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172.策略 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

臨時に押さえ込まれたんじゃなく、俺も、俺の周りの人間も全員、すでに設計の終わった国家のフローの中に放り込まれているということ。相手は最も文明的なやり方で、俺たちの未来がどういう形をすべきかを、俺たちの代わりに決めようとしているということ。このままあいつらのペースで動き続けたら、次のステップは尋問でも取調べでもなく、権限の切り分け、口封じ、協力枠組み、保護的収容、共同研究――要するに、生きた人間をじわじわと蒸し上げるのに十分な、きれいな言葉が、メニューのように一枚一枚出てくるということ。


フランス人は急いで殺さない。


フランス人はもっと洗練されている。


フランス人はまず、あなたを彼らの事情の理解に招待する。


理解し終わった頃には、もうすっかり火が通っている。


「で、どうする?」山口多聞が聞いた。


声は平坦だったが、俺には彼が無関心じゃないことが分かった。彼は誰よりもよく知っている。俺が本当に局面を見抜いたなら、おとなしくここに座って、合格サンプルとして振る舞い続けるわけがない。俺にはそれができない。精々、座ったまま、テーブルを下から引っくり返す。


俺はすぐには答えなかった。


ただ、ドアを見ていた。


そのドアには窓もなく、模様もなく、取っ手すら妙に謙虚な顔をしている。醜くはない。むしろデザインとしては洗練されていて、パリの政治美学を完璧に体現していた。刃を見せる必要はない。ただ「ドアの外の連中を、お前は絶対に好きにならない」ということだけ、きっちり意識させれば十分だ。


俺はゆっくり立ち上がり、部屋の真ん中まで歩いた。足取りは急がず、美術館で現代アートのインスタレーションを眺めているクソみたいな評論家のような歩き方。二歩ほど進んだところで、俺はふいに笑った。


今度は、さっきよりはっきりした笑いだった。


山口多聞が眉をひそめる。


「また何を思いついた?」


「面白いことをな」


「何だ?」


「フランスのこの仕組みが成立するには、前提がある」


彼は俺を見た。


俺は指を一本立てる。


「一つ目。あいつらがまず、自分たちを一つの塊として維持できること」俺は言った。「内務治安も、軍も、外交も、それから変なものを見るたびに自分用の部署を新しく生やしたがる連中も、少なくとも表面上は足並みを揃えること」


二本目の指を立てる。


「二つ目。外にいる人間に、『あいつらはリスクを処理しているのであって、山分けしているんじゃない』と信じさせること」


三本目。


「三つ目。これがいちばん重要なんだが――俺たちが、あいつらの切った順番通りに、一切れずつおとなしくテーブルに上がると確信していること」


山口多聞は俺をじっと見た。その不機嫌な顔に、見慣れたものが混じり始める。経験、というやつだ。俺がろくでもない悪巧みを思いつく前には、いつもこの、始末に負えない我慢強さが顔に出る。


「それで?」彼が聞く。


俺は手を下ろし、ゆっくりと袖口を直した。この服には直すほどの乱れなど何もないのに、まるで晩餐会に向かう前の準備みたいな手つきで。


「それで?」俺は彼を一度見て、笑った。「話は簡単だ」


「どこが簡単なんだ?」


「あいつらが分類したがってるなら」俺は言った。「分類しにくいものを一つ、くれてやればいい」


彼は俺を見つめ、奥歯がじわっと痛み始めるような感覚を覚えたはずだ。予感じゃない。経験だ。俺がこの調子で「簡単だ」と言うとき、たいてい続く展開は、二フロア分の会議録を燃やさないと説明できないレベルの複雑さになる。


「何をするつもりだ?」彼は低い声で聞いた。


俺はテーブルのそばまで歩き、指先で軽く天板を叩いた。


音は小さかった。


ある将軍が盤面の端で指の関節を一度鳴らして、相手に「動くぞ」と知らせるような、そういう小ささだった。


「焦るなよ」俺は言った。「まだ一つ、確認したいことがある」


「何だ?」


「ヴィクトリアが部屋を出る前に、わざと何か残していかなかったか?」


山口多聞は一瞬止まり、それから眉をひそめて記憶を辿った。彼はただ聞いていたわけじゃない、見てもいた。ヴィクトリアみたいな人間が、ただ座って問われるままにしているわけがない。口を開いたなら、必ず自分の計算がある。


「あった」彼はすぐに答えた。「最後の数言は、守りじゃなかった。釣りだった」


「何を釣った?」


「あいつらの食欲を」山口多聞は言った。「彼女は話を全部言い切らなかった。でも、あの連中に『フランスが今触れているのは、まだ外側かもしれない』と、わざと気づかせた。『本当に眠れなくなるようなものは、まだ出していない』。そう匂わせた」


