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188.幽霊?いや、これは戦争だ!! 1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

二夜目の見張りは、一夜目よりずっと正式な仕事に近かった。


一夜目にはまだ試用期間みたいな感覚があった。倒産寸前の会社に入ったばかりで、上司は何も説明しない、同僚とは打ち解けてない、エアコンも壊れてる、とりあえず制度があるふりをするしかない、そういう感じ。二夜目は違う。


制度はやっぱりないが、この場所で本当に人が死にうるとわかった後は、誰もが急に仕事熱心になる。恐怖が具体的な形を持った瞬間、人間の効率は上がる。これはどんなマネジメント理論よりも信頼できる法則だ。


Mercier Motelの二階廊下の灯りは相変わらず、くたびれた黄色だった。中年の公務員が最後に残した良心みたいな明るさで点っている。


階下の駐車場はガソリンスタンドの白い光に照らされて不必要なほど清潔で、地面のタイヤ跡まではっきり見えた。法医学の解剖台に引かれた切開線みたいに。


Vitoは内側に停まり、車頭を外に向けている。K7は外縁を押さえて、わざと埋め方の甘い地雷みたいに二台並んでいる。宿の後方の林帯は夜の中で節度ある暗さを保っていた。


映画みたいな大げさな不気味さはなく、むしろ本当に戦術を心得た人間みたいに、特別に怖がらせる必要はない、静かにしていれば十分だとわかっているような暗さだった。


俺は二階の突き当たりから外を見ながら、半分冷めたコーヒーを片手に持っていた。あれを飲むとベルギーの外来者への態度みたいな味がする。


苦く、薄く、そして明らかに新鮮じゃないのに風味があるふりをしている。葉 綺安(イェ・キアン)は階段口で最初の見張りに立ち、林 雨瞳(リン・ユートン)は部屋で監視カメラの映像を見張っている。希(シキ)は俺が二時間仮眠を取るよう追いやった。


昼間はあれだけ強がっていたのに、夜になると瞼が鉛で縫い付けられたみたいだったからだ。レミとクレアは記者部屋で交代しながら素材のバックアップを取り、ジュリアンは怖くないと言いながら、ドアの後ろの椅子を誰より頑丈に挟み込んでいた。


責めるつもりはない。記者の専門は災害に近づくことで、災害の隣に住むことじゃない。


午前一時十三分、最初の異常が来た。


銃声でも履帯の音でもなく、軽い金属の衝突音だった。宿の後方の木立の後ろから聞こえてきた。古いフォークを積雪の中に落としたみたいな薄い音だ。


普通の人間なら聞き取れないか、聞き取れたとしても夜の野良猫、風、酔っ払いのトラック運転手がドアをいじってる音だと分類して終わりにする。


人類の文明がここまで続いてきたのは、この大規模な集団的鈍感力のおかげだ。


俺は動かず、コップを窓台に置いて、耳だけを先に働かせた。


すぐに二音目が続いた。今度は衝突じゃなく、引きずる音だ。短く、半秒もない。何かの底面が砂利の上を擦った音。現代の車じゃない。


現代の車にはゴムがあり、サスペンションがあり、文明の進歩がもたらしたプラスチックの包装がある。この音は剥き出しすぎた。鋼鉄が自分の機嫌を引きずって歩いているみたいな音だった。


イヤホンを押さえて、低く言った。「後方林帯、二時方向、音あり」


イヤホンの向こうが半秒静まり、林 雨瞳(リン・ユートン)の声が返ってきた。「見えてる」


「何が?」


「完全な映像じゃない。三号カメラの右縁に暗帯がある。横切っている、速度は遅い。サーモは正常反応なし。通過した位置に周囲より低い温度の空洞だけ残してる」


俺は声を出さずに笑った。この手の連中のやり方も面白い。普通は赤外線で熱源を捉えるのに、こいつらは世界に冷点を掘っていく。この時代、幽霊まで主流技術を避けることを覚えてる。なかなか先見の明がある。


