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157.黒ミサ塔  1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

黒ミサ塔が火線に入った瞬間、通り全体のスケールが変わった。


さっきまでは守護者、穿刺者、護教騎士を一体ずつ個別に見ることができた。盾は盾、槍は槍、馬は馬、人は人。だが今は違う。あの化け物が押し入ってきた途端、全ユニットがそいつに番号を振り直されたみたいになった。守護者はもう盾押し要員じゃない——塔前の可動壁になった。穿刺者もただの追撃役じゃない——塔側面の拒馬になった。護教騎士も突破だけじゃなく、両翼で進軍全体のリズム調整をやってる。牽引索を引く邪教徒と前方の屍群も、この瞬間からもう背景じゃない。塔の一部だ。


あれはユニットじゃない。


あれは陣地だ。


崩れた壁の下にしゃがみ込み、すぐには外を覗かない。四面の巨大スピーカーからの第一波をやり過ごす。黒ミサ式の朗読が街壁と地下配管を伝って流れ込んでくる。低音域が胸を圧し、まず胃が気持ち悪くなって、それから頭が痛くなる。この妨害は爆発とは違う。爆発は一発だ。こいつは連続して脳みそに汚水を詰め込んでくる。すぐに倒れはしないが、苛立ち始め、焦り始め、判断がワンテンポ遅れ始める。


耳機を耳骨に押しつけ、外部周波数を半分カットして、市庁舎と近距通信だけ残した。


「神父、生きてるか?」


バロロは俺の左前方に立ち、半身をめくれ上がったコンクリート板に預け、鉄鎖を垂らし、聖書を斜めに構えていた。顔に積もった灰が、亀裂から差し込む灯りと火光の中で古い漆喰みたいに見える。教会の壁から直接叩き出してきたような男だ。


「埋葬の時はまだ来ていない」と彼は言った。


「それでいい」


手元で使えるものを改めて確認した。


ショットガン一丁。残りのバックショットとスラッグを合わせても、要所制圧が数回分。拳銃はマガジンがあと二本。さっき倒れた憲兵から拾ったカービン銃——弾は少ないが、守護者後列の露出した脚を抜くくらいはできる。鎌はまだある。腰の後ろに、信管がまだ完全には歪んでいない破片手榴弾が二発。整備層から引き剥がしたワイヤーが一束。地面には蒸気管の切れ端、砕けたコンクリート塊、噛み込んで動かなくなった守護者の大盾一面、それと通路を塞ぐのにちょうどいい邪教徒の死体が三体。


これを武器庫とは呼ばない。


まだここに居座れる理由と呼ぶ。


上方の亀裂からもう一度確認した。黒ミサ塔はまだ前進している。遅いが、止まらない。前方の牽引群が太索を肩に担いで一列一列と並び、屍と邪教徒が混ざり合って、無理やり引き伸ばされた腐った腱みたいだ。塔底の鉄装甲板が路面を削り、歯の根が浮くような音を立てている。守護者が前方に半月形に展開し、穿刺者が後方で槍先を斜めに立てている。スピーカーは四方八方に、都市に流してはいけないものを流し続けている。急いで突っ込んでくるわけじゃない——火線全体に自分の存在を認めさせてから動くつもりだ。


だから最初にやることは、どう爆破するかじゃない。どう遅らせるかだ。


爆破できるかどうかは別の話。少しでも遅らせれば、マルセイユ全体が一息つける。


「神父、」俺は言った、「塔は崩さない。まず足を崩す」


彼が目を上げた。


「牽引群か」


「そうだ。守護者は壁、穿刺者は刺、塔本体は厚すぎる。まず前で引いてる奴らを断ち切る。速度が乱れれば、後ろの儀式リズムも崩れる」


神父が頷いた。合法的な判決を聞き終えたように。


「可能だ」


「お前は亀裂まで押し込んできた奴らを近接で処理してくれ。俺は牽引群とスピーカーを狙う」


「スピーカーを?」


「一発で壊せるとは思ってない。でも音を歪ませれば、向こうが荘厳だと思ってるものをただのノイズに変えられる。邪典よりノイズの方がマシだ」


神父の口元は笑わなかった。ただその線が、少し硬くなった。


「褻瀆者を褻瀆する、か」


「俺はやられたらやり返すって呼び方の方が好きだな」


まず邪教徒の死体を一体引きずってきて、崩れた壁の下の一番狭い箇所に詰め込んだ。それから倒れていた守護者の大盾を使って右側の通路半分を斜めに塞いだ。これで守護者や穿刺者が地下夾層に強引に押し込んできても、正面と右側斜め刺しを同時に食らわずに済む。次にワイヤーの一端を蒸気管の残った支柱に縛りつけ、もう一端を死体二体の腰に巻きつけて、不格好だが脚を引っ掛けられる低位障害物を作った。