俺はそれを聞いて、今度は本当に声を出して笑った。


大きくはない。でも、はっきりした笑いだった。


その笑い声は白い部屋の中で一度跳ねて、場違いなくらい浮いて見えた。葬式会場で誰かがタバコに火をつけて、ついでに供花の並べ方にケチをつけている、そんな場違いさ。


「いいね」俺は言った。


山口多聞が俺を見つめる。「何がいい?」


「最高に、いい」俺の目は、本当に明るくなっていた。「あれはフランスへの回答じゃない。俺のために、盤面を一手進めてくれた一着だ」


「お前の棺桶に、釘を一本余計に打ち込んだんじゃないか?」


「本当に俺を打ち込める度胸があるなら、あいつら、今さら記録官と通訳なんか挟んで値踏みしてない」俺は淡々と言った。「あいつらは安定してるんじゃない。飢えてるんだ」


飢え。


その一語が出た瞬間、部屋の匂いが変わった。


腹の足しの話じゃない。権力の飢えだ。国家機械が機会の匂いを嗅ぎつけたとき、口では秩序を語りながら、指先ではすでに資産の帰属を計算し始めている、あの種類の飢え。この飢えは憎しみより危険だ。憎しみは手元が狂うこともあるが、飢えには往々にして、変に根気がある。


俺はようやく、この件の全体像を考え抜いた。


フランスが本当に厄介なのは、恥知らずかどうかじゃない。恥知らずなことを責任感に見せかける技術が、死ぬほど上手いことだ。技術を奪いたいくせに「奪う」とは言わず「保護する」と言う。人を支配したいくせに「支配する」とは言わず「手配する」と言う。関係を壊したいくせに「壊す」とは言わず「整理する」と言う。人を丸ごと飲み込みたいくせに「飲み込む」とは言わず「体制への組み込み」と呼ぶ。


文明的なことこの上ない。


文明的すぎて、歯が浮く。


山口多聞は俺の表情が固まったのを見て、一言聞いた。「で、どうやってあいつらを分類しにくくするつもりだ?」


俺はすぐには答えなかった。


ベッドのそばに戻って腰を下ろし、もう一度指輪を一周なぞった。その姿勢はどこか怠そうで、本物の大火の前に、ライターを手の中で二、三回放り上げて感触を確かめているような雰囲気だった。


「フランスが今いちばんやりたいのは、俺たちを三つに切り分けることだ」俺は静かに言った。「人間、技術、それからナラティブ」


山口多聞がうなずいた。


「人間の部分は、じっくり崩せると思ってる。技術の部分は、もう我慢できなくて手を伸ばしかけてる。ナラティブの部分は――」俺は目を上げ、口の端を歪めた。「まだ自分たちがコントロールできると思ってる」


彼が目を細めた。


「どの部分を動かす?」


俺は笑った。


「一番見栄えのする部分に決まってる」


「人間の言葉でしゃべれ」


「ナラティブだ」俺は言った。「フランスが今いちばん怖いのは、俺たちじゃない。自分たちが『危機の処理』から『気に入った商品を見つけた』に移行していることを、他の誰かに先に知られることだ」


山口多聞の中で何かが動いた。


「外に流すつもりか?」


「流すんじゃない」俺は彼を正した。声はゆっくりで、ひどく意地悪だった。「それは雑すぎる。パリみたいな場所で雑仕事は警棒に任せておけばいい。本当に効くやり方は、特定の人間に自分で匂いを嗅ぎつけさせることだ。そして『テーブルの上のあの料理を、誰かが独り占めしようとしているんじゃないか』と、自分で疑い始めさせる」


