168.軟禁 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
ドアが背後で閉まる音は、ひどく静かだった。
刑務所の鉄扉みたいな重い響きでもなく、軍の防爆ドアみたいな機械的な咬み合わせの金属音でもない。高級ホテルの客室ドアに近い。厚くて、密で、静かで、閉まった瞬間に残響まで飲み込んでしまう。残るのは、ラッチがかかるときのかすかな音だけ。躾のいい何かが、口を閉じたみたいな音だ。
俺はその場に立ったまま動かず、まず目で一周した。
部屋は広くない。長方形。白い壁。グレーのカーペット。シングルベッド一つ、細長いテーブル一つ、椅子一脚、フロアランプ一灯、壁の隅に埋め込み式のクローゼット。鏡なし、絵なし、余計な調度品なし。左の壁に細長い窓が一つあるが、開口部が高い。外は街の景色じゃない。すりガラスだ。つまり、外に光があることは分かるが、自分がどこにいるかは分からない、そういう設計だ。
テーブルの上に水がある。二本。ラベルはきれいに剥がされている。
シーツは定規で測ったみたいにぴんと張られていて、枕の膨らみ方が不自然なほど整っている。臨時収容施設、接待室、保護的拘禁所、国家安全部門が借り上げたホテルのフロア――そういう場所を俺はそれなりに見てきた。この匂いは知っている。牢屋には見えない。普通のホテルより清潔なくらいだ。でも、清潔すぎるからこそ、隠したいものが全部浮き上がってくる。
荷物がない。元々持っていたバッグもない。自分を「客」だと思わせるような細部が、何一つない。
三歩前に進む。靴底がカーペットを踏む音は、ほとんど聞こえない。カーペットの下に吸震パッドが一枚入っているはずだ。ドアからベッドまでおよそ二点八メートル、テーブルまで一点九。椅子は木骨フレームにクッションを張ったタイプで、持ち上げると思ったより軽いが、重心が武器向きじゃない。フロアランプの台座は固定式で、分解できない。天井の右後ろ角に冷房の吹き出し口。換気は安定していて、外の人の声が漏れてこない。風道が独立している。普通のホテルの部屋じゃない。
いいね。
フランス人は、軟禁まで室内デザインで仕上げてくる。
テーブルの表面に手を当てた。木目は本物で、突き板じゃない。でも角が丸すぎる。明らかに特別に処理してある。テーブルの脚の内側に鋭角はない。引き出しに鍵はないが、中は空だ。これは人間が使うためのものじゃない。検査報告書のためのものだ。後日、誰かが「周氏は本国の安置期間中、十分な休息環境を提供された」という文書を書くとき、写真映えが完璧になるように設計されている。
白い壁。清潔な水。独立した換気。刺激を抑えた照明。
監禁まで「保護」と書き換える国は、黒い塔より解体が面倒だ。
椅子を少し引いた。座らずに、まずドアを見る。
内側にドアノブがある。回せる。ただ、さっき一度試したとき、ラッチは引っ込まなかった。完全に塞がれているわけじゃない。電子錠だ。つまり、外の人間はノブが見えることを気にしていない。どうせ回らないと知っているから。これもパリの悪い癖の一つだ。命令を選択肢の中に包んで、まだ自分に選ぶ余地があると思わせる。でも、道はとっくに引かれている。
その場に半分ほど立ったまま、さっきの会談の終盤を頭の中で巻き戻した。
フランスの内務側が最初に変調した。安全保障の担当者が引き継いだ。教廷の代表が手続きを公開の枠組みに引き戻そうとした。台湾の代表処と中国大使館は、何かがおかしいと察して、「身柄の扱い」と「手続きの明示」の話に持ち込もうとし始めた。クレールが切り離された。記録が封じられそうになった。そして、あの安全官がその一言を言った――