工兵の教科書に載ってるやり方じゃない。死にかけた人間だけが発明するやつだ。


前方から邪教徒が亀裂の縁を覗き始めた。攻撃じゃない、俺たちが死んだかどうか確認しに来てる。弾を無駄にせず、カービン銃を構えて脛全体が見えるまで待ち、短く二発。最初の一体は脛骨を折られ、次に出てきた奴がワイヤーと死体の間に足を踏み込んで前のめりに倒れた。神父が鎖を投げ、首に絡めて下に引き絞り、聖書を落とした。


「悔い改めよ」


頭が叩きつけられる音が、やけに響いた。


二度見せずに銃口を上げ、黒ミサ塔の左前方の牽引群に向けて撃った。


距離は近くない、角度も悪い。普通なら弾が残り少ないカービン銃で移動中の牽引屍群を狙ったりしない。だが普通の人間は今日ここに立っていない。呼吸を殺し、発力に影響する肩、肘、膝だけを狙い続けた。一発目は外れ、邪教徒の首横を掠めた。二発目は牽引手の肘関節を砕いた。三発目が一番決まった——屍の膝を直接撃ち抜いた。倒れた瞬間、太索が一節分沈み込み、後ろの三、四体が連鎖して乱れた。


塔は止まらなかった。


だが前進のリズムが、確かに半拍崩れた。


その半拍の間、スピーカーの朗読と塔身の振動がわずかにずれた。安定していた合唱隊の誰かが突然フライングしたみたいに。一般人にはどうでもいいことかもしれない。俺には意味がある。これが奇蹟じゃなく機械だという証拠だ。不可逆じゃなく、乱せるということだ。


「効いてる」俺は言った。


「続けろ」神父は言った。


カービン銃の残弾を半分残して、ショットガンに持ち替えた。亀裂の上方から守護者が崩れた構造を伝って地下に圧し入ろうとし始めていた。一斉に入ってくるんじゃなく、一体ずつ探り入れて盾と体で空間を測っている。これはまずい。頭上に一列固定されたら、下の夾層全体が袋小路になる。


壁に貼りついて二秒聞いた。最初の守護者の大盾の縁が亀裂から下に差し込んできた瞬間、足首と盾底の間に向けてバックショットを叩き込んだ。近距離のショットガンはこういう乾いた固い構造に効く。一発で砕けなくても、全体性で保っていたものを緩める。守護者がよろめき、盾が下にずれて亀裂に噛み込んだ。神父が一歩前に出て、左手の鎖で盾の縁を引っ掛けて引き、右手の聖書を相手の前腕の関節に叩き込んだ。


「跪け」


盾が落ちた。体も落ちた。


邪教徒ごと砕石が地下夾層に転がり込み、顔面に一発補填してから大盾を右側に蹴り飛ばして新しい遮蔽にした。


スピーカーの音がまた大きくなった。


音量を上げたわけじゃない——黒ミサ塔がさらに近づいたからだ。今は四面のスピーカーが全部同じ内容を流しているわけじゃないと聞き分けられる。真正面は長文形式の朗読、左側は群衆の応唱みたいなもの、右側には金属の弦を擦るような奇妙な音が混じっていて、低く骨の中に入り込んでくる。こいつを普通の街区に流したら、二、三ブロック先の一般市民が自分から間違った方向に走り出す。恐怖だけじゃない——エリア全体に新しいメトロノームを刻み込もうとしている。


耳機に市庁舎のラインが割り込んできた。


最初は葉綺安(イェ・キアン)


「こっちにも聞こえてる。広場のガラスが全部震えてる。ヴィクトリアが布、スポンジ、テープを全部持ってきて窓と車の隙間を塞がせてる。低音域は少し抑えられてる。K7は吸気清掃中、シュトゥルムシュライターの左トランスミッションはまだ死んでない。そっちの距離は?」


