166.政治は遅れてやってくるかもしれない、だが決して欠席することはない 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
戦後三時間。街がまだ目を覚まさないうちに、官僚どもが先に目を覚ました。
マルセイユの空が白み始めていたが、それは讃えるべき夜明けなんかじゃない。煙と塩霧と焼け焦げた木材が、海風の中でゆっくりと色褪せていくだけだ。第三黒ミサ塔はまだ熱気を上げている残骸の山に変わり、第二塔が倒れ込んだ一帯の街区もまだ片付けの最中だ。救急車、消防車、憲兵隊の車、教会の車、どの部隊のものか調べるのも面倒くさい黒いバンが、全部まとめて市庁舎の外周と第一塔の周辺に詰まって、広場を文明の皮を被った廃鉄置き場に変えていた。
第一塔はまだ立っている。
もはや敵の塔というより、政府の顔面に突き刺さった釘みたいなもんだ。フランスは気に入らない。教皇庁は複雑な心境で眺めている。台湾弁事処は八割方、こういうものが本国への報告業務の範囲内に入るのかどうか頭を抱えているはずで、中国大使館はおそらくもう、自分たちのシステムには明らかに属さないこの代物を、いかにも自分たちが最初から理解していたかのような報告書に仕立て上げる方法を研究し始めているだろう。
人間が災害に直面した時の反応は、実にワンパターンだ。
第一段階、逃げる。 第二段階、撮る。
第三段階、判子を押す。
俺は今、その第三段階のど真ん中に挟まっている。砲身から掘り出されたばかりで、まだ煙を上げている弾丸みたいに、みんなに順番に持ち上げられては、こいつは証拠物件か、資産か、危険物か、それとも自分のポケットにこっそり放り込める戦利品か、値踏みされている。
俺は市庁舎二階の、徴用された会議室に座っていた。背後の窓は半分割れていて、防水シートと板切れ二枚で応急処置してある。部屋の中央にある長テーブルは本来なら予算か土地開発の話し合いに使うものだが、今その上には弾薬記録、死傷者リスト、暗号無線機が二台、借り物の衛星電話が一本、とっくに冷めたコーヒーが三杯、それと誰かが押しつけていったフランスのバタークッキーが一袋。手はつけていない。黒ミサ塔から生きて戻ってきたばかりの人間は、甘いものをすぐに信用しようとは思わないもんだ。
ドアの外で、誰かが言い争っている。
戦場のあの種の騒ぎじゃない。もっと気持ちの悪い方だ。みんな声を落として、教養があって、手順を踏んでいて、法的根拠があるように聞こえようと必死になっているが、骨の髄まで言っていることは同じだ。
俺が先にあなたと話す必要がある。 いや、先に私と話すべきだ。 せめて最初にこちらへ来い。 あちらへは先に行くな。 まず態度を明らかにしろ。 お前は結局、誰の人間だ。
俺は冷めたコーヒーを一口飲んだ。正直なほど不味い。
リン・ユートンがドアに寄りかかっていた。顔色はまだ白く、目の下に濃い隈が二重に刻まれている。手には二台のスマートフォン。一台はフランス人が無理やり渡してきた臨時用、もう一台は台湾弁事処から回ってきた連絡用だ。彼女は俺を見ている。戦場から拾ってきたばかりで、呪いがかかっているかどうかまだ分からない装備を見るような顔で。
「元の端末、使えなくなった」
「壊れたのか?」
「違う」少し間を置いてから、「止められた」
「誰に?」
「台湾側」
俺は頷いた。意外じゃねえ。
いかにもあいつらのやり方だ。最初にあなたの都合を聞くんじゃなくて、まずドアに鍵をかけておいて、それから小窓から顔を出して、協力する気があるかどうか聞いてくる。乱暴というより、非常に礼儀正しい恐喝に近い。
「理由は?」俺は訊く。
「各方面からの直接接触を避けるため」彼女は新しいスマートフォンをテーブルに置く。「駐仏弁事処の指示。行動再開後、優先してそちらへ。フランス政府との単独会談には直接応じないこと。中国大使館からのいかなる形の招待にも先に返答しないこと」
「中国大使館はもう動いたのか?」
リン・ユートンが頷く。
「手を伸ばした、じゃない。腕ごと突っ込んできた。さっき一回目の照会、今は二回目」
「熱心なこった」
「フランス政府は三日以内にパリへ」彼女がさらに続ける。「教廷側は、第一塔の処置権をまず確保するよう要求。フランス側の単独接管は認めない」
俺は二秒考えた。
「つまり今、フランスは俺をパリへ連れていきたい、教皇庁はフランスに俺を丸ごと持っていかせたくない、台湾はまず弁事処に来させたい、中国はみんながまだ足場を固めていないうちに先に話をつけたい、ということか」
