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196.破敵の計  1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

俺は管理室の入口に立ち、中の連中が一斉に散っていくのを眺めた。


誰もスローガンを叫ばないし、映画みたいな「俺たちにはまだチャンスがある」顔もしていない。ここにあるのは、もっと正直な何かだけだ——このまま時間を潰せば死ぬと全員が分かっているから、仕方なく動き始める。


林 雨瞳(リン・ユートン)が真っ先に地図を広げ直した。手についた血も拭かず、そのまま四隅を押さえつける。


「ヴィクトリア、傷兵の再振り分け。歩けない者は地下倉庫へ、引きずれる者は西側更衣室へ。廊下に積むな。次の迫撃砲で、ここが缶詰みたいに全部開けられる。」


ヴィクトリアは顔も上げない。「分かってる。」


「希《シキ》、医療箱はここに二箱残して、残りは後送組と一緒に。止血帯、モルヒネ、ヨードチンキは胸腹部傷と動脈損傷を優先。脚が折れても泣くな。泣いても戻ってこない。」


希《シキ》は歯を食いしばって立ち上がった。膝の周りがひどく赤く染まっているのに、眉一つ動かさない。「分かった。」


「レミ、映像バックアップ。」


レミはカメラを抱えている。額の乾いた血の皮が引きつって、今にも裂けそうだ。「もうやってる。」


「自分の死にかけ接写を撮れとは言ってない。」林 雨瞳(リン・ユートン)は冷たく一瞥した。「さっきの北口、大通り、教会方向、ハーフトラック再編成の映像を全部バックアップ。三部。お前が死ぬのは構わない、データを道連れにするな。」


レミは意外なほど真剣に返した。「すごく励みになる言葉だ。」


クレールが脇でレンズを交換しながら顔を上げた。「街並み補足なら私が——」


俺は横から叩き切った。


「まず自分の頭を補足しろ。外は今、ニュース現場じゃない。バストーニュ市街戦の真っ最中だ。」


クレールは不満そうに唇を尖らせた。「分かってる。」


「分かってない。本当に分かってるなら、窓際に立ってパンサーを撮ろうとは思わない。」


彼女はカメラを胸に抱き込み、ぼそりと返した。「あの映像、絶対に価値があるのよ。」


「お前が死んだほうが安上がりだ。」


ジュリアンはプールサイドのひっくり返ったベンチに座り、左手で捻挫した右手首を押さえながら、それでもメモを取り続けていた。俺をちらりと見て、乾いた声で言う。「私たち三人、記者なのか遺体袋の予備役なのか、本気で分からなくなってきた。」


ジャックが後ろを通りかかった。どこかの米軍補給箱から掘り出してきたライフル弾を二箱抱えながら、冷たく補足する。「ここでは、その二つは矛盾しない。」


誰も笑わなかった。


だが、今この場所において、それでも十分ジョークだった。


俺はジャックについてプールの向こう端へ歩いた。子どもが飛び込み、コーチが笛を吹いていたはずの場所は、今は担架、開封されたガーゼ、血で踏み荒らされたタイル、そして毛布を被せられてブーツや指先だけを覗かせている動かない連中で埋まっている。メルシエ・モーテルから撤退してきた物資の半分がここに積まれていた——薬箱、無線機、予備弾薬、缶詰の箱、まだ張る暇のなかった電話線のロール。あのモーテルという拠点は完全に終わった。今さら戻って守ろうと言い出す奴がいたら、フォークでパンサーを止めに行こうと提案するのと同じだ。


