187.探り合い 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
俺が目を覚ましたのは、どうにもスッキリしない音のせいだった。
銃声でもなければ、ドアノブが回る音でもない——そういう音なら反射的に手が銃に向かう。そうじゃなく、金属がぶつかる音と、革靴が床を擦る音と、古い機械が冷たい空気の中で自分の用途を思い出そうとしている音が混ざったような感じ。短く、途切れ途切れで、不規則。誰かが宿の外の闇で、時代遅れの何かをゆっくり組み立てているみたいに——やたら根気よく、そして恥知らずに。
目を開けると、部屋はまだ暗く、カーテンの端からガソリンスタンドの死んだような白い光が一筋だけ滲み込んでいた。
林 雨瞳は隣のベッドで浅く眠っている。呼吸は安定。こういう時、俺は人を起こさない。深夜の異常には二種類ある。本物と、疲れすぎた自分が作り出したやつ。人を叩き起こすコストは高い。特に初日の夜は。一度でも外したら、チーム全員の神経が安いライターみたいになる——火が出る前に、プラスチックが先に焦げる。
起き上がって、まずホルスターに手を触れ、次に時計を確認。
3時17分。
いいね。幽霊でさえ責任を取りたがらない時間帯だ。
電気はつけず、カーテンを指一本分だけ開けた。駐車場はそのまま、VitoもK7もある。向かいのガソリンスタンドは相変わらず、疲労と罪悪感を競り合うような明るさで照らしている。ガラスの向こうの夜勤店員は別の人間に替わったか、あるいは同じ人間かもしれない——あの白い光は、どんな人間も違う型番の死体みたいに見せる。
一見、何もない。
だが宿の後方、林帯と廃倉庫が接する暗がりの地面に、おかしな霧の層が漂っていた。
天候じゃない。
バストーニュ周辺で霧が出るのは珍しくない。ヨーロッパ人は死ぬ時でも霧のある場所を選ぶ。だがあれは自然に発生したものじゃなかった。低すぎる、均一すぎる、そして何より——地面の下で何かがゆっくり呼吸して、冷気を一口ずつ吐き出しているみたいだった。
数秒見ていると、廊下から軽い足音が聞こえた。
宿泊客がスリッパを引きずって自販機を探しに行くリズムじゃない。もっと安定していて、自分がどこにいるかをわかっている足音。
ドアを開けると、廊下の突き当たりの窓辺に葉 綺安が立っていた。半身を向け、ガソリンスタンドで買ってきたらしい缶コーヒーを手に、視線は外へ。
「あんたも起きてたのか」
振り返らず、ただ視線を外にずらした。
「まだ寝てない」
「見張りとして立派な職業倫理だな」
「あなたの穴埋めをしてるだけよ」そこで初めてこちらを一瞥。「後ろの暗がり、動いてる」
「知ってる」
「風じゃない」
「それも知ってる」
二人で二階廊下の細い窓から外を見た。部屋からより角度は悪いが、宿の側後方の低地が少し見える。あの霧みたいなものはまだそこにあり、さっきより少し近づいていた。宿に迫ってくるんじゃなく、地形に沿って、見えない古い境界線に沿って移動している感じ。
葉 綺安がコーヒーを一口飲んだ。
「何だと思う?」
「こういう場所なら、答えは三つしかない」俺は言った。
「どの三つ?」
「政府、幽霊、政府が片付け損ねた幽霊」
彼女は笑いそうになったが、最後は鼻から短く息を吐いただけだった。
「相変わらず、ちゃんと寝ようとしないのね」
「寝るのは環境次第だ」俺は言った。「この場所の空気は、誰かが1944年の埃をわざわざかき回して、俺たちに嗅がせようとしてる感じがする」
彼女は二秒黙ってから、声を潜めた。
「さっき、影が一列見えた」
「何人?」
「四人か、五人」眉をわずかに寄せる。「はっきりしない。後ろの低木の陰から林帯の方向に抜けた。歩調が揃ってた。宿泊客じゃない」
「何を着てた?」
「見えなかった。ただ、現代人の歩き方じゃなかった」
その一言は正確だった。
服は誤魔化せる。道具は借りられる。イベントは再現できる。訛りだって演じられる。
だが歩き方は無理だ。
どの時代の兵士か、どの時代の労働者か、どの時代の運転手か、どの時代の政府の手先か——彼らが自分の体重を重力に預ける方法は、全然違う。そういうものは、服を着替えただけじゃ誤魔化せない。
「他の人を起こした?」
「いいえ」と彼女は言った。「ただ見てた。今夜は自分たちで怖がらないって言ったじゃない」
