177.永遠領からの通信 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
十五分。長いとも言えない、短いとも言えない時間だ。
フランス人外交官が三つの本音を九つの戯言に書き直すには十分な時間。
首相府顧問が「俺たちは終わりだ」を「現状、事態はなおコントロール可能な余地を有する」と粉飾するにも十分。
そして白い部屋に閉じ込められた人間が、外から漏れ聞こえる風の音を聞いて、相手の棺桶のサイズをだいたい測り終えるにも十分すぎる時間だ。
問題は時間じゃない。
問題は、交渉のためじゃなく、「お前がどれだけ怯えているかを測る」ためにかかってくる電話があるということだ。
そして今、フランス人には十五分ある。エリザヴェータ・フォン・ドラキュリヤ=バートリ・ストックマンに口を開かせるかどうか、決める十五分が。
咬まれるよりも、ずっと面倒くさい話だ。
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山口多聞が四度目に部屋に入ってきたとき、俺──周 士達は、その永遠領からの電話がフランスに十五分をくれてやったと知った。
入ってきた様子が、前の三回よりも人間らしかった。
つまり外の状況は、前の三回より死体に近づいているということだ。
「スロバキア永遠領が直接フランス外務省に電話をかけてきました」と彼は言った。
俺は少し目を上げた。
「ん」
「エリザヴェータの所在、接触状況、拘束根拠の確認要求。それと、今すぐ本人と通話させろという要求も」
「ん」
山口は俺を見つめる。驚きとか、興奮とか、人間として当然あるべき感情の揺れを俺が見せるのを待つみたいに。
俺は見せなかった。
なぜなら、これは普通のことだから。
フランス人がこれまでやらかしてきたミスは全部、現代官僚システムによくある小さな病気だ。包装したがる、分類したがる、他人の運命を開封して中身を覗く資格が自分にあると思いたがる。そういうのは珍しくもない。本当に珍しいのは、そのシステムにエリザヴェータまで一緒に放り込んだことだ。
それはちょうど、家のキッチンで火事が起きたとき、真っ先に火を消すんじゃなく、ついでとばかりに吸血鬼の棺桶の蓋を開けて、寝相が衛生基準に適合しているかどうか確認しに行くようなものだ。
勇敢で。
愚かで。
すごくフランスらしい。
「残り十五分です」と山口は言う。
「奴らは通話させたくないだろうな」
「当然」
「でも、させないわけにもいかない」
山口がうなずいた。
これが面白いところだ。
国家が一番かわいいのは、威張っているときじゃない。右に行っても左に行っても足の下が地雷だと、突然気づいたときだ。
エリザヴェータに通話させなければ、永遠領に向かって「そうです、うちが彼女を拘束しています、しかも生きているとひと言確認させることすらできません」と直接告げることになる。
通話させれば、長く生きすぎて、人間がいかに醜いことを制度として書き残してきたかを見すぎてきた女を、国際通信回線に繋いで、ご自由にどうぞと言うことになる。
これは外交の選択肢じゃない。
二種類の死に方だ。
俺は指輪をゆっくり回しながら言った。「外務省はまず引き延ばそうとする。首相府はまず包もうとする。内安はまず切断しようとする」
「なんでわかるんですか」
「フランスは文化的な国だからだ」と俺は言った。「文化的というのは、間抜けなことをやる前に、必ず三つの異なる専門分野を使って自分に言い訳を見つける、ということだ」
山口が珍しく少し笑った。
「じゃあ、最終的には?」
「最終的に?」俺は椅子の背もたれに寄りかかった。「最終的には、一番間抜けで、一番現実的な答えになる」
「どれですか」
「通話させる」と俺は言った。「でも奴らは彼女の口をフランスの資産として包もうとするだろうな」
山口が目を細めた。
「盗聴ですか」
「盗聴、時間制限、傍聴、想定台本、法律用語、外交同席、もしかしたら水も一杯用意するかもな」と俺は言った。「フランス人が一番得意なのは、黙らせることじゃない。テーブルクロスとティーカップと礼儀の山の中で、自分が自発的に奴らの聞きたいことを話しているように見せることだ」
少し間を置いて、エリザヴェータの顔を思い浮かべた。人間が文明を演じているのを見るときの、ほとんど慈悲に近い皮肉の表情を。
それから俺は笑った。
「今回は奴らが運悪いな」
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フランス外務省の側では、カウントダウンが十五分から十二分に落ちていた。
当直室と臨時会議室の間の空気は、無理やりスーツを着せられた災害映画みたいだった。みんなまだ背筋を伸ばして座っていて、みんなまだなるべく完全な文で話そうとしていたが、みんなの目にはすでに「壁に共和国の紋章が掛かってなかったら今すぐ汚い言葉を叫んでいたのに」という疲労感が滲んでいた。
