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190.残影の先遣隊  2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

バストーニュの封鎖は、夜の八時十三分に正式に機能を失った。


どこかの路地を突破されたわけでも、指揮官が誤った命令を出したわけでも、市の担当者がバリケードを忘れてきたわけでもない。そういう失効は、まだ文明的すぎて今夜の規模には釣り合わない。本当の失効とはこういうことだ。町全体が同時に三か所で切片を発生させ、人手も視野も手順も胆力も、全部が手一杯になる。封鎖線というものは、元々生者に見せるために作るものだ。敵がガラス、水たまり、車の窓、店のドア、看板、果ては他人の瞳孔から借り道を作れるとなれば、黄黒の警戒テープの機能は、山火事の前に「禁煙」の標識を立てるのと大差ない。


最初の失効点は、俺たちが今しがたかろうじて押さえ込んだばかりの東南市場の細い通りだった。


二つ目は、町役場の裏のバス停に繋がる小路だった。


三つ目が一番たちが悪く、今日すでに一人死んでいる、町の中心と教会の斜面の間の開けた区域に落ちた。


これを何と呼ぶか。敵が神経を分散させる方法を覚えて、一番手放したくない場所に同時に押してきた、ということだ。


市場通りの外縁に立って、林 雨瞳(リン・ユートン)から届いた新しい地図を見ながら、頭に浮かんだ最初の考えはシンプルだった。よし、向こうもようやく俺たちを観光客扱いするのをやめた。


ジャックは俺の右に立って、サーマルカメラのレンズを店先の列に沿ってゆっくり動かしていた。テキサス人の顔が夜の中で白く浮いていた。自分の持っている歴史の常識を全部壁に叩きつけたら、壁のほうが撃ち返してきたことに気づいたような顔だ。だが手は安定していた。それが俺が彼を認めている理由だ。怖くていい。怖くても仕事が続けられるなら、前線にいる資格がある。


イヤホンに林 雨瞳(リン・ユートン)の声が入った。速く、明確で、研ぎたての刃みたいに冷たかった。


「市場通りの異常が再発、後方の重複が四割増。バス停小路で短時間の車体クラスの映像を確認。教会と町の中心を結ぶ区域で、大面積の反射インターフェースが同時に点灯。多点ピント合わせをしているみたいだ。」


「どこが本当の入口だ?」俺は聞いた。


「まだ確定できない。」彼女は言った。「三か所全部にあり得るが、教会のラインが一番それらしい。市場とバス停はどちらかというと牽制に見える。」


「つまり、やつらもようやく連携を覚えたということか。」


「明らかに。」


俺は冷たい空気を一口吸い込んだ。落ち着くためじゃない。この場所の空気は今、何か大きいことが起きる直前にしかない、鉄錆びの匂いを帯びていた。


葉 綺安(イェ・キアン)は市場の向かいの二階のバルコニー、かろうじて高所と呼べる位置に立って、割れたガラス越しに下を見ていた。彼女が口を開く口調は、いつも通りメニューを読み上げるみたいだった。


「左に歩兵の切片が三つ、後方の車体の影が少し前より厚くなってる。先に刈っておくか?」


「まだだ。」俺は言った。「もう半寸出させろ。」


ジャックが横目で俺を見た。


「自分から首を伸ばしてくるのを待ってるのか?」


「ああ。」俺は言った。「今夜やつらが本当に狙っている肉を先に確認する。」


彼はサーマルを見て、それから通りの入口でますます落ち着きをなくしている反射面を見た。


「あんた、生きてる人間のやり方じゃないな。」


「ありがとう。ここで普通に生きてる人間なら、とっくに逃げ出してる。」


言い終わる前に、教会の方向が先に爆発した。


爆発音じゃない。ガラス一面が同時に圧力をかけられたときにしか出ない、あの奇妙な音だ。イヤホンに臨時観察員の叫び声が飛び込んで、続けて林 雨瞳(リン・ユートン)がチャンネルに割り込んだ。