「ひどい顔だな。」ジャックが弾薬箱を一つ俺に放り投げた。


「お前の顔は内燃機関を丸呑みした直後みたいだ。」俺は返す。


「だいたい合ってる。」彼はしゃがみ込み、床の銃を二丁分解して点検しながら言った。「先に言っておくが、俺はまだこの計画が気に入らない。」


「奇遇だな、俺もだ。」


「じゃあ、なんでデートに行く顔をしてる?」


「行かなきゃ、全員で順番待ちだ。」


ジャックの手が一瞬止まった。


ボルトを押し戻す。金属が噛み合う乾いた音。それから顔を上げた。


「本気で、問題は城外にあると思ってるのか?」


「分からん。」俺は正直に言う。「だが、ドイツ軍が実体化してからの動きは整いすぎてる。完璧すぎる。88ミリ砲は臨時で引っ張り出したもんじゃない。ネーベルヴェルファー41は道端で拾ったもんじゃない。パンサーとハーフトラックの推進ラインも運任せじゃない。発狂した亡霊兵が突っ込んできたんじゃない。誰かが何かをテストしてる。」


ジャックは険しい顔でうなずいた。


「俺もそう思う。艦砲で街区を一皮剥がされた直後、やつらが最初にやったのは報復でも追撃でもない。指揮系統の再構築だ。観測、側射、迫撃砲の修正、歩兵の散開、工兵による補修。あのクソども、データが飛ぶのを恐れてる。」


「そうだ。」俺は言う。「検品みたいにな。」


ジャックは黙り込み、ポケットを探って、くしゃくしゃの煙草の箱を取り出した。見てから、また戻す。


「俺は今まで、第二次大戦の歴史は十分クソだと思ってた。」彼は低く言った。「まさか今になって、それを掘り起こして油を差し直す奴が出てくるとはな。」


「世界が腐る方法は、いつだって創造的だ。」


「その台詞を天気予報みたいに言うのをやめろ。」


「じゃあ、泣けばいいのか。」


ジャックは顔を上げて俺を見た。口の端がわずかに動く。笑いじゃない。自分がまだ生きているという事実を、とりあえず認めてやる、みたいな表情だった。


彼は拳銃を一丁、こっちへ押し出した。


「持ってけ。」


俺は一瞥した。


米軍制式。弾倉は半分以下。グリップにひびが入っている。


「こいつ、俺より疲れてそうだ。」


「潜入が目的だろ、観閲式じゃない。短いほうが排水路や崩れた壁を抜けやすい。」


「弾は?」


「弾倉二本半。」ジャックは言った。「それ以上はない。今この館で撃てる銃は十丁もない。まともに撃てるのはさらに少ない。日本軍地上部隊の実体化後残存戦力だって、神崎忠明のところは銃剣まで引っ張り出して配り直してる。」


俺は銃を受け取り、重さを確かめた。


「これは送別か、それとも葬式の準備か。」


「お前が外で死んだら、両方の意味になる。」


俺は鼻を鳴らし、銃を腰の後ろに差し込んだ。


そのとき神崎忠明が北口から戻ってきた。軍靴が濡れた床を踏み、規則正しい音を立てる。左手に双眼鏡、右手には何人斬ったか分からない軍刀を握っている。刀身に新しい刃こぼれが二箇所あった。


「ハーフトラック二両、歩兵一個班、北側街路外の民家二棟後方に待機。」彼は地図の前に立ち、刀の切っ先で紙を直接突いた。「パンサーはまだ後方。突入を急がない。第二波観測修正待ち。」


林 雨瞳(リン・ユートン)は顔を上げない。「迫撃砲は?」


「三門以上。口径不明だが、広く散開している。」神崎忠明は言う。「制圧目的ではない。探り。現在の中枢を探っている。」


「つまり、想定より時間がない。」林 雨瞳(リン・ユートン)が振り返って俺を見た。「出発窓口は一度きり。」


俺は地図のそばに立ち、彼女がペンで引いた線を見下ろした。体育館の北壁から出て、爆撃で崩れた低い塀を越え、排水路を抜け、住宅区後方の狭い路地に入り、外縁に沿って林線へ進む。一番厄介なのは中間の二区画だ。両側ともドイツ軍が再編成を終えたばかりのエリア。照明弾に拾われたら、俺と葉 綺安(イェ・キアン)はまな板の上で逃げ回るゴキブリ二匹になる。