葉 綺安(イェ・キアン)が階段口からやってきて、俺の隣に立った。視線はこちらに向けないまま聞いた。


「人間だと思う? それとも車?」


「人間なら、横歩きで恥知らずなやつだ」


彼女は笑わず、ただ言った。「さっきガソリンスタンドの方で一台、誰も触ってないのにハザードが一回点いた」


「感知した?」


「擦られた感じに近い」


これは厄介だ。


一夜目に俺たちが見たのは遠距離からの接触で、向こうが指一本伸ばして水温を試してる感じだった。二夜目にして現代の車両を擦れるようになってるなら、あの境界線が薄くなってきてるということだ。


こちらの視力が上がったんじゃなく、向こうが本当に近づいてきてる。怪異で本当に怖いのは出現することじゃない、慣れることだ。一度目は偶然と言える、二度目もまだ偶然と言える、三度目になったら向こうが勤務時間を把握し始めたと思っていい。


「後側の駐車スペースを空けろ」俺は言った。


葉 綺安(イェ・キアン)が頷いて階下に降り、レミに伝えた。三十秒後、K7のエンジンが低く唸った。機嫌の悪い金属の獣みたいな音だ。


外に出すんじゃなく、二スペース前に移動させて、林帯に近い場所を完全に空けた。弱みを見せてるんじゃない、余計な接触を避けてるだけだ。


本当に戦うなら障害物は役に立つ。だが相手が壁を抜けられるのか、雪を抜けられるのか、年代を抜けられるのかがまだわからない段階では、自分の車を実験区域に置いておくのが一番間抜けな判断だ。


林 雨瞳(リン・ユートン)はすぐに監視映像を全員のタブレットに転送してきた。砂紙みたいに粒子の粗い夜視映像を見ていると、後方林帯の排水溝近くの位置に、確かに三本の細長い暗帯がゆっくり動いていた。人間の脚じゃない、リズムが均一すぎる。普通の車でもない、車体の完全な輪郭がなく、下半分だけだ。頭を切り落とされた三本の履帯の影みたいに、地面に張り付いて外側へ滑っていた。歩いて出てきたんじゃない。滲み出てきた。


クレアが息を呑んだ。声を限界まで低くして言う。「三列?」


「三台とは限らない」俺は言った。「進入してきた部分が三段に分かれてるだけかもしれない」


「本当に安心感のある言い方ね」


「ありがとう。正確な悪い知らせを届けるのが俺の専門だ」


三本の暗帯は結局それ以上前に進まなかった。宿の後方の石柵から十数メートル外の位置で止まり、礼儀をわきまえた来訪者みたいに、敷居の外からしばらくこちらを眺めていた。そして次の瞬間、画面の端が一度歪み、すべての暗帯が水で流した墨みたいに瞬時に散った。


爆発もなく、実体化もなく、阿鼻叫喚もない。


実体化するより、これの方がずっと厄介だ。向こうが制御を失ってるんじゃなく、自制してるということだからだ。自制できる敵は、叫び続ける敵より常に手強い。


四時近くまで見張り続けたが、二度目の接近はなかった。電子ノイズが二回あっただけだ。一度はガソリンスタンドの価格表示板が一瞬点滅し、もう一度は廊下の灯りが一秒消えてまた点いた。フロントの中年女が夜中に電気ボックスを確認しに飛び出してきて、口の中で何か言っていた。おそらくフランス語で、口調は世界中のサービス業に共通するものだった。私の給料は幽霊と帳簿を合わせるほど高くない、というやつだ。


夜明け近くに部屋に戻って椅子に寄りかかり、目を閉じて十分間。目が覚めると首が、誰かにスパナで教育を受けたみたいに痛かった。林 雨瞳(リン・ユートン)が整理したばかりの簡易図を俺の手元に押してきた。二晩分の異常発生地点が全部描かれている。宿後方林帯、外縁道路、最初の交戦位置、昨夜暗帯が止まった位置、それとガソリンスタンドの「擦られた」小型トラックの駐車スペース。全部、違う色のペンで印が付けられていた。


その点と線を繋げると、形成されつつある包囲の輪郭みたいに見えた。


俺たちを囲んでるんじゃない。鎮全体の外縁を囲んでいる。


「わかった?」と彼女が聞いた。


「わかった」俺は眉間を揉んだ。「ランダムに出てきてるんじゃない。ある古い線に沿って、埋め戻しをしてる」


「私もそう思う。かつての戦場の骨格みたいなものが、現在の地表の下に向かって生え直してきてる感じ」


その図を見ていると、ふと湖区の残影を思い出した。あれは本質的には霧の立ちやすい鏡みたいなものだ。条件が揃えば一角を見せてくれる。条件が揃わなければ、ただの湖のふりを続ける。だがバストーニュはそうじゃない。鏡じゃなく、基礎だ。鏡は光を反射できる。基礎は重みを支えられる。


