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198.ナチスの祭壇  3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

頭皮がぞわりとした。だが口から出たのは悪態だった。


「クソ、解体が始まりやがった。」


馬三娘(マー・サンニャン)は主樁の前に立ったまま、千里追魂《せんりついこん》の柄尻《つかじり》に手を当てていた。自ら食い殺そうとしている邪陣の中にいるとは思えない佇《たたず》まいで、まるで棺桶《かんおけ》に最後の釘を打ち込む職人のように静かだった。


頭も回さず、言った。


「ぼさっとするな、撤退するぞ。」


「手を放してからにしろ!」俺は下に向かって怒鳴った。「その柱、もう全部吹き飛ぶぞ!」


彼女はようやく振り返った。


その顔は葉 綺安(イェ・キアン)のものだ。だが目は全く違う。目尻が吊り上がり、薄い唇に血が滲《にじ》んでいる。古い墓から這い出てきて、この時代の道具の粗雑さに呆《あき》れ返っている凶神《きょうしん》——そういう顔だった。


「もう一押しせねば、反咬《はんこう》してくるぞ。」


「今もう咬んでるだろうが!」


「これは小傷よ。」冷たく言い返してくる。「妾《わらわ》は、こいつに自分の喉《のど》まで咬み千切らせるんだ。」


言い終えるや否や、千里追魂をさらに半寸《はんずん》押し込んだ。


この半寸が、さっきの一撃よりも遥かに深かった。


主樁が発した音は非常に低く、非常に重い——金属が断ち切れる音じゃない。地底の何かが、ようやく釘で貫かれた音だった。亀裂が一気に核心坑《かくしんこう》の底面を走り、陣紋《じんもん》、溶接点、血の染み、鋼板の継ぎ目を伝って猛烈に広がっていく。上の邪心が先に硬直し、次に全体が下へと収縮し、そして中央から一筋の亀裂が走った。


きれいな亀裂じゃない。


内側から誰かが思い切り引き裂いたような、乱れた亀裂だ。


鉄板が捲《めく》れ、砲盾《ほうじゅん》の破片が脱落し、履帯《りたい》の節が崩れ落ちる。露出したのは、内側の暗紅色の肉の膜だった。その中には骨、歯、布、髪、そして黒く光る幾層もの筋の糸が詰まっている。間違った組み合わせで無理やり動かされていた心臓が、自分が本来生きているべきではなかったことをようやく思い出した——そういう見た目だった。


そしてそれは、跳ね始めた。


脈打つんじゃない——痙攣《けいれん》だ。


一度痙攣するたびに、内層が一塊ずつ崩れていく。左の鋼梁《こうりょう》が内側に陥没し、右の共振架《きょうしんか》が一斉に断ち切れ、四隅の安定装置が同時に炸裂する。胸骨の破片、鋼片、獣骨、薬莢《やっきょう》の破片が、弾け飛んだ位牌《いはい》のように四方八方へ散った。上の半円形鋼鉄階段が全体で揺れ、足元が滑り、俺は危うく坑の中へ落ちるところだった。


欄干《らんかん》を掴《つか》む。掌《てのひら》に一筋の血が走った。


「馬三娘!今だ!」


今度は彼女も踏ん張らなかった。


千里追魂を一気に引き抜き、その勢いのまま後方へ退く。足が踏み、蹴り上げる——主樁が裂けた反動の衝撃波を利用して、そのまま第一段の鋼鉄階段へと翻《ひるがえ》った。その動きは鮮やかで、そして薄気味悪かった。葉 綺安の普段の切れ味とは全く違う——舞台の上で刀馬旦《とうばたん》が型を収める瞬間だけに宿る、あの冷え冷えとした凄みだった。階段に着地し、振り返って主樁を一瞥《いちべつ》すると、口の端をゆっくりと吊り上げた。


「決まったわ。」


「ようやく分かったか、このクソ——」と言いかけた次の瞬間、核心坑の底面が上へ向かって膨れ上がった。


爆発じゃない。


地底の何かが、吐き出そうとしているんだ。


灰黒色の熱霧は今度は噴出じゃなく、塊となって逆流してくる。地底に何年分もの死の気配が溜まっていたのが、ようやく出口を見つけたかのように、骨粉、符灰《ふはい》、血錆《ちさび》、熱した油、そして言葉にしにくい腐臭を伴って一気に噴き上がってくる。それが鋼鉄階段の外側の欄干に触れると、欄干の表面がたちまち白く変色し、亀裂が走り、粉を吹いた。時間がそこだけ二周分早回しされたかのような速さで。