「装備は何が要る?」林 雨瞳(リン・ユートン)が聞いた。


「軽く。」俺は言う。「軽ければ軽いほどいい。地図、ナイフ、短銃、少量の弾薬。手榴弾はいらない、音がデカすぎる。無線もいらない、傍受されやすい。鉄板をこじ開けられる工具が一本欲しい。外に本当に何かがあるなら、地面に旗を刺してあるだけのはずがない。」


「頭の折れた消防斧がある。」ヴィクトリアが横から言った。「柄は短いけど、使える。」


「それでいい。」


ジャックが眉をひそめた。「本気でその装備だけで、ドイツ軍の重砲と装甲と歩兵を丸ごと引き戻してるかもしれない何かを壊しに行くつもりか?」


俺は彼を見た。


「じゃあどうする? B-17でもあるのか?」


「ない。」


「なら黙ってろ。」


彼は本当に二秒黙ってから、低く返した。


「くたばれ。」


「お互い様だ。」


外でまた遠い爆発音がした。今度はさらに遠く、だがもっと重い。体育館の全員が、無意識に一瞬動きを止めた。ドイツ軍の砲じゃない。湖の向こうの「それ」だ。


山口多聞が、本気を出し始めた。


---


「周 士達(ジョウ・シーダー)。」林 雨瞳(リン・ユートン)が突然俺を呼んだ。


「なんだ。」


「彼女の準備はできてる?」


誰のことか、分かっていた。


俺は振り返って、女子更衣室のほうを見た。


葉 綺安(イェ・キアン)はさっきからこちらに寄ってこない。半壊した扉の陰で一人座り、ロッカーに背中を預け、うつむいて両手を膝に置いている。遠目には休んでいるように見えるが、違うと分かっていた。あの姿勢は真っ直ぐすぎる。誰かに地面に力ずくで打ち込まれた釘みたいに、真っ直ぐすぎる。


「見てくる。」俺は言った。


プールサイドを通り過ぎるとき、希《シキ》が傷兵の横にしゃがんで注射を打っていた。俺を見て顔を上げる。水に浸した紙みたいに白い顔で。


「本当に、出て行くの?」


「それとも、ここで点滴の付き添いでもしてやろうか?」


希《シキ》の口元がひくりと動いた。笑おうとして、失敗した。


「外、今ひどいよ。」


「中もたいして変わらない。」


彼女は数秒黙ってから、小さく言った。「じゃあ、生きて帰ってきて。」


俺は彼女を見た。


目は赤いが、泣いていない。こういう時に泣ける人間のほうが、よっぽど幸せな性分をしてると思う。


「努力する。」俺は言った。


「努力じゃない。」彼女は注射器を押し切り、空になったシリンジを盆に放り投げた。声は細いが、芯が硬い。「生きて。」


適当に返してやろうかと思ったが、結局やめた。ただ手を伸ばして、彼女の肩を一度軽く叩いた。


さらに進むと、女子更衣室の前にクレールとジュリアンが立っていた。二人とも中には入っていない。レミだけは命知らずにも、ドアの脇にカメラを低く構えて、中を撮ろうとしていた。


俺は歩み寄って三脚を蹴り倒した。


「もう一回撮ったら、今すぐ外に放り出してハーフトラックを取材させてやる。」


レミはカメラを抱え込み、ひどく不満そうな顔をした。「記録に残そうとしただけだ。」


「先祖の記録でも撮ってろ。」俺はドアの中をちらりと見た。「中でやるのは降《おろ》し物だ。記者会見じゃない。」


ジャックが横に立って、声を潜めた。「その言葉はどういう意味だ?」


「簡単に言うと、目の前にいる人が、これからしばらく本人じゃなくなるってことだ。」


「それは『外は少し寒い』と言うのと同じくらい情報量がないな。」


「なら、自分で見ろ。」


俺はドアを押し開けた。


更衣室の照明は半分しかついていない。床には割れたガラス、濡れた足跡、投げ捨てられたハンガーが散乱している。葉 綺安(イェ・キアン)は一番奥のベンチに座っていた。上着を脱ぎ、袖を肘まで捲り上げ、両手首に細い赤い糸を巻いている。