今すぐ移動に協力してください。
丁寧な一言だ。
人を殺意に変える一言だ。
礼儀じゃないから。あれは宣告だ。
あの瞬間から、俺はパリの人間の目の中で、会談の相手じゃなくなった。マルセイユの黒塔事件における一時的な協力者でもない。台湾から来た、外交的な体裁を保つべき特殊な人物でもない。俺は再定義された。搬送され、番号を振り直され、場所を変えなければならない「リスク物件」として。
そして、俺はここに運ばれた。
プロセスはきれいだった。触れられなかった。押さえつけられなかった。銃口を背中に当てられなかった。口調も、高い教育を受けた人間が夜のニュースに出られるレベルを、最後まで保っていた。ただ、安全要員が二人前、一人後ろ。二度角を曲がって、窓のない廊下を通って、三回カードをかざして、別の二人に引き渡された。全行程が、高級病院の病棟移送みたいだった。
素人が見たら、フランスが俺を守っていると思うだろう。
玄人なら、別の三文字しか見えない。視認性の遮断だ。
元いた場所から出す。 元いた人間と話させない。 誰に自分を見せるか、自分で選ばせない。
黒塔は少なくとも正直だった。黒塔はただ、お前を解体して食いたかった。パリは違う。パリはまず、ベッドを整えて、水を置いて、正しい文法でこれはあなたのためだと告げてから、ゆっくりと、自分たちのファイルに収まる形に削り始める。
あの高い窓の下まで歩いて、二秒見上げた。
何も見えない。
まあいい。
見えたところで時間の無駄だ。
向き直って、壁に背をつけて、一つずつ整理し始めた。
まずフランスから。
フランスは今、俺に強硬手段を使えない。理由は四つある。
一つ目、マルセイユが終わったばかりで、黒塔事件はまだ熱い。外から見ている人間が多すぎる。パリ、マルセイユ、教廷、EU安全保障システム、台湾代表処、中国大使館、それにクレールのメディアラインも全部見ている。今ここで俺を消したら、消した側が説明責任を取ることになる。
二つ目、フランスはまだ俺の本当の切り札を掴んでいない。
俺に利用価値があることは分かっている。俺が面倒なことも。俺がコントロール不能なことも。俺が黒塔、冥界、教廷、岳家軍、馬三娘、そういった訳の分からないものと繋がっていることも知っている。でも、いちばん核心にあるラインがどこにあるかは、まだ分かっていない。指輪のことを知らない。少なくとも、指輪というレベルまで確認はできていない。知らない限り、最も重い手は打てない。砕いたとき自分の手が爆発するかどうか、分からないから。
三つ目、フランスの内部が一枚岩じゃない。
内務は回収したい。安全保障は管理したい。外交はラッピングしたい。軍は別の思惑を持っているはずだ。さらに教廷がフランスの単独消化を許さない。台湾も黙って手を引かない。中国も、この件で利用できる足場を逃さない。パリは今、鉄の板じゃない。礼儀という布で亀裂を覆った、磁器の食卓だ。
四つ目、ワイスマンだ。
さっきの場で、俺はかなり踏み込んだことを言った。ワイスマンは新興の過激組織でも、戦後の遺毒が偶然浮上したものでも、誰かの個人コレクションでもない。古いものだ。八十年前に死に切れなかった種類のものだ。ペーパーカンパニー、資金の流れ、パリ本地の残存接点。深く掘れば、誰の身に灰がついているか、当の本人たちにも確認できていない。
だからフランスは手を出せない。
しかし同じ理由で、フランスは俺を放せない。
それが問題だ。
手を出せない、かつ放せない相手は、いちばん面倒だ。なぜなら、そういう相手は言葉を発明し始めるから。保護。安置。隔離。手続き。協力。再評価。暫定。必要。安全条件。省庁間調整。どの言葉も、鞘に収めた刃みたいなものだ。鞘をつけたまま見ると文明的に見える。抜いたとき、やっぱり刃だ。
