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189.侵入 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

あまりにも即座だった。頭と首の折れた角度がおかしく、胸が石段に当たった瞬間に一部が潰れ、地面に落ちたとき体はもう動かず、口と鼻から血が速く溢れて石面を二本の短い暗い線になって流れ落ちた。


バストーニュ町内の最初の明確な死亡事案が、こうして来た。


前置きなし。遺言なし。観客が感情を準備する時間もなし。本物の戦域は叙事のリズムを守らない。どの一秒に誰が間違った場所に立っていたかだけを語る。


現場が瞬時に爆発した。


住民が悲鳴を上げて散り、別の警官が反射的に銃を抜いて、完全なターゲットのない通りの先に向かって二発撃った。弾は当然役に立たず、向かいの店のウィンドウに穴が二つ増えただけだった。市の作業員がその場に伏せ、一人は滑って転んで、反射ベストが地面の上で死に場所を求めているみたいに光った。


「掩護!」俺は怒鳴りながら、もう前に走っていた。


葉 綺安(イェ・キアン)が左側から切り込んで、ジャックは珍しく退かず、サーマルカメラを抱えてパトカーの後ろに飛び込んだ。勇気じゃない、職業病が保険をかける価値があるレベルで発症している。ただ動きは正確で、少なくとも通りの中央には突っ込まなかった。


通りの先の燃えているドイツ軍戦車の重影がまだ完全に消えないうちに、後続の歩兵の切片が入ってきた。今回は反射面だけに見えるんじゃなく、二つの影が空気の薄い部分から直接路肩に踏み込んできた。顔の半分が欠けたドイツ軍歩兵、ヘルメットが傾いて、手の銃はKar98kに見えるが銃身の縁が異常に焦食されている。もう一人は胸一面が焦げた黒で、歩き方は一度も怪我をしたことがないみたいに安定していた。突撃じゃない、前へ圧してくる。死んでからも規律を保ったままのその圧し方は、血に飢えた乱撃よりずっと恐ろしかった。


その警官の遺体の傍に伏せたとき、一瞥しただけで分かった。


「死んでる!」後ろに向かって怒鳴った。「彼に医療時間を使うな、人の流れを切れ!」


聞こえのいい言葉じゃない。でも戦場で聞こえのいい言葉は大抵、二人目を殺す。


ジャックがパトカーの後ろから大声で言った。「サーマルに歩兵の切片が二体、右側の壁際に高温点が一つ、炎の残骸みたいだ。あの戦車の一部がまだ中にいる!」


「見えてる!」


少し離れた所で、銃を撃ったベルギー警官が明らかに限界に近づいていて、また撃とうとしていた。フランス語で怒鳴った。住民を教会の中へ押し込め、空気に弾を無駄にするなという意味だ。彼は一瞬固まって、ようやく理解して、振り向いて人を教会に呼び込み始めた。この男は無駄死にじゃなかった。少なくとも同僚は次の一手を分かった。


その瞬間、イヤホンに山口多聞の声が入った。


穏やかで、安定していて、海面の上の刃みたいだった。


「確認した。ドイツ軍の切片が正式に町内に入った。」


老婆が人波に踏まれそうになっているのを引っ張って石柱の後ろに寄せながら、歯を食いしばって返した。


「あなたが動かなければ、この町は今夜から葬儀の一括処理を学ぶことになる。」


山口多聞が返した。


「今から動く。」


次の瞬間、教会前の反射面全体が別の色に切り裂かれた。


灰緑じゃない。暗い赤だ。


湖区の遠くにある傾いた燃える甲板が、ついにその火をこの内陸の小さな町のガラスと車の窓に投じたみたいだった。砕けたパトカーの窓の縁、教会の扉の銅の装飾、割れたウィンドウの破片、地面に落ちたスマホの画面まで、同時に燃える翼の影が何本か閃いた。続けて通りの先の上空に、現代のエンジン音でも単純な鬼火でもない鋭い叫びが走った。短く、急いでいて、何発もの火球が翼を引いて見えない斜めの甲板から射出されたみたいな音だった。