朝食の時間、ホテルのレストランの空気はやはりヨーロッパ特有の「何もなかった顔」をしていた。キャンピングカーで来た旅客がトーストと炒り卵を食べ、老夫婦が地図を広げ、アウトドアジャケットを着た中年男が土産物屋の値段を比べている。フロントの女は目の下のクマが一回り濃くなり、コーヒーを運ぶ手つきが昨日より殺意に満ちていた。昨夜の異常に気づいていたのは俺たちだけだと思っていたが、そうじゃなかった。


ガソリンスタンドの補充担当の老人も来ていた。隅のテーブルで濃いコーヒーを飲みながら、フロントの女と小声で話している。話すスピードは速くないが、同じ動作を繰り返し続けていた。二本の指でテーブルに一本の線を引いて、それを掌でこちら側に押し込む。言葉だけじゃ伝わらないから、ジェスチャーで補足しているみたいだった。


俺はベーコンを切りながら聞いた。


フランス語は好きじゃないが、七割八割は聞き取れる。内容はシンプルで、そして全然歓迎できないものだった。昨夜、町外れの別の道で、誰かが古い軍用トラックのヘッドライトが霧の中を抜けるのを見たが、エンジン音は聞こえなかった。明け方五時頃、東側の農家の主人が外に出ると、自分の雪の上に不完全な足跡が一列残っていた。前半分は軍靴の形で、後半分は途中で消えていた。それと、パンを配達する若い運転手が環状道路のカーブで、灰緑色の軍服を着た三人が路肩に立っているのを見た。バスを待つような姿勢だったが、ヘッドライトを当てると、その三つの影には頭がなかった。


俺はフォークを置いて、苦くて熱いコーヒーを一口飲んだ。


どうやら地域病が、専門家の悪夢から一般市民の朝の話題に格上げされてきたようだ。


希(シキ)が向かいに座って声を潜めた。「何の話してるの?」


「バストーニュ外縁で幽霊が出てる話だ。俺たちが昨夜見たやつより制作費が安いバージョン」


彼女が俺を睨んだ。「それで制作費が安いって言えるの?」


「少なくとも今のところ、朝食エリアまでは来てない」


葉 綺安(イェ・キアン)が手を拭きながら、さらりと付け足した。「あと数日したらわからないけど」


クレアが小型の録音ペンを持って降りてきた。一般客のふりをしていたが、耳は隣のテーブルまで伸びていた。戻ってきた時の顔色はコーヒーより黒かった。


「単独事例じゃない」と彼女は言った。「今しがた宿泊客二人に聞いたら、二人とも深夜に『旧式エンジンのアイドリング音』を聞いたと言ってた。宿の後方で兵士が整列してるのを見た人もいたが、二度見する勇気はなかったらしい」


ジュリアンが聞いた。「録れた?」


「半分」クレアはポケットを叩いた。「残り半分は自分の心臓の音に上書きされた」


こういう事態の一番厄介なところはここだ。目撃例が一つか二つの段階では、みんな想像力が豊かすぎると笑って済ませられる。数が増え始めると、町全体が滑稽な過渡期に入る。口では何でもないと言いながら、足は自然と速くなる。昼間はイベントを続けて土産物を売り、夜になると洪水を防ぐみたいにドアに鍵をかける。文明社会が超自然に直面すると、まず広報対応のプロセスを一通り踏む。


午前中、俺たちは宿で死んだふりをしてるんじゃなく、車で町の中を一周した。


空は均一な灰色で、通りの人出は昨日より多かった。記念イベントに合わせた屋台がまだ出ていて、ホットドリンク、バッジ、二戦時代の写真の複製、模型の履帯車、旧軍服スタイルのジャケットを売っていた。広場の仮設ステージでは旧式軍服を着た演者が観光客に手を振り、隣で子どもたちが綿菓子を持って走り回っている。全体の光景が、歴史を食べられる形に圧縮したみたいだった。人間はすごい、何でも市場にできる。


