない
私が神に裁かれるために得たこの強大な力はまさに『罪』だ」
「勝ってやるよクソボケ!
アレを寄越せフレイラ!」
フレイラは『アレ』と言われて咄嗟に理解し、手榴弾を手渡した




