156.役割分担 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
次の瞬間、正面接敵。
盾列が十メートル以内に入り、俺はまず脚を斬って半歩退いて中央線を空けた。デュヴァルの火力が左の凹みから切り込み、二列目の槍持ちの肩を直接吹き飛ばした。右の憲兵が補射し、前列の白衣が倒れた瞬間、骨馬が半歩前に出て列全体を再び噛み合わせた。騎手がついにあの長竿を斜めに下ろした。旗じゃない。方向を指示する儀杖に近い。
戦いに来たんじゃない。
圧進全体のリズムを指揮しに来たんだ。
神父の迎え方は相変わらずで、派手さはない。まず最前列の白衣の槍を右肩の外側に沿わせて逃がし、左手の鎖で槍桿を絡めて引き倒し、聖書を顔面に横から叩き込んだ。
「なぜ悔い改めることを拒む」
二体目が補充に来た瞬間、肩で直接ぶつかる。二百キロ級の重装が狭い通路でぶつかるのは、防爆扉より性質が悪い。白衣は盾ごと倒れ込み、後ろの隊形が一斉によろけた。
「ならば、ここまでだ」
アーメンは口にしなかった。俺が先に飛び出したからだ。
その揺れに乗じて盾の隙間に切り込み、鎌の刃を上に跳ね上げてまず盾の底を剥がし、そのまま横に引いて膝裏を斬る。こいつらは生前はかなりデカかったはずだが、死んで下半身を断たれれば、ただの硬い障害物でしかない。斬り終えたら欲張らず、すぐに退く。この戦いで欲をかけば、後ろの槍列に串刺しにされる。
イヤホンの中で、地上線がもう俺たちの頭上に張り付いていた。
「周 士達」牛小琴の声は今回、イヤホンから先に来たわけじゃない。
壁の向こうからだ。
こもっていて曖昧だが、俺には聞き取れた。
俺は一瞬動きを止めた。感動したからじゃない。俺たちがついに同じ点に重なったという意味だからだ。そして同時に、地上も地下も、残されたのはこの息一つだけだという意味でもある。
すぐ上で馬三娘の怒鳴り声がした。誰かに向けているようで、俺に向けているようでもあった。「右の土嚢を後ろに下げろ!裂け目を塞ぐな!」
裂け目。
崩れかけた耐力壁を見上げると、ついに上端に新しく落ちてきた細い隙間が見えた。そこから灰色の光が漏れ込み、外の燃える匂いも混ざっている。次の瞬間、長矛の穂先が裂け目の縁から猛烈な勢いで突き出され、白い灰と砕石を巻き込みながら、緩んだコンクリートの塊を貫き、すぐに引き戻された。
馬三娘が着いた。
後ろの白衣も着いた。
騎乗ユニットが通路の突き当たりで初めて長竿を完全に水平に構えた。盾壁全体がそれに合わせて低くなる。三輪目の本格的な推進を始めるつもりだ。そして俺たちの前のこの壁も、もう長くは持たない。
上で誰かが重いものを引きずる音が聞こえ、シキの短い命令が聞こえ、牛小琴の呼吸が震え始めているのが聞こえ、馬三娘の矛の石突がもう一度重く地面を叩く音が聞こえた。彼女がここにいると、下の人間に伝えるみたいに。
俺も、上の人間に俺がいることを知らせた。
銃を上げ、天井の縁に向かって二発連続で撃った。
銃声が中間層で爆発し、コンクリートの破片がごっそり落ちてくる。壁の向こうが半拍静まり、それからシキが汚い言葉を吐くのがはっきり聞こえた。扉一枚隔てたみたいに近い。
向こうはまだ生きてる。
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馬三娘を先に行かせるのは、俺がその場で変えた命令だ。
彼女が弱いからでも、逃げ腰だからでもない。俺の手元に残っているのはもう部隊じゃない。骨まで削れた一本の刃だ。刃は、次の戦局を本当に切り開ける場所に残すべきで、目の前のこの壊れた街口に全部突き立てるべきじゃない。シキはまだ番刀を取り戻していない。祖霊の加護が不完全な状態だ。彼女は耐えられるし、殺せるし、無理も利く。だがその無理は自分の命を前借りしているだけで、長時間の作戦には向かない。彼女は市庁舎へ行き、リン・ユートンの線に合流して、刀を受け取る必要がある。刀が手元に戻って初めて、彼女は本来の定位置に就く。
俺は半分崩れた耐力壁の下に立ち、裂け目から漏れる灰色の光を見上げながら、上に向かって怒鳴った。
「馬三娘、シキを連れて負傷者を挟んで、今すぐ撤退しろ。振り返るな。市庁舎へ行って、リン・ユートンから刀を受け取れ。ヴィクトリアは車を拾ったらそのまま補給と整備に入れ。運べる奴、押せる奴、弾を装填できる奴は全員、お前について行け」
上が半秒静まり返った。
その半秒がはっきり聞こえた。躊躇じゃない。誰かが歯を食いしばって、言葉を呑み込んだ音だ。続いて馬三娘の声が壁の向こうから押しつけられるように響いた。金属みたいに冷たかった。
「了解。人を連れて行く。あなたたちは?」
俺は前に迫ってくる盾壁を一瞥し、それから通路の突き当たりで斜めに揺れる骨馬の頭の影を見た。
「俺と神父でここを塞ぐ」
「見本みたいな死に方はしないでよ」彼女は言った。
「お前こそ、負傷者を道連れにするな」俺は返した。
