表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
560/580

161.局面打開 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

俺は背中に向けて撃つ。一発目は祭甲に弾かれ、二発目は逸れて右肩に入った。体が一瞬揺れたが、それでも手は第一の引き桿を掴んでいた。


次の瞬間、主裂鐘が鳴る。胃の底から転がり出てくるような、低く重い唸り声だ。塔全体が震え、遠く離れた街路の喇叭まで、半呼吸分だけ応えるように息を吹き返した。


「二発目を打たせるな!」俺が怒鳴る。


エリザヴェータのほうが速かった。


彼女は鐘室の外周上縁を駆ける。垂直の木肋を踏んでいく足の置き方は、重力が彼女には提案でしかないみたいに見えた。鐘監が第二の引き桿に手を伸ばした瞬間、彼女は上から斜めに飛びかかる。狙うのは体じゃない——まず手だ。鉤付き鉄手甲をはめた右手を、手首の関節ごと噛み込んで、鉄も肉もまとめて引き千切った。


鐘監が今夜初めて、俺が生き物の声だと思える悲鳴を上げた。


その叫び声と同時に、神父のほうも終わった。


バローロ神父は塔冠守衛と技を競うようなことは最初からしていない。最初から最後まで、ただ一つのことだけをやり続けた——相手の武器が届かない間合いまで距離を詰めること。斬鉤が鎖に絡め取られた瞬間、守衛はもう半分負けていた。神父が肩から体当たりで胸板を叩き、相手を主鐘の台座に押し付ける。そこへあの金属の聖書が脇腹に叩き込まれる。一度。二度。三度目に、骨が鉄片ごと内側に凹む音がした。塔冠守衛がまだ膝を上げようとした瞬間、神父は鎖を手放し、両手でそいつの兜の両側を掴んで、主鐘の台座の角に叩きつけた。その場で崩れ落ちた。


鐘監はまだ諦めていなかった。


右手を失っても、左手は死ぬ気で第三の引き桿に届こうとしている。俺は踏み込んで、横から腰に体当たりをかます。二人まとめて主鐘外周の木板に叩きつけられた。鉄手甲をはめた左手が俺の顔面を引っ掴みにくる。前腕で受けたが、護腕の外層に四本の深い引っ掻き傷が入った。あれは飾りじゃない——肉に食い込んだら顔の皮ごと剥がれる。俺は膝でそいつの腹を突き上げ、短刀を下から上に送り込む。今度は甲冑の隙間を探さない。脇の下から直接刺し込んだ。刃が深く入り、鐘監の体が大きく弓なりに反る。それでもまだ死なない。


「しぶといな、くそ」俺は悪態をつく。


「少し退いて」エリザヴェータが言う。


俺はすぐに横へ転がった。


彼女は主鐘の腹の部分から逆さに垂れ下がって、コウモリみたいに。両手で鐘監の兜と下顎を掴み、余計な動作は何もなく、ただ逆方向へ折り曲げた。鐘監の体はまだ痙攣しているのに、首だけが先に、乾いた連続音を立てて折れた。彼女は手を離さない。相手の目が少しずつ焦点を失っていくのを見届けながら、まるで格上の獲物が自分の記憶に値するかどうかを確かめるみたいに。


最後に屍体を俺の足元に放り投げ、平坦な声で言った。


「下の連中よりは少しましじゃったな。少なくとも死ぬ前に、自分が負けたとわかっておった」


鐘室がようやく静かになった。


外の偽物の静けさとは違う。本当の意味での静けさだ。この塔にはもう、自分のために命令を下せる者が一人もいなくなった。


俺は立ち上がり、二度息をついて、手についた血を白袍の屍体で拭い取り、それから一番大事なことに取りかかる。


塔を清めるんじゃない。塔を奪うんだ。


打ち落としただけじゃ、まだお前のものじゃない。それを自分の言うことを聞かせて、初めてお前のものになる。


「神父、主鐘の引き桿と塔冠視線機構を確認してくれ。壊すな、俺たちが接収する」


「修女、上がってこい」


「エリザヴェータ、外周をもう一巡してくれ。鐘奴(ベルスレイブ)、後備の誦読手、あるいは塔冠から飛び降りてくるような類のものが潜んでいないか確認する」


「いたら食べてもよいか?」彼女が訊く。


「主伝音管に触れなければ、好きにしろ」


彼女はようやく少しまともに見える笑みを浮かべ、さらに上の塔冠整備フレームへと跳んでいった。ああいう場所を移動するとき、塔全体がこの世のものじゃない何かに踏まれているみたいな感覚がある。なのに足音がほとんどしない。足音があるよりも、ずっと気持ち悪い。


バローロ神父はすでに主鐘の台座の横にしゃがみ込み、鐘監の割れ鐘錫杖を分解して内部の歯紋を確認していた。この人は戦うだけじゃない。儀式の匂いのする機械的なものに対して、妙に直感が働く。ほどなく、三本の主引き桿の順序と塔冠四面の伝音管の接続を全部把握していた。


「第一桿が一、二層の節拍に対応。第二桿が塔外牽引群と護教部隊の進退鐘令に対応。第三桿が塔冠拡声で、どんな音でも外に送り出せる」彼は言う。「手動輪盤による予備系統もある。下が全部落ちても、ここだけで独立制御できる」


「いい」俺は言う。「じゃあ今この瞬間から、ここは俺たちのものだ」


マリア修女が上がってきたとき、顔にも手にも黒い油と香灰と誰かの血がべったりついていた。彼女は主鐘を見た瞬間、恐れでも畏敬でもなく——大きなおもちゃを見つけた子供みたいな、ちょっと病的な喜びの顔をした。


