199.瓦解 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
今もし誰かがバストーニュ外周を空から見下ろしていたなら、驚いたことだろう。それまでドイツ軍に死ぬほど固められていた幾つかの火力軸が、空回りを始めていた。
北東側ではNebelwerfer41の発射架が丘の斜面後方にまだ立っているが、装填組が次のロケット弾を装填すべきかどうか分からなくなったように止まっている。南側では88ミリ砲が校正射撃を維持しようとしているが、観測手の照準鏡が、すでに崩散した目標線の残骸が漂う空の交差点を向いている。
パンターとハーフトラックは即座に廃棄されたわけじゃない——ただ、最も重要な内なる拍子を一つ失い、まだ動けるが、動き方がおかしくなっていた。
より近くにいた歩兵、工兵、機関銃班、迫撃砲班は最初に反噬を受けた。ナチスの祭壇から、あの主鏈の節点から近ければ近いほど、まるで誰かに歴史の砂紙で下から削り取られていくように崩れていく。
体育館の中では、林 雨瞳が両手をテーブルに押し当てていた。病人の内臓を描いたようなバストーニュの地図の上で、彼女がずっと睨んでいたドイツ軍の進攻線がいくつか、初めてまともな緩みを見せていた。彼女は笑わなかった。ただ、さっきより少し低い声で言った。
「外周網が切れた。」
ヴィクトリアが薬箱を一箱地下の倉庫へ引きずっていたところで、顔を上げた。「二人は生きてる?」
林 雨瞳は一秒止まった。
「少なくとも、まだ動いている。」
希は廊下の端で負傷兵の止血帯を巻き直していた。手が震えているが、それでも結び目を死ぬほど固く締める。彼女は何も訊かなかった。この状況で訊くのは泣くのと同じくらい無意味だと分かっていたから。ジャックが迎えに出たとき止めなかった。今は、銃声の反響が答えを返してくれるのを待つしかない。
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俺たちは低い壁を二枚、裏庭を三つ、犬に噛まれたような廃墟の台所の廊下を一本、続けて抜けた。道中に敵がいないわけじゃなく、むしろ鬱陶しいほどいた。問題は、その敌たちも今、自分たちの崩れていくシステムに道連れにされながら一緒に転んでいることだ。まだよく戦える者もいれば、崩れ始めている者もいて、その中間——最も厄介な状態の者もいた。なぜなら、次の瞬間こちらに一発撃ち込んでくるのか、それとも先に自分が崩れるのか、判断がつかないからだ。
前方の台所の勝手口が、内側から突然叩き開けられた。
ドイツ軍工兵が飛び出してきた。爆破包を抱えている。ナチスの祭壇から十分離れていなかったのか、顔の右半分がすでに石灰壁の皮が剥がれるように乾裂していた。だが目はまだ生きており、足もまだ動いていた。俺たちを見た瞬間、包を地面に投げ捨て、腰の短銃に手を伸ばす。
神崎忠明は眉一つ動かさなかった。一歩踏み込んで側線に入り、軍刀を横に一閃させる。
大きな動作じゃない。派手さもない。
だがそのドイツ兵の喉が開いた。
血が噴き出す前に、神崎忠明は一蹴りで奴を戸口の中へ蹴り戻す。爆破包は刀の峰で横へ弾かれ、ちょうど庭の角に積まれた廃材の山に滑り込んだ。二秒後、轟音と共に木片と扉枠の半分が空へ舞い上がった。
ジャックはそちらを見もせず、歩きながら言う。
「お前たちがなぜ今まで生き延びてきたのか、少し分かってきた気がする。」
俺は息を切らしながら返す。
「今頃気づくのは少し遅くないか。」
「遅くない。ただ、仕事を間違えたと確信が深まっただけだ。」
「辞めればいい。」
「今夜を生き延びてからな。」
もう一つ角を曲がると、前方についに見覚えのある道が現れた。
完全な形を保っているからじゃない——十分に腐り果てているから分かるんだ。
