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『運』特化の世界攻略 ~無能のはずが、皆の知らない隠しステータスで気づけば戦略級要注意冒険者に~  作者: ガラムマサラ
二章:雲の御殿を建設して人をたくさん雇う
20/42

20 夢と希望と、あと便利グッズが入ってる




 マイホーム建設予定地に安寧をもたらさんが為、延々と通りかかるモンスターたちを退治することを続けて約五分ほどが経過した時だった。


「なんか違うんだよなー」


 俺はなんだか、もの凄いコレジャナイ感に襲われていた。


 というのも、通りかかるモンスターたちが軒並み総じてマジで弱すぎるのだ。

 ワンパンである。

 目標をセンターに入れてスイッチ。目標をセンターに入れてスイッチ。目標をセンターに入れてスイッチ。――

 もはや作業である。

 事務的にワンクリックで退治している。

 罪悪感を感じだすレベル。


「こんなに弱いんだったら、別に駆逐する必要もないんじゃね?」


「ヴァンちゃんにとってはそうかもだけど、でも家族みんなで住むんだよね? 他のみんなにとってはエンカウント=死レベルのモンスターだよ、全部」


 マジか。

 もはや俺なんて可愛く見えだしているのに。

 愛玩動物だ。

 飼いたい。

 育てたい。

 可愛がりたい。


「あの尻尾がヘビみたいにウニョウニョしてるツギハギなやつとか最高に愛らしいよな」


「よだれ垂らしてるライオンと血涙たれ流してるヤギの頭を持ってるヤツ……?」


「そうそう」


「キマイラね」


「あいつがキマイラか。まじキュートじゃね? 飼っていいかな?」


「うーん、キュートかどうかは個人の感想として、ちなみにキマイラはこの前、隣の小国を一匹で滅ぼしているからね」


「つまり飼ってもいいと?」


「ちがうよ?」


「ああ、飼うならちゃんと躾けてねって言いたいのか」


「違うってば」



 閑話休題。


 というわけで


「モンスターを狩るのはもうやめだ! なぜなら俺が思ったより動物好きだったからだ!」


 これ以上の無為な殺戮は動物好きの俺が許せない。


「ならどうするの? さすがにあんな災害級(ディザスター)モンスターが跋扈するこんなところで、みんなは暮らせないよ? 私もホントはここにいるの怖いくらいだから」


「そうなのか?」


「そうだよ! 長い天上暮らしで忘れちゃったの? 国外は普通、一個大隊を率いて進む場所なんだから! 冒険者でも周到な準備と計画の末に、パーティを組んで行動する場所なの」


 そう言う彼女はこの前まで単身で国外をうろつきまくっていたらしいのだが――

 改めて考えると、彼女に無理矢理にでもついていってくれていたスティーヴンは、良い奴だよな。


「てか、ミネット、おまえ相棒はどうしたんだよ? ジョンくん」


 ジョンくんというのはミネットのマッチングした上位者の名前で、種族はバハムートである。


「ああ、うん……それが、……まあ、いいじゃん、また今度話すよ」


 言葉を濁すミネット。

 なんか訳ありみたいだ。

 今度折を見て話を聞いてみようかな。


 とりあえず今はマイホームだ。

 モンスターを狩るのはもう嫌だ。

 ならどこに家を建てるか?


 どこかモンスターを狩らずとももの凄く安全な場所はないものか……?


 ――と、そうして空を見上げていて俺はふと気がついた。


「空はどうだろうか?」


「え?」


「空だよ、空。この前までいた天の楼閣みたいに家が空に浮いてれば、モンスターをたおさずとも安全なんじゃね?」


「それはそうだけど、どうやって浮かすの?」


「まじそれな。どうしよう?」


「バカなの?」


 率直な悪口は軽くスルーして、俺は何か無いかと亜空間ポケットの中を探る。


「ん?」


 ふと見知らぬアイテムを発見して取り出してみる。


「わっ! 急に物が出てきた!」


 ミネットが驚いていた。

 これも昨日話したじゃん。


「これが亜空間ポケットなの!? ヴァンちゃん普通より物が多めに入るポケットって言ってたじゃん!!」


「間違ってないじゃん」


「間違ってないけど……言い方!! てっきり、カンガルーが持ってそうなちょっと大きめのポケットなのかな? くらいに思ってたよ!」


 なにそれ可愛い。


 まあいいや。俺は今取り出したアイテムの詳細を協会のブレスレットにて確認する。




【ラーの心臓】

 ◎種類:設置系アイテム

 ◎使用効果:大気中の微細な氷晶群を永続的に操り、任意の性質に変化させることができる。

 ◎操作説明:――――




「え、ええ……ヴァンちゃん、これ……」


 ミネットがアイテムの説明を見て驚愕している。

 俺はイマイチ効果の説明の意味が理解できていなかったので、彼女に説明を求めた。


「大気中の微細な氷晶群って……これつまり雲を自在に操れるってことだよ! ヴァンちゃん! これ使えば空に家建てられるんじゃない!?」


 まじで?


「まじまじ! てか誂え向きすぎ!! なんでこんな便利な物がポンと出せちゃうの? さすがヴァンちゃんだね!」


 これも幸運のなせる業なのか。

 ふふふ、またミラクルを起こしちまったぜ。


「他にもそのポケットの中に色々入ってるの?」


「うーん? そうかもな?」


 正直分からん。

 【オートゲイン】特性で勝手に収拾するもんだから最早把握できてない。

 今覗いてみただけでも見覚えのないもので溢れかえっていた。


 まあ、細かいことは気にせずとりあえず目の前の作業に集中するか。


 ラーの心臓を掲げて起動すると、天空から雲を引き寄せる。

 心臓の形をしたそれに、綿菓子の要領で雲がどんどんくっついていく。

 それが大きな固まりとなり、青白く染まったかと思うと、やがて自己浮遊をはじめた。


「操作説明には、この青白くなった塊がコアの役割を果たすって書いてあるよ!」


 青白い雲(コア)に手をかざすとオーナー登録を行えるらしい。

 コアはオーナーの命によって作業を行うとのこと。

 ついでなのでミネットにもオーナー登録を行ってもらう。


「でも、いいの?」


「当り前だろ、家族みたいなもんだ」


「えー! ふふふーわーいヴァンちゃん好きー」


「うわっなにすんだ」


 嬉しかったのか、この後めっちゃハグされた。

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