「教会ライン、主切片が成立!燃焼戦車の映像が再出現、歩兵の塊状重複が後続!町の中心の封鎖線が崩壊、警察と連邦部隊が後退中!」


よし、答えが出た。


市場通りとバス停小路は両方の手だ。本当の拳は、やはり教会のラインだった。あそこはさっき一人死んだばかりで、秩序がそこで一度顔を失っている。今夜また同じ傷口に押し込もうとするのは、向こうにとって当然の選択だ。


俺はすぐ向きを変えた。


「市場はこっちを神崎に任せる。山口は切るだけで追うな。ジャック、俺についてこい。」


ジャックは一瞬も止まらず、装備を持って動き出した。


イヤホンの中で、山口多聞の声が海面が風を孕み始める直前みたいに静かだった。


「市場通りは私と神崎に任せろ。お前は教会へ行け。」


走りながら返した。


「今回は飛行機を背景板にするだけで終わらせるなよ。向こうは今夜、本格的に食いに来てる。」


「分かってる。」


神崎忠明は一言だけ返した。


「着く前に死ぬな。」


「お互いにな。」


裏路地を伝って教会方向へ切り込んだ。道中に見えるのは、封鎖が機能を失った後の最もリアルな光景だった。警戒テープが風に煽られてでたらめに揺れ、市の車が二台、路地口に斜めに引っかかっていて、反射ベストを着た作業員が一人、その場に立ちすくんでいた。教会の方向のガラスから戦車が出てきたのを見てしまって、今もそれを理解しようとしているみたいだった。この世で一番残酷なのは死じゃない。理解が追いつく前に、事態が次の段階に移っていることだ。


ジャックは遅くなかった。呼吸も悪くない。走りながらサーマルカメラを前に向けた。


「前方が混乱してる。」彼は言った。「広範囲の低温面積が広がってて、中に高温点が少なくとも四つか五つ混じってる。単一の戦車じゃない。」


「歩兵の切片と燃焼の残骸か?」


「もう一つ、もっと厚いものがいる。今の形が気に入らない。」


「その一言は、大体いい知らせじゃない。」


裏路地を抜けて飛び出したとき、教会周辺はもはや局部的な混乱ではなく、区域全体が戦場の前奏曲の様相を呈していた。


パトカーの灯りが点滅し、連邦機関の車両が二台、路地口に横向きに停まってバリケード代わりになっていたが、その角度は敵に対して分かりやすい衝突の目標を提供しているだけだった。教会前の広場の石畳には、さっきの重圧が残した亀裂と砕けたガラスが広がり、今はさらに新しい深い溝がいくつか加わっていた。もっと重いものが、そこに短時間足を下ろしたみたいに。最悪なのは、周囲の反射面が全部同時におかしくなっていることだった。ショーウィンドウ、車のドア、教会の銅の装飾、ガラスのバス停標識、濡れた石畳。全部が灰緑色の古い戦場のフィルムを一枚上から被せられたみたいで、この空間全体が一九四四年と今とで同じキャンバスを奪い合っているように見えた。


連邦警察の一人が車の後ろに立って、無線機に向かって怒鳴り続けていた。おそらく増援を求めているのだろう。


その光景を見ながら、俺はただ一つのことを思った。兄弟、今日お前が必要なのは増援じゃない。神学部と砲兵学校の合同講座だ。


「左を見ろ!」ジャックが突然俺の腕を掴んだ。


俺が左を向くと、見えた。


完全な歩兵ではない。半透明のドイツ軍の残影が一列になって、教会の側壁に沿って前進していた。隊形は緩いが、リズムがある。銃を担いでいる者、何かを引きずっているような者、さらに後方には低い、機関銃架みたいな重い影まで見えた。乱れて押し寄せているんじゃない。壁の陰と反射面の間の、ごく細い隙間を伝って現実に浸透しようとしている。それが一番厄介なところだ。論理は分かる。それでも、本当に使ってくるのを見るのは気持ちのいいものじゃない。


