第二百二十五話 使徒と諸侯
巨大な門を通り、山の中にある整えられた道を二キロぐらい歩き。
ようやく教皇宅に着く。
そんな教皇宅からは神聖共和国の首都全体が見下ろせた。
「••••そろそろ裏切り者の総本山ですか、、千晴くん。ありがとうございます。頑張りましょうね」
「うん。これが分水嶺的な所もあるし。やるしかない!」
「はい。私達の輝かしい未来に向けて、頑張っていきましょう~~~」
それと、今回は俺が第二使徒に「変身」していた。
エゼルさんは神魔法で指輪になっていて、それを俺がつけている感じ。
こう決意表明をして、教皇宅に巨大な門から入っていく。
「お、おはよう、ご、ざいます、第七使徒、様、あ、」
と思ったら、門の内側すぐにユアがいた。
直接会うのは久しぶりだ。
意外とあっさり再開できた。
隙を見て会話をしたい。
「は?目も見えない訳?あのの奴と比べんなよ」
「、、はぁ、、なんだお前だけか、あいつは、?あいつは居ないのか?」
「なに?格上の私に教えて欲しいわけ?甘えんなよ第十三使徒が。弱者なりに努力しろよ。教義でも読んでろ?」
ついでに、俺はユアにはそっけない対応をしていた。
「過去」を見る限り、ユアと第二使徒は一応幼少期からの知り合いだが、いつもこんな感じ。
俺の演技は恐らく完璧でもある。
ホワイトとの謎の演技練習が生きていた。
「はー。良かったー。居ないのか。」
「ユーーア!いるやーん!そこにいるやーん!ははは!どうなん!こっちより強くなったんか!」
「あ、うわ、よ、弱くないから、」
後ろから、17くらいの少女が突っ込んでくる。
そうしてユアの肩をガタガタ揺らす。
この少女を見て、ユアは顔が真っ青になっていた。
「あはは!大して変わんないよ!強くなってたら私たちより出世してる!」
「教皇陛下から寵愛受けてんのになー!才能あんのになー!弱いままー?可哀想やーん!」
「騒ぐな。ガキ共。教皇陛下の不興を買うぞ」
そんな少女の次に、スキンヘッドの男性がやってくる。
彼は特に俺を睨み付けてきた。
この辺の関係を簡単にまとめると。
元々、教皇は戦争などにより孤児となった神人族を集め、修行を施し、その中でも強いのを使徒まで出世させている。
で、この男性との関係を言うと。
昔先生だったのだが、あっさり超えられたので喧嘩になっているようだ。
ついでに、片方の先生でより強くより教皇と親しかった第四使徒は現在行方不明。
皆の親代わりで、この第二使徒も結構懐いていたっぽい。
恐らく死んだだろうとは言われている。
「あはは!なんでぇ!なんでぇ第六使徒如きの命令を第二子使徒が聞かなきゃなんないの!?教義に基づいて弱者は弱者らしくしないと!おい!第十三使徒!こっちに来いよ!」
強引な流れだが、無理やりユアの腕を引っ張る。
話をするのだ。
キャラ的にそこまで違和感ない流れでもある。
「な、なんだよ、嫌だぞ、お父さんに呼ばれてるし、、」
「、実際経験が違う。第三使徒が居なければ、殺す。「神の霊剣」」
スキンヘッドの男性は、手元に青白い剣を出現させる。
即座に剣を伸ばし、襲ってきた、
「あはは!私に喧嘩を売る!あなたは何歳だっけ!負けたらはっずかしーい!「神の霊剣」!」
こちらも青白い剣を出し、男性の剣を迎撃する。
一秒の恰好の後、即座に押しつぶす。
「がは、ただじゃ、済ませない、」
「おい、行くぞ。着いてこい十三使徒」
「な、なんだよ、、い、行きます、、」
「はは!気になるやーん!私も連れてけよー!ユアに変な事するとボスがぶちギレるじゃーん!はは!ボスに」
「ちっ、着いてくんな。うっさい。おい。第十三使徒。早く来い」
—-
暫く歩き、端っこに来た。
近くには誰もいない。
「な、なに、?何ですか?あの、第二使徒さん、?」
「いや、少し用事があって」
姿を戻す。
俺の姿になった。
ユアは目を見開く。
「え?大空か?ん?いや、第二使徒が大空に化けているのか?ん?逆か?お父さんがこの国で大空を見たとかなんとか言っていたようだ。」
「いやいや、普通に本物。本物が第二使徒に化けてた感じ。実はこっそり潜入してきてて」
「おーーー!!!そうか!久しぶりだな!!!元気そうでなによりだ!早く言ってくれれは良かったのに!ホワイトさんも元気か!?」
「ちょ、ちょっと静かに」
「あ、す、すまん、、理由あるよな、わざわざ第二使徒に化けてたんだし、、」
すぐ姿を第二使徒の物に戻す。
何事も警戒しすぎて損はない。
「所で、ユアはこの国で今何が起きてるかって知ってる?それ次第でこっちの対応が変わるからさ」
「何がって、お父さんが使徒を集めてるだけだろ?それ以外平常通りだったぞ。前の使徒会議を父さんに欠席させられたぐらい」
緊張感のない感じで、ユアは言う。
情報が全然渡されていないようだ。
「•••実は、そのお父さんが反勇者同盟を外患誘致したらしくてさ。使徒は今ここにいる人たち以外、全滅してる。で、これからその反勇者同盟を壊滅させに向かおうとしてる感じ」
「?、?、そうなのか。え?そうなのか???」
状況を掴めてなさそうなユア。
かなり、良かった。
味方そうだ。
「•••••それと、内緒にして欲しいんだけど、近くにエゼルさんがいる。どっちに着いても俺が何とかするけど、俺達につくかお父さんに着くかお父さんが反乱を起こす前までに決めて欲しい」
