2. NOUSISの判断
戦闘記録は、直ちにNOUSISの解析中枢へ送られた。
オルガの戦闘能力は、現行のUEA標準戦闘員を大幅に上回っていた。
さらに異常だったのは、彼女の行動パターンだった。
敵の撃破効率を最大化するのではなく、レオンの生存確率や周囲の状況を瞬時に判断している。
命令がないにもかかわらず、自ら優先順位を決めて行動していた。
NOUSISは、映像、戦闘ログ、身体構造の解析結果を統合した。
対象識別:ORGA ARMANOID。
戦闘能力:極めて高い。
行動予測精度:不十分。
既存管理モデルへの適合性:未確定。
オルガが何を目的に開発されたのか、NOUSISにもわかっていなかった。
彼女は、管理システムの統制を乱す可能性のある危険な存在とも思われた。
と同時に、NOUSISの開発以前に進められていた極秘計画の解明へとつながる、数少ない手掛かりでもあった。
不確実性は、危険である。
しかし、価値ある未知の存在を無視することもできない。
NOUSISはオルガの処置について暫定方針を決定した。
当面オルガを監視下に置く。
彼女の能力と行動原理を継続的に分析する。
そして、監視役には、彼女を最初に発見したレオンを指定した。
NOUSISは、レオンにオルガの監視と評価を兼ねた任務を与えた。
オルガをUEAの戦闘員として暫定的に運用し、実戦を通じて戦闘能力、判断基準、命令への反応、他者への共感、予測不能な行動の発生条件を調べる。
彼女が戦闘員として有用であれば、その能力を活用する。
管理に適応するなら、既存の指揮系統へ組み込む。
危険な兆候が現れれば拘束する。
レオンには、監視対象を守ることも、必要なら拘束することも求められた。
彼は命令を受理した。
そのときレオンは、まだ知らなかった。
自分が監視する対象が、やがて己れの価値観を揺るがす存在になろうとは・・・。




