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198.ナチスの祭壇  1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

第二層の入口に、もう人影がちらついていた。ドイツ軍の動きはクソ早い。先頭の歩兵二人が身を屈めて偵察し、後ろの一人が壁に張り付き、もう一人が片膝をついて銃口を内側に向ける。こういう突入の仕方を見ると、腸《はらわた》が煮えくり返る。あれは無秩序な突撃じゃない——実体化したドイツ軍が、腐るほど古い市街戦の教範《きょうはん》を丸ごと持ち込んできやがったんだ。バストーニュ市内の攻城戦がここまで進んでも、郊外のこのナチスの祭壇の中でさえ、奴らはまだマニュアル通りに動いている。


奴らが先に撃つのを待つ義理はない。


最初に入ってきた奴——ヘルメットが半分見えた瞬間、俺は引き金を引いた。


砰。


鉄骨だらけの腹の中で響く近距離射撃の音は、鼓膜をハンマーで直接殴られるみたいに不快だ。そのドイツ兵の頭が後ろに折れ、ドア枠に激突した。後ろの二人目が即座に引っ込もうとしたが、俺はその隙を与えなかった。二発目をドア際《きわ》に撃ち込み、奴の体を内側に縮めさせる。弾が鋼板に当たって破片が乱れ飛び、一片が俺の頬を掠《かす》めた。焼けるような一条の痛み。


「急げ!」俺は下に向かって怒鳴った。


馬三娘(マー・サンニャン)は答えなかった。


もう鋼鉄の梯子《はしご》を半分降りていた。借り物のその体は、こんな化け物屋敷の中でも生きた人間よりよほど生き物らしく動く。肩は揺れず、足は乱れず、体全体が梯子に沿って滑り降りていく——骨の隙間を縫って心臓へと滑り込む細刃のように。千里追魂《せんりついこん》を横向きに掌で握り、切っ先はずっと坑底《こうてい》の主樁《しゅそう》に向けたまま。頭一つ上げない。上の銃声も死体も、まるで値打ちのないガラクタを見るように。


入口から第二波の火力が押し寄せる。


単独の偵察じゃない。部隊ごと制圧に来やがった。第一層の外殻《がいかく》側からドイツ軍の機関銃が掃射を始め、爆撃で緩んだ鋼板と骨組みを貫通した弾が、第二層の上縁《うわべり》に直接撃ち込まれる。火花が狂ったように散った。続いて歩兵二人が左右から入口に切り込み、後方からは短く、硬く、切迫した声が飛ぶ。慌てじゃない——標準的なクリアリングのリズムだ。


俺は短銃を右に振り、もう一発撃った。


今度は仕留め切れず、先頭のドイツ兵の肩を粉砕しただけだった。奴が横に倒れ込み、運良く後ろの一人を塞いでくれる。俺は足元に転がっていた折れた鉄パイプを拾い上げ、入口めがけて思い切りぶん投げた。鉄がヘルメットに激突する音は、コンクリートに酒瓶を叩きつけたみたいに甲高い。相手は倒れなかったが、倒れるのを待つ気もない。そのまま飛びかかり、消防斧を下から上へ斬り上げた。


刃が顎《あご》と首の付け根の間に食い込んだ。


濡れた砂袋を叩き割ったような、最悪の感触。


それでもそのドイツ兵は崩れ落ちた。血が俺の手の甲と斧の柄に流れ落ちてくる。この生ぬるさが無性に腹立たしい。


後ろから銃撃。


弾が右脇腹を掠め、鉄板と骨の破片が後ろに弾け飛ぶ。俺は左に転がりながら、死体からこぼれ落ちたライフルを引っ掴み、床に這いつくばったまま入口へ向けて二発撃ち込んだ。命中なんて期待してない——ただ奴らを押し返すための牽制だ。


「周 士達(ジョウ・シーダー)。」


坑の下から、馬三娘の声が漂ってきた。ひどく冷たく、平坦な声だ。


「門を明け渡すな。」


「アンタはさっさと斬りな!」俺は位置を変えながら怒鳴り返す。「門は俺が死守する!」


「ちゃんと持ち堪えることね。」


「減らず口叩いてる暇があったら手ぇ動かせ!」


外で再び鈍い爆発音。


第二層全体が上に突き上げられる。


ここが直撃を受けたわけじゃない——第一層の反対側も工兵に爆破されたんだ。クソ厄介なことになった。正面入口だけじゃなく、左右の外殻からも風穴が開く可能性が高い。ドイツ軍のこういうところが一番胸糞悪い——こっちがナイフで一突きすれば、奴らは工兵小隊とハーフトラックを総動員して倍返ししてきやがる。