俺は振り返り、ひたすら上へ駆け上がった。


英雄だからじゃない。怖いからだ。


こういう場面で怖くない奴は、神様か、さもなくば白痴だ。生憎《あいにく》、俺はどちらでもない。


上の入口も同時に爆発した。


第一層の外殻をドイツ軍工兵がまた爆破したらしく、第二層の入口と壁の半分が内側へ崩れ込んでくる。火炎放射器の炎が破口から斜めに舐め込んできたが、制御不能に陥った灰霧と衝突し、燃え広がれずにいる。ただ、空気全体が溶鉱炉の中で濡れた綿布を燃やしているような色に染まった。踏み込んできたドイツ兵数人が、核心坑の反撃に巻き込まれて縁へと吹き飛ばされる。一人は共振架の破片で半分ヘルメットを削られ、もう一人は銃を構えた瞬間に足元の鋼板が裂け、体が半分沈んで、傍から飛び出してきた黒い髪の束に手首を絡め取られ——一引きで、灰霧の中へと引きずり込まれた。


悲鳴は短かった。


この化け物は、悲鳴を上げる時間すら無駄だと思っているかのように。


俺は駆け上がりながら銃を上げ、入口左側でようやく態勢を立て直したドイツ兵を仕留めた。弾が胸に入り、奴が後ろへ吹っ飛んで後方の一人を巻き込む。二人まとめて炎の中へ倒れた。だが火力は途切れない。外のハーフトラックの機関銃がまだこちらへ向けて圧力をかけ続けており、弾が外殻、鋼架、骨柱を貫通して内層に降り注ぐ。まるで鉄の雨だ。


「左だ!」俺は馬三娘に怒鳴った。


彼女は見もしなかった。鋼鉄階段の欄干を蹴って体を傾け、千里追魂を逆手に突き出す。人を刺したんじゃない——壁の亀裂から這い出てきた黒い糸を貫いたんだ。神経のような、呪いの糸のような、その一本を縫い留めると、それを伝って押し寄せようとしていた灰黒色の髪の束がその場で絡まり、七寸を押さえられた蛇のように動けなくなった。


彼女は冷笑した。


「この腐れ外道が、まだ邪魔をするか。」


思わず口の端が引き攣《つ》った。


邪陣相手に啖呵《たんか》を切れるのは、たぶん今この世界で彼女だけだ。


俺たちが鋼鉄階段の中段まで駆け上がったところで、上の欄干が丸ごと崩れ落ちた。


重さのせいじゃない——主樁の崩壊が構造全体を歪めたんだ。右側の鋼梁が捩《ね》じれ、耳を劈《つんざ》く金属の呻《うめ》き声を上げてから、ガラガラと崩れ落ちてくる。ぶら下がっていた骨片、薬莢の破片、布切れが一斉に降り注ぎ、俺は咄嗟《とっさ》に頭を下げた。砲盾《ほうじゅん》の残骸が頭皮を掠《かす》め、後ろから突入してきたドイツ兵の一人を直撃して吹き飛ばした。飛び散った熱い血が、灰霧に触れた瞬間に乾いた黒色へと変わっていく。


「跳べ!」馬三娘が一喝した。


考える暇もなく、俺は崩れた欄干の先から上へ飛んだ。


先に手が上層のプラットフォームの縁を掴む。肩が激突し、腕が抜けそうになる。歯を食いしばって体を引き上げようとしたとき、後ろ襟を誰かに掴まれ、そのまま一気に引き上げられた。


馬三娘だった。


いや——葉 綺安の体を借りた馬三娘だった。


片手で俺を引き上げる力は異常だった。人間を引き上げているんじゃなく、大して値打ちのない米袋を引きずっているような、そんな力だった。


プラットフォームに上がった瞬間、俺は先に悪態をついた。


「次はもう半秒遅かったら、俺は主樁と義兄弟の契りを結ぶはめになってたぞ!」


「落ちたところで、荷物が一つ減るだけよ。」


「この上なく心温まる言葉だな。」


「暖まりたければ、祖先の霊にでも頼め。」


外でまた轟音《ごうおん》が響いた。


今度は工兵の爆薬じゃない——第一層の軽油エンジン群がついに過負荷で爆発し始めたんだ。左の壁の奥が先に光り、続いて一列全部が炸裂する。炎と破片がケーブルを伝って走り、油と骨粉で作られた導火索に火が入ったような勢いだ。第一層にあった計器類、蓄電箱、作業台、鉄桶——全部が四方八方へ吹き飛ぶガラクタと化した。油桶がひっくり返り、中に浸かっていた布、髪、骨が滑り出て、炎に照らされた光景は、戦場版の悪趣味な縁日《えんにち》屋台みたいだった。


