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157.黒ミサ塔  2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

市庁舎広場の全景は見えない。


俺は南側で千切れた整備夾層の中にいて、左に神父、前に守護者と穿刺者と護教騎士、頭上には通り全体を儀式会場に変え始めているC.A.L.F.邪教攻城塔楼がある。本来なら、今は目の前の十メートルだけを見ているべきで、他所のことなんて考えるべきじゃない。だが戦場はそうはいかない。一本のラインを支えるのに頼れるのは、足元のこの一角じゃない。背後にある一式全体が、きちんと噛み合っているかどうかだ。


だから耳機を押さえ込んで、市庁舎側の声をそのまま流し込んだ。


聞こえてきたのは、シュトゥルムシュライターのエンジン音だった。


重く、低く、荒い。普通の民間車両の音じゃない。単なる軍用トラックでもない。胸骨が砕けているのに無理やり立たされている獣みたいな音だ。回転が上がるたびに震えが混じり、前端の負荷が偏っているのが分かる。左のトランスミッションはまだきちんと調整しきれていない。そこに二度、金属の打突音が重なった。どこかの外付け装甲板がきっちり固定されておらず、反動のたびに車体フレームを叩いているのだろう。


ヴィクトリアの第一声は、無事の報告なんかじゃなかった。


「正面玄関で止めないで。十五度斜め、車頭は西向き。旋回スペースを空けて。そこの青いジャンパー、見てないで木片とジャッキを探して。ジャッキがなきゃドア外して噛ませなさい」


怒鳴っているんじゃない。現場を切り分けている。元はただの混沌だった広場を、無理やり「仕事の線」に割いていく。あの口調はよく知っている。平時に聞くと人をイラつかせるが、戦の最中はありがたい。周りが慌てていても、彼女は一緒に狼狽えたりしない。ただ人間を道具に変える。


耳機の中に、すぐ別の音がいくつも重なった。


タイヤが砕けたガラスを踏み潰す音。金属箱が石畳を引き摺られる音。何人かで車を押して、息を殺して一斉に力を込める声。堪えきれずに呻いた負傷者を、別の誰かが押さえ込む音。広場のガラス扉はとうにやられて、風が吹き込み続け、ビニールシートや仮設の仕切りをぱたぱたとはためかせているのが聞こえた。


葉綺安(イェ・キアン)の声が続く。乾いていて、冷たくて、速い。


「東側階段は傷病者専用、西側の駐車スペースは整備に回す。重傷者は中の廊下、軽傷はその場で処置。血を流している人間を一箇所に固めるな、詰まる。警察は四人残して、二人ヴィクトリア、二人門の警備。まだ弾薬を運べる奴は、K7の方へ」


頼んでいるんじゃない。掌握している。


声だけで分かる。彼女はいま市庁舎の階段中段に立っていて、視界の高さで広場と入口、車両と人の出入りを一度に見渡している。そのポジションは危険だが、一番効く。彼女の仕事は綺麗事じゃない。混沌を切り分けることだ。誰が運べる、誰が直せる、誰はただ座って血を垂らすしかないか——この局面では感情じゃなく、機能で線を引くしかない。


俺の左で神父が邪教徒の顔面をもう一つ叩き潰した。俺はついでに裂け目の上に一発撃ち込んで、顔を出しかけた穿刺者を引っ込めさせながら、口は止めなかった。


葉綺安(イェ・キアン)、K7は?」


おそらく走りながらだろう。返事の向こうで人声と打撃音が渦を巻いている。


「フロントは生きてる。外板が凹んで、前のガードが歪んで、進気口が砂を噛んでる。市民二人がボンネットをこじ開けてる、警官一人がフィルター掃除中。後部の弾薬と予備水は半分先に降ろした、重心殺さないように。ヴィクトリアが『動かせる』とは言ってるけど、時間は要る」


「シュトゥルムシュライターは?」


今度はヴィクトリアが応じた。


「左側のトランスミッションに割れ、外付け装甲板は捻じれて、右前の足回りに荷重が偏ってる。いいニュースはエンジンは生きてること、悪いニュースは全員が一斉に触りたがること。まずは人の選別から」