そう言い終えて、俺は手を上げ、指輪を軽く叩いた。


「教会筋はまだ動かさない。早すぎる」俺は言った。「フランスは今でも教会に対して本能的な敬意を持ってる。だから取り繕う。取り繕った顔は、面白くない」


「じゃあ、誰だ?」


俺は答えず、ただ山口多聞を一度だけ見た。


その目が、すべてを語っていた。


彼の顔が、見る間にさらに半寸暗くなった。


「何で俺を見る?」


俺は完璧に無実な声で言った。「お前がパシリをするからだ」


「俺は死んでる」


「だから時差がない」


「……」


山口多聞は堪えて堪えて、結局堪えきれず、歯を食いしばって吐き出した。


「周 士達(ジョウ・シーダー)、俺はクソったれな魔法のランプの精じゃねえぞ」


俺は「うん」と一声、実に器用な適当さで返した。


「違う」俺は言った。「お前は上級顧問だ。ただ、登場の仕方がちょっと神秘的なだけで」


彼は俺をしばらく睨み続け、それからふいに笑った。


友好的な笑いではなかった。どちらかというと、意地の悪い笑いだった。


「いいだろう」彼は言った。「どうせやるつもりなら、先に一つ言っておく。この一手を打ったら、外の連中はもうお前をサンプルとしては見なくなる」


俺はうなずいた。


「分かってる」


「事故の発生源として見るようになる」


俺はまたうなずいた。


「その方が正確じゃないか?」


彼は一瞬、言葉に詰まった。


返せなかった。間違いとは言いにくかったからだ。


俺みたいな存在は、そもそも秩序が整いすぎた場所にはあまり向いていない。どちらかといえば歯車の中に落ちた釘みたいなもので、すぐに機械を止めるとは限らないが、必ず機械に音を立てさせる。フランスの今いちばんの不幸は、釘を箱に入れて番号まで振ったつもりでいながら、その箱自体も歯車の一部だということに、まだ気づいていないことだ。


部屋が数秒、静まった。


それから俺は笑いを引っ込めた。


笑みが消えると、俺はむしろはっきりと醒めた顔になった。嘲りの中から抜け出して、ようやく本題に入るような顔だ。


「聞け」俺は言った。


山口多聞が少し背を伸ばした。


「ヴィクトリアのあの場で、フランスの連中がいちばん反応した言葉を拾ってこい。全部じゃなくていい。聞いた瞬間に、別々の部門がそれぞれ勝手に妄想を膨らませるような言葉だけでいい」俺は言った。「『転用可能』、『低階代替』、『場域媒介』みたいなやつだ。それから、あいつらの中で誰が最初に口を開いたか、誰が食いついてきたか、誰が遮られたか、それも整理してくれ」


山口多聞が眉をひそめた。「そこまで必要か?」


「当然だ」俺は彼を一度見た。「誰が一番飢えた顔をしてるか、知っておかないといけない」


「知ってどうする?」


「知ってから、どこに毒を盛るか決める」


白い光の下で、その言葉は凄みどころか、妙に筋が通って聞こえた。それこそが本当の皮肉だった。フランス人はあらゆる危険を手続きにしたがる。俺は公平だ。フランスを崩すときも、ちゃんと段取りを踏むつもりでいる。


山口多聞はしばらく黙っていて、ふいに言った。「今のお前、妙に嬉しそうだな」


俺は少し考えて、素直に認めた。


「まあな」


「閉じ込められてるのに嬉しいのか?」


「最初は、あいつらは俺を閉じ込めたいだけだと思ってた」俺は淡々と言った。「でも今見ると、あいつらは一度に食べすぎようとしてる」


「それの何が嬉しいんだ?」


俺は目を上げた。その静けさの奥に、ようやく本物の悪意が灯った。


「食べすぎる奴は、たいてい喉に詰まらせるからだ」


山口多聞は黙った。


これが最初の山場だと、彼には分かっていた。


怒鳴るわけでも、物を叩きつけるわけでも、ドアを殴りに行くわけでも、どこかのフランス官僚が突然銃を抜くわけでもない。本当の山場とは、俺がこの消毒済みの棺桶みたいな白い部屋の中で、ようやく局面の全体を見抜いて、その次の瞬間に、諦めを選ばなかったことだ。


逃げることも選ばなかった。


俺が選んだのは、もっと性質の悪いことだった。フランスを先に乱す、ということだ。


俺は改めて腰を下ろし、両手を組んだ。姿勢は正しくはないが、ひどく安定していた。もうドアは見ていない。ドアの向こうに、まだ自分たちが進行を握っていると思い込んでいる連中の姿を透かして見るような目つきだった。


内務治安は、どう封じるかを考えている。

軍は、どう触れるかを考えている。

外交は、どう取り繕うかを考えている。


俺がやるべきことは、その三種類の欲から、一番早く崩れそうなものを一つ選んで、そこにナイフとフォークを差し出してやることだけだ。


白い照明が俺を照らしていた。公平に、そして実に無情に。


数秒後、俺はふっと笑い、低い声で言った。


「パリよ……」


俺は手を上げ、指先で指輪の表面をもう一度静かに叩いた。


「お前たちが本当に十分に優雅であることを祈っておけよ」


俺は少し間を置いて、目の光が一寸ずつ冷えていった。


「そうじゃないと、この罠、すぐに笑い話に見えてくるぞ」

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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