「きれい」と彼女は小さく言った。


「壊すなよ」俺は先に釘を刺す。


「わかってるよ」彼女は主鐘の側面に歩み寄り、焼け焦げたような牛頭の刻印の上を指でなぞる。医者が患者の腫瘍を触診するみたいに。「人間って不思議だよね。壊れたものに、あんなにたくさん神様を刻みたがる」


「黒ミサを止められるか?」


「できる」彼女は少し首を傾けて、主鐘の内部に残った残響を聞く。それから神父が整理した伝音管を見る。「止めるだけじゃない。別のものを歌わせることもできる」


神父が彼女をちらりと見た。反対はしない。


やっぱりこの組み合わせはちょうどいい。神父が歯止めになって、修女がその歯止めの限界ギリギリまで物事を俺たちに有利な方向へ暴走させる。


「まず黒ミサを止める」俺は言う。「第二段階は短い鐘令に切り替えて、塔外の牽引群をその場に釘付けにする。第三段階は市庁舎の方向に識別信号を送る」


「どんな信号だ?」神父が訊く。


俺は鐘室の外に広がるマルセイユの夜を一瞥した。火はまだ燃えている。街路はまだ死んでいる。人々はまだ黒塔の影に押しつぶされるように歩いている。だが第一の塔は、もう俺の足の下にある。


「短・短・短、長、短・短・短だ」俺は言う。「市庁舎に伝える。第一塔、奪取完了」


神父が頷く。


次の二分間は、さっき鐘室で戦った時間よりも重要だった。


バローロ神父はまず黒ミサの送信に使われていた主誦読連桿を切り離し、第三桿を誦読座から鐘面打撃機構に繋ぎ直す。これで塔外の四面伝音管は言葉を流すことができなくなり、鐘令か人声しか送れなくなる。マリア修女は一、二層のすでに汚染されたあの節拍を、俺たちが辛うじて制御できる病んだリズムとして組み直していく——不安定だが、制御はできる。それをやりながら彼女は、死にかけた馬の血を入れ替えるみたいな手つきで、木の輪盤と鉄釘と蝋を塗り込んだ導音溝の間を指が行き来する。口の中では低く、どんな正統な教会の音楽にも属さない旋律を唸り続けながら。


エリザヴェータが塔冠から戻ってきたとき、肩にはまだ完全には冷えていない白袍の屍体が担がれていて、それを鐘室の隅にぽいと放り投げた。


「上には他に何もいなかった」彼女は言う。「これ一体が観測フレームの中に隠れていた。お主たちが接収に取りかかった瞬間を狙って、背後から喉を掻き切るつもりじゃった。手間を省いてやったぞ」


「よくやった」俺は言う。


彼女は塔冠の視線窓の縁に立ち、火と黒煙に切り刻まれた街区を見下ろす。黒衣の裾が夜風にゆっくりと揺れる。その立ち姿は、屠殺場の屋根の上に止まった古い何かみたいだ。風景を楽しんでいるんじゃない。まだ獲る価値のある生き物がどこにいるかを確認している。


「外の牽引群はまだいる」彼女は言う。「だが動きが鈍くなった。鐘令が途絶えてから、互いに押し合いを始めている。守護兵も止まった。命令が聞こえなくなったのか、それとも新しい命令を待っているのかはわからない」


「なら新しい命令をくれてやれ」俺は言う。


神父が短・短・短、長、短・短・短の信号を叩き出したとき、この塔の音が初めて黒ミサじゃなくなった。


聖歌でもない。救いとも言えない。ただ、純粋で、乾いた、軍事的な鐘令だ。


短。短。短。


長。


短。短。短。


四面の伝音管がその鐘令をマルセイユの夜空へ送り出した瞬間、この街全体の呼吸が一拍止まるのを俺は感じた。黒ミサが途切れれば、まだ生きている人間は全員それに気づく。市庁舎の連中がまだ死に絶えていないなら、これが何を意味するかわかるはずだ。


「続けろ」俺は言う。


神父が停滞令に切り替える。


マリア修女が同時に第二層の病んだリズムを乗せる。塔外の牽引群が耳にするのは、本能的に足を止めさせながら、しかし再整列もできなくなる錯乱した鐘令だ。外から即座に連鎖反応が返ってきた。鉄鎖が地を引く音が乱れ、群体の踏み込む音が互いにぶつかり合い始め、塔底に沿って安定して前進していた重量の塊が、自分たち同士で詰まり始める。これで奴らを壊せるわけじゃない。だが第一の黒塔を、一時的に動きを止めた巨大な路障へと変えるには十分だ。


第一の塔、奪取した。


俺は鐘室の中央に立ち、主裂鐘と四面の伝音管を見上げ、ようやく一息、完全に吐ききった。


バローロ神父は聖書の表紙についた血を拭い取り、腰に差し直す。動作は相変わらず、一つの手順を完了させたみたいに淡々としている。


マリア修女は主鐘の横に半跪きになって、新しいおもちゃに名前をつけようとしているみたいだ。


エリザヴェータは塔冠の視線窓の縁に立ったまま、夜風が黒衣の裾を揺らす中、振り返って俺を見る。その顔の人間離れした高慢さは、欠片も薄れていない。


「おめでとう」と彼女は淡々と言う。「お主ら人間、今夜はようやく、まともな高みを一つ手に入れたな」


俺は塔の外で今まさに失速し、混乱し始めた邪教徒と守護兵と穿刺者どもを見てから、一言だけ返した。


「高みじゃない。砲台だ」


それから俺は手を上げて耳機を押さえ、市庁舎の方向に向けて今夜一番きれいな命令を吐き出した。


「こちらジョウ・シーダー(周士達)。第一塔、奪取した。繰り返す、第一塔、奪取完了。市庁舎は予定通り整備を開始しろ。次は、この塔を使って奴らを叩く番だ」


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