「、、、、大空に何とかさせるのは、悪いな、、、少しだけ、少しだけ考えさせてくれ、、お父さんは好きじゃないけど、、」
「分かってる。どっちでも否定はしない」
俺は家族が悪に走っても、付いて行きたくなる気持ちが分かる。
昔の俺であれば、ホワイトや姉ちゃんが悪の道に走ったら絶対に着いて行った。
どっちでも何とかしよう。
父親はどうしようもないが。
「、どうするか、、どうしよう、、大空、ちょっと待っててくれ、」
頭を抱え、ユアは歩いていく。
教皇宅に戻っている感じだ。
「どうかな、、ユアは仲間になると思う?」
手で口を抑えながら、こっそり呟く。
軽い独り言だ。
右薬指につけている指輪にしか、聞こえないだろう。
「••••••分かりませんね、ユアは基本上に忠実です。どちらもありえる、としか」
「••••••そっか、」
——
あの後、ユア以外の使徒たちと庭先で待機していると。
ユアと一人の男性が教皇宅2階の廊下を歩いているのが窓越しに見える。
男性の方は丸々太り、白く豪華な服を着ているのが特徴的。
「貴様ら、入って来い」
窓越しにこちらを見た男性は、顎でこんな感じの動きをする。
こうして、ユアと会話をしながら何処かに向かう。
色々始まるようだ。
そして少しの間だけだが、以前身に付けた読唇術で、話を聞けた。
「••••••お父さん。この国で何か起こってるの。僕を使徒の集まりに参加させなかった時から何かおかしいよ」
「誰かに峻されたのか?だが盲目に父に従っておればよい。父に従って損はあったか?外の小学に通わせ、武術協会に入れ、憧れの講師も付け、貴様の可能性を広げてやった。今回も従え」
「、、、」
こんな会話をしていていた。
成程。
それはそれとして、残りの使徒達は教皇の指示を見て、皆屋敷に入っていく。
「ついにやーん!反乱やーん!これで負けたら笑えるやーん!この国どうなっちゃうのー!」
「あはは!『傲慢』も『嫉妬』もどっちも全貌を把握できてないから!私たちがあっさり負けるかもね!あはは!」
「ちっ、、黙れガキ共。陛下に逆らうな」
さっと屋敷に入り、豪華な扉を二回通った所にある、大きなダイニングルームに来た。
そこには豪華なシャンデリアや、職人が趣向を凝らせて作ったと思われる沢山の調度品がある。
色々高そうだ。
そして真ん中にある白くて長いテーブルには、共和国の諸侯?と思われる人たちが大勢座っている。
諸侯達の席の後ろには、黒い布で全身を巻いた暗殺部隊?みたいのもいる。
「•••••••••」
「••••••」
こんな中、使徒達は右の空いている席から座っていく。
教皇からは多少距離がある感じ。
ユアだけは教皇に最も近い横の席に座っていた。
ついでに言うと、諸侯達は男女おりながらも比較的に年齢の高い方々が多い。
そして、彼らはエデン教の枢機卿とか大司教でもある。
基本共和国の上流階級は兼任しているらしい。
こうして、全員座った。
「エデン教の神、そして初代聖女デビルは人々に安寧の地を与えるため、この神聖共和国を作った」
直後、教皇は巨大な席に寄りかかり、巨大な腹を強調しながら、ぼそっとつぶやく。
皆、一瞬でシーンとなった。
「我らが姉を自称したデビルも冥土で喜んでいるだろう。我らの安住の地の下地を作れた事を」
そうして、諸侯の人たちは皆拍手をする。
最後に言うと、大司教や枢機卿の任命権は聖女と教皇にしかないので、そこに権力が集まる。
そう言う事だった。
「奴隷のガキが。なるべく苦しめてその腹わたから出た内臓を生きたまま食い荒らしてやる。貴様の成長に感動こそすれ、デビルの奴は貴様らのために神の国を作った訳ではない」
「い、今は落ち着いて、エゼルさん、エゼルさんかな?全部終わってからで」
口を手に当てながら話し、なんとか宥める。
ここで暴れられると面倒だ。
軽く指輪を撫でて、何とか落ち着かせた。
「そして、全員存知の通り、こいつが我が息子。未熟な上に出来損ないだが、今回の指揮を取る。全員従えよ。こいつに逆らう事は俺に逆らう事を意味する」
「え!僕は何をするんだ、するんですか、父上」
「父の命令に従っておれば良い。所詮今回はお飾りだ。父が間接的に指揮を取る。見て学べ」
諸侯達が拍手する。
何か、思ったより可愛がられている。
いや想像通りではあるが。
「以上だ。貴様ら、食事を取って構わんぞ」
直後、パンを手に取り口にする教皇。
皆それを見、食事を摂り始める。
「、、指揮官、、、裏切る、」
「は?溢すな。何歳だ。おい、タオルを持ってこい」
「い、良いよお父さん、、自分でやるから、」
次の瞬間、ユアがスープをこぼす。
スプーンでスープを飲もうとして、動揺から起こる震えで溢した感じだ。
教皇はメイドの人からタオルを貰い、腹に邪魔されながら起き上がり、自らその掃除をする。
「•••••••••」
「ははは!甘やかされてるやーん!私らとの違いは血!?才能!ははは!」
俺(第二使徒)は死んだような目で、それを見る。
隣の第七使徒は大笑いしていた。
それはそれとして、何かユアを人質にすればどうとでもなりそう。
しないけど。
宜しくないオチになる可能性もあるから。