「だいたいそういうこと」
「結構だ」俺は言う。「世界秩序が戻ってきた」
リン・ユートンは笑わなかった。
俺が褒めていないことは分かっている。
その時、ドアが二回ノックされた。ずいぶん行儀のいいノックだ。フランスの官僚みたいじゃない。聖職者みたいでもない。大使館の人間みたいでもない。あの手合いのノックは、どちらかというとお前に権限を行使しているという感じがする。このノックは、まだお前を人間として扱っていいか確かめているみたいな音だ。
「どうぞ」俺は言う。
ドアが半分開いた。
クレール・モローが立っていた。
数時間前、第一塔の塔冠に無理やり引き込まれて戦場中継をやっていたあの女記者とは、もう違う。少しマシな濃いグレーの上着に着替えて、髪を結い直し、顔の灰と血の跡は七割ほど落としていた。残りの三割は、洗っても落ちない疲れだ。左手にノートを挟み、右手に細長い収音マイクを持っている。撮影チームと照明は連れていない。静かなカメラマンを一人だけ連れてきていて、ドアの外の影の中に立ち、レンズすら下げたままにしていた。
いつ撮るべきで、いつ先に人間に口を開かせるべきか、分かっている。
それはいいことだ。
俺が一番嫌いなのは、マイクを傷口に直接突っ込んで、感想を聞いてくるタイプの記者だ。あれは記者じゃない。ハエだ。
「モローさん」俺は言う。
彼女が小さく頷く。
「ジョウさん」
フランス語は落ち着いていて、英語も問題ない。でも今話しているのは、専門的な訓練を受けた後で意図的に存在感を抑えた、あの種の語り口だ。馴れ馴れしくしない。有名人にインタビューする時の愛想も出さない。臨時取材許可証とテレビ局の記者証をテーブルの端に置いて、俺が見えるようにしておくが、こちらへ押しつけてこない。
「正式にインタビューをお願いしたい」彼女は言う。「生放送じゃない。囲み取材でもない。廊下での立ち話でもない。二十分。もし構わなければ、音声だけ録る。映像は後で補えばいい」
「誰に言われて来た?」
「上司に」彼女は言う。「それと、フランス全国の視聴者の悪い習慣に」
悪くない答えだ。俺は彼女を一瞥した。
目が安定している。泳いでいない。無理に勇敢そうにもしていない。ただ、自分が今どこに立っているかをちゃんと分かっている。こういう人間の方が長く生きられる。
「今、外には四つの列が並んでいる」俺は言う。「フランス政府、教皇庁、台湾弁事処、中国大使館。どれも自分の方が記者より大事だと思っている。あんたが割り込める理由は何だ?」
彼女が半秒止まった。
「他の人たちは今、みんなあなたを手に入れようとしている。あなたが言ったことを先に残そうとしているのは、私だけだから」
部屋が一秒、静まり返った。
リン・ユートンが目を上げて彼女を見た。ドアの外のカメラマンも動かなかった。いい。少なくともこの女、手ぶらで特攻してきたわけじゃない。
俺は残ったコーヒーを飲み干して、カップを置いた。
「二十分はない」俺は言う。「十分だ。あんたが聞く、俺が選んで答える。録音はいい、撮影はまだ入れるな。もし一問でも外務省のプレスリリースみたいな質問をしたら、その場で出てってもらう」
「分かった」
「それと、あんたは第一順位じゃない。十分が終わったら、まずフランスを受けて、次に教皇庁、それから台湾側に新しい話があるか確認して、中国は最後だ」
彼女は俺を見て、小さく頷いた。
「この順番、録音に入れていいですか?」
「いいよ」俺は言う。「自分がどこに並んでいるか知らせるのも、一種の公共サービスだ」
彼女がようやく笑いそうになった。でも口の端が半センチ動いただけで、すぐ引っ込めた。プロだ。それでいい。
彼女は入ってきて、俺の真正面には座らず、対立の構図にならないテーブルの角を選んだ。それはさらにいい。距離を知っている人間は、礼儀を知っている人間より使える。カメラマンはドアの横に残り、機材のライトは点けず、小さな赤い点だけが灯っていた。戦場で規律を守るスコープみたいに。
クレールが録音機を起動し、ノートをきれいなページに開いた。
「正式インタビュー」彼女は俺を見て言う。「時刻記録、マルセイユ事件から三時間七分後。インタビュー対象、ジョウ・シーダー」
「さん」も付けなかった。肩書きも何も付けなかった。
賢いからだ。今、俺に何の肩書きをつければいいか、誰も分かっていない。下手につけると、後でまずいことになる。
「最初の質問です」彼女は言う。「昨夜、あなたは一体誰のために指揮していたんですか?」