目の前にはいくつかの品が並べられていた——赤い保温瓶、何が書かれているか読めない黄色い紙、灰にまみれた銅銭、少量の線香灰、そして彼女の指先から絞り出したばかりの血だまり。


「来たのね。」彼女が顔を上げた。


まだ葉 綺安(イェ・キアン)の声だった。


俺はドア際に寄りかかり、それ以上は近づかなかった。


「どのくらいかかる?」


「あの人の気分次第。」


「最悪な答えだな。」


「もともと道理の通じる相手じゃないから。」葉 綺安(イェ・キアン)は伏し目がちに、銅銭を一枚ずつ並べ直した。「それに、外でこれだけ砲撃が響いてるんだもの。機嫌が良いわけない。」


ジャックは俺の後ろに立って、すでに亡霊を見て、山口多聞を見て、飛龍の残影まで見ているというのに、それでも床の血溜まりを二度見せずにはいられなかった。


「お前たちはいつも、こんな風に物事を処理するのか?」


俺は振り返った。


「死人を借りて仕事させることか、それとも先に自分から血を流すことか?」


「両方だ。」


「いや。」俺は言った。「普通はここまでフルセットじゃない。」


葉 綺安(イェ・キアン)は俺たちを無視して、黄色い紙を折りたたみ、薬碗に押し込んだ。それから俺を見た。


「周 士達(ジョウ・シーダー)。」


「ああ。」


「この後、三娘の機嫌が悪くても、驚かないで。」


「ここで機嫌のいい奴なんて」と返そうとした瞬間——葉 綺安(イェ・キアン)はすでに指先の血を自分の唇に塗りつけていた。


その動作が終わった途端、更衣室の空気が一変した。


さっきまでここは湿気、カビ、血、汗、消毒液の匂いが混ざり合っていた。だが次の瞬間、ひどく古い何かが床の隙間から這い出してきたような匂いがした。線香が燃え尽きる寸前の焦げた甘い匂い、紙銭の灰、女の髪油、湿気に当てられた棺桶の板の匂い——それらが一緒くたになって押し寄せてくる。


照明が点滅し始めた。


配線の不具合じゃない。誰かが照明と俺たちの間に立って、光を指で一つ一つ掐《つま》み潰しているような点滅だ。


ジャックが低く悪態を吐いた。


ドアの外でレミが息を呑む音がした。カメラはまだ回っている。クレールは入ってこないが、ドアの隙間に目を貼りつけているのが分かる。ジュリアンも多分そこにいる——外があの三人にしては不気味なほど静まり返っているから。


葉 綺安(イェ・キアン)の肩が、まず震えた。


次に背中。


それから胸全体が、内側から誰かに思い切り殴りつけられたように揺れ、呼吸が完全に乱れた。頭が深く垂れ下がり、前髪がすべて落ちて顔の半分を隠す。手首の赤い糸は、ただの細い輪だったはずなのに、今は目に見えない風に吹かれたように微かに震え始めている。


俺は背筋を伸ばした。


ジャックも姿勢を正した。


更衣室のロッカーの扉が、奥から順に、かちゃり、かちゃりと小さな音を立て始めた。誰かが中から一つずつノックして回っているみたいに。


葉 綺安(イェ・キアン)の喉が鳴った。そこから漏れ出た最初の音は、もはや彼女本来の音色ではなかった。


古い井戸の底に引っかかっていた何かが、まず一度笑ってから、ゆっくりと這い上がってくるような声。


「……随分と、年季の入った臭いがする場所だねえ。」


ジャックが俺を見た。


俺は肩をすくめた。


「だから言っただろ。しばらく本人じゃなくなるって。」

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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