塔の位置を確認した。


「吐きそうなくらい近い」


短い沈黙。何かを計算しているようだった。


林雨瞳(リン・ユートン)が刀を探してる。小希(シキ)は待機中」


「急がせろ」


次にヴィクトリアが割り込んできた。背景は金属の打撃音と、怒鳴られた後に急に動きが速くなった人間の音が混ざっている。


「使えそうなの七人確保したわ。市民が二人、船の修理経験者、レッカー運転手、退役の軍械士、警察が二人。K7は三十分以内に基本機動に戻せる、誰も燃料を間違えなければの話だけど。シュトゥルムシュライターはもっとかかる。せいぜい持ちこたえることね」


「それ、放屁と大差ないぞ」俺は言った。


「じゃあ祝福だと思っておいて」


通信が切れた。耳機を押し直して、頭を上げてもう一発撃った。


今度はスピーカーを狙った。


あのサイズの拡声器をバックショット一発で沈黙させるつもりはない。ただ問題を起こせればいい。この距離でバックショットを撃てば威力の大半は散る。でも数粒がスピーカーの口か外付け支架に当たれば十分だ。一発目は外れて塔身中層の鉄装甲板に当たり、火花を散らした。二発目は少し高めに、左前側のスピーカーの外縁を掠めた。


思ったより効いた。


スピーカーは爆発しなかった。でも音が即座に歪んだ。整然と続いていた朗読が突然鋭いハウリングに崩れ、錆びた鋸を彌撒の録音に突っ込んでかき回したみたいな音になった。前方の牽引群が明らかに乱れ、守護者の盾列まで揃わなくなった。何人かの邪教徒が思わず塔の上を見上げた——自分たちの神託がなぜ突然ノイズになったのか、理解できないような顔で。


「ずっとマシな音だ」俺は言った。


神父は返事をしなかった。ただ次の聖書の一撃が特別に重かった。賛同の表れだろう。


前方の護教騎士が動き始めた。


地下夾層に直接突っ込んでくるんじゃない。黒ミサ塔の右前外翼を小さく一周してから、長い竿を前方斜めに指した。守護者が即座に両側に車幅半分ずつ広がり、穿刺者が中央ラインを埋めた。猛攻じゃなく「塔を火線に通す」動きだ。牽引群を崩してスピーカーを壊した俺たちの行動が、向こうにより正式な編制で塔を守らせることになった。


これで一つ証明された——俺たちは急所を突いている。


「神父、」俺は言った、「奴らが塔を守り始めた」


「なら、もっと痛くしろ」


頭上の配管と左右の壁面を確認した。地下夾層はもともと古い整備道で、長年放置されて、誰も触らないことでかろうじてバランスを保っているものが多い。塔が入ってきた時の振動が、いくつかの固定架をすでに緩めていた。前に出て鎌の柄で右側の太い蒸気主管の支持架を叩いた。音が一節分、空洞になっている。


使える。


「五秒だけ頼む」俺は言った。


神父が即座に一歩前に出て、亀裂の最前まで体を持っていった。最初に差し込んできた穿刺者が槍を送り込んだ瞬間、鎖で槍桿を絡めて横に流し、槍先を壁に刺し込ませた。次の守護者が盾で圧しようとしたところを、肩で受け止めて右手の聖書を盾の後ろの顔面に短く叩き込んだ。


「静粛に」


その数秒で手榴弾二発の安全処理を済ませた。一発は緩んだ蒸気主管の支持架に引っ掛け、もう一発は隣の半裂けた整備孔の中に押し込み、死体と砕石で少し隠した。こういう場所を爆破するのは人を殺すためじゃない。上層構造をもう少し緩めて、塔前方の街面に余分な瓦礫を落とすためだ。