俺たちが第二層の入口から飛び出したとき、第一層はもう部屋じゃなかった。


胃袋だった。


心の臓を貫かれながらも、死に際に一噛みしようとする獣の胃袋。壁が揺れ、床が反り上がり、鋼架が内側へ崩れ、ケーブルが四方へ鞭《むち》のように打ちつける。外殻の破口からドイツ軍が押し込もうとしているが、崩壊の速度の方が早い。


ドイツ軍工兵の一人が第一層の鋼板を踏んだ瞬間、足元の灰黒色の粘液が一面に膨れ上がった。下から何かが押し上げているかのように。次の瞬間、鉄線と髪の束を絡ませた黒い棘《とげ》が床を突き破り、奴のふくらはぎを串刺しにして地面に縫い留めた。叫ぶ間もなく、制御を失って落下してきた鋼架がそのまま奴を潰した。


火炎放射兵が内部に向けて追加の火を送り込もうとしたが、背中の燃料タンクに落下してきた骨柱の破片が直撃し、炎は奴自身から上がった。燃えながら後退した体が後ろの歩兵二人に激突し、三人まとめて燃え上がる。ドイツ軍は今や、さっきまでのような「教範通り」の動きを見せていなかった。どれだけ優秀なプログラムも、足元の世界観が崩れ始めたら意味をなさない。


「西側の破口だ!」俺は怒鳴った。


俺たちが入ってきた亀裂が、今や唯一出口らしい出口だった。


だが、そこも原形を留めていなかった。外のハーフトラックの機関銃が圧力をかけ続け、ドイツ兵歩兵が破口の外に二重の列を作っている——一列が射撃し、一列が負傷者を引き、さらにもう一列が爆破包を投げ込もうとしている。さらに悪いことに、ナチスの祭壇が崩壊したことで、骨組み、鋼板、符紙の下に封じられていた霊異の反撃が全て解放されていた。灰霧が破口から外へ流れ出し、外の積雪と泥地に触れると、地面一面が変色する——熱い灰を白い布に叩きつけたように。


突進する途中、前方の太いケーブルが突然生き物のように動き出し、俺の首へと巻き付こうとしてきた。


本能的に後ろへ仰《の》け反ると、それは鼻先を掠めて通り過ぎ、後ろには黒く変色した骨の節が連なっていた。斧を振り下ろし、中段を叩き断つ。ケーブルがパキッと二つに切れ、中から飛び出したのは銅線じゃなく、黒く光る髪の束と一筋の灰霧だった。その霧が噴き出した瞬間、傍に転がっていた死んで間もないドイツ兵の屍《しかばね》の顔面に亀裂の網が浮かび上がる——まるで皮膚の下に誰かが筆で乾裂の模様を描いたように。


「この化け物、まだ死に切ってないぞ!」俺は怒鳴った。


馬三娘は傍で倒れていた機械の上を踏み越え、冷たく言い放った。


「心の臓を断つのが消灯スイッチだと思うな。まだ何度か痙攣するわ。」


「俺が先にくたばったらどうするんだ!」


「それはあんたの運が悪いだけよ。」


言葉とは裏腹に、その手は止まらなかった。千里追魂が指の間で翻《ひるがえ》り続ける——糸に当たれば断ち、柱に当たれば砕き、床の亀裂から這い出てくる髪の束に当たれば縫い留める。あの武器は彼女の手の中では兵器じゃなかった。判決文だった。死ぬべき場所へ、死ぬべき時に落とされる、判決文。


こういう瞬間に、俺は一番はっきりと分かる。今俺の隣にいるのは葉 綺安じゃない。葉 綺安の凄みは、人間が極限まで追い詰められて初めて研ぎ出されるものだ。だが馬三娘の凄みは、骨の髄《ずい》から「死ぬべき者は死ぬ」を信じ続けてきた古い何かが持つ、生まれつきの凄みだ。


破口まで残り十数歩。


その十数歩が、見事なまでに全部腐っていた。


左の壁が崩れ始め、右の油桶が燃え、床の三分の一が反り上がり、外からドイツ軍が撃ち込み、内から邪霧が逆流し、その間に骨の糸が鞭を打ち、鋼梁が落下してくる。「生きた人間が通過するのに適さない条件」を全部一か所に集めて、「どうぞ」と言われているようだった。


歯を食いしばって突っ込んだ。二歩進んだところで、破口の外からドイツ兵歩兵が一人翻り込んでくる。最後の一撃を叩き込もうとしているらしい。


俺は止まらなかった。消防斧を横に薙ぎ、そいつの顔面に叩き込む。


ヘルメットが歪み、鼻梁《びりょう》が砕け、奴が後退した。だが後ろの二人目がすぐに穴を埋め、銃口が俺の胸に向く。この距離では躱《かわ》せない。肩を逸《そ》らすのが精一杯だった。