体育館外周へ続く北側の住宅帯だ。以前、林 雨瞳が地図の上で青いペンで二度力強く線を引き、「通れるが、尊厳は保証しない」と言った後退路だ。今見ると、彼女はまだ控え目だったと思う。道全体が街の半分に吐き出されたような有様で、柵は倒れ、窓枠は砕け、壁の漆喰は剥がれ落ち、積雪と灰泥が混ざり合って胃液みたいな色になっている。遠くに体育館の建物の上半分の輪郭がようやく見えた。明かりがまだ明滅し、外壁には迫撃砲に食い破られた黒い穴がいくつか空いている。拠点というより、誰かが死にかけた肺を掘り出して、胸腔に無理やり詰め直して使い続けているような見た目だ。
その輪郭を見た瞬間、全身の力が抜けそうになった。
感動じゃない。
ようやく、倒れられる場所があると分かっただけだ。
だがちょうどその瞬間、右側の半壊したガレージの後ろから、履帯の摩擦音が響いてきた。
心臓が跳ねた。
「ハーフトラックだ!」
今度は動けないやつじゃない。まだ動けるやつだ。
ドイツ軍のハーフトラックがガレージの後縁から強引に押し出してきた。車体に灰を被り、右側の装甲板にはまだ散り切れていない白い粉が付着しているが、機関銃塔はまだ旋回できる。射手が上に座っている。顔色は死人が皮を被ったようだが、手は安定していた。ナチスの祭壇から十分離れていたのか、まだ完全に拍子を外していない。
こんな場面で機関銃一挺が出てきたら、俺たちがここまで積み上げてきたものを全部地獄に叩き返すには十分だ。
「散れ!」ジャックが怒鳴る。
誰も遠慮しなかった。全員が瞬時に両側の壁際へ飛び込む。俺は半壊した煙突の基礎の後ろに叩き込まれ、左肩への衝撃で視界が一瞬白く飛んだ。次の瞬間、機関銃が火を噴いた。
火線は乱射じゃない——低く、執拗で、体育館へ向かう撤退帯を専門に狙っている。崩れた壁、砕けた石、ガラス、雪泥が一斉に吹き飛ぶ。後方の日本軍実体化残存兵二人が即座に反撃に転じるが、向こうの位置が良すぎる。車体がちょうど道を塞ぐ角度に嵌まり込み、撤退路を真っ二つに断ち切っていた。
「クソが。」悪態が口から出る。「こいつ、まだ死に切ってねえ。」
馬三娘が俺の隣に張り付き、ハーフトラックを一瞥し、次に隣の半壊した二階建て民家を見やった。
「車を殺すより、人を殺す方が早い。」
「射手か?」
「違う。」彼女は言った。「運転手だ。」
一瞬止まって——すぐに分かった。
これが格の違いだ。
俺は機関銃を潰すことしか考えていなかった。彼女はすでに車体全体の骨格をどう解体するかを見抜いていた。
神崎忠明も同じ結論に至ったらしく、ほぼ同時に射撃目標を変更した。機関銃との撃ち合いを止め、車体前部の下縁と観察孔を直接狙い始める。ジャックが右側を押さえ、まだ撃ち続けている射手を専門に牽制して、角度を完全に安定させない。
「周 士達!」ジャックが怒鳴る。「まだ動けるか!」
「医者みたいな訊き方するな!」
「答えろ!」
ハーフトラックと隣の民家の破れた壁を素早く確認する。
距離は長くない。だが、最悪の十数メートルだ。低い壁を越え、露天の泥地を抜け、ガレージの残壁に飛び込む。平時でも十分面倒な距離なのに、今は左肩が半壊していて、背後には退駕の時限が迫っている馬三娘を連れている。命を部品検査に使えと言われているようなものだ。
灰混じりの息を一つ吐く。
「動ける!」
ジャックが汚い言葉を吐き捨てた。
「よし!なら本当に動いてもらうぞ!」
横目で馬三娘を見る。
彼女も俺を見ていた。口の端の笑みが、薄い刃みたいに鋭い。
「坊主。」
「ああ。」
「走るのが遅かったら、妾は背負わないからな。」
「ちょうどいい。その顔に背負われるのは御免だ。」
「口だけはまだ動く。死にはしないだろう。」
一度頷き、それ以上は何も言わなかった。
神崎忠明が先に圧力をかける。
ジャックが続けて補う。
向かいの機関銃が一瞬縮み、火線が半尺上がった。
たった半尺。
十分だ。
俺と馬三娘が同時に飛び出す。
並走じゃない——交差する動きだ。俺が低く、彼女が速い。俺が先に低い壁を越えたとき、泥地で滑りかけ、手をついた瞬間に左肩を鉄鋏で捩じられたような痛みが走った。向かいのハーフトラックの機関銃がすぐに押し戻そうとしたが、ジャックの火線が被さり、射手を右へ逸らせる。その一瞬の隙に、馬三娘はすでに民家の崩れた壁に張り付いていた。
俺が半秒遅れて飛び込み、肺が爆発しそうなほど息が切れた。