崩れなくていい。


通りにくくなればいい。


「半歩下がれ!」俺は叫んだ。


神父が即座に後退した。俺は亀裂上方に向けて二発撃ち、顔を出しかけた邪教徒を押し返してから起爆した。


一発目は大きくない。くぐもった音で、壁の中で重い拳が一発打ち込まれたみたいだ。二発目で十分だった。右側の蒸気主管が丸ごと断裂し、目が痛いほど白い熱霧を上に噴き上げ、すでに崩れかけていた壁面と上層のコンクリートを一緒に街面に崩落させた。外では即座に混乱が起きた。守護者の盾が互いにぶつかり、邪教徒が怒鳴り合い、牽引群が後ろに向かってばらばらに引いた。黒ミサ塔は止まらなかった。だが前方左側の街面が新たに崩れた瓦礫と蒸気に覆われ、速度がまた落ちた。


もっと重要なのは、左前方のさっき俺が撃ち抜いて音が歪んでいたスピーカーが今度こそ完全にイカれて、断続的な甲高い金切り声を吐き出し始めたことだ。自分で銃を耳に突っ込んで引き金を引きたくなるほど酷い音だが、向こうはもっと悲惨だ。儀式感たっぷりだった黒ミサのリズムに無理やり裂け目が入り、残り三面のスピーカーはまだ流し続けているのに、一面が破綻したせいで、まるで邪教徒同士が内輪揉めを始めたみたいな音になった。


「よし」俺は言った。「これでようやく人間が作ったポンコツらしくなったな」


神父が転がり込んできた邪教徒を鎖で絞め上げてひっくり返し、首を踏みつけながら、死亡診断書でも読み上げるような平板な声で言った。


「人が作りし冒瀆は、本来壊れるべくして壊れるものだ」


外の護教騎士がここでようやく一段階前に押し上げてきた。突撃じゃない。守護者を連れて前進し、崩落と熱霧で乱された塔前のエリアを再構築している。奴らにはまだ秩序がある。そこが一番厄介だ。こっちが一度狂わせても、崩壊はしない。ただ次のプログラムに切り替えて繋ぎ直してくる。


骨馬が瓦礫と蒸気の縁を踏み越えるのを見て、俺はようやく腹の底で理解した。このまま夾層から点殺しを続けるだけじゃ駄目だ。時間は稼げるが、長くは持たない。黒ミサ塔がいくら遅くても、このペースならいずれ交差点の幾何を丸ごと塗り替えられる位置まで入り込む。あいつがそこを押さえた瞬間、上層も、市庁舎も、南側の医療ラインも、全部が一気にきな臭くなる。


もっと大きなチョークポイントが要る。ガソリン、ワイヤー、消火器、可燃物、車体そのものまで含めて。つまり、今俺たちがやってる「夾層の残存火力で引き延ばす」やり方は、後ろの連中が本当に使える遅滞手段を掻き集め終わるまでの時間稼ぎに過ぎない。


そのわずかな時間を、俺と神父が体で買い取らなきゃならない。


耳機が突然また一鳴りした。


今度は葉綺安(イェ・キアン)でも、ヴィクトリアでもない。


小希(シキ)だった。


背景はやけに静かだ。さっきの市庁舎みたいな騒乱はない。どこか内部空間に入っているんだろう。


周士達(ジョウ・シーダー)


「言え」


向こうが一瞬黙り、布が擦れる音のあと、ごく軽い——けれど聞き慣れた金属の抜き音がした。


刀だ。


取ったな。


「刀、受けた」彼女は言った。


目を一度閉じて、開けた時には、前方の黒ミサ塔も、護教騎士も、守護者も穿刺者も、スピーカーの絶叫も、何一つ消えていない。それでも胸の奥でずっと引っかかっていた何かが、やっと少しだけほどけた。


「上出来だ」俺は言った。


「もう少し持ちこたえて」


「最初からそのつもりだ」


彼女は余計なことは言わない。一言だけ返した。


「待ってて」


通信が切れた。


隊形を組み直してなお前へ圧してくる黒ミサ塔を見据えながら、ショットガンの残り弾を並び替えて、スラッグを先頭に回した。神父が俺の左前に戻り、手の中の鎖が低く金属音を引き摺る。


前の邪教徒、守護者、穿刺者——そして熱霧の縁で体勢を立て直した護教騎士が、定められた手順通りにこちらへ進んでくる。


俺たちも同じだ。


違うのは、奴らは攻城塔を街に送り込んでいる。


そして俺と神父は、まだ消えきっていないわずかな火力で、この塔を誰かが追いつける速度まで無理やり落とし込もうとしている。

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