188.幽霊?いや、これは戦争だ!! 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
俺は何も言わなかった。
彼も何も言わなかった。
十数メートルの距離を挟んで、彼はただ軽く俺に向かって頷いた。挨拶の温かさでも、観光客同士の社交的な愛想でもなく、非常に短い確認だった。お前のことは見えてる、お前も俺を見えてる、お互い記念マグカップを買いに来たわけじゃないとわかってる、というやつだ。
俺も同じくらい短く頷き返した。
それだけだ。
自己紹介もなく、声掛けもなく、小説で見知らぬ人間を無理やり長年離れ離れだった情報源みたいに書くやつもなかった。本当の社交の論理は、目が合ったからといって路上で人生を語り合うものじゃない。特にこういう場所では。全員大人で、全員頭があって、全員、言葉を口にした瞬間からその責任を取らなければいけないとわかっている。だから最も合理的な最初の一手は、常に見る、確認する、とりあえず保留する、だ。
男は頷き終えると、また地面の痕跡を確認しに戻り、ついでにレンズを林区の方向に一段調整した。俺はそのまま前に進み、何もなかったみたいに歩いた。
すれ違う瞬間、彼のジャケットから機油の薄い匂いと冷たい空気が混ざった匂いがした。修理工の重い匂いじゃなく、機材をよく触り、屋外をよく走る人間にだけ薄くついた匂いだ。いいね、少なくともこれはネットで叫ぶだけの紙上軍事マニアじゃない。
数歩進んだところで、希が反対側から近づいてきて、声を潜めて聞いた。「さっきの人、誰?」
「知らない」
「知り合い?」
「違う」
「じゃあなんで頷いたの?」
俺は彼女を一瞥した。
「文明社会で、二人とも場面がおかしいとわかってる人間は、たいてい頷きで余計な言葉の代わりにする」
彼女はしばらく考えて、頷いた。「それなりに理屈が通ってる」
「だろ。もしあいつが最初から自己紹介してきたら、俺はむしろ馬鹿か、お上から送り込まれたやつかと疑う」
葉 綺安が横を通り過ぎながら、さらりと一刺し加えた。「両方ってこともあるけどね」
俺は鼻で笑って、受け流した。
振り返ると、あの男はもう場所を変えて古いジープの後ろに立ち、サーモ機器で木立の境界線をスキャンしていた。姿勢は安定していて、目線も集中していた。活動を撮影しているというより、何かがミスを犯すのを待っているみたいな目だった。
面白い。
バストーニュという場所に、ようやく残影を地元の名物として消費しない二種類目の外来者が現れ始めた。
そして町の風も、同じ午後に完全に変わった。
人出は変わらず、屋台はまだ物を売っていて、放送はまだすべてを記念と感傷と教育という安全な言葉に包もうとしていた。だが誰の目にも、通りの視線が頻繁に町の外と影の方へ流れ始めているのが見えた。店が早く閉まり、子どもが大人にもっとしっかり掴まれ、復刻軍服を着た演者たちまで林区の方向から意識的に距離を取り始めていた。みんな口では活動、天気、交通の話をしているが、心の中でもう同じことを考えていた。
Mercier Motelに戻った時、空はもう夕食と悪い知らせの間の、一番見栄えの悪い灰色に滑り込んでいた。
ガソリンスタンドの白い光は相変わらず尋問室みたいに白く、宿の外壁は相変わらず安っぽくて必死に平静を装っていて、駐車場の車たちは相変わらずおとなしく停まっていた。自分たちが今夜、亡霊の装甲部隊とどちらが法的に存在してはいけないかを競うかもしれないとは夢にも思っていない、普通の交通手段たちだ。この世界で一番馬鹿げているのはそこだ。外見は常に日常を保とうとするのに、中身は陰でこっそり牙を生やしている。