中東局、欧州局、法務、人権顧問、大臣室、夜間当直、スロバキア担当窓口、全部が同じ通信回線に積み重なっていた。この配置は高級料理みたいなものだ。本来一緒に鍋に入れてはいけないものを無理やり一皿にまとめて、最後はシェフが実は泣いていないことを証明しようとする。
大臣は画面の中央に座り、顔色はスクリーンの縁より冷たかった。
「一度だけ聞く」と彼は言った。「通話させない法的根拠は何だ」
誰もすぐには答えなかった。
フランスの官僚の反応が遅いからじゃない。
訓練を積んでいるから、ある種の問いは速く答えれば答えるほど早く死ぬとわかっているからだ。
ようやく法務顧問が口を開いた。ラテン語だらけの爆弾を解体するような慎重な語調で。
「当該人物が現在、正式な刑事拘束の対象ではなく、特別安全措置下における保護的接触状態に置かれているとすれば、対外連絡を全面的に遮断することは、法理上、成立させることが非常に困難です」
大臣がうなずいた。
「人間の言葉に翻訳してくれ」
法務顧問の喉が動いた。
「……完全に通話させないのは、難しい、ということです」
画面の向こうで、外交副局長がすぐに補った。「ただし直接許可すれば、フランス側が彼女を実質的に管理下に置いていることを認めることになります」
「なら管理を認めなければいい」誰かが素早く続けた。「善意による調整として包めばいい」
大臣がその人間を見た。
「今さら新しい香水の名前を発明する余裕があるのか」
その人間はすぐに黙った。
スロバキア永遠領は、普通の外国公館じゃない。これが今、全員が一番苦しくて一番口に出したくないことだった。
もしこれが中規模国家の二線級の官僚だったなら、フランスは引き延ばせる、転がせる、説明できる、スケジュールを組める、墓碑銘みたいに書かれた照会文書をまず送って、じっくり消耗戦に持ち込める。
でも永遠領はそれを食わない。
正確に言えば、十分長く生きてきたものは、近代の行政手続きをあまり食わない。
王国、帝国、共和国、共産国、神権国、歴史の中で二度死んでもまだ埋葬を拒んだ国まで、奴らは見てきた。だからフランスが「手続き」を盾にしようとしても、向こうは後輩が卒業証書で矢を防ごうとするのを見るみたいに、礼儀正しい称賛を浮かべながら、そのまま射抜くだけだ。
「通話させるとして、条件をつけることはできるか」と欧州局が聞いた。
「できます」と法務顧問は言った。「ただし、条件が通信の実質を過度に制限するものであれば、事実上の拒否と同じです」
「過度とはどこからだ」と副局長が聞いた。
法務顧問は二秒沈黙し、法律家が政治の泥の中で靴のサイズを測ることを強いられている人間の厭世的な表情を浮かべた。
「時間の制限、フランス側の同席、翻訳または手続き上の安全を理由とした立ち会い、これらは理論上、弁護できます」と彼は言った。「ただし、発言内容の事前提出を要求すること、自身の状況の説明を禁止すること、途中で任意に切断すること、これらはいずれも争点として見栄えが非常に悪い」
大臣が冷笑した。
「法律家の美的感覚には本当に感動させられる。こうなった今、どの醜さが国際紙面に載るのに適しているかを議論しているわけか」
誰も続かなかった。
なぜなら、それも本当のことだったから。
今フランスが探しているのは正しい答えじゃない。
自殺に一番見えない動作を選んでいるだけだ。
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首相府の側では、カウントダウンが十二分から十分に滑り落ちていた。
ドヴォワールは外務省から同期されてきたばかりの意見を見て、初めて、非常に純粋な行政的絶望というものを感じた。
外務省は完全拒否を怖がっている。
法務も完全拒否の保証書を書くのを怖がっている。
内安はまだ死んだふりをしている。もっと正確に言えば、自分はただの背景素材ですという顔を専門的かつ陰鬱なやり方で演じ続けている。
そして総理府の仕事が、「ノー」と言えない人間をかき集めて、「我々は事態を掌握している」という顔を対外的に作り上げることになっている。
これはすごくフランスらしい。
パリでどの学問が一番発達しているかと言えば、哲学でも文学でも革命でもない。
事態がすでに腐り落ちた後に、カメラにまずテーブルクロスを映させる方法だ。
「必要なのは正しいか間違いかじゃない」とドヴォワールは言った。「必要なのは順序だ」
助手が少し戸惑った。
「どういう順序ですか」
「通話させるなら、誰が最初に知り、誰が同席し、誰が記録し、誰が事後説明を担当するか」ドヴォワールは一つずつ並べていった。声は平静を保っていて、ほとんど麻痺しているみたいだった。「通話させないなら、誰が拒否理由を起草し、誰が国際的な後果を引き受け、誰が朝の記者会見で『保護状態』にあると言われた人物が、自分が本当に無事かどうかを確認する権利すら持たない理由を説明するか」