山口多聞が、正式に動いた。


最初の一波は爆撃じゃない、視野の切断だ。


燃える翼の影が通りの先を低く掠め、ドイツ軍戦車の切片の輪廓が一気に乱れ、現実の表層に押し込まれていた前半分の履帯の重影が一寸ずれた。この一寸が重要だった。戦車の右側はもともと、まだ教会に逃げ込めていない人の群れに正対していたからだ。ずれた後に砕いたのは隣の案内標識と石の手すりの半分だけで、少なくとも二人余計に潰れずに済んだ。


同じ瞬間、別の動きが左後方の路地から飛び出してきた。


飛行機じゃない。人間だ。


あるいは、亡霊歩兵と言うべきか。


ドイツ軍の切片より実体に近い三つの影が、教会の隣の狭い路地を一瞬で抜けた。動きが極めて速く、夜戦と近接を長年染み込ませた何かが死角を伝って切り込んできたみたいだった。先頭の一人、頭の白い鉢巻が一瞬光り、腰の刀の鞘が壁の角に当たって、場違いなほど澄んだ金属音を立てた。


神崎忠明だ。


一目見ただけで火線の中に部下を連れて飛び込みそうな亡霊陸軍大尉が、正式に動いた。


鏡の中で会議をしていたときの穏やかな登場じゃない。本当に動いた神崎は、鞘から抜かれてもう礼儀を装う必要がなくなった刀みたいだった。三名の第101特別陸戦隊の先鋒を連れて、路地口と店舗の死角を伝って一気にドイツ軍歩兵の影の側後方に回り込んだ。怒鳴り声なし、万歳なし、余計な掛け声すら一切なく、ただ非常に短く、非常に古い流儀の、非常に近い距離での処理だった。


顔の半分が欠けたドイツ軍の影が銃を上げた瞬間、神崎が先に密着した。刀は格好のためじゃなく速さのためだ。斜めに相手の肩と首の間に切り込んだ一刀は、肉を斬るというより、焦げた執念で固まった人形の一層を断ち開くみたいだった。そのドイツ軍の影が後ろによろめいて、輪郭が半分崩れた。二人目の陸戦隊員がすぐ側面から銃剣に近いもので突き込んで、胸を焼かれたもう一体の切片を完全に散らした。この光景を現代の言葉で説明するのは難しい。生者が生者を打てば血が出る。亡霊が亡霊を打つのは、同じ死の地の存在権を奪い合うみたいだった。


ジャックはパトカーの後ろで見ていて、言葉が半拍遅れた。


「なんてこった……」


石柱の後ろから返した。


「湖区外援の地上初出撃へようこそ。」


山口多聞の燃える翼影の第二波がもう掠めていた。今度は戦車じゃなく、後続の歩兵列を切った。通りの先でまだ反射できるガラス面が全部、暗い赤の火影に一瞬刷かれ、前へ圧してきていたドイツ軍歩兵の残段のリズムが明らかに一度切れた。これが日独の戦力差の最もリアルな表れだ。正面からぶつかれば、日本側は厚みも重さも地の利も足りない。しかし側面から切り込んで乱して、リズムを奪って、一番嫌な角度から差し込むことに関しては、山口多聞のやり方には一つの流儀がある。


この一瞬の隙を掴んで、教会の入り口でまだぼうっと立っている警官二人に向かって怒鳴った。


「全員中に押し込め!ドアを閉めろ!ガラスから離れろ!」


今回は昼間みたいに手順を考えなかった。すぐ動いた。生者が本当に戦域のリズムを覚え始めるのは、たいてい最初の遺体が足元に転がった後だ。


葉 綺安(イェ・キアン)がもう俺の右側に来ていた。低い声で言った。「ドイツ軍の戦車がまだ完全に退いていない。」


見た。


そうだ、退ききっていない。


通りの先の燃えているドイツ軍戦車の切片は、山口の二波の空中側面切断と神崎の歩兵近接で確かに緩んでいた。しかし緩んだのは散ったのとは違う。二つの世界の間に半分体が挟まったままの獣みたいに、まだこちら側に押し込もうとしていた。砲塔の残影がゆっくりと非常に不快な角度に向いた。教会の石段前のこの区域に、正対していた。