俺は入口の外をチラッと覗いた。案の定、第一層の外周で光が揺れていた。照明弾じゃない——火炎放射器が点火準備を知らせる、ノズルの微かな光だ。心臓が嫌な音を立てる。即座に下に向かって怒鳴った。


「馬三娘!急げ!外から火が来るぞ!」


彼女はようやく顔を上げ、俺を一瞥した。


その目は、完全に葉 綺安(イェ・キアン)のそれではなかった。


女でも、人間ですらない。極めて古く、硬質で、自らが何を切り裂くべきかを知り尽くした『何か』が、人間の皮を被って仕事をしに来た——そんな目をしていた。


「火が怖いのか?」彼女は冷笑した。「貴様、悪運だけは強いのだろう?」


「悪運が強くたって、こんがり焼かれるのは御免だね!」


「ならば、持ち堪えろ。」


言い捨てるや否や、彼女はすでに核心坑《かくしんこう》の中段まで到達していた。周囲では、あの人工の邪心がドクン、ドクンと脈打ち、さっきよりも明らかに不整脈を起こしている。脈打つたびに、四隅の共振架《きょうしんか》が細い金属の悲鳴を上げ、そこに縛り付けられた骨の柱も連動して震える。あのケーブルは送電しているんじゃない——血を吸い上げているんだ。灰黒色の粘液がチェーンを伝って滴り落ちる。一滴、また一滴と、坑底の主樁の周りに落ちていく。まるで、この心臓が存在してはならない血を流しているかのように。


入口の火線がさらに激しさを増す。


ドイツ軍は中の空間が狭いことを把握しており、榴弾《りゅうだん》と短いバースト射撃で内部を探り始めた。壁際の骨柱が一本撃ち抜かれ、腕の骨がパキッと音を立てて裂ける——中は空洞じゃなかった。黒く光る糸の束と髪の毛がぎっしり詰まっていた。そいつが断ち切られた瞬間、第二層全体の照明がチカッと明滅し、中央の邪心もそれに呼応してさらに激しく脈打った。


この場所の急所は、あの主樁だけじゃない。


ナチスの祭壇全体が、骨とケーブルと符紙《ふし》と工業用鋼架を継ぎ接ぎして作られた戦争機械そのものなんだ。最初の一撃で外側の肋骨《ろっこつ》を外し、次の一撃で主樁を断つ。正しい箇所さえ突けば、このポンコツは勝手に内部崩壊を起こす。


筋書きとしては完璧だ。


問題は、外にいるクソ野郎どもが、俺たちに大人しくスイッチを押させてくれる気がないってことだ。


火が来た。


第二層の入口の角度のせいで、火柱が直接流れ込んできたわけじゃない。まず第一層が発光し、オレンジ色の炎が上の骨組みと鋼板の隙間から層を成して転がり込んできた。入口一帯が溶鉱炉のように照らされる。先に到達した熱波を肺に吸い込むと、カミソリの刃を飲み込んだような激痛が走る。俺は即座に骨柱の後ろに身を縮めたが、手の甲が干からびそうに熱い。


「クソが……」


悪態を半分吐き出したところで、ドイツ兵の歩兵が炎の明かりに乗じて突入してきた。地面にめり込みそうなほど姿勢を低くし、銃口を真っ直ぐ俺へ向ける。


銃を構える暇なんてない。俺は床に落ちていた共振架の破片を鷲《わし》掴《づか》みにし、そいつの顔面めがけて叩きつけた。鋼板と胸骨を継ぎ接ぎした代物だ——レンガなんかよりよっぽど凶悪だ。相手が頭を逸《そ》らした隙に、俺は全身で飛びかかり、消防斧を胸板にねじ込む。


最後まで入りきらなかった。


胸の装甲板とベルトに阻まれ、斧の刃は半分しか食い込まない。だが、それで十分だ。ドイツ兵はくぐもった呻《うめ》き声を上げ、銃口が逸れて弾は壁に吸い込まれた。俺は膝をそいつの腹に思い切り叩き込み、斧を下に引き抜いて相手をひっくり返した。