その「選別」は比喩じゃない。


続く二分間、市庁舎広場で一番価値のある仕事は、負傷者を運ぶことでも弾倉を補充することでもなく、彼女が人混みの中から「手のある奴ら」を掘り出すことだった。


「そっちのグレーの作業ズボン。溶接の経験は?」


男の声がフランス語で返す。まだ震えが残っている。


「『少しなら』は答えになってない。やったことがあるかないか」


「や、やったことは……港で手すりを——」


「結構。あんたはこっち」


「そこの反射ベスト。ディーゼル車はいじれる? それともタイヤを替えるだけ?」


「レッカー車を——」


「ならトルクと油路は分かるでしょ、十分。来なさい」


「そこの警官。銃の分解は?」


「できます」


「分解できるのと直せるのは別。チャンバー掃除、撃針チェック、マガジンスプリングの交換は?」


「少しなら」


「今日はたくさんできるようになるわ。K7の方へ」


彼女はそうやって選ぶ。勇気じゃなく、有用性で。一般市民、レッカー運転手、港の技工、退役の兵器整備士、巡査——全員が最短で「機能持ち」の集団に組み替えられていく。葉綺安(イェ・キアン)はそれを正しい区画に押し込み、負傷者とまだ呆然としている連中は容赦なく別ラインに投げて、車両の周りを塞がせない。


見なくても分かる。今の広場は、ただの避難所じゃない。


そこに、即席の前線車両工廠が生え始めている。


K7は市庁舎西側、半ば崩れた回廊の下に頭から突っ込み、車頭を外に向けて停められている。ボンネットは開き、二人が布とブラシで進気口とフィルターをかき出し、もう一人が曲がったガードをバールで少しずつ押し戻して空気が通る角度まで持っていく。後部の弾薬は先に半分だけ降ろし、床に布を敷いて口径と用途で山を分ける。守護者の脚を抜けるやつ、近距離で口を塞げるやつ、緊急の制圧に向いたやつ——全部、配り直しだ。車体側面の予備燃料と水も外されている。あとでまた振動で落とされないように。


シュトゥルムシュライターの方はもっと厄介だ。階段下で斜めに停められたまま、車体はまだ熱を持っている。左側の外装板が剥がされ、中の黒く焼けた金属骨格が露出している。誰かが下に木片を噛ませ、誰かがジャッキで左側をゆっくり持ち上げている。港から来た技工が潜り込んで亀裂の位置を確かめ、もう一人の警官がライトでそれを照らす。ヴィクトリア自身は側面に膝をつき、手をトランスミッションのカバーの中に突っ込んで、医者が直接骨折線を探るみたいに折れている場所を探っている。


全面修復をしているわけじゃない。何が直せて、何を捨てるかを決めている。何を今すぐ換えなきゃいけないか、何はしばらく誤魔化せるか。どの部品を現場の材料で代用できて、どこに絶対触ってはいけないか。


これこそがトリアージだ。


綺麗に直すんじゃない。コアだけを直す。


耳機に、短くて鋭い金属の擦れる音が走り、その直後に男のうめき声が重なった。


ヴィクトリアの罵声が即座に飛ぶ。


「誰がその板をいきなり外せって言ったの? あれは構造材、飾りじゃない。その手を残したいなら、支えを入れてから動かしなさい」


別の声が慌てて謝った。


「謝っても戻らない。左後ろは木楔、右前はワイヤーで引っ張る。そこのレッカー運転手、こっちを固定して。警官、突っ立ってないで布で割れ目を押さえて。砂を入れない」


彼女が怒鳴っている間は、まだ前に進んでいる証拠だ。本当に駄目なものに対して、彼女は怒らない。ただ捨てる。まだ叱る相手がいるということは、シュトゥルムシュライターはまだ「戻せる」側にいる。


こっちの神父は、鎖をもう一度投げて、亀裂から脚を下ろしかけた守護者の膝裏を引っ掛けた。バランスを崩したところに俺が一発、足首を撃ち抜き、そのまま俺がさっき仕掛けた低位障害に落としてやる。死体、ワイヤー、切断された配管、大盾——それらをごちゃ混ぜにして、地下のこの夾層に、もう少しだけ緩衝を作った。


一息ついて、市庁舎側に耳を戻す。


葉綺安(イェ・キアン)が全体状況を読み上げ始める。点呼でも取っているみたいに平坦な調子で。


「軽傷区十二、重傷区六。歩ける軍警十三。一般市民は、整備と運搬に組み込んだのが今九人。広場内側のドアと窓は布と机板で一層目を塞いだ、低音は少し落ちてる。外周にまだ散発的な市民が寄って来てる。とりあえず黙らせて、中に入れて低くさせた」