砲が本当に撃てば、警官どころか門廊ごと吹き飛ぶ。


イヤホンを押して、山口に言った。


「あの鉄の棺桶が火を吐こうとしてる。」


山口多聞が四文字だけ返した。


「分かってる。頭を下げろ。」


俺はすぐ地面に伏せた。


次の瞬間、通り全体が高所から叩き落とされた炎に一瞬で引き裂かれた。爆発じゃない。極めて短く極めて激しい燃焼の急降下影が、通りの先の上方からあの戦車切片の砲塔位置に叩き込まれた。九九艦爆だ。山口多聞はあの亡霊航空隊の中で最も頭蓋を割るのに向いた刃を、半現実化したドイツ軍戦車の脳外科手術に直接使った。


戦車の砲塔全体が一瞬止まり、続いて中央から異常な暗緑色の火が爆ぜた。その火は金属を燃やしているんじゃない。中にまだ散り切っていない戦闘意志を燃やしているのだ。車体全体の映像が天蓋から魂を上に引き抜かれたみたいになって、輪郭が崩れ始め、履帯の音も調子を外した。数秒後、通りの先には砕けた焦げた黒の残影と、地面に押し潰されたいくつかの深い窪み、そして歯の根が浮くような金属の焦げた匂いだけが残った。


ジャックが掩体の後ろから頭を上げて、呟いた。


「物理学が今日、本当に辞表を出した。」


「昨日のうちに退職届を出してたんだ。」俺は言った。


ドイツ軍のこの一波の切片がようやく退き始めた。


完全撤退じゃない。今夜ここでこれ以上車列を賭ける価値がないと判断して、残段を後ろへ引いた感じだった。通りの先の歩兵の影が一つずつ薄くなって、最後は反射面と路地の陰に縮んで戻っていった。神崎忠明は深追いせず、路地口で止まって振り返り、俺を一瞥した。その目の意味は明確だった。生者の地盤は先に返す。死人がまた前に出たら、また俺が入る。


山口多聞の声がイヤホンに穏やかに響いた。


「第一波終了。」


石段の傍の警官の遺体を見ながら、俺は返した。


「違う。最初の死者が出た。今この瞬間から、この町は正式に戦域に変わった。」


イヤホンの向こうで約一秒、沈黙があった。


それから山口が言った。


「了解した。」


教会の扉が細く開いて、中から泣き声と祈りの声が漏れてきた。スマホで通報しようとしている人間もいた。現実が崩壊しても通報という行為が道義的必要性を失っていないみたいに。外では発砲した警官が同僚の遺体の傍に膝をついて、手がまだ震え、唇が速く動いていた。名前を呼んでいるのか、神の当直不在を責めているのか判断がつかない。葉 綺安(イェ・キアン)が歩み寄って彼を引き離した。優しい動作じゃないが、正しい動作だった。遺体の傍に長く立ち続けることは、次の切片に構図を提供するだけだ。


ジャックがようやくパトカーの後ろから出てきた。顔色が白く、戦史と宗教史を同時に一発食らったみたいな色をしていた。


遺体を一瞥して、通りの先にまだ完全に消えていない焦げた痕を見て、口を開いたとき声が初めて安定していなかった。


「これが最初の一人か。」


「そうだ。」俺は言った。


「町の中で最初の。」


「そうだ。」


彼は半秒黙って、それからゆっくり頷いた。


この頷きはこれまでの「見えた、確認した」とは違った。今回は正式な承認だった。よし、ゲームは終わった。ここから死者の統計に入る。


少し離れた所で、神崎忠明と三名の第101特別陸戦隊の先鋒が薄れていった。即座に消えるんじゃなく、夜の闇が少しずつ彼らを引き取っていくみたいに。消える直前、神崎がこちらへ軽く頷いた。町内の地上戦は引き受けた、という意味だった。山口多聞の燃える翼影も全ての反射面から引いていて、教会の銅の装飾の縁にだけ、現代の光源らしくない赤の一線がまだ残っていた。