「ちゃんと聞いてたんだな」
「希を深夜に宥める係をやりたくないだけよ」
それは正論だった。希が深夜に叩き起こされたら、最初の一言は「何があったの?」じゃなく、まず怒鳴ることから始まる。
もう数秒、低地を見た。最後に窓から離れた。
「動かない」俺は言った。「記録だけしておく。夜明けになってから確認する」
「それだけ?」
「じゃあどうする?」俺は振り向いた。「今から全員連れて、モーテルの裏の腐った草地を踏んで、バストーニュ外縁の林帯に入って、人か影かもわからないあいつらが何をしようとしてるか見に行くか? そういう英雄的行動は、検死報告書の添付資料にちょうどいい」
葉 綺安は空き缶を掌の中で半回転させた。
「検死って言葉、使用頻度が高くない?」
「予防医学だ」
部屋に戻る前に、廊下の突き当たりにある鍵のかかった物置の扉をもう一度見た。ドアの下の隙間に光はなく、ドアノブも動いていない。宿が客のために残した小さな謎みたいな顔をして、ただそこに立っていた。
俺はこういうものが昔から好きじゃない。本当に厄介なものは、案内板のついたドアの裏には隠れない。たいてい目の前にあって、地元の名物のふりをしている。
ベッドに戻ってから、俺はまともに眠れなかった。半覚醒の中で、外のあの断続的な音が二度戻ってきた。一度は遠くでエンジンが点火しようとして失敗したような音、もう一度は鉄帽か飯盒が木に当たったような音だった。
どちらも小さかった。
どちらも、単独では何かの証拠にならなかった。
だが合わせると、まるで誰かが古いネガフィルムを持って、宿の外の闇の中でゆっくりピントを合わせているみたいだった。
夜明け近くになると、世界はかえって静かになった。
これが俺が一番嫌いな部分だ。何もなかったんじゃない。いくつかのものが、昼間には認めたくない場所に引っ込んだだけだ。
朝7時前に俺が先に起きた。林 雨瞳は五分遅れで目を覚まし、起きた時にはもう俺がカーテンを半分開けて外の駐車場を見ていた。
「寝た?」
「少しは」
「じゃあ寝てない」
「フランス政府の良心よりはよく寝た」
彼女は起き上がり、指で髪を後ろに払ってから、俺の隣に来て外を見た。
昼間の宿は夜より宿らしい——これは当たり前のことを言っているようで、実は重要だ。夜は光が多くのものを演出してくれる。昼になると、偽物も、ボロも、修理する気のないものも、最初からそんなに快適に泊まらせるつもりがなかった部分も、全部一気に浮き上がってくる。
Mercier Motelの外壁は昼間の方が疲れて見えた。向かいのガソリンスタンドは昼間の方が白々しかった。駐車場には外から来た車が何台か増えていた。ナンバープレートはバラバラ——ドイツ、フランス、オランダ、それとどう見ても戦史マニアのものらしいオールドオフロードが何台か。
いいね。バストーニュの昼間が始まった。
階下に降りると、他の面々もほぼ出てきていた。希は欠伸をしながら、髪は寝癖のまま、だが口はすでに通常の戦闘態勢に戻っていた。
「深夜に出てた?」
「いや」
「廊下で話してるの聞こえたけど」
「それはあんたの眠りが浅い証拠で、褒めていいやつだ」
「あなたがうるさかった証拠で、弁護の余地なし」
朝食は思ったよりちゃんとした朝食だった。パン、バター、ジャム、コーヒー、冷たいハム、ゆで卵。人類の文明がここまで発展して、国境をまたいだ逃亡と前線拠点の最初の食事を、こんなに退職後の生活みたいに整えられるのは、ある意味で陰湿な才能だと思う。
俺たちは散らばって座った。昨夜みたいに全員で固まるんじゃなく。食堂には何組か増えていた。どう見ても地元の常連じゃない。カメラバッグを背負った人間、軍服ジャケットをわざとバラバラに着た人間、ガイドブックを抱えた老夫婦、それと一度座ったら装備の年代を大声で指摘し合い始める戦史マニアたち。
バストーニュが目を覚ました後、最初にやることは歴史オタクを外に出すことだ。
レミがコーヒーを持って俺の隣に座り、周囲を一度見回してから小声で言った。「向かいのガソリンスタンドに、夜中の4時にミニバスが10分停まってた。給油もせず、何も買わなかった」
「何人?」
「見えなかった。窓のフィルムが濃すぎて。ただ停車位置が、ちょうど宿の後側を見渡せる場所だった」
