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俺くんは国際交流委員22「アロハと委員長とカラオケ」

やっと一学期の中間考査が終わった。


高校での初めての定期テストに、クラスの皆は不安がっていた。

中学よりも範囲が広く、難易度も高い。

進路実現のためには高校1年からこんなに勉強をしなければならないのかと、少し気が重くなった。


テスト最終日の午後、俺たち3人は、予定通りカラオケに向かった。

これを頼りにテスト勉強を頑張った感もある。


受け付けを済ませて部屋に入り、まずはジュースで乾杯。

さっそく各自選曲を始める。

ふたりは何を歌うのかがとても気になる。

初めての人とのカラオケは、なぜか緊張する。

相手の好みがわからないし、自分の歌う歌がダサいと思われるのも恥ずかしい。

委員長のタブレットをのぞき込むと、瞬時に画面を隠された。


日米の美少女ふたりとカラオケ大会。

他の男子にしてみれば、何で仲間に入れてくれないんだー! 俺も呼べよ! 抜け駆けすんなー! って感じだろう。


すべての男子に謝罪します。

俺だけいい思いをして、申し訳ありません。

でも、今はこの幸せに浸らせて下さい。

俺の人生、もうこんなことは二度とないかもしれない。

今日という日が俺の人生の絶頂か?


アロハは、俺の知らない外国の曲をたくさん歌った。

アメリカではこんな曲が流行ってるのかーと、なぜか感心した。


ところで、歌詞のあちこちに俺でも分かる放送禁止用語がけっこう出てきてたけど、あれは何?

あんなこと言って大丈夫なの?

アロハの口からそれが出てくるたびに、ちょっとドキッとした俺だった。


委員長は80年代アイドルの歌を熱唱していた。

振り付きで歌う姿がおもしろい。

アロハも、手拍子をしたり掛け声を掛けたりして楽しんでいた。

曲の最後にいちいちキメポーズをつくるのがちょっと鼻につく。


そんな中俺は女子たちの飲み物をせっせと運んであげた。

アロハはレモンスカッシュを何杯もお代わりしている。

アメリカ人て、レモンスカッシュが好きなのか?

それにしても飲み過ぎだよ。


☆☆☆☆☆


最後にアロハはフラダンスの曲をかけた。


曲が始まると、柔和な表情で、曲に合わせてゆっくりと手足を動かす。

時の流れがそれまでとはまるで違ったものになり、アロハの周囲が、そこだけ違う空間になった。

ゆるやかな動きが、宇宙や時の流れ、母性を感じさせる。


俺の奥底から何かが次第にからだの表面に現れて、全身がしびれ出した。

指先も、ジリジリしている。

感動という表現では足りない、とても不思議な感覚。

そうして次第に心の安らぎを感じ始めた。

現実とは違う世界・次元にいるアロハ。


フラダンスが終わり、俺の意識は現実に戻った。

委員長も目覚めた後のような表情をしている。

フラダンスには、こんな力があるのか。

不思議な時間だった。


もっといろんなことを話したい。

アロハは何が好きで、何に興味があって、何を考えて生きているのか。

それを知りたい、と純粋に思った。


帰り道、アロハはフラダンスのハンドサインを教えてくれた。

空、大地、海、愛……

すれ違う人たちも、アロハのフラダンスの仕草を見て、微笑みながら通りすぎていく。

アロハを柔らかくつつむような視線を送る。

フラダンスの力、アロハの力を、その時俺と委員長は感じていた。


それからアロハは、ハワイの歴史を話してくれた。

故郷の文化や歴史を、アロハはとてもよく知っている。

ハワイを愛している。

俺は、アロハを通じて、ハワイに視界が開かれたように感じた。

ハワイに対する興味がますます増し、いつか行ってみたいと強く思った。


俺は、日本について語る言葉が少ししかない。

日本の文化や町の歴史について、確かに学んだはずなんだけど、アロハと話していても言葉が出てこない。


ふだん威勢のいいことを言ってる俺くん。

中身が何にもないじゃないか。

ぜんぜんダメじゃん。

なに勉強してんの?

何にも身についてないんじゃないの?

勉強する意味や目的を、改めて考えさせられた俺だった。


アロハはとても素敵だった。

人としての魅力と深みがある。


つまりアロハは、ただの美少女ではなかったのだ。

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