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第六章 新たな疑惑

1 .レオンの疑念

3人は、地球への帰路についた。


レオンは、VOIDとの交戦状況を改めて思い返してみた。


VOIDの反応は一様では無い。

無軌道に攻撃してくるもの、攻撃することなく監視するもの、そして一部は、オルガとイリスを認識した途端、黒い粒子と化して機能を停止する、この現象は何を意味しているのか?


今はその答えが出そうもない・・・


「これからどうするの?」

オルガが不安げに尋ねた。


レオンはしばらく目を閉じていた。


「そうだ!・・・ゴルチ・メンデ将軍に頼んでみよう。」


「軍の緊急回線であればNOUSISの通信監査外で将軍とコンタクト出来る。」


「メンデ将軍ならNOUSISの管理外で君たちを保護してくれるかも知れない。」


「レオン、あなたは大丈夫なの?」


「イリスを回収するためだったと言い訳をすれば、何とかなるかも・・・、それにVOID掃討作戦に君たちが役に立つかも知れない。」


レオンは軍用認証コードで暗号規約を照合し、緊急回線でメンデ将軍に連絡をとった。

「ガーガー・・・もしもし・・・こちら、レオン・スティーラー少佐です。・・・メンデ将軍に緊急の要件です・・・ガーガー・・・。」


「こちらメンデ、なんかノイズが多いな・・・レオン、緊急回線を使うとは何事だ?」

メンデ将軍は執務室で会議中であったが、人払いをしてレオンの要件を問うた。


「実はNOUSISの指示に背いて、ある二人の少女を確保したのですが、NOUSISの管理外で保護して頂けませんか・・・」


「相変わらず君も無茶が多いなぁ・・・NOUSISに逆らうと後が怖いぞ・・・しかし、それほどの危険を冒してまで二人を保護する理由はなんだ?」


「二人は、どうもNOUSIS開発以前の極秘プロジェクトに関連がありそうなんです・・・」


「・・・そのことにNOUSISはどう反応しているのか?」


「・・・NOUSISはどうも二人を危険な存在として警戒しているようです。」


「そうか、・・・なるほど、私にも二、三思い当たる節がある。」


「・・・二人をこちらへ連れて来なさい。経路上の安全は確保する、事態収集までの間、君の行動の自由も保障しよう。」


「ありがとうございます。」


レオンは、ほっと胸をなでおろし、二人に笑顔で希望の光が見えたことを伝えた。



2. 不可解な通信記録


レオンは、ただちに宇宙船の端末から先ほどの施設の通信履歴をリモートで解析し始めた。


彼が最初に見つけたのは、イリスの起動直後に発せられたデータ消去命令だった。


命令の発信元はNOUSISの管理系統では無かった。しかし、通常の戦場指揮命令とは異なる認証形式が使われていた。


「これは、現場の判断じゃない・・・じゃあ何処から?・・・」

レオンは画面を見つめながら言った。


レオンは発信源を端末から検索する。

そうすると、発信源を示すカーソルは、地球上のある地点を示した。


「ここは、オルガが封印されていた研究施設のある場所だ。」


「あの施設はまだ生きているのか?」


「研究データを消去する理由は?」

オルガが尋ねた。


「記録上は、未登録の侵入者による重大な危険があるため、とされている。でも、データ消去の指令は、オルガが封印されていたあの施設から発信されている。」

「正確には、イリスの起動直後、何らかの信号が地球の関連施設に発信され、その信号に呼応してデータ消去の指令が発信されたようだ。」


「だとしたら、私たちが目覚めたのを確認した後、関連データを消去するよう、事前にプログラムされていたということ?」


「NOUSISに知れたら困る情報なの?」


「誰がそのような仕掛けを・・・?」


レオンは、さらに調査を進めた。

イリスの識別コードは、UEAの現行データベースには存在しない。しかし、この施設のアーカイブには、その名前と関連する記録が一部残されていた。


それらは別々の年代に作成され、異なる研究計画に分類されていた。

一部は人工人格の研究記録。

一部は戦争の被害者に関する記録。

そして、もう一部は、NOUSISの管理権限に関する記録だった。

レオンは、これらが個別の研究テーマなのか、単一の計画として結びついていたのか、判断できなかった。ただ、これらは、現在のNOUSISの機能に深く結びついていると推定された。


「イリス、君が何者なのか、僕にも分からない。ただ、誰かが君に関する記録を消そうとしているのは確かだ。」


イリスは静かに答えた。


「私が何者なのかを知っている人がいるなら、なぜ私に教えないの?」

レオンは答えられなかった。


その問いは、彼自身にも向けられているように感じられた。

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