一拍置いて、ひと言だけ足した。


林雨瞳(リン・ユートン)が着いた」


反射的に、顔を上げていた。


意外だったわけじゃない。本当に重要なことが、ようやく来たと分かっていたから顔を上げた。


刀だ。


(シキ)は今、刀がない。戦えるが、長時間は続かない。祖霊の加護は彼女の名前に宿っているんじゃない。彼女の手の中の番刀に宿っている。刀が戻って初めて、彼女は「臨時近接戦闘要員」から「持続運用可能なコア戦力」に戻る。その差は浪漫じゃない。ハードなデータだ。


耳機の中が一瞬、静まった。人がいないんじゃない。みんなが場所を譲っている静けさだ。


それから足音が聞こえた。さっき弾薬を運んだり工具を引き摺ったりしていた連中より、ずっと軽くて、ずっと安定している。続いて林雨瞳(リン・ユートン)の声が来た。彼女の声が出た瞬間、広場全体がひとすじ、冷たい線で断ち切られたみたいになった。


(シキ)


二文字だけ。余分はない。


(シキ)の返しも短かった。


「ここにいる」


俺は地下夾層に立ったまま、前では邪教徒と守護者がまだ動いていて、頭上では黒ミサ塔のスピーカーがまだ絶叫している。それでもあの場面を頭の中で組み立てることができた。


市庁舎の内廊か側廳。光はあまりよくない。外の火光と警灯が差し込んで、壁面をいくつかのブロックに切り分けている。林雨瞳(リン・ユートン)がそこに立ち、番刀を手にしている。刀は華美じゃないかもしれない。本当に使えるものは、たいてい華美じゃない。鞘、柄、護手、巻き紐——前の戦闘で積もった灰と血がまだついているかもしれない。でもそれが空間に現れた瞬間、その刀がどれだけ重要かを知っている人間は、誰もが自然と少し静かになる。


武器の引き渡しじゃないからだ。


戦力の帰還だからだ。


林雨瞳(リン・ユートン)の声がもう少し低くなった。


「受け取りなさい」


(シキ)はすぐには返さなかった。耳機に届くのは、ごく軽い布の擦れる音と、手が金属に触れる時の細かな音だけだ。


演じているんじゃないと分かった。確認している。


刀がまだあの刀かどうかを確かめている。重さ、握り心地、重心、鞘口の締まり具合、柄の巻き、自分の指がかかる位置——全部が合っていなければならない。これが半分でもずれていたら、祖霊は許してくれるかもしれないが、敵は確実に許さない。


数秒後、鞘走りの音が聞こえた。


軽い。だがさっきの黒ミサ塔の四面スピーカーより、ずっとはっきり聞こえた。


普通の金属の擦れ合いじゃない。その音が鳴った瞬間、チャンネル全体が一度、洗い流されたみたいになった。広場の工具音も、息遣いも、運搬の音も消えたわけじゃない。ただ全部が後ろに退いた。(シキ)の側で、ずっと張り詰めていた何かが、ぴたりと落ち着いた。


彼女が息を吸った。


さっきとは全然違う息だった。


さっきの前線では、意志で体を無理やり動かしていた。今の息は、ようやく自分がいるべき場所に立ち戻った人間の息だ。大げさにもならない、神秘的な気配もない。ただ、安定している。ずっと違う銃を使っていた人間が、ようやく自分の銃を取り戻したみたいに。


林雨瞳(リン・ユートン)は余計なことを言わず、一言だけ足した。


「自分を消耗品扱いするな」


(シキ)の返しは静かだった。


「もうしない」


葉綺安(イェ・キアン)も明らかに傍にいる。でもこういう時に彼女は割り込まない。ただ即座に新しい状況を実務に変える。


(シキ)が刀を取り戻した。ヴィクトリア、整備ラインはあとどれくらい? 次の手を止めてはいられない」


ヴィクトリアの方で、金属が固定された音がした。仮止めの部品がようやく締まったような音だ。


「K7から。あと十分以内に短距機動はできる。シュトゥルムシュライターの方がやっかいだけど、左側トランスミッションの主要な荷重点は引き戻した。温まってからまたずれるかどうかは走ってみないと分からない。あなたが欲しいのは、綺麗じゃなくて動くことでしょ?」