階段を上がると、廊下の突き当たりの灯りがまた点滅し始めていた。もうすぐ定年の老警備員みたいに、下で何かが起きているとわかっていながら、最低限の勤務時間で象徴的に番をするだけだ。フロントの女はカウンターの後ろで電話をしていて、昨日より口調が悪かった。フランス語に滲む「今日は誰の代わりにも責任を取りたくない」という気配は、半フロア離れていても漂ってきた。いいね。サービス業の人間の感情が安定している時は、たいてい本当の厄介事がまだフロントに入ってきていない時だ。
全員を俺の部屋に集めた。
部屋とは名ばかりで、もうとっくに部屋じゃない。ベッドはある、テーブルはある、カーテンもある、だが機能はすべて転換している。テーブルには地図が広げられ、ドライブレコーダー、サーモグラフィー、カメラ、外付けハードディスク、急ごしらえで引っ張ってきた延長コードが、空間全体を予算は少ないが死ぬ時に文官と武官を区別しない前線会議室に変えていた。林 雨瞳は窓際の椅子に座り、タブレットを点けたまま、バストーニュ外縁から湖区まで町との連動ルートの可能性を映していた。葉 綺安はドアの傍に立っていた。ドア枠に差し込まれた刃みたいに。希はベッドの角に座って、まだ足をぶらぶらさせていたが、目はもう今日の昼間の出来事を観光のオプションとして見ていなかった。記者三人組は反対側に固まり、レミはノートパソコンを抱え、クレアはファイルを抱え、ジュリアンはホッチキスを丸ごと飲み込んだみたいな顔をしていた。
ドアを閉めて、時間を無駄にせず、直接口を開いた。
「まず整理する。一つ目、町の残影が外縁から日常区域に入り始めた。もう林の境界線、田舎道、宿の裏といった、みんなが見て見ぬふりをしやすい場所だけに出るわけじゃない。二つ目、目撃者の数が増え、内容が互いに裏付けし始めている。足跡、履帯跡、無音の車列、時代の合わない軍服の人影。三つ目、まだ全面的に破れていないが、もう隙間を探している」
レミが顔を上げた。「つまり今、バストーニュ全体が接触面になりつつあるってこと?」
「違う」俺は彼を見た。「バストーニュ全体が古い戦場に少しずつ被せられていってる、ということだ。接触面というのは、お前が受け入れやすい文学的な言い方にすぎない」
クレアが録音ペンをテーブルに置いて、眉間に深く皺を寄せた。
「今日の午後、広場の方だけで少なくとも五件の独立した目撃があった。互いに面識なく、時間帯も違う。バス停のそばにドイツ軍の外套を着た人間が動かずに立っていた、商店のガラスの反射に一隊の兵士が歩いているのが見えた、路地に頭のないおじさんがいると言った子ども。もう集団的幻覚で片付けられるとは思わない」
「ヨーロッパ人は集団的幻覚が得意だ」俺は言った。「だが今回はあきらかに地域文化の範囲を超えている」
ジュリアンがようやく口を開いた。声がいつもより低かった。
「林区と活動車の周りで撮影していたあのアメリカ人……気づいてたでしょ?」
俺は彼女を一瞥した。
「気づいてた」
「知り合い?」
「違う」
「じゃあなんで頷いたの?」
「大人が挨拶するのに、先に三代前の先祖を交換する必要はないからだ。特に全員が場面がおかしいとわかってる時はな」
彼女は口を開きかけて、結局追及しなかった。よかった。今この部屋に必要なのは頭で、社交欲じゃない。
林 雨瞳がタブレットの画面を別の図に切り替えた。
「昨夜から今日の昼間までの異常を全部重ねた。町の目撃地点はバラバラじゃない。宿の後方の低温切断線、最初の試探的交戦があった林地、さらに外縁の環状道路と合わせると、収束する弧形を形成してる」
俺は下を向いてその図を見た。
弧形は外に広がっているんじゃない。内側に収束している。
何かがかつての戦場の骨に沿って、土の中から、雪の中から、記憶の中から、一センチずつ自分を外へ押し出してきているみたいだ。単純な残響じゃない。残響はこだまで、繰り返すだけだ。今のこれは工事チームに近い。しかも進捗表を持ってきている。
「湖の方は?」葉 綺安が聞いた。