後ろから二人目のドイツ兵が即座にカバーに入る。


死体から斧を引き抜き、そのまま死体を前へ蹴り飛ばして、ほんの半秒の壁を作る。後方からの銃撃が味方の死体を貫通し、俺の肩口を掠め、骨柱を撃ち抜いて灰黒色の泥を撒《ま》き散らした。二歩後退し、床に落ちていたドイツ軍のサブマシンガンを拾い上げる。セーフティを確認する手間すら惜しみ、入口に向けてフルオートでばら撒いた。


今度は当たった。


外で誰かが倒れる音と、短く鋭いドイツ語の罵声。だが、分かってる——こんなのは一時凌《しの》ぎの牽制に過ぎない。ハーフトラック、機関銃班、迫撃砲、工兵。こいつらがフルセットで包囲網を敷いてきたら、俺一人でこの鉄の腹の中で耐え凌いだところで、遅かれ早かれ押し潰される。


これが戦力差という現実だ。


こっちが命懸けで一人削っても、相手は陣形を少し調整するだけで終わる。


俺は核心坑の縁まで後退した。背後には下へ続く半円形の鋼鉄階段。馬三娘はすでに坑底の外縁まで下りており、主樁まで十歩を切っている。歩みは遅いが、一歩一歩が恐ろしく正確だ。中央の邪心は彼女が近づくにつれて脈動を狂わせている——まるで、中にいる『何か』が彼女を認識し始めているかのように。


「老いぼれが。」


中空に吊るされた人工の邪心を見上げ、彼女は声を放った。決して大きくはないが、坑全体に響き渡るような声だ。


「一都市分の死人、鉄屑《てつくず》の山、そして邪火を掻き集めて、こんな腐った心臓を継ぎ接ぎするとは——よくもまあ、恥ずかしげもなく晒《さら》せたものだ。」


邪心は答えない。


だが、反応は返してきた。


肉塊全体がビクンと痙攣《けいれん》し、外側の鉄板と履帯《りたい》のパーツが引き攣《つ》るような音を立てる。内側の肉の膜が急激に収縮したかのようだ。四本のチェーンが同時にピンと張り詰め、骨組みの共振架が狂ったように振動する。次の瞬間、坑底の主樁の周りに漂っていた灰色の霧が一気に巻き上がった——地底から風が吹き上げているみたいに。


頭の中を「クソ」の二文字が埋め尽くす。


目覚める気だ。


完全な覚醒じゃない——だが、第二撃を叩き込む前に、こいつはすでに反撃の牙を剥き始めている。


「馬三娘!」下に向かって叫ぶ。「動いてるぞ!」


「見れば分かる!」彼女は振り返りもせず、手首を返した。千里追魂が掌から指の間へと滑る。「三息《みいき》の間、持ち堪えろ。」


「三息だぁ?外には中隊の半分が控えてんだぞ!」


「ならば、無様に死ぬな。」


その言葉が落ちるや否や、核心坑の両側にある四組の共振架が突然、一斉に発光した。


電気がついたんじゃない——縛り付けられた骨、鋼片、砲弾の薬莢《やっきょう》、そしてボロ布が、同時に灰白色の光を帯びたのだ。死人の歯をすり潰《つぶ》して作ったような、薄く、ひどく冷たい光。それに続いて、坑の縁の模様が波紋のように浮かび上がってくる。溶接痕、血の印、符の痕跡——すべてが熱を帯びたように滲《にじ》み出してきた。


足元の鋼板が激しく揺れた。


鞭《むち》のような『何か』が、床の隙間から飛び出してくる。


ケーブルじゃない。パイプでもない——符紙と鉄線を絡ませた黒髪の束だ。先端に砕けた骨をくくりつけたそいつが、俺のふくらはぎを狙って鞭のようにしなってくる。横に飛び退くと、髪の束は鋼鉄階段の手すりを打ち据《す》え、バァンという音と共に鉄の棒を半分へし曲げた。


「クソッタレ!」


このイカれた場所は、床まで牙を剥《む》くのか。二本目、三本目が坑の縁の亀裂から飛び出してくる——ナチスの祭壇全体が内臓を裏返して吐き出しているみたいだ。俺は二歩下がり、銃を構えて撃ちまくる。弾がそいつに当たっても、濡れた布を撃ったように灰黒色の汚液《おえき》が飛び散るだけだが、一本でも多く断ち切れば、馬三娘への被害は減らせる。

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