「今さら綺麗を語れる立場の人間がどこにいるの」葉綺安(イェ・キアン)は言った。


「そういうこと」ヴィクトリアはあっさり返した。「工具、ワイヤー、布、エンジンオイル、タイヤ補修剤、水、予備弾——全部K7とシュトゥルムシュライターに振り分ける。均等にしない、出動優先順位で。K7には短距突入と接応用のものを先に揃える。シュトゥルムシュライターには重装備、障害物排除工具、代替支持部品を残す」


地下でそれを聞きながら、頭の中の線がもっとはっきりした。


市庁舎はもう単なる収容所じゃない。完全な第二中枢になっている。


K7が先に短距機動を取り戻す。機動力があるから、人員・補給の搬送と往復接応に使える。シュトゥルムシュライターはより重く、より遅いが、より局面を打開できる資産として修復される。すぐに出られなくても、動けるようになれば、もっと泥臭い仕事を引き受けられる。(シキ)が刀を取り戻し、本当に長時間前線に立てるコア近接戦力に戻った。葉綺安(イェ・キアン)は現場の振り分けと任務の優先順位付けを続ける。林雨瞳(リン・ユートン)は刀を渡した後、後方の状況判断と場の安定に転じる。ヴィクトリアは、元は慌てるだけだった一般人たちを、車を直し、弾を換え、銃を清掃し、部品を運べる臨時技術班に無理やり組み替えた。


それで十分だ。


俺たちが地下で死に物狂いで踏ん張っているのは、無駄じゃない。


上では本当に、何かが育ち始めている。


神父が突然口を開いた。「繋がったな」


裂け目の上に一発撃ち込みながら返した。「聞こえてたか?」


「刀の音は、はっきりしていた」


「教会はそういうことも分かるのか?」


神父は邪教徒の死体を屍の山に蹴り込んで、石みたいに平坦な声で言った。


「分かるんじゃない。何かが元の場所に戻ったかどうかの区別がつく、それだけだ」


返す言葉はなかった。ただショットガンの銃口を下げて、次に裂け目から脚を出す守護者を待った。


チャンネルの向こうで、林雨瞳(リン・ユートン)が直接俺を呼んだ。


「周さん」


「言え」


声は大きくない。でも安定している。混乱の真ん中に立ちながら、自分でひとすじ線を引いていられる声だ。


「刀は渡した。(シキ)は今、落ち着いてる。市庁舎はとりあえず持ちこたえてる。そっちは時間を絞り出すだけでいい。無理な見せ場は作らないで」


「俺がいつ見せ場を作った」


「あなたはよく、死にかけてることを日常業務みたいに言う」


「実際そうだから」


彼女はそれには返さず、もっと実務的な角度に切り替えた。


「黒ミサ塔の音波干渉は、私たちより一般人への影響が大きい。市庁舎の中は動線を短くして、非戦闘員が広場を何度も横断しないようにした。ヴィクトリアが言うには、K7が回復したら先に短距テストをするって。(シキ)が出る時は、一人にはさせない」


「そうだな」俺は言った。「今の彼女は刀を持って死にに行くんじゃない。刀を持って線を回収しに行く」


林雨瞳(リン・ユートン)の方が少し沈んだ。頷いているようだった。


「分かってる」


公共チャンネルに切り戻した後、市庁舎広場の音が少しずつリズムを持ち始めた。


危機が消えたからじゃない。一人一人の手に仕事が生まれたからだ。


K7の吸気フィルターを磨いている人がいる。後部艙で弾薬と水を整理し直している人がいる。銃機を拭いて、弾倉スプリングを換えて、詰まった撃針を掃除している人がいる。外した風暴踐踏者の外装板を仮設の作業台にしている人がいる。破城斧と鉄バールで広場の端から金属棒と支持部品を全部外して予備に回している人がいる。テーブル板、土嚢、割れた植木鉢を運んで、広場の遮蔽ラインを組み直している人まで出てきた。


素人には見えない変化だ。


でも俺には一聞きで分かる。あそこはもう、市庁舎に逃げ込んだ人々の集まりじゃない。


機能を取り戻し始めた、小規模な後方兵站拠点だ。


シュトゥルムシュライターの方からまた、少しまともになったエンジンの回転音が届いた。到着した時よりは安定している。まだ掠れているが、さっきほど喘いでいない。続いてヴィクトリアの短い一声。


