第二百二十六話 フレジアとお母様
石の鳥に乗り、瀕死の妹と馬を連れ。
フレジアは共和国中心部にある真っ白な聖堂に戻ってくる。
こうして地下にある回復室に向かう。
「••••••••」
回復室には、大量のポッドがあった。
フレジアは無言で妹の服を脱がし、妹とペガサスを回復装置に放り込む。
「••••••」
一方、フレジアの自分の体も見る。
少ししか戦闘していないのに体はボロボロで、何とか歩いている状態だ。
相手が手加減していなければどちらも殺されていただろう。
「おーい。フレジア。平気そ?聞いたよー。フレジアとグレイユが正体不明の狼と戦ったとか」
そこに白衣を靡かせたイリスがやってくる。
興味深そうな、心配そうな顔をしてきた。
「•••••••••お母様、、」
イリスの顔を見て、フレジアは少し落ち着く。
安心して涙も出る。
「こんな怪我して涙を流して可哀想に。よく帰ってきたね。所で、相手はどんなのだった?六代聖女じゃなかったんでしょ?」
「•••••••漆黒の瞳の、、巨大な銀色の狼だった、、恐らく魔神•••••「変異」を使っても、ノーマル状態のそいつに、、私は手も足も出なかった、、」
「銀色の狼、、フレジアが手も足も出ない、メフィの奴も言ってたな、、誰だ?銀色の狼の奴なんて見た事も聞いた事もない•••分かんね!」
一方、イリスは頭を抑えるが分からなかった。
すぐに顔を上げた。
「まあいいや。話戻すけど、三匹でよく生き延びたね。今回の件はお母様も高評価!特別になんでもしてあげよう!次も積極的に任務に挑んでね!」
「••••••また、何でも、、ね、、」
フレジアはボソッと呟く。
以前の色々を思い出す。
「••••••なら、また、私を抱きしめて、生きてて良かったって、、そのまま、」
「あ、待って。不味い不味い。聞き忘れてた。その前に一つ聞きたい」
イリスはフレジアを手で制する。
白衣が軽く靡く。
「何故フレジアは涙を流しているのかな?死の恐怖から解放されたから?グレイユを無事に回復装置に入れられたから?怪我が痛いから?教えて。比較研究に役立つからさ~~」
「•••••••••、、、すべてよ、お母様、、」
「へー!おーけーい。面白い。人間はやはり死が強力な感情の呼び水となると。人と仲良くさせたり組ませる方針は合ってたね」
手元に黒い穴を出現させ、イリスはそこに手を突っ込む。
こうしてノートを取り出し、ささっとペンでメモをした。
暫くし、顔を上げる。
「で、フレジアの願いってなんだっけ?あの方みたいに何でも叶えてあげよう」
「•••••••••」
フレジアは頭の中で、色々思い浮んでいた。
付けているマフラーも触っている。
思えば、抱きしめて生きててくれて良かったは千晴が幾らでもしてくれるだろう。
お母様に頼むより、ついでにちゅっちゅなども追加してしてくれる。
故に他の願いもある気がしていた。
「••••••それなら、私を強くして欲しい。腕と目が機械でも、、他に全く追い付けない」
「お!良いじゃん良いじゃん!やる気あるねー!勇者クローンはこういう事があると。よーし。お母様が良いものを見せてあげよう!『変異』」
イリスは笑顔になる。
そして背中から、ゴツゴツとしている悪魔のような異形の翼が生やした。
直後、目の前に人型サイズの黒い穴を出現させる。
「よーし!着いてきて!お母様が良いものを見せてあげよう!『灯火』」
「•••••••なにかしら、」
イリスが火魔法で火の玉を出し、明かりを作る。
この状態で、二人は黒い穴の中を進む。
「着いたね。これが私の切り札。使い勝手は悪いけど、使えれば最強クラス」
目の前には、禍々しい黒い巨大な生き物がいた。
頭は羊のようで牛のようで、禍々しいツノが生えている。
背中からは黒い巨大な羽が生え、そしてそれ以外は服を着た巨大な人間だった。
これは全く動かないが、生きているかのように脈動している。
「こいつさえ使えてれば、帝都でのホワイトには勝ててたんだけど。レイナめ。まあいいや。実はこれと同じのフレジア専用に作っていたんだよね。近くに、あったはず、、お!あった!」
「•••••••これが、、本当に嬉しいわ、、」
禍々しい生き物の横には、同じく動かない巨大な龍がいた。
鱗の部分のみ鉄製の機械で出来ており、残りは人間の肌や内臓で構成されている。
これがあった。
「使い方を説明すると。まず使う一時間前ぐらいからこれに乗っておいて。するとこのロボと肉体が『融合』してくっ付くから」