目を閉じて、さっきの会談の全場面を、顔ごと、間合いごと、視線の交差ごと、もう一度流した。
内務の代表は、俺がペーパーカンパニーの話をしたとき、目の端がわずかに動いた。安全官は俺を見なかった。先に右側の法律顧問を見た。教廷のあの老狐は「スイス、ベルギー、オランダ」という言葉を聞いた瞬間、書類の端に置いた指が一拍止まった。中国大使館の人間は、そのとき逆に姿勢が落ち着いた。フランスが恥をかくほど、自分たちに旨みが増えるから。台湾の代表処が一番やっかいだった。俺を守りたいのは分かる。でも、パリが卓をひっくり返したとき、代表処の立場だけでフランスの国家安全保障システムに正面から当たるのは、現実的じゃない。
クレールは……クレールは、あのとき目が変わった。
取材対象を見る目じゃなかった。マルセイユの黒塔から出てきた変な奴を見る目でもなかった。国家という機械が、人間に噛みつく前の予兆を見ている目だった。
まあ、頭は悪くない。
目を開けて、ベッドの端まで歩いて、腰を下ろした。そして、すぐ立ち上がった。
ベッドが柔らかすぎる。
こういう部屋はそういうものだ。マットレスまで戦略の一部だ。よく眠らせるためじゃない。緩ませるためだ。清潔で、静かで、退屈で、リズムのない空間に置いて、じわじわと戦闘状態を溶かす。時間感覚を失わせる。自分がまだ自分のホームグラウンドにいるかどうか、判断する力を削ぐ。
生憎、相手を間違えた。
俺は汚い場所が怖くない。
怖いのは、きれいすぎる場所だ。
汚い場所は、たいてい死人が多いだけだ。
きれいすぎる場所は、生きている人間の計算が多すぎる。
ポケットに手を入れると、指輪に触れた。
冷たい。
今この瞬間まで、フランスは俺の通信を遮断したと思っている。まず携帯を取り上げて、転送して、安置して、顔を見知った人間を引き剥がして、理論上はあらゆる正規ルートから俺を切り離した。このやり方を普通の人間に使えば、十分だ。情報員の半分にも通用する。
ただ、俺の手の中にあるのは正規のルートじゃない。
親指でゆっくりと、指輪の面を擦った。
光もない。ドラマチックな演出もない。金属の中から、ごく薄い陰の冷たさが滲み出てくるだけだ。冬の夜明け前、墓地の脇で、石が一晩かけて霧を吸い込んで、それを吐き出すときの温度に似ている。部屋の照明は揺れなかった。でも、壁の隅の影が、少し厚くなった気がした。
もう二回、擦る。
「周 士達、俺はランプの精霊じゃねえぞ」
声が先に出てきて、人が後から出てきた。
山口多聞は、フロアランプの後ろの影から剥がれ出てきた。浮いたわけでも、潜り抜けたわけでもない。どちらかというと、水を吸い切った古いポスターを壁から力ずくで引き剥がすみたいな感じで、まず輪郭が現れて、次に顔のパーツが現れて、最後に全身が、死人特有の湿った匂いと一緒に立った。顔は死ぬほど不機嫌で、出てきた瞬間から俺を睨んでいた。呼び出された上に、呼び出した相手が嫌いな上司だと分かった老鬼みたいな顔だ。
「文句は二言まで」俺は言った。「最近暇すぎただろ、体動かすのも健康のためだ」
山口は一瞬固まって、さらに顔が険しくなった。
「俺はもう死んでる」
「でも口はまだ動く」
「その口がいつかお前を殺す」
「そのときはお前に後始末を頼む」
「俺がそんなことしたいと思うか?」
文句は言いながら、目はもう部屋を一周していた。こういう古い鬼は、修羅場を知らないわけじゃない。壁の隅、ドア、窓、テーブル、水のボトル、ランプ、換気口――ほぼ一秒で全部見終えた。そして、その死人の顔に、じわじわと何とも言えない、人の不幸を見て喜ぶ近所の人みたいな笑いが浮かんできた。