「止めるな。低回転を維持して、音を聞いてて。左がまだ少し偏ってるけど許容範囲。そこの人、その油布を持ってきて、露出してるところを包んで。とりあえず砂埃を防ぐ」


葉綺安(イェ・キアン)がK7の状況を報告した。


「K7の吸気清掃完了、前ガードも戻した。ホイールアーチの泥砂を除去、後部艙は重量配分の調整中。警察二人が運転できるけど、神父の車は俺が指名した人間しか触らせない」


「壊したら自分で前線に出てこい」俺は言った。


彼女は冷たく返した。「あなたが生き残ってから言って」


こんな状況でこう返せるということは、あっちの神経はまだ切れていない。


俺の前でまた邪教徒の一団が裂け目から押し込んできた。先頭の膝を撃ち抜き、神父が鎖を補って、死体と大盾をまた一塊にする。上の黒ミサ塔のスピーカーはまだ流し続けていて、あの低音が骨の中にずっと入り込んでくる。でも今、耳機のもう一方にはエンジンがあり、工具があり、命令があり、鞘走りの音がある。半死状態の車を動ける状態に引き戻している人間がいて、刀を取り戻した人間を戦場に送り返そうとしている人間がいる。


これらの音は、あのスピーカーよりずっと役に立つ。


しばらくして、(シキ)がまた呼んできた。


刀を受け取った時の、押さえつけられたような落ち着きじゃない。もっと澄んでいる。鋼片を砥石で磨いたみたいな声だ。


「周さん」


「おう」


「出る前に一言入れておく。刀が戻った。祖霊が応えてくれた。時間はもう問題じゃない」


大武山の部落の祖霊が、ヨーロッパでも応えた——地下夾層の中で、俺は笑った。自分でも聞こえないくらい短く。


「なら無駄にするな」


「しない」と彼女は言った。「あなたと神父でもう少し塔を引き延ばして。私は市庁舎の方から道を開け直す」


「誰を連れる?」


葉綺安(イェ・キアン)が単独行動なんか許すわけない。ヴィクトリアは今、車を離れられない。林雨瞳(リン・ユートン)は後ろに残る。軍警の中からまだ走れる奴を選んで、短距の街路掃討をやる。まず市庁舎から外の通りまでのこの区間を綺麗にする」


この段取りは正しい。


刀を持った(シキ)は室内に縛られるべきじゃない。黒ミサ塔が入城して乱れた街角、障害物、側面の邪教徒を片付けて、市庁舎と前線の間のラインを繋ぎ直す——それが今の彼女の仕事だ。今の彼女には、それをやる資格がある。


「戦闘に溺れるな。今のお前の価値は多く斬ることじゃない。道を開けることだ」


向こうが一拍置いた。


「分かった。今回は本当に分かってる」


通信が切れた後、すぐには口を開かなかった。


局面が動き始めている。


まだ反攻じゃない。その言葉を使うには早い。


でも少なくとも、もう押されるだけじゃない。


市庁舎ではK7が生き返った。シュトゥルムシュライターが廃棄ラインから使用可能ラインに引き戻された。一般市民と軍警はもう足手まといじゃなく、ヴィクトリアと葉綺安(イェ・キアン)によって道具に切り分けられた。林雨瞳(リン・ユートン)が番刀を(シキ)に渡し、(シキ)は自分がいるべき場所に戻った。そして俺と神父がここで一分稼ぐたびに、後ろのあのノードがまた一本、骨を生やしていく。


神父も理解したようだった。死体を一体、蹴って裂け目の縁に押し込み、降りてきた守護者の盾の縁にちょうど噛み合わせながら、静かに言った。


「後ろが繋がった」


「そうだ」俺は言った。


「なら続けよう」


ショットガンを肩に押し当て直して、上の裂け目から出てくる最初の一対の脚を待った。


「止める気は最初からない」


頭上では、黒ミサ塔のスピーカーがまだ歌い続けている。前では、守護者と穿刺者がまだ圧してくる。もっと遠くでは、護教騎士がまだあの塔のために進路を修正している。


でも耳機の中は、もう逃亡と呻き声だけじゃない。


今はその中に、スパナが金属を叩く音がある。柴油エンジンが低回転でようやく安定した音がある。弾倉に弾を一発ずつ押し込む音がある。布が銃腔の汚れを拭き取る音がある。命令を受け取った瞬間に動き出す音がある。


そして、番刀が本来の持ち主の手に戻った時の——軽くてこれ以上軽くなれないほど軽い、でもその一音で戦線全体を安定させるだけの力を持った、あの鞘走りの音がある。

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