林 雨瞳が画面をもう一段縮小して、より広い範囲の地図を表示した。
「ラック・ド・ラ・オート=シュール(Lac de la Haute-Sûre)を加えると、バストーニュ外縁と湖区の間に直接の重なりはない。でも非常に奇妙な空白帯がある。二つの異なる起源の異常が、それぞれ自分の論理に沿って成長していて、まだ正式に衝突していない感じ」
「遅かれ早かれぶつかる」俺は言った。
「私もそう思う」
レミは図を見つめながら、自分の原稿料が命の代償に見合うかどうか計算しているような顔をしていた。
「もし本当にぶつかったら、どっちが勝つ?」
記者らしい質問で、栄養価もゼロだ。だが現場の全員が知りたがっていた。
俺がまだ答える前に、部屋の主電灯がかすかに一度点滅した。
停電じゃない。
何か見えないものが光の下を通り過ぎて、ついでに明るさを一つまみしていったみたいだった。
次の瞬間、温度が一気に落ちた。
冬の夜が自然に冷えていく筋道の通った寒さじゃない。海の底から影を一枚まるごと引き上げて、部屋に押し込んだみたいな、理不尽な冷たさだ。窓ガラスの表面に極薄い霧が瞬時に張り、テーブルの紙の端が微かに震え、レミのノートパソコンのファンが一度甲高い音を上げてから黙り込んだ。濡れた手で押さえつけられたみたいに。
ジュリアンが最初に立ち上がった。勢いが強すぎて椅子を倒しかけた。
「な、何——」
言葉が終わらないうちに、ドアの内側の影が自分で伸び上がった。
「誰かがそこに立っている」という種類の影じゃない。
壁の暗い部分がまず墨を染み込ませたみたいに沈んでいき、それから床から始まって、一層ずつ形を立ち上げていった。まず靴先、次に靴筒、その上に焼け焦げた痕のある濃い色の軍服の裾、最後に肩、襟、顔。その過程で足音はなく、ドアの開く音もなく、ただ薄い、だがアルデンヌの内陸には絶対に属さない匂いが部屋の中にゆっくり広がるだけだった。潮の塩、古い鉄、焦げた木、そして甲板が燃えた後にだけ残る、乾いて硬い煙の匂い。
レミが息を呑んで後ろに猛然と退き、膝の裏がベッドの縁に当たって、俺がこれまでの人生で聞いた中で最も「尿意」に近い鈍い音を立てた。クレアの顔色が一瞬でホテルのシーツみたいに白くなり、手のファイルが床に落ちて、中の紙が逃げようとしているのに走れない鳩の群れみたいに散らばった。ジュリアンが一番骨があった。二歩目は退かず、代わりに悪態を一つついてから、腰にあるはずのない武器を手探りした。
希も一瞬びくついたが、少なくとも声は出さなかった。息を呑む時にコーヒーを半口肺に吸い込みそうになっただけだ。林 雨瞳の反応が一番端的で、テーブルの角に置いてあったナイフにすでに手を当てていたが、抜いてはいなかった。葉 綺安は言うまでもなく、姿勢すら乱れなかった。ただ重心をわずか一寸前に送っただけだ。相手がもう一歩踏み出したら、このモーテルを異界の殺傷現場に格上げするつもりの重心の移し方だった。
そして影の中から立ち現れたその人物を見た俺の最初の感覚は、驚きじゃなかった。
ようやく正面玄関から来やがったか、だった。
相手が着ているのは海軍の軍服だ。だが観光土産店で歴史マニアの自撮り用に売っているような清潔なものじゃない。火と煙と死を経てもなお形を保ち続けているものだ。肩線は整っているが、生地には局所的な焼け焦げの痕があって、まるで火が半分まで燃えたところを、何か頑固な執念に押さえ込まれたみたいだ。顔は穏やかで、陰鬱でも芝居がかってもなく、むしろ過度に文明的な自制心を持っていると言えた。だが二度見すれば気づく。その穏やかさは温和さじゃない。十分すぎるほどの死を見てきたから、もう声を張り上げる必要がなくなった人間の静けさだ。
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