「記録しておいてくれ」
ジュリアンは小型タブレットを俺の前に押し出した。彼女が深夜にバックアップを取りながら引き出した監視カメラの映像だった。
「これが宿前の駐車場」フォークで時間軸を指した。「3時11分から3時16分の間、地面の温度が下がった。気象的な原因はない。普通の霧じゃない——霧はこんなふうに境界線を作らない」
画面の中で、宿後方の低地の一角が、まるで地面の下から熱を吸い取られたみたいに、帯状の冷たい痕跡をゆっくり浮かび上がらせていた。
細かった。注意して見なければレンズの感光ムラで片付けられる。
だが俺は昨夜実際に見ていたから、そうじゃないとわかった。
「音は聞こえた?」俺は聞いた。
ジュリアンは頷いた。「古いエンジンみたいな音と、金属部品がぶつかる音。車庫の中の音とは違った。もっと遠くで、誰かが戦争を一つ運搬しているみたいな感じ」
その一言は記憶に値した。正確だった。
クレアは反対側に座って、バターを塗りながらイベントのチラシを見ていた。
「今日の昼間はガイドツアー、マーケット、重演装備の展示、あとアルデンヌ記憶トレイルっていう徒歩イベントがある」チラシを裏返して俺に見せた。「低空飛行で下見するなら、この人の流れが隠れ蓑になる」
「じゃあ行こう」俺は言った。
「全部?」
「本当のルートを隠すために使えそうなやつを見る」
希がパンを一口かじって、チラシを眺めた。
「ずっと疑問だったんだけど」
「今日は多いな」俺は言った。
「この町に本当に残影が出始めてるなら、なんでみんなこういうイベントを続けられるの?」
俺はコーヒーを一口飲んだ。木屑を水に浸したような味がした。
「人間が一番得意なのは、自分がとっくに慣れてしまった病気に言い訳を見つけることだからだ」俺は言った。「バストーニュみたいな場所は、今夜林の中に変な人影が一列出ても、翌日死人が出ていなければ、地元の人間は昔からある話だと言う。イベントは続ける、ガイドツアーも開ける、コーヒーも売る。それが一番コストが低い」
レイチェルがカップを置いて、淡々と一言付け足した。
「実際に噛みついてから、前はこうじゃなかったって言うのよ」
「そう」俺は言った。「それはどこの地域病が悪化する時も使われる、定番の台詞だ」
朝食が終わってから、俺は全員を二組に分けた。
Vitoは俺が運転する。
これは議論の余地がない。昨夜俺が停めた車だ。今日の昼間の最初の偵察も俺が先頭に立つ。葉 綺安が助手席に乗り、後方と側道を見てくれる。林 雨瞳、希、エリザヴェータ、レイチェルは後部座席。ヴィクトリアは宿周辺に残って、休息中という名目で、誰かが宿に過度な関心を持ち始めていないか確認してもらう。
K7はレミが運転して、クレアとジュリアンが後ろにつく。ただし車間は詰めない。俺たちは車列じゃない。たまたま戦地観光に病的な興味を持つ、別々の外国人グループだ。
朝のバストーニュ外縁は、歴史に育てられた小さな町みたいだった。
道は広くなく、建物は新しくなく、記念施設と戦地標識とカフェとバーと土産物屋と普通の生活空間が重なり合って、見ていると少し頭が痛くなる。パンを買いながら、死人が出すぎた地形を通り過ぎて、午後には子どもを迎えに行ける——そういう場所だ。
ある意味で、俺はこの能力を尊敬している。どこもかしこもが、傷跡の管理を地方税みたいに運用できるわけじゃない。
最初の一周は、賑やかな広場には入らず、外縁をゆっくり回った。
イベント会場はどれも、正常すぎるくらい正常に見えた。テントを張っている人間、音響を調整している人間、軍服に近いが完全じゃない服を着た人間が道具を運んでいる、そして明らかに歴史マニアの人間たちが、どの部隊の塗装が正確かを真剣な顔で議論していた。
俺は交差点が見える場所に停めて、降りずに人の流れを観察した。
「大規模な同病相憐れむ会みたいじゃない?」希が背もたれの隙間から顔を出して言った。
「違う」俺は言った。「同病相憐れむ会は少なくとも自分が病気だと認める。これはみんなが一斉に誓約書にサインして、歴史は趣味であって後遺症じゃないと言い張ってる感じだ」
葉 綺安がふと顎で前方を指した。
「あれ」
俺は彼女の視線を追った。