ベルギーの治安システムはこの時点でようやく完全に引き下がる場所がなくなった。


さらに多くのパトカーが向かってきて、無線が混乱し、遠くには救急車と連邦支援の車のライトが灯った。結構だ、秩序がようやく残業を思い出した。だが遅すぎた。最初の町内の死者がここに横たわっていて、十分遅れて車を三台増やしたところで、行政管理可能なリスクには戻らない。


俺はその遺体の傍に歩いて行って、しゃがんで一瞥した。


頸椎骨折、胸骨陥没、内出血、即死。きれいなものだ。存在しないはずなのに人を殺すだけの実体を持つ燃える戦車としては、職業的な誠実さのある処理の仕方だった。本当に不快なのは死に方じゃなく、教会前で、パトカーの横で、避難誘導中で、衆人環視の下を選んだことだ。これは戦術の付随効果じゃない。宣言だ。


立ち上がって、ジャックのほうを向いた。


「改めて自己紹介しようか、テキサス人。」


彼はまださっきの衝撃を完全に抑えきれていない顔で俺を見た。


「今か。」


「ああ、今だ。」俺は言った。「今からお前は、単なる傍観者でも、ただの歴史オタクでもない。ドイツ軍戦車が人を轢き殺すのを見て、日本の幽霊飛行機が切り込んでくるのを見て、亡霊陸軍歩兵がベルギーの路地で近接掃討をやるのを見た証人だ。この資格は高い。普通は先に不運を引かないともらえない。」


彼は冷たい空気を一息吸い込んで、頭の中にある存在してはいけない映像を一旦押さえ込もうとしているみたいだった。


「ジャック・レイノルズ。」


「周 士達(ジョウ・シーダー)だ。」


「知ってる。」


「知ってるのも知ってる。」俺は通りの先を一瞥した。「問題は、それを知った上でまだ残る度胸があるかどうかだ。」


彼は警官の遺体を見て、教会、パトカー、砕けたガラス、まだ消え切っていない焦げ跡を順番に見てから、言った。


「俺は歴史を撮りに来た。今、歴史が通りで人を轢き殺してる。このタイミングで背を向けて帰ったら、二度とレンズに触る資格はない。」


俺は頷いた。


「いいだろう。なら残れ。」


彼は苦笑した。


「あんた、本当に一ミリも辞退を勧める礼儀がないんだな。」


「ここは今、神様も忙しくて、お前のキャリア相談に乗ってる暇はない。」


現場の風がどんどん冷たくなり、警告灯が斜面全体をチカチカと照らしていた。文明社会が青と赤の二色で、自分たちはまだ制御できていると必死に言い聞かせているみたいだった。教会の鐘が、どこかのシステムが故障したのか、このタイミングで半拍遅れて鳴り始めた。町の上空に一つ一つ響く音は、死んだばかりの警官への、ひどく無粋な追悼に聞こえた。


正式に戦域へ足を踏み入れたバストーニュの町を見ながら、俺はただ、すべての事態がようやく誠実になったと感じていた。


これまでは、皆がまだ残像、音、ガラスの反射、履帯の幻聴、局地的異常、交通安全といった言葉で包み隠すことができた。今はもう必要ない。ドイツ軍の亡霊が正式に町に入り、日本側の山口多聞が正式に動き出し、神崎忠明と第101特別陸戦隊も地上で刃を見せ、町内最初の遺体が教会の石段の傍に横たわり、ジャックがMercier Motelという前線基地の輪に正式に加わった。


登場すべき駒は、ほぼすべてテーブルに揃った。


なら、次はどうなる?


簡単だ。


次は、バストーニュが壊れるかどうかの問題じゃない。


この町が完全に壊れるまでに、あとどれだけ持ちこたえられるかの問題だ。

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