「へへ」両手を袖に引っ込めて、肩をすくめた。「誰かさんが軟禁されてるじゃないか。この部屋、なかなかいいぞ。フランス人のセンス、思ったより悪くないな。どうだ?ベッドは柔らかいか?ドアの鍵は礼儀正しいか?」
「もう一言言ったら夜明けまで立たせる」
「立てばいいだろ、どうせ俺は眠らないし」彼は少し機嫌が戻ったらしく、ちらりと俺を見た。「まあいい。何か手伝えることがあるか?」
テーブルの端まで歩いて、椅子を少し角度を変えて置いた。座らず、テーブルの縁に寄りかかって、山口を見る。
「まず一走りしてきてくれ。雨瞳たちのところへ」
山口が眉をひそめた。「今か?」
「今だ」
「俺を郵便屋にする気か?」
「指輪の中で腐ってるよりは、使い走りのほうがまだ公費散歩だろ」
「周 士達、お前は本当に――」
「余計な話は後でいい、先に聞け」
山口は目を一回転させたが、黙った。
俺は条件を一つずつ言い渡した。
「一つ目、雨瞳に伝えろ。俺は無事だが、フランスがもう動いた。普通の接待じゃない、実質的な軟禁だ。部屋は小さい、換気は独立、ドアは外部制御の電子錠、通常の通信は今のところ遮断されている。場所は不明、おそらくパリの管轄内、警察署じゃない、普通のホテルでもない」
山口が一度うなずいた。
「二つ目、フランスはまだ指輪のラインに気づいていないと伝えろ。少なくとも確証はない。それが今、俺たちがまだ息をできている理由だ。だから外の誰かが『別の通信手段がある』という素振りを見せないようにしろ」
「分かった」
「三つ目、雨瞳に焦って突っ込むなと言え。今は攻め込むタイミングじゃない。フランスは誰かが先に暴走してくれるのを待っている。そうなれば手続きをエスカレートできる。雨瞳はそれが分かる。葉 綺安には分からない。まず雨瞳を先に探せ」
山口の口の端がわずかに引きつった。「葉さんへの評価、ずいぶん遠慮がないな」
「これでも、だいぶ抑えた言い方だ」
「まあ、そうだな」彼はあっさり同意した。
俺は続けた。
「四つ目、希には黙ってればいいと伝えろ。フランスが事情聴取をしようとするなら、まず言葉を崩しにかかる、指揮系統を崩しにかかる、身元を崩しにかかる。嫌なら無視でいい。わざわざ向こうに便宜を図ってやる必要はない」
「あの子、もともと人間をあまり相手にしないけどな」
「それでいい。それが長所だ」
「五つ目、葉 綺安がその場でフランスの建物を解体しようとしたら、まず五分間、好きなだけ怒鳴らせろ。それから押さえろ。必要なら馬三娘に出てきてもらっていい。ただし、脅かすだけだ。先に手を出すのは無し」
山口が笑った。「それは難しいと思うぞ」
「難しくてもやれ」
「エリザヴェータはどうする?」
俺は少し間を置いた。
エリザヴェータというのは、厳密に言えば「制御可能な変数」の欄に入れていい存在じゃない。永遠領の大公女で、自己認識はフランス共和国の歴史より長く、気性も趣味も現代外交には向いていない。もし彼女が「これは不法拘禁だ」と判断したら、中世貴族と現代国家が互いに訴状を叩きつけ合うような馬鹿げた方向に、場を引きずっていきかねない。
そこまで考えて、それでも俺は言った。
「伝えろ。あまり大きく動くな、と。卓をひっくり返したいなら、フランスが『事情聴取』という言葉をはっきり口にしてからにしろ。その前に動いたら、向こうに口実を渡すだけだ」
山口は聞き終えて、何とも言えない顔をした。
「それ、フランスをかなり買ってるのか、かなり舐めてるのか、どっちだ?」
「両方だ」
「分かった。他にあるか?」