イヤホンを押した。


「山口、教会左の側壁。歩兵の切片が列を成して、壁沿いに押し込もうとしている。」


山口多聞の返事は速かった。


「見えている。中央には触るな。」


俺は眉を寄せた。


「なぜだ?」


「中央にもっと重いものがいる。」


ジャックも同時に低く舌打ちした。


「あんたの仲間は正しい。真ん中のあれは、普通じゃない。」


彼はサーマルカメラを俺に向けた。画面の中央、低温の塊の中に、不快なほど厚い輪郭が確かに存在していた。昨日みたいな戦車の前半分の切片じゃない。装甲の前縁全体が押し込もうとしているような形だ。熱型は不安定だが、境界の重さが違う。胸の全部がすでに敷居を跨いでいて、後ろ足も引っ張り込もうとしている獣みたいだった。


頭の中に、あまり歓迎したくない言葉が浮かんだ。


第三層だ。


昨夜はまだ半分だけ顔を出していた。今夜は、頭ごと引き出してくるつもりらしい。


俺はすぐに指示を変えた。


「神崎、市場は離れろ。教会へ切り込め。左翼の歩兵はお前が取れ。壁に沿って入らせるな。」


神崎忠明はイヤホンの向こうで一瞬止まり、それから二文字だけ吐き出した。


「了解。」


それが俺の気に入っているところだ。なぜかを聞かない。リスクを議論しない。歩兵の損耗を念押ししない。聞くことは一つだけだ。どこへ切り込むか。


こういう人間は、生きているときは国家に浪費されるのがお似合いで、死んでからがちょうど使いどころになる。


教会前の人の流れは完全に崩れていた。大規模な踏み潰し合いにはまだなっていない。そこまで間抜けな段階じゃない。ただ、誰もが逃げなきゃいけないと分かっていながら、どこへ逃げればいいかを誰も分かっていない、という段階には確実に入っていた。警官二人が、教会の中に避難していた人々を裏口へ誘導していた。子供を抱いた女が声を裏返らせて泣いていた。老人が一人、自分の上着を死んでも離すまいとしていた。少し速く歩くだけで人間の尊厳が一枚剥がれると認めたくないみたいに。


ジャックに言った。「インターフェースを見ろ。死体を見るな。」


「死体だけ見てたことはない。」彼は返した。「死体は次の入口がどこかを教えてくれない。」


「いい。ようやく使える一言が出た。」


ひっくり返った路障車に沿って前に切り込む。ジャックが突然半身を落として、サーマルカメラを教会の石段右側の薄く水が張った石面に向けた。


「ここだ。」


「何が?」


「主ピントは右側だ、中央じゃない!」彼は画面をこちらに向けた。「見ろ、本当の高温残渣は右の低い位置にある。中央のあの厚い影は注意を引くための囮だ。」


一瞥して、すぐ分かった。


向こうは偽の砲塔を作っている。


わざと中央の装甲の影を主体に見えるくらい厚くして、実際に圧縮されるのは右側の石段の縁と教会の銅の扉の間の狭い水たまりの区域だ。そこには湿った面があり、金属があり、角度がある。確かに中央の乾いた石畳よりずっと借り道に向いている。なるほど、ドイツ軍の亡霊は陽動まで覚えた。この勝負はどんどん様になってきた。そして、どんどん厄介になってきた。


すぐチャンネルを切り替えた。


「山口、主点は中央じゃない、右の低い位置だ。一刀を右寄りに切れ。あの偽の厚影はもう無視しろ。」


山口が返した。


「了解。」


言い終わる前に、教会右側の水たまりと銅の扉の上の暗い影が、極めて薄い暗赤色の火の痕に斜めに切り裂かれた。


大々的な爆撃じゃない。精確すぎてほとんどケチくさいくらいの一刀だった。山口多聞は湖区の向こうで飛龍の甲板のリズムを嫌みなほど正確に使う。爆破してくれるんじゃない。一番重要な点だけを半寸ずらしてくれる。だがその半寸で、十分だった。


教会の右側で圧縮されかけていた装甲前縁の残影が一瞬震えて、輪廓全体が左に向かってぼやけた。その一瞬を突いて、左壁の歩兵の切片が内側に補充しようと動き出した。そこへ神崎忠明が来た。