だが少し長く見ていると、おかしいとわかる。


観光客の中には演技を見ているんじゃなく、演技の背後の空き地を見ている者がいる。店主の笑顔は商売人の笑顔じゃなく、無理して保っている笑顔だ。必要な数より一本多い通りにパトカーが二台停まっている。少し離れた場所では、市の担当者が交差点の交通整理ボランティアと言い争っていて、現代のタイヤには存在しないはずの地面の圧痕を指差していた。全員がまだ普通の日常の姿勢で生きているが、注意の向きがすでに見えない何かの方へ傾き始めていた。


俺たちは小さな広場の端に車を停めて、降りてバラバラに歩いた。


全員を固めるつもりはない。人数が多ければ目立つし、口数も増える。今必要なのは陣形じゃなく、地元民みたいに自然に耳を傾けることだ。葉 綺安(イェ・キアン)と林 雨瞳(リン・ユートン)は変な足跡があると通報が出ている路地を見に行き、クレアとジュリアンは人混みに混ざって目撃証言を集め、レミはカメラを抱えて反対方向に高い場所を探しに行った。希(シキ)が俺についてこようとしたが、「あんたは自分から幽霊に絡みに行きそうな顔してる」の一言で林 雨瞳(リン・ユートン)のところに追いやった。


広場の端で老人がホットワインとソーセージを売っていた。昨夜のガソリンスタンドの老人より目が疲れていた。俺は一杯頼んで、屋台の前に立ちながら、彼が別の客に向かって愚痴をこぼすのを聞いた。この数日、町の外でよく「この時代じゃない音」が聞こえる、甥が一昨日の夜に木橋のそばで、霧の中から鉄帽を被った一隊が歩いてくるのを見た、足跡は橋の真ん中までしか残っていなかったが人は消えていた。別の客が肩をすくめて、活動のリハーサルじゃないかと言った。老人は冷笑して一言返した。「リハーサルで犬が一晩中吠えなくなるか?」


そのひと言はホットワインより効いた。少なくとも俺の頭を少し醒まさせた。


動物は人間より正直だ。面子がないからだ。


シロップに釘を浸したような味のホットワインを飲み干して、前に進もうとした時、スマホが震えた。林 雨瞳(リン・ユートン)からの位置情報と一言だ。


「東側の路地の入口、来て」


行くと、彼女と葉 綺安(イェ・キアン)が狭い石畳の路地の脇に立っていた。入口に数人が集まっていて、地方の小さな町特有の、大騒ぎはしたくないが完全に無視もできないという矛盾した表情をしていた。地面には確かに痕跡があった。壁の角から路地の中央まで続いている。現代のタイヤでも単純な足跡でもなく、浅い半円形の圧痕が連続していて、その間に点状の金属の引っかき傷が混じっていた。何か非常に古く、非常に重く、本来人が歩く路地には入るべきでないものが擦り抜けた跡だった。


ニット帽を被った女が警官に話していた。明け方四時にゴミを出しに外に出た時、路地を車が通り過ぎる音がしたが、窓から見ると路地は空っぽだったと。若い店員が割り込んで、自分も聞いたと言い、しかもドイツ語の号令まで聞こえたと付け加えた。警官は口では宥めながら、手はずっとペンを握ったまま離さなかった。そのペンに口があったら、今頃辞表を出したがっているだろう。


葉 綺安(イェ・キアン)が痕跡のそばにしゃがんで、静かに言った。「昨夜は降雪なし。これは夜中の後半に残されたものね」


「深さが合わない。重量が半分欠けてる感じだ」俺は周囲を一瞥した。「でも現実の表層を押し退けるには十分だ」


林 雨瞳(リン・ユートン)が目を上げて俺を見た。「まだ外縁だけだと思う?」


すぐには答えなかった。なぜなら、彼女の問いは本当のことだからだ。一夜目、二夜目、向こうはまだ外縁で試探していた。今、残影と履帯跡はもう町の中に入り始めている。俺たちが引いていたあの境界線は、守れているんじゃなく、後退しているということだ。