「ある」俺はドアを見た。「ついでに二つ確認してきてくれ。一つ、外に張ってる人間は何人で、交代のリズムはどうで、話し方のアクセントはどの系統か。二つ、このフロア全体に、他に『客』がいないか」
山口が眉を上げた。「お前一人じゃないと思ってるのか?」
「フランスが今夜、俺一人だけに構ってるとは思えない」
「確かに」彼はうなずいた。「ワイスマン、ペーパーカンパニー、黒塔、教廷、各国大使館、それにお前みたいな厄介者まで揃ったら、俺でも部屋を一つだけ見張るなんて無駄なことはしない」
「最後にもう一つ」
「言え」
「クレールを見かけたら、脅かすな」
「なんで?」
「まだ使えるから」
「……なるほど」山口は死人にしか出せない種類の悪い笑いを浮かべた。「お前も記者を使うことを覚えたか」
「外部の証人を手元に置いておくのは当然だ。それを手放すほど馬鹿じゃない」
「それ、雨瞳が言いそうな台詞だな」
「だとしたら、あいつの話にも、たまには意味があるってことだ」
山口が舌打ちして、一歩後ろに引いた。輪郭がぼやけ始める。
「分かった。お前はここでおとなしくしてろ。自分で死ぬな」
「それ、フランスに言ったほうが効果あるぞ」
「周 士達」
「何だ」
「さっきの会議で、また全員敵に回したか?」
俺は彼を見た。答えなかった。
山口は俺の顔から、もう答えを読み取ったらしかった。死人特有の匂いを含んだ、深いため息をついた。
「やっぱりな」口の端を引いた。「その口がいつかお前を殺すって言っただろ」
「今先に死んでるのはお前だけどな」
「……くそ」
彼は全身をひとつ縮めると、風に吸い込まれるように壁の隅の影の中へ消えた。
部屋が静かになった。
しばらく立ったまま、それからベッドの端に腰を下ろした。今度はすぐには立ち上がらなかった。
山口が動き始めた。外の連中はまだ、自分が見張っているのが普通の人間じゃないとは気づいていないだろう。手持ちの牌はまだある。ただ、多くもない。フランスの優雅な罠は、一気に締まる縄じゃない。テーブルクロスに近い。最初は平らに、きれいに広げられて、まだ交渉の余地があるように見せる。本当に座ってみて初めて、クロスの四隅に鉛の重しが仕込まれていたと気づく。
さっきここに戻る道を歩きながら、ずっと計算していた。
フランスがどこまで踏み込めるか。 台湾代表処がどこまで持ちこたえられるか。 中国大使館が混乱に乗じて動くかどうか。 教廷が秩序を守りに来るのか、自分を守りに来るのか。 クレールが、まだ潰されていない外部ラインとして機能するかどうか。 葉 綺安たちが先に爆発しないかどうか。 この白い部屋の中で、パリを廃墟にする前に構造として解体できる時間が、どれだけ残っているか。
計算し終えて、出た結論は一つだった。
俺はもう踏み込んでいる。
網に引っかかったわけでも、捕まったわけでも、単純に閉じ込められたわけでもない。そんな粗いやり方は、パリはしない。パリがやるのは別のことだ。まず手続きを渡す。次に敬意を渡す。次に清潔なベッドとラベルのない水を渡す。そして、それら全部を使って証明する。もし君が従わないなら、問題があるのは君のほうだ、と。
これが優雅な罠だ。
鎖より外しにくく、刃より防ぎにくい。
なぜなら、先に傍観者に「あいつが自分で話をこじらせた」と思わせるから。
指輪を一度見下ろして、手で顔を強く拭った。
いい。
そういうゲームがしたいなら、付き合ってやる。
ただし、テーブルクロスが全部めくれたとき、パリの体面を守ってやる義理は俺にはない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