声なし。怒鳴り声なし。見栄えのする陸軍の掛け声なし。


教会の側路地と後方の暗がりに、ドイツ軍の影よりも鋭く、速く、命を惜しまない動きの線が突然いくつか増えただけだった。神崎が第101特別陸戦隊の先鋒を連れて左の死角から切り込み、あの歩兵の切片の列の腰に直接叩き込んだ。最初の一刀で、ドイツ軍の影が一体、肩から胸にかけて断ち割られた。存在感そのものを一気に引き裂かれたみたいに。二人目の陸戦隊員はもっと低い位置から突き上げた。ドイツ軍の影の中で一番安定している膝と脚の部分を狙って。理にかなっている。歩兵は頭を先に刈らなくても、立てなくさせれば同じことだ。


このとき、ジャックがいかにも彼らしい一言を言った。


「こいつ、武士刀で工事現場の解体作業をやってるみたいだ。」


「今頃気づいたのか?」


「ただ、ようやくちょうどいい形容詞が見つかっただけだ。」


俺たちが初めて本当に肩を並べたのは、この瞬間だった。


文学的でも、運命的でもない肩並べだ。振り返って目を合わせることも、誓いを交わすことも、「任せろ兄弟」みたいな読者の血糖値を上げる台詞もない。ただ純粋な戦場での肩並べだ。俺が判定して彼が見る。彼がマークして俺が撃つ。彼が機材で異常の境界を捉え、俺が悪い機嫌と弾丸でその境界が本当にこじ開けられるかどうかを試す。


教会右側の装甲の残影は、山口に切らされた後もまだ完全には退かなかった。ドアの隙間から無理やり入ろうとしている戦車の前縁みたいに、偽の砲塔の影は散ったが、右の履帯がどんどんはっきりしてきた。ジャックはサーマルカメラを低く押さえて、声が銃機みたいに速かった。


「右の履帯に実点、下三十センチ、隣に連続した高温の残渣がある。燃焼した油汚れみたいだが、違う、あんたたちが言う怨念の残り火だ。」


「人間の言葉で言え。」


「そこを撃て!」


「その一言は分かる。」


路障の後ろで半膝立ちになって、まだ生者の世界に完全には現れていないその点に向かって二発撃った。一発目は水の中に打ち込んだみたいで、空気が一瞬沈んだ。二発目は明確に金属が裂ける音を返してきた。よし、骨を見つけた。


三発目を撃つ間もなく、ジャックはすでに懐中電灯をその位置に向けていた。


照明のためじゃない。わざと強い光を間違った角度に当てて、もう一層の反射を重ねるためだ。


これは上手かった。


安定しかけていた装甲前縁の残影に、一瞬だけ二重像が現れた。一つが左に、一つが右に。ドアをこじ開けようとしていた獣に、突然二つのドアを見せたみたいだ。死にはしないが、混乱する。


その半秒を逃さず、三発目を二重像の間の一番薄い隙間に撃ち込んだ。


右の履帯の残影全体が接点から引き剥がされたみたいに、半寸後ろに弾けた。その半寸で、教会の扉の縁に沿って圧し込もうとしていた重さが支点を失った。山口は絶妙なタイミングで、四本目の燃える翼影を同じラインに掠めさせ、緩んだ切片をそのまま後ろへ一気に払った。


「きれいだ。」ジャックが低く言った。


「褒めるな、まだ死んでない。」


案の定、死んでいなかった。


中央のあの、もともと注意を引くための偽の厚影が、今度は前に補充し始めた。向こうは賢い。主点を咬まれたら、すぐ偽影を本命に転換する。この調整の速さは、純粋な残影にできることじゃない。ドイツ軍側に何らかの指揮結節点に近いものがあって、俺たちの反応を学習しているということだ。


よし、敵も授業を始めた。


イヤホンに林 雨瞳(リン・ユートン)の声が入った。


「バス停小路の切片は退いた。ただ町役場の裏で新しい低温の拡大が起きている。教会だけ狙ってるんじゃない。町の中心軸線全体を削ろうとしている。」


「分かった。」俺は言った。「記者組を起こせ。切片の全地点と時系列を重ね直して、今の教会での転移軌跡も加えろ。やつらのリズムの癖を見つける。」


「もうやってる。」


これが中枢の存在価値だ。前線が半分戦っている間に、後ろで混乱を使える情報に煮詰めてくれる人間がいる。この層がなければ、俺たちは今頃ベルギーの通りで歴史と殴り合っている間抜けの集団だ。