人混みの中で突然、小さな男の子が母親の袖を引っ張って、路地の奥を指差した。「さっきあっちにおじさんが立ってた」


全員がその方向を見た。


路地の突き当たりには何もない。湿った古い壁と、花鉢の下がった窓があるだけだ。


男の子は真剣な顔で付け加えた。「変な帽子かぶってて、顔がすごく白かった」


母親はすぐに彼の手を押さえて、子どもが変なことを言ってごめんなさいと笑いながら謝った。警官も合わせて笑った。ひどく力の入った笑い方で、ひび割れた壁にガムテープを貼り付けている大人の笑い方だった。


俺は笑わなかった。


子どもが見間違える可能性はもちろんある。だがこういう時、子どもと犬は、たいていどんな公式声明よりも真実に近い。


昼を過ぎると、町の中の噂はあきらかに増えた。


広場のカフェで、夜明けにドイツ軍の外套を着た人間がバス停に立っているのを見たと言う人がいた。雑貨店の店主は、レジを打っている時にガラスドアに一隊の兵士が後ろを通り過ぎる映り込みを見たが、振り返ると誰もいなかったと言った。自転車に乗った若者二人は、町の外で半履帯車が田んぼの脇を走り過ぎるのを見たが、音がなく、まるで口の利けない人間の夢みたいだったと言った。これらの目撃はそれぞれ断片的で、聞けば酔っ払いの話か地方の怪談録音テープみたいだが、一度繋ぎ合わせると輪郭が見えてくる。


残影はもう林帯と夜だけのものじゃない。


日常の背景に入り込み始めている。


そこが本当に人の正気を削るところだ。どれだけ怖いかじゃない。普通の生活と共存し始めることだ。コーヒーを買う時、ガラスに八十年前に死んだ人間が映っているかもしれない。信号待ちをしている時、見えない交差点から戦車の履帯音が曲がってくるかもしれない。家に帰って夕飯を作っている時、窓の外に存在してはいけない兵士が煙草を吸っているかもしれない。長く続けば、人は怖さで頭がおかしくなるんじゃなく、まず見て見ぬふりを覚える。本当に見ないふりができなくなった時には、たいていもう手遅れだ。


午後三時頃、俺たちは町外れの林区に向かう道の入り口まで来た。古いジープと演示用トラックが何台か停まっていて、復刻軍服を着た活動スタッフが煙草を吸いながら話していた。遠くで誰かが複製のパンター戦車の模型を撮影していて、隣で数人の観客が塗装と履帯の幅について議論していた。口調は多くの学者が哲学を語るより真剣だった。歴史マニアという生き物は嫌いじゃない。最大の長所は細かいこと、最大の欠点も細かいことだ。世界が崩れかけていても、先に履帯のボルトの製造年を言い合える。


そこで俺はあの男を見た。


特別うるさかったからでも、特別目立っていたからでもない。立ち方が、周囲の野次馬と違ったからだ。


男は三十代くらいで、背が高く、濃い色のジャケットを着て、装備が詰まった撮影用バックパックを背負っていた。手に持っているのは一般の観光客が持つようなコンパクトカメラじゃなく、夜視儀と低光量レンズとプロ用スタビライザーを無理やり合体させたような高価な代物だった。横には小型のサーモモジュールを下げ、腰には測距儀を差し、バックパックの外縁には折り畳み式ドローンのケースの角が覗いていた。この装備構成は普通の軍事マニアじゃない。機材の値段で経理担当を泣かせるタイプの重症患者だ。


彼は複製戦車の横に立って、地面の圧痕を低頭して確認していた。表情は観光客でも活動スタッフでもなく、法医学者が遺体を見ていたら昨夜その遺体が自分でベッドを降りて散歩していたとわかった時みたいな顔をしていた。彼が顔を上げた時、俺もちょうど彼を見ていた。


視線が合った瞬間、こいつは馬鹿じゃないとわかった。


なぜなら彼が俺を見た最初の一瞬、顔を見たんじゃなく、服を見たんでもなく、まず俺の靴の辺り、手、肩のライン、立ち位置を確認してから、少し後ろの林帯を一瞥した。あれは典型的な職業病だ。軍人の職業病じゃなく、「この場面のどこがおかしいか」を飯の種にしている人間だけが持つ癖だ。

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