十分に直球だ。
俺は背もたれに寄りかかり、手はテーブルの上の耳機から離さなかった。
「昨夜、まだ戦える人間がいれば、その人間のために指揮した」
彼女の筆は止まらなかった。
「それは政治的な答えじゃない」
「あんたの質問が政治的な質問じゃなかったから」俺は言う。「昨夜マルセイユ市庁舎の外には、三つの黒ミサ塔と、アンデッドの騎士の一群と、白衣の狂信者の集団と、もう普通のふりをする気がなくなった街と、それでも逃げずに立っていた人間が何人かいた。ああいう時に国籍や宗籍や組織の所属を先に仕分けしていたら、死体の並びが綺麗になるだけだ」
彼女が顔を上げた。
「では、あなたは自分がいずれかの側を代表しているとは認めない?」
「昨夜、第一塔の上に立っていたことは認める」俺は言う。「他の人たちがどう書くかは、そっちの事務仕事だ」
ドアの外の遠くから足音が聞こえた。廊下の突き当たりで誰かが止まり、入ってこなかった。どこかの代表だろう。いい、待ってろ。
クレールがページをめくった。
「二番目の質問です。岳家軍とは何ですか?」
俺は彼女を見た。
この質問は最初のより危険だ。単語の定義を聞いているんじゃない。彼女自身がどこまで信じる準備ができているかを、試している。
「昨夜、塔の上で見たもの、まずはそこまでを信じてくれ」俺は言う。
「宋代の甲冑、神腕弓、大盾手、長柄手、それに消防署から引っ張り出してきた投石機を見ました」
「なら、見たままを書けばいい」
「否定するつもりはないんですか?」
「否定しても意味がねえ」俺は言う。「昨夜は欧州全体が見ていた。今さら否定したら、官僚より現場を分かってない人間に見える」
今度こそ彼女は本当に笑いそうになったが、やはり堪えて、紙の上に素早く二行だけ書き留めた。
「三番目の質問です」彼女は言う。「フランス政府が、昨夜の超常武装行動すべてについてあなたに責任を求めると予想していますか?」
「求めてくる」
「どう対応するつもりですか?」
「まず一眠りする」
彼女が顔を上げた。
俺はそのまま見返して、愛想笑いは足さなかった。
「冗談じゃねえ」俺は言う。「三号塔が崩れてから今まで、冷めたコーヒーを一杯飲んだだけだ。市内の二次汚染も、残存ノードも、内外の遺体の振り分けも、一号塔のリズム安定も、まだ何一つ確認が終わっていない。今すぐ世界秩序と法的境界と中世の亡霊騎兵について成熟した見解を述べろと言うなら――まず一度死んでみてから、俺が仮眠を取った後で改めて話しかけてくれ」
この一言が終わると、ドアの外のカメラマンのレンズが、ほんの少し揺れた。それでいい。少なくともあいつはまだ生きている。
クレールはすぐに四問目へは進まなかった。
数秒、俺を見ていた。俺が強がっているのか、それとも本当に疲れすぎて建前すら繕う気力がないのか、確かめているみたいに。
たぶん確かめ終わった。
「では聞き方を変えます」彼女は言う。「あなたは何を怖いと思っていますか?」
この質問は外交ラインにはない。
これが本当のインタビューだ。
俺は彼女を見て、初めてこの女はこういう時代をそれなりに長く生き延びられるかもしれないと思った。
権力を聞くだけじゃなく、代償を聞く方法も知っているから。
俺は少し黙った。
窓の外から、遠くでクレーンが瓦礫を動かす摩擦音が届いてくる。海風がドアの板の隙間から吹き込んで、灰と塩と、ごく薄い焦げた肉の匂いを運んでくる。この街は三つの邪塔の下から這い出てきたばかりで、空気すらまだ何事もなかったふりを覚えていない。
「静けさが怖い」俺は言う。
彼女のペン先が止まった。
「静けさ?」
「静かすぎる場所は、最近ろくなことがない」俺は言う。「昨夜までは、動くものの方が怖かった。昨夜が終わってから、動いていないように見えて、実はまだ中に何かが待っている場所の方が怖くなった」
彼女はゆっくりと頷いた。
「だから個室での休息も断ったんですか?」
俺は彼女を一瞥した。
「情報が回るのが早い」
「記者の飯の種ですから」
「今日はずいぶん稼いでるな」俺は言う。
今度は彼女も堪えきれず、本当に少しだけ笑った。短かったが。
「四番目の質問です」彼女は言う。「フランス政府は三日以内にパリへ来るよう求めています。行きますか?」
「行く」
「ずいぶん迷いがない」
「行かない方がもっと面倒だから」俺は言う。「それに向こうは招待じゃない、召喚だ。言葉が違えば、意味も全然違う」
「教皇庁は?」
「教皇庁は少なくとも、一度だけ人間の言葉を使った」
「台湾弁事処は?」