教会の左側では、神崎忠明がすでに歩兵の切片の大半を処理していた。


深追いするタイプじゃない。それが俺の気に入っているところだ。節度を知っている狂人は、完全に制御を失った狂人より戦場向きだ。彼は三名の第101特別陸戦隊の先鋒を連れて壁沿いに切り、断ち、引き上げていた。まだ完全には圧縮されていないが一番安定している部分だけを狙い打ちにする。この仕事、生きている歩兵がやったら割に合わない、先に死ぬからだ。亡霊歩兵がやると、縄張りを奪い合っているみたいになる。


左の歩兵の列が七割崩れたのを見計らって、ジャックに言った。


「五メートル前に出る。あの中央の偽影を、自分から本点を晒すまで追い込めるか試す。」


彼が俺を一瞥した。


「確かか?」


「確かじゃない。」俺は言った。「それが前線の醍醐味だ。」


彼はテキサス式の悪態を一つついてから、それでもついてきた。


これが俺たちが初めて本当に肩を並べて前線に出た始まりだった。


同じ通りで同じ化け物を眺めているだけじゃない。二人で同時にそれへ向かって近づいていき、しかもお互いの動きが自然に補い合い始めた。


俺が前へ出て、銃口を中央と右側に出てくるかもしれない偽砲塔のラインに向ける。彼が半歩遅れて、サーマルと低光レンズを交互に切り替えながら、肉眼では見えないが物理的または熱的に先にボロを出す部分を拾い続ける。葉 綺安(イェ・キアン)はさらに左の高い位置から死角を見張り、神崎が左翼から死人の歩兵が再び湧き出ないようにし、山口は湖区の向こうで飛龍の前線指揮を使って俺たちのリズムを刻む。


汚い。だが効く。


その五メートルは、まったく楽じゃなかった。


足元の石畳は平らじゃない。亀裂があり、砕けたガラスがあり、重い切片に踏まれた短い窪みがある。空気の中の古いエンジンと焦げた金属が混ざった匂いがどんどん濃くなる。戦史の写真の端っこにしか存在しないはずの何かへ、自分が歩いて近づいているような感覚だ。教会の銅の扉の映り込みはまだ揺れていた。向こうがまだ完全には退いていないということだ。背後で警告灯がチカチカして、それがかえって前方の灰緑色の偽の厚影を、まるで呼吸しているみたいに見せていた。


ジャックが突然手を上げて俺を止めた。


「止まれ。」


「どうした。」


「前に何かいる。」


サーマルの画面を俺の目の前に押しつけてきた。見ると確かに、あの偽の厚影の前方二メートル以内の位置に、極細の冷たい帯が横に広がりつつあった。履帯の前縁が雪を圧縮するときの線みたいだ。これは、中央の偽影が純粋な偽物じゃないということだ。他の何かの登場を隠すための幕になっている。


頭の中で舌打ちした。


「戦車じゃない。」


「じゃあ何だ?」


「ハーフトラックに機関銃座か、もっと厄介なやつだ。」


言い終わる前に、その冷たい帯の前に銃架の影が一本浮き上がった。


完全じゃない。非常に薄い。だが十分だった。


ドイツ軍は装甲だけ押し込もうとしているんじゃない。火力拠点を教会前のこの区域に据えようとしている。これは厄介だ。戦車の切片はまだ鈍重だが、火力拠点が一度立ってしまえば、この軸線全体が咬まれる。


すぐイヤホンを押した。


「山口、装甲の影はもう打つな。前に機関銃座が立とうとしている!」


「見えている。」


神崎忠明も割り込んできた。


「正面には切り込めない。そっちで逸らしてくれ。」


「了解!」


ジャックは歯を食いしばって、突然バックパックを地面に下ろし、小型の折り畳み反射板と高出力の懐中電灯を取り出した。


俺は一瞥した。


「そんなもの持ち歩いてたのか。」


「昔、戦車の夜間暗視比較を撮るときに使ってた。」


「今は幽霊を撮るのに使うのか?」


「今は幽霊を迷わせるのに使う。」


参った。完敗だ。


彼は反射板を砕けた石の手すりの傍に固定して、角度を嫌みなくらい精密に調整した。教会の側扉の銅の装飾と、連邦警察のパトカーの割れた窓の反射光を折り返す角度だ。これで前方に顔を出しかけていた機関銃座の影に、偽の輪郭が一層重ねられた。安定しかけていたところに、ズレた銃架の口がもう一つ生えたみたいになった。