それから上で短い足音、引きずる音、担架の脚がコンクリートを擦る硬い音、そして何人かが痛みに耐えきれずに漏らすくぐもった呻き声が聞こえた。撤退が正式に始まった。散り散りになるんじゃない。血と灰に塗れた強制再編成だ。こういう時は速さが取り柄じゃない。方向感覚を保てるかどうかが命だ。
俺は後ろに手信号を出し、まだ持ちこたえているフランス人警官に兵士二人を連れて上の裂け目に上がるよう指示した。
「動ける奴から先に上へ送れ。動けない奴は縛ってでも連れて行け。誰一人、この構造物の間に挟まらせるな。挟まれば両方一緒に死ぬぞ」
警官が頷いた。顔はすでに真っ白で、右の耳の付け根を飛んできた石に切られて襟元に血が滲んでいたが、まだ気持ちは切れていない。英雄でも特殊部隊でもない、今日無理やり地獄に放り込まれてまだ倒れていない、ごく普通の警官だ。こういう人間が今は一番役に立つ。命令を投げれば、その通りに動く。芝居はしない。
神父が俺の左側に立ち、鎖を手元に垂らしている。黒い戦術祭袍の裾は灰と乾いた肉片だらけだ。彼も上の裂け目を見上げた。まだ完全に閉まっていない扉を見ているみたいに。
「彼女たちの判断は正しい」と彼は言った。
「わかってる」
「お前の本心は違うがな」
「それは俺の問題だ」
彼はそれ以上返さなかった。こういう時、俺が彼と話すのを好む理由はこれだ。慰めもしないし、余計なことも言わない。ただ正しい言葉を正しい場所に置く。棺桶に釘を打つみたいに。
上から先にエンジンの爆音が響いた。
重く、トルクが低く、鼻に鉄釘を詰め込まれた野獣を無理やり引き起こしたような音だ。続いて金属の履帯か加重車輪が砕石を碾き潰す音が聞こえ、車体の衝突音と、折れたガードレールが弾き飛ばされるガシャガシャという音が混ざった。
シュトゥルムシュライター。
ヴィクトリアが着いた。
イヤホンに雑音が弾け、それから彼女の、いつも死体安置所から出てきたばかりみたいな声が割り込んできた。聞いてて苛立つくらい冷静だ。
「外の街口に到着。シュトゥルムシュライターの前甲損傷、左側観測窓に亀裂二か所。まだ走れる。馬三娘、負傷者を私の後ろに詰め込んで。右側のトランスミッションには触らないで。さっき鋼線で仮止めしたばかりだから、踏み抜いた奴は自分の脚を折ることになる」
馬三娘が向こうで返す。「シキは先に車に乗せる?それとも徒歩で線を維持する?」
「車には乗せない」俺が直接割り込んだ。「あいつは降りて歩ける状態を保たせろ。重傷者と走れない奴を先に積め」
シキがようやく声を出した。誰かの喉を半分噛みちぎった直後みたいな声だった。
「担がれるほど落ちぶれちゃいない」
「ならその意地を市庁舎まで持って行って、刀を探せ」俺は言った。「ここで浪費するな」
向こうが二秒沈黙し、最後に一言だけ吐き出した。
「わかった」
この「わかった」は、納得はしていないが実行するという意味だ。それで十分だ。
上はすぐに撤収の節奏に入った。シュトゥルムシュライターのエンジン音が俺たちの頭上の少し左を移動している。車体を使って壊れた街口を二つに分け、一つで人を収容し、一つで追手を防いでいるんだろう。馬三娘がチャンネル内で点呼を始め、まだ動ける人間を一人一人配置に組み込んでいく。彼女はこういう時、怒鳴り散らすよりよっぽど役に立つ。人が混乱した時、一番必要なのは度胸じゃない。名前、位置、用途をきっちり固定してくれる人間だ。
ヴィクトリアの方はすでに人を選別し始めていた。
「あなた、青い作業着。ディーゼルエンジンをいじったことは?」
イヤホンから男の震えるフランス語が聞こえた。あるらしい。
「上出来。車について。あなた、そこの警官。銃の機関部をバラせる?」
また別の声ができると返す。
「あなたもついて。クリーニングクロス、機械油、使える金属ブラシ、燃えてない予備弾倉を全部探して。市庁舎に着いたら、K7はまず吸気口とホイールアーチの掃除。シュトゥルムシュライターは左のトランスミッションを見る。私の時間を無駄にしないで」
彼女は話をしてるんじゃない。肉を切ってるんだ。人間を一つ一つ、使える部位に切り分けている。こういう時、こういう人間がすごく必要になる。
俺の頭の中で、市庁舎側の光景がすぐに組み上がった。神父のK7が広場の片隅に止まり、車頭には前数輪の衝突でできた凹みが残っている。シュトゥルムシュライターがバックで入り、馬三娘が負傷者と補給品を分ける。ヴィクトリアが工学、機械原理、溶接、配線がわかる人間を選び出し、臨時の野戦修理班を立ち上げる。軍警が弾薬の補充、銃の清掃、箱詰め、油と水の運搬を手伝う。シキは刀が見つかるまで、一番短い線の護衛と場を抑える役目を担う。あっちは避難所じゃない。第二の中枢だ。あいつらが定位置につけば、俺と神父がここで一分持ちこたえるごとに、後ろでもう一つの命が育つ。
俺は注意を前に戻した。
守護者がまた前進してきた。
今度はさっきみたいに急いでいない。前列の大盾が一つ一つ前に押し出され、節奏はさらに遅く、わざと俺たちを何かの尺度に削り合わせようとしているみたいだ。穿刺者が盾の後ろに縮こまり、矛先が盾の隙間から出たり入ったりