俺くんは国際交流委員23「突然ですが、委員長です!」
みなさん、初めまして。
委員長です。
今回からしばらくは私が、高校生活にお疲れ気味の俺くんに代わってお話します。
みなさまどうぞよろしくお願いいたします。
私のおしゃべりが好評な場合は、語り手が私・委員長になるかもしれません。
その時には、俺くんゴメン。
しかし、これも、時の流れです。
誰もそれに逆らうことはできませんから。
さて、わが校の春の行事に、遠足があります。
特に新入生にとっては、高校生活最初のみんなとの旅行であり、これに盛り上がらないわけにはいかない私です。
高校一年生の良き思い出を作るために、委員長として頑張らなければなりません。
みんなに楽しんでもらうための工夫が必要です。
そのあたりのあれこれを、お話ししたいと思います。
五色沼という風光明媚な場所があります。
私も小さい頃に一度行ったことがあるのですが、美しい色の沼の幼い記憶が残っています。
まさに春の遠足にぴったりな場所です。
それで、遠足の目的地を決めるために召集されたホームルーム委員会で推薦しました。
採用されました。
日ごろの私の行いが評価されたのでしょう。
担任の先生のお手伝いをし、クラスのみんなをまとめ、さらには成績優秀で端正な和風美少女という、優等生そのものの高校生活を過ごしていたからでしょう。
人徳です。
加えて、私服での参加も許されました。
山道を散策するにあたり、それに適した服装を生徒それぞれの自主性に任せた方が良いだろうという私の意見が通りました。
私、グッジョブ!(俺くんのまね)
散策の後は、みんなでバーベキューという案まで通りました。
これは、あれでしょうか。
私・委員長は、一年生にして、わが校の陰の支配者になろうとしていると考えてもよろしいでしょうか。
二年後の生徒会長候補ですね。
それで、冒頭から何なのですが、実は私、世界征服をたくらんでいます。
自分でも何を考えているのだろうと、ときどき思うのですが、「世界征服」という言葉の響きが私を魅了しているのです。
みなさん、これは誰にも内緒です。
もちろん、アロハと俺くんにも。
ここだけの話にしておいてください。
この告白によって、今までの私・委員長のイメージが180度変わってしまった方もあろうかと思います。
ですが、こういうことは、初めに言っておいた方がいいと思いました。
その方が、いろいろ話が早い気がします。
以後、私・委員長をお見知りおきくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
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ところで、自分で私服可の意見を出しておいて何なのですが、遠足に合う手持ちの服が無いことに気づきました。
私のママとパパは、ファッションセンスが皆無です。
ふたりとも、黒い服しか着ません。
毎日が葬式かと思うほどです。
それから、「今ある服でいいんじゃない?」というのが、ふたりの定番のセリフです。
それに従う私ではありません。
なにしろ、世界征服をたくらんでいますから。
私は様々な情報を、あらゆるメディアから収集しました。
今シーズンのトレンド、自分の好み、周りの女子たちの動向、男子の目、季節感、それらすべてを総合して、着ていく服を選択・決定しなければなりません。
大変忙しいのです。
高校に入ったばかりで、まだ勉強を頑張らなければならないにもかかわらず、ファッションチェックのために街へ出かけました。
道行くお姉さんたちの服を参考にし、ウインドーショッピングを重ね、良さそうな服があれば自分の体型と好みに合うかどうかを試着室で確認し、自分の小遣いに収まるかどうかを計算し……なんてことをしていると、いつの間にか夕方になっています。
あまり遅くなると、パパとママに叱られます。
断腸の思いで素敵な街を後に帰宅します。
帰宅後は戦果の報告となりますが、パパもママもほとんど興味を示しません。
「新入生なのに、何やってんの?」という表情が、ありありと浮かんでいます。
しかし、世界征服者は気にしません。
今日一日の我が手柄に、自ら悦に入るのみです。
遠足当日の、私とみんなの幸福を願いながら、床に就きます。
とても幸せな一日とその終わりです。
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それで、遠足の服装なのですが、同じ班の人がパーカーで行くと聞き、たまには庶民に合わせるのもいいかなーって思って、結局私もパーカーとパンツにすることにしました。
他の子たちはデニムでした。
私は白のパンツ。
「差別化」です。
パパは当初からパーカーにデニムを勧めていました。
男子受けがいいそうです。
キャップをかぶれば完璧だと言います。
却下です。
私には男子の趣味は理解できません。
シンプルすぎます。
遠足当日、朝は曇っていましたが、昼ごろになると少しずつ青空が顔を出しました。
次第にパーカーでは暑苦しさを感じ始めましたが、みんなの前でTシャツ一枚になるのも気が引けて、我慢しました。
だって目立つから。
いろんなとこが。
確かに、制服の時とは違う私の新たな魅力に男子たちがトキメカナイとも限らないと思いましたが、今ではないと判断しました。
パーカーとパンツにしたのは、遠足の行程が、五色沼の散策路を30分くらいかけて歩くというものだったからです。
さらにはその後にバーベキューが待っています。
女子の中にはスカートで来た猛者もいましたが、何か(誰か)を狙っていたのでしょうか?
それで、実際に歩いてみると、優しいバスの運転手さんが標高の高い方にバスを止めてくれたらしく、なだらかな下り道をゆっくり歩いて降りることができました。
アロハや俺くんとペチャクチャしゃべりながらだったので、そんなに道のりは遠く感じませんでした。
道端に、いろんな花が咲いています。
裏磐梯にも、春がやって来たようです。
中でも、黄色いラッパの形をしたスイセンが、群れできれいに咲いています。
私が立ち止まってそれを眺めていると、突然俺くんが、「その花、委員長みたい」と言いました。
エッ、どういうこと?
私がスイセンのように可憐だということ?
そう理解しておきましょう。
道の途中、ところどころに沼(池?)があり、太陽の光に当たって、いろんな色をしています。
あれは何の加減だろう?
光の屈折率の違い?
水の成分?
それで、散策路終点にある沼が一番大きく、複雑な形をしていて、コバルトブルー色してました。
空の色をそのまま水面に映し、それに瑠璃色の絵の具を少し溶かしたみたい。
太陽に輝いてすごくキレイ。
ちょっと感動した私でした。