フレジアは頷く。
フレジアはお母様が自分の為にこんなものを作っていたのかと、感動もしていた。
「それでそっから『変異』を使えば動かせる。すると通常の『変異』を一段『超越』した強さとなるよ。代わりに、『変異』解いたらまた一からくっつけし直しだけど」
「ありがとう••••••本当に嬉しい、、けど、どんな仕組みで、、どう動いているのか、、聞いてもいい、?」
「ん?聞きたい?シンプルだよ。テノツィツィの『複製』を使って生み出した強い生命体を紫黄の能力で『武器』化させ、そして乗る本人の魔力の対象を正乎の『認識』で操作して、メフィの『融合』で本人にくっつけて、ネミノスの『領域』で操れるようにしてラの『超越』で本人の動作魔力量どんって感じ」
「••••••••、、、」
「懐かしいなー。余裕できたからドラゴンの奴をリンチした後に作ったっけ。あいつの能力も強かったからもっと早くから研究しとけば良かったか。まああいつは隙あれば襲ってくるから論外か」
フレジアはお母様の交友関係について、ほぼ知らなかった。
故に何を言っているのかいまいち分からなかった。
ただ気持ちは伝わり、嬉しく感じている。
「•••••••ありがとう、お母様、、私の為に、」
「まあ良いよ良いよ。あの方の為だし」
手をヒラヒラさせるイリス。
フレジアは更に踏み込む決意をした。
「••••••••お母様はあの方、が、神が、全てだものね、、、その理由も聞いていい、?」
「ん?神は神だからだよ。私の全てを許し認めた。初めて認めてくれた。エデン教のあの自称神とは格が違う。大昔あの光族のマヌケゴミカスに『支配』されてた私を、思い返すだけで腹立つわぁぁ!!あいつ!!死ね!」
突然怒り出し、脈動する禍々しい生き物に頭を打ち付けるイリス。
余りに強く打ちつけるため、イリスの頭部が破壊されて行く。
フレジアはそれを眺めていた。
「••••••もし、私が、あの方に、逆らったらどうする、のかしら、お母様は、」
「ん?あ~~~。え~~っとどう言う意味?」
頭が半壊した状態で、動きが止まるイリス。
見たこと無いほど冷静な瞳で、フレジアを観察し出す。
「あの方の邪魔をするなら誰であろうと許さないけど。今回のは人間流の冗談、って事で良い?」
「•••••ごめんなさい、、お母様、、、本当に冗談よ•••••」
「本当かな?まあ、セーフ。もし邪魔するなら悲しくて可哀想な結末になってたね。危ない危ない」
こう話すと同時に、イリスの頭は黒い粒子と共に再生して行く。
そして、元通りになった。
直後、イリスは白衣をふぁさーとさせる。
「じゃ。これの最終調整するから戻ってていいよ。全身回復室で体を休めてよ」
「ま、待って、、••••••最後に、聞きたいの、、お母様。私たちは何が目的で動いているの。勇者の邪魔をする為、?国を滅ぼす為?」
「今日質問多いねー。報酬にしてもその説明面倒なんだよね。私も良さがよく分からないし。今度で良い?」
「•••••••概念的でも良いから、、世界を救えるのか、、それだけは知りたい•••••勇者達の邪魔をしたい、、ってだけではないでしょ、、」
本人に聞いたら、意外と普通に答えてくれた。
だからこそ、フレジアはこれだけは聞いておきたかった。
姉妹達が命をかけた意味を遂に、そしてあっさり知れそうだ。
「ん?そんな訳ないじゃん。私もフレジア達も含め、今の世界の全ては滅ぶよ。全てはあの方の望み。まあ私から見たらだからメフィら見たら違うかもだけど」
「•••••••••••••••」
さっと顔を背け、機械と人間で構成された龍を弄るイリス。
恐らく龍の最終調整をしていた。
無言でフレジアはそれを眺める。
「•••••••、、邪魔して、ごめんなさい、お母様、、」
「別にいいよ。頑張ってみるみたいだし特別特別!ここをここか、拡大は45度が丁度良いねー!繋がるねー、繋がる!完璧!あの方が喜ぶぞ~~~!」
好き勝手、龍を弄り始めるイリス。
フレジアの事は頭が抜けていた。
「けれど••••••お母様、、お母様には、家族や両親が死んで、、居なくなって、、嫌な気持ちになった事は•••••」
「私?私達には両親なんていないし、死もないから分かんなーい。だから研究してんだよ。おー!良いじゃん!この調整すれば切れ味あがんじゃね!さすが悪魔の天才科学者!私!」
「••••••••••」