「俺を自分の目の届く場所に引き取りたい。まあ理にかなっている」
「中国大使館は?」
俺は彼女を見て、使えなくなった旧端末をテーブルの上へ押した。
「今は大いに興味を持っている」俺は言う。「ただ、興味があるからといって、入り口があるわけじゃない」
彼女は追いかけず、先に書き留めた。
それも賢い。今ここで深く掘りすぎても、情報は増えない。ドアが閉まるだけだ。
ドアの外の足音がまた近くなった。
今度は誰かが小声でフランス語を数言交わした。さっきより語気が硬く、手続きに忍耐を削られ始めた官僚の声だ。リン・ユートンが半歩外へ出て、向こうの人間と何か話した。その声たちはいったん引いたが、遠くへは行かなかった。それでいい。圧力はまだ列を作って、ただ交代でノックしているだけだ。
クレールがドア口を一度見てから、最後の質問をめくった。
「最後の質問です」彼女は言う。「昨夜あなたは第一塔の上に立ち、世界中のカメラの前で命令を下した。今振り返って、マルセイユを救ったと思いますか。それとも、もっと悪いものを一時的に押し戻しただけだと思いますか?」
いい質問だ。
この質問には英雄の出口がない。
俺はテーブルの上のバタークッキーを二秒見てから、顔を上げた。
「モローさん、この世界には解決されるものじゃなく、ただ押し戻されるだけのものがたくさんある、ということはご存知のはずです」俺は言う。「昨夜俺がやったことは、救出じゃない。どちらかというと切断と止血で、患者をベッドに縛り付けて、今日だけは死なないようにしたということです」
彼女は静かに聞いていた。
「マルセイユが今まだ生きている、それは事実だ。三つの黒ミサ塔が消えた、それも事実だ。でも世界はもう正常に戻ったと視聴者に責任を持って伝えてほしいと言われたら――」
俺は少し止まって、板で半分塞がれた窓の方を見た。
「あなたたちの『正常』に対するハードル、本当に低いんですね、とだけ言える」
彼女はすぐには書かなかった。先に俺を一度見た。これが俺の口から出た使い捨ての言葉なのかどうか、確かめるように。
違う。
だから彼女は下を向いて、ゆっくりとその言葉を書き取った。
録音機の赤いランプはまだ点いている。
十分が経った。
俺は手を伸ばして、テーブルの上の耳機をまた耳に戻した。
「インタビュー終了」俺は言う。「次は、もっとまともな質問ができない人たちの番だ」
クレールが録音機を止めた。すぐには立ち上がらなかった。
「もう一つだけ」彼女は言う。
「今日はずいぶん度胸がある」
「質問じゃない、お願いです」彼女は言う。「パリへ行くなら、同行取材させてほしい」
この一言が出た瞬間、リン・ユートンがドアの横で振り返って彼女を見た。
俺も見た。
彼女の表情は変わらなかった。安定していて、自分の意図を理想や使命感に包もうともしなかった。ただ要求を明確に出した。自分が何に賭けているか分かっている人間の顔だ。
「理由を」俺は言う。
「昨夜が終わってから、みんながあなたの代わりに話し始めるから」彼女は言う。「フランス政府も話す。教皇庁も話す。台湾弁事処も話す。中国大使館も必ず話す。でも今のところ、私が信じられることが一つだけあって――」
彼女は俺を見て、声を平らに落とした。
「あなた自身が話す版が、少なくとも戦場に一番近い」
部屋が一秒静まった。
俺はすぐには答えなかった。
ドアの外でついに誰かが痺れを切らして、三度目のノックをした。今度のノックの仕方は、どちらかというと命令に近い。それでいい。フランスの番だ。
俺は立ち上がり、新しい臨時端末を手に取り、使えなくなった旧端末をポケットに押し込んだ。
「同行の件は、パリで話す」俺は言う。
彼女も立ち上がり、頷いた。追いかけてこなかった。
俺はドア口まで歩いて、ドアノブに手をかける前に少し止まって、振り返った。
「モローさん」
「はい」
「さっきの十分、悪くなかった」俺は言う。「少なくとも外の四グループよりは、記者らしかった」
彼女は今度は笑わず、ただ静かに一言返した。
「ありがとうございます」
俺はドアを開けた。
廊下の外には、フランス内務系統の代表、教皇庁の連絡神父、台湾弁事処の担当者、そして他の面々から少し離れた場所に立っているが、どう見ても通りがかりじゃない中国大使館の官僚が、案の定全員揃っていた。
結構だ。
戦後三時間で、第二の包囲が始まった。
ただし今回は、全員がスーツを着ている。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




