俺くんは国際交流委員14「ひらがなからマスターだ!」
アロハの日本語習得のため、毎日放課後、勉強をすることになった。
まずはひらがなからマスターだ。
アロハが書くひらがなは絵画的で、デザインとして見た文字の書き方をする。
一生懸命なその横顔がかわいくて微笑ましい。
彼女はノートを左90度回転させて置き、顔の向きもそれと同じくらい傾かせて書く。
ペンを持つ人差し指がしなり、きれいな曲線を描いていて美しい。
たまに長い髪をかきあげる。
それらすべてがとてもカッコよく、さまになっている。
つい見とれていると、「ん? どしたの?」という表情で真っ直ぐな視線を送るアロハに、俺はドキっとした。
顔と首と上半身が不自然にひねられた姿勢であることを笑いながら指摘すると、アロハは、小さな頃からこうして書いてきたから、今さら直せないと言う。
一回やってみたらと俺が言うと、
姿勢を正して書こうとしたけど、やはり何かぎこちない。
困った表情もかわいい。
美少女の困り顔は卑怯だ。
アロハの一生懸命さ、素直さ、時に見せる幼さ。
普段の気の強さや凛々(りり)しさとは違う面が、ひらがな練習の各所にちりばめられていた。
見た目の美しさは言うまでもない。
俺が次第に感じ始めた彼女の美は、人柄や内面の魅力が自然と外に現れることだった。
ひらがなの練習をしているアロハの横顔を見て、俺はそんなことを考えていた。
アロハは日本語の勉強をし、それが俺の英会話の勉強になる。
彼女の口から出てくる知らない単語の意味を調べる。
それは、単に英会話力の向上というだけでなく、彼女が何を伝えようとしているのかがとても知りたいと思ったからだった。
だから単語の意味調べはまったく苦にならない。
俺の英会話力はどんどん上達していった。
それに、一緒に努力することは、単純にとても気分がよかった。
学ぶことのうれしさ、楽しさを、この時の俺は感じていた。
そこに委員長がやって来た。
委員長「わたし、提案があるんだけど、明日の放課後は3人で、校内見学しない?」
俺「校内見学?」
委員長「うん。ちょうど今、新入生向けに、部活動見学会をやってるでしょ。それを見ながら、校内を一周するっていうのはどうかな?」
俺「そうだね。いいね。」
アロハもうなずいた。
委員長「ほら、特別教室の場所とか、グランドや体育館への行き方とか、アロハも知っといた方がいいと思って。」
気の利く委員長だった。
ということで、明日は学校内を巡りながら、部活動の見学をすることになった。