ガレージの残壁はすぐ目の前で、その先がハーフトラックの死角だ。だが死角は完全じゃない——補護のドイツ兵が二人いる。左側の一人が壁の物音に気づいて振り返った瞬間、馬三娘が先に届いていた。片手で顎を掴んで後ろへ引き、千里追魂を首の横から斜めに送り込む。右側の一人が銃を上げる前に、俺は歯を食いしばってサブマシンガンの銃床を顔面に叩き込み、そのまま飛びかかって消防斧で肩の半分を割った。
血が顔に飛んだ。
熱い。
それでいい——少なくとも灰じゃない。
「観察孔だ!」馬三娘が低く叫ぶ。
振り返ると、車体前部の細長い観察孔に影が動いていた。俺たちを視認している。前進して死角ごと踏み潰すかどうか、考えているらしい。
落ちていたドイツ兵の手榴弾を掴む。
安全ピン、引き抜き、押し込む。
以前はこの動作が嫌いだった。失敗すれば自分が吹き飛ぶからだ。だが今日のルールはとっくに「慎重に」じゃなく「速く」に変わっている。
「どけ!」
観察孔に手榴弾を押し込んだ瞬間、中から顔が一つ持ち上がって俺を見た。すでに亀裂が入り始めた顔だったが、目だけはまだ人間の苛立ちを宿していた。半秒だけ、目が合った。
それから蓋板を思い切り叩き閉じた。
三秒も経たなかった。
中から鈍く、短い轟音。続いてハーフトラック全体が内側から蹴られたように揺れ、車体前部が傾き、観察孔と上の機関銃座から同時に黒煙と血霧が噴き出した。射手が上半身を後ろへ仰け反らせ、銃架に引っかかったまま動かなくなる。
「ナイスショット!」ジャックが後ろで叫ぶ。
「うるさい、まだ終わってない!」怒鳴り返す。
案の定、車はまだ止まっていなかった。
エンジンがまだ震え、履帯もゆっくり空転し続けている——体は死んでいるのに、習慣だけがもう半秒生き延びようとしているように。
馬三娘が車体の側面装甲を踏み台にして跳び上がり、千里追魂を下へ送り込んだ。射手を狙ったんじゃない——機関銃座から車体内部へ繋がる連結棒を狙った。黒い棘が刺さった瞬間、機関銃架が腱を断ち切られたように横へ垂れた。これで完全だ。この車は煙を吐く鉄の棺桶になった。
後方で神崎忠明がこの瞬間を掴み、手を一振りした。
「開路。」
たった二文字だ。
日本軍の残存兵二人が先に突破し、ジャックが右側を押さえながら続き、前に出ようとしていたドイツ兵歩兵を一人仕留める。さらにその後方、体育館外周から押し出してきた味方の火力が噛み合い始めた——大部隊じゃないが、市内のあちら側が俺たちを視認して、ドアを開け始めたことの証拠には十分だ。
遠く、体育館北口の外壁に短いライトの点滅が見えた。
三回点灯、二回消灯。
林 雨瞳の道標だ。
そのシグナルを見た瞬間、口から出たのはこれだけだった。
「クソ、ようやく人間が住める場所に見えてきた。」
ジャックが走りながら返す。
「呪いの工場から這い出てきたばかりだからな。」
息を切らしながら言い返す。
「その表現、正確だ。」
「今日は無理やり成長させられた。」
「おめでとう。」
馬三娘が地面に降り立ったとき、その足取りにわずかに虚ろな揺れが生じた。
ほんの少しだ。
だが、俺には見えた。
彼女も俺が見たことに気づいており、横目で一瞥してくる。
「何を見ている。」
「そろそろ退勤時間かと思って。」
冷笑する。
「退く前に、お前を蹴り込んでやる。」
「構わない。戻ってから蹴れ。」
「場所を選ぶとは、いい度胸だ。」
口がまだ動いているなら、状況はまだ底まで落ちていない。
接応小隊が開けた隙間に沿って、俺たちはついに体育館外周の崩れた壁と土嚢の線まで辿り着いた。壁の後ろに人影が動いている。衛生兵、運搬手、弾薬補充の兵、負傷者を引きずる兵、全部が混ざり合っている。こちらへ手を振る者、名前を呼ぶ者、担架を壁の後ろから押し出してくる者。
安全じゃない。
だが、味方だ。
そして俺たちはついに——
撃ち合いながら撤退し、制御不能の霊異が拡散し続ける中を、ドイツ軍の火力網が一段ずつ崩れていく中を、パンターとハーフトラックの最後の牙を潜り抜けて、体育館外周まで力技で帰り着いた。
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