俺は一言も言わずに、二重の偽影が重なった一番薄い中間点に向かって点射した。


一発目、空気が釘を打ち込まれたみたいに沈んだ。


二発目、短い機械的な破砕音が返ってきた。


三発目、前方の銃架の影が全体で崩れた。組み上がったばかりの古い火力拠点を、ネジの根元から分解したみたいに。


「やった!」ジャックが気持ちよさそうな悪態を一つついた。


俺が口を開こうとした瞬間、前方の教会の斜面全体がまた光った。


警告灯じゃない。もっと広い面積の灰緑色の底光で、町の中心軸線の奥でさらに多くの何かが列を作っているみたいだった。山口多聞の声がイヤホンの中で、初めて本当の緊張を帯びた。


「退け。」


俺は何も聞かなかった。


「全員五十メートル退く、今すぐ!」


臆病じゃない。経験だ。


普段は感情を軍服のボタンの裏に封じ込めているような山口が直接退けと言ったとき、後ろに並んでいるものは、俺たちのこの一波が小技で即座に噛み砕けるような量じゃないということだ。前線で一番やってはいけないのは、勝てないことじゃない。退くべきときに英雄感を少し足そうとすることだ。


俺たちは一気に教会外縁の第二線まで退いた。葉 綺安(イェ・キアン)が先に高所から撤収し、神崎が先鋒を連れて左の死角から引き上げ、山口の燃える翼影も全体を上に引いて、視界切断から警戒態勢に切り替えた。ジャックは退きながら、あの反射板を一足で蹴り倒すことを忘れなかった。次の一波で敵のドアノブにされないためだ。この動作でさらに彼のことが気に入った。道具をきちんと片付けられる人間だけが、二度目に一緒に出る価値がある。


連邦の車両の後ろまで退いたとき、後方の灰緑色の底光がようやく輪郭を少し持ち上げた。


完全に姿を現したわけじゃない。だが見えた。一輛じゃない。重装備と歩兵が混成した切片の隊列全体が、町の中心軸線に沿って前へ試験的に圧力をかけてきていた。地の底から透けて上がってくる古い戦場が、ようやく歩ける通りを一本見つけたみたいだった。


ジャックはその光景を見て、呼吸まで重くなった。


「これは今夜中に、いくつかの接点を処理するだけで片付けられるものじゃない。」


「ああ。」俺は言った。


「じゃあ、俺たちがさっきやってたあのリズムは――」


「効いた。ただ先鋒と切片の尖端を処理するのに十分なだけだ。」俺はどんどん厚みを増す灰緑色を見ながら言った。「本当の大規模交戦はまだ始まっていない。さっきはやつらが扉の枠に手を伸ばして触っただけだ。」


イヤホンに林 雨瞳(リン・ユートン)の声が入った。初めて、疲労とも、ひどい事実をようやく確認したときの冷静さともつかない色を帯びていた。


「中枢の結論。今夜の一波は単発接触ではない。町中心軸線全体の圧力テスト予行。バストーニュ、正式に大規模交戦前夜へ。」


俺は一言だけ返した。


「分かってる。」


それから振り返って、ジャックを見た。


夜の教会、パトカー、封鎖線、灰緑の切片、遠くでまだかすかに震えている燃える翼影が、全部彼の横顔を醜く照らしていた。それでいい。これが前線だ。


俺は聞いた。


「まだ残る気はあるか、テキサス人?」


彼は前方で列を作って圧し込んでくる戦場の残影を一度見て、それから手元でまだ熱点を点滅させている機材を一度見下ろして、最後に顔を上げて返した。


「今逃げたら、アメリカに帰っても自分の記憶に追いかけられるだけだ。」


「それでいい。」俺は言った。

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