砰。


弾が左肩の外側に入った。大した威力じゃないが、この状況では腕全体が一瞬で痺《しび》れるには十分だ。俺は横によろめき、膝が折れそうになった。奴が二発目を撃とうとした瞬間、馬三娘が俺の脇を掠めて通り過ぎ、千里追魂を奴の喉の横に斜めに送り込んだ。真っ直ぐ刺したんじゃない——斜めに、まるで即死では教訓が足りないと言わんばかりに。奴の顔が一瞬で強張《こわば》り、銃が落ちた。


「しっかり立て。」彼女は冷たく言った。


「次に助ける前に一声かけてくれないか。」


「自分の力で立てるなら、声をかける必要もない。」


「クソが。」


俺は動く右手で彼女の背を押した。


「先に出ろ!」


彼女は迷わなかった。体を低くして破口から飛び出していく。俺もすぐ後を追って突っ込んだが——外の泥地は、中よりも遥かに最悪だった。


ハーフトラックが左前方に傾いて止まっている。機関銃はまだ火を噴いているが、射手の姿勢が明らかに乱れていた。ドイツ兵歩兵が二人——一人は膝をつき、一人は立ったまま——俺たちを破口に封じ込めようとしている。だが、さっき溢《あふ》れ出た反噬《はんぜい》の灰霧がすでに地面を這って押し寄せており、奴らのブーツとズボンの裾《すそ》が白く変色し始めていた。


俺が飛び出した瞬間、背後のナチスの祭壇内部から、とてつもなく重い崩落音が響いた。


爆発じゃない。


心臓がついに止まった後、胸腔《きょうこう》全体が内側へ陥没する音だ。


振り返るまでもなかった。あの音を聞けば分かる——中の『アレ』は、本当に限界を迎えたんだ。


外のドイツ軍もそれを聞いた。


ハーフトラックの機関銃が一瞬沈黙し、膝をついていたドイツ兵が顔を上げてナチスの祭壇を見上げる。その表情は、初めてプログラムでも命令でもない何かになっていた——要するに「ブリーフィングで聞いた話と違うんだが」という顔だ。


その気持ちはよく分かる。


残念ながら、同情してやる暇はないが。


地面に落ちていたサブマシンガンを拾い上げ、破口の脇に向けて乱射する。外のドイツ兵どもが土嚢《どのう》と車体の後ろへ引っ込んだ。馬三娘(マー・サンニャン)は俺の後ろ襟を掴《つか》み、右側の崩れた壁の陰へと引きずり込んだ。


「走れ!」


「走ってるだろうが!」


「今の貴様は、足を引きずる負け犬よ!」


「もう一回言ってみろ、ここで倒れてやるからな!」


「ならば倒れてみよ。妾《わらわ》は貴様をここに置き去りにして、奴らと一緒に塵《ちり》にしてくれる。」


この女——いや、この老いた亡霊は——相変わらず口の悪さだけは微塵《みじん》も揺るがない。だが、こういう場面では、善人よりも毒舌で安定している奴の方がよほど頼りになる。


俺たちは外壁に沿って北西側の死角へ強引に切り込んだ。背後ではナチスの祭壇が一区画ずつ崩れ落ちている。鋼架、鉄板、骨組み、ケーブル、灰霧が一緒くたに崩壊していく。ドイツ軍の中には後退する者もいれば、まだ立て直そうとする者もいる。そして反噬に触れた者は、二、三歩歩いただけで皮膚が剥《は》がれ、灰を撒《ま》き散らしながら崩れ落ちていく。


より広い範囲の制御不能《コントロール・アウト》も、遠くから浮かび上がり始めていた——バストーニュに向けていた88ミリ砲が遠方で突然沈黙し、砲兵班全体がリズムを失ったように散り散りになる。反対側の樹林の向こうでは、ネーベルヴェルファー特有の甲高い発射準備音が途中で詰まり、誰かに喉《のど》を掴んで締め上げられたように止まった。


効いている。


間違いなく効いている。


だが今は、成果を眺めて死んでいる場合じゃない。


俺と馬三娘は転がるように突き進み、ナチスの祭壇北西側の爆破で断ち切られた排水溝《はいすいこう》の脇に、ようやく身を投げた。頭上ではまだ弾が飛び交い、背後では祭壇全体がまだ崩れ続け、外のドイツ軍と内側の反噬が互いに食い合っている。


だが——少なくとも。


俺たちは、あの内層から力技で這《は》い出してきた。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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