一人のアメリカ人。三十代。使い込まれたオリーブドラブのジャケットを着て、首からカメラを下げ、機材がパンパンに詰まったバッグを背負っている。道端の古い標識のそばにしゃがみ込み、細部を撮影していた。手慣れた動作、マニアックなアングル。ただの記念撮影に来た観光客じゃないのは一目でわかる。彼は撮り終えて立ち上がると、リエナクトメント用の軍服を着た若者に二、三言葉をかけた。相手は、細かい指摘にうんざりしつつも反論できない、といった顔をしていた。
いいね。典型だ。
戦史マニアの中でも、レンズに大金をつぎ込み、他人の肩章の考証が甘いことを証明するために人生の半分を費やすタイプ。
「アメリカ人ね」希が言った。
「見ればわかる」
「なんでわかるの?」
「あの『俺はわかってる、お前は黙ってろ』って顔だ。アメリカ人以外にできないわけじゃないが、あそこまで堂々とやれる奴は他にいない」
彼も俺たちの車に気づいたらしい。人混みと車窓越しに、こちらを一瞥した。
知り合う気はない。俺は一秒だけ視線を返した。
向こうも歩み寄ってくる気配はない。本能的に俺たちを分類し、再び下を向いてレンズの調整に戻った。
上出来だ。これこそ正常な社会的距離。
世の中の本当に価値ある出会いの大半は、最初から馴れ馴れしくするべきじゃない。自然なものほど、最初は距離を置くべきだ。
車をゆっくりと前へ滑らせる。
「さっき、何と見合ってたの?」林 雨瞳が聞いた。
「遅かれ早かれ面倒を起こしそうなアメリカ人だ」
「範囲が広すぎる」
「ああ」俺は言った。「だが、こいつはサーモグラフィーを持ち歩いてそうなタイプだ」
この一帯を回ってみて、一番奇妙だったのは人間じゃない。奇妙な現象に対する、みんなの反応だ。
林道の入り口に近いコーヒー屋台のそばで、地元の中年男が二人、コーヒーを飲みながら昨夜「あの道でまた足音がした」と話しているのをこの耳で聞いた。まるでゴミ収集車が時間通りに来たかどうかを話すようなトーンだった。別の老婆に至っては、明け方に「古いコートを着た若者たち」が駐車場の脇を通り過ぎるのを見たと言い、挨拶もせずに礼儀がなってないと文句まで垂れていた。
隣にいたよそ者の観光客はただの怪談として聞き流し、イベント運営がわざと雰囲気作りでやってるのかと笑って尋ねる者までいた。
地元の人間も反論しない。ただ一言、こう返すだけだ。
「どうせ昼間には消える」
この態度は、本物の幽霊よりよっぽど厄介だ。
なぜなら、この残影が新しい問題ではなく、風土病になっていることを意味するからだ。
風土病の最悪なところは、悪化するかどうかじゃない。誰もがとっくにそれを日常に組み込んでしまっていることだ。
昼頃になって、俺たちはBois Jacquesの辺りにもう少し近づいた。
深く入り込むためじゃない。林の境界線と観光ルートがどう交差しているかを見るためだ。
この一帯に入ると、匂いが変わる。空気はより冷たく、土と濡れた落ち葉の匂いが濃くなり、地形もまるで旧時代の清掃しきれなかったシワのように見え始める。
道端には案内板があり、遊歩道があり、まばらな観光客がいて、写真を撮っているリエナクトメント・マニアが数人いる。すべてのものが、ここは解説可能で、歩行可能で、安全に消費できる場所だと証明しようと必死になっている。
だが、少し長く立っていれば気づく。そうじゃない。
ここの静けさは完璧すぎる。わざと上から布を押し付けたような、そんな完璧さだ。
俺はVitoを林道手前の小さな駐車スペースに停め、K7は少し離れた場所に待機させた。全員、車を降りてもすぐには口を開かず、まず耳を澄ませた。
森の中から風がすり抜けてくる。薄い風だ。遠くでガイドツアーの話し声がし、さらに遠くで子どもの笑い声が二回した。
それ以外は、何もない。
「不自然なほど綺麗じゃ」エリザヴェータが言った。
「今日は耳の痛い事実ばかり口にするな」俺は言った。
「それが妾の専売特許じゃ」
俺たちは遊歩道に沿って歩いた。深くは入らず、観光客が歩く範囲内だけを動く。こういう場所では、最初から手の内を明かしすぎてはいけない。本当に役立つ手がかりは、誰もまともに見ようとしない観光用言語のすぐ脇の隅に隠れているものだ。
二十分ほど歩いたところで、最初の「違和感」が現れた。
人影でも、銃声でもない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