最後の一文を言いながら、彼自身も半秒止まった。
なぜなら、その言葉を普通の人間の耳で聞けば、この件のどこにも、もう普通の国家らしい場所が残っていないとわかるからだ。
副顧問が小声で言った。「なら、させるしかない」
ドヴォワールはすぐにはうなずかなかった。
「させる、は技術的な答えだ」と彼は言った。「政治的な答えは、彼女にどう話させれば、我々が犯罪を犯したように聞こえないか、だ」
助手たちは顔を見合わせた。誰も続かなかった。
これが総理府の一番みじめなところだ。
彼らは普通、国家の中で言葉を一番わかっている人間たちだ。
どの言葉が爆発し、どの文が引っかかり、どの画面が梗になり、どの声調が国民に「お前は死んだふりをしている」と感じさせるか、わかっている。
でも本当の災害が来たとき、彼らの仕事は人を救うことでも、法律を直すことでも、調査することでもない。
災害に、マグカップのスローガンになりにくい姿勢を選んでやることだ。
ドヴォワールはペンを紙に二回叩いて言った。「通話させるなら、三つの条件を満たさなければならない。第一、フランスが主体的に手配を提供する、強いられた形にしない。第二、形式上は『外交調整下における確認的通信』であり、拘束の承認ではない。第三、対外的な言い方は全て、特別な身分を持つ人物と関連する国際的関心に対し、我々は尊重をもって対応している、を強調する」
助手が眉をひそめた。「それだと彼女が特別な身分の人物だと認めているように聞こえます」
ドヴォワールは彼を見た。会議室が精霊になったみたいに疲れ果てた目で。
「最初からそうだ」と彼は言った。「虎を猫と呼んでも、お前の客間に入れていい動物にはならない」
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内安の方は、外務省と首相府に比べて、現実を受け入れることを強いられた苛立ちにより近かった。
ラメールは外務省から転送されてきた要求を聞いた後、最初の反応は反論ではなく、嘲笑だった。
「やっと我々の意見を聞く気になったか」と彼は言った。
会議卓の連絡官は空気を読んで、実は外務省がすでに三回聞いていたことを指摘しなかった。ただ内安の側が毎回、八行の美しい無駄話で問いを打ち返していただけだということも。官僚システムの文明の一つは、ある種の場面でお互いの記憶がそんなに良くないふりをすることだ。
「通話を許可するなら」と連絡官は言った。「少なくとも場所、設備、同席者、録音権限は我々が押さえなければなりません」
「当然だ」とラメールは言った。「うちは慈善団体じゃない」
「では、ご意見は」
ラメールはすぐには答えなかった。
卓上の資料を見た。自分では理性的だと思っているが、実際には酔っ払いのコラージュ作品みたいな制度的証拠の山を見るみたいに。
エリザヴェータの件は、最初から全部間違っていた。
彼女を捕まえたことが間違いじゃない。
彼女を普通の分類項として処理できると思ったこと、それ自体が間違いだった。
フランス人はいつも、フランスのシステムに入ったものはフランスの論理に従うべきだと信じたがる。
この信念は観光パンフレットに書けばかわいいが、外交危機に持ち込めば大抵、死にに行くと言う。
「通話させろ」とラメールはついに言った。
会議卓の誰かが少し固まった。
「そんなに直接的に?」
「他にどうするんだ」ラメールは顔を上げ、人間を冷蔵庫に入れてサイズを測るみたいに冷たい目で見た。「永遠領の側に次の電話で直接聞かれたいか。つまりフランスは今、彼女を、外部が彼女の意思を確認することすら許されない環境に置いていることを認めるのか、と」
その人間は黙った。
ラメールは少し後ろに体を預け、指で卓面を叩いた。
「ただし、こちらの条件でだ」と彼は言った。「場所はうちが選ぶ、設備はうちが用意する、同席者はうちが承認する、記録はうちが保持する。通話は無制限に延長させない、本人の要求による想定外の第三者介入はさせない、事前に手配されていない拡散的連絡もさせない」
連絡官が慎重に聞いた。「もし通話の中で彼女が自分の現在の拘束状況を直接説明したら?」
ラメールは彼を一瞥した。
「説明させろ」と彼は淡々と言った。「今、最悪なのは彼女が言うことか、それとも永遠領が我々には言わせる度胸もないと自分で判断することか、どっちだと思う」
この一言は氷水一桶みたいに、会議卓に残っていた最後の僥倖を全部浴びせた。
そうだ。
もう隠せるかどうかの問題じゃない。
隠し続けることが、認めるよりも犯罪に見えるかどうかの問題だ。
「総理府に通知しますか」と連絡官が聞いた。
ラメールの口の端が、ごく薄く、ごく刻薄に、少し動いた。
「当然だ」と彼は言った。「奴らにこの件を自分が主導した成熟した判断として書く機会を与えてやれ。それが奴らに残った最後の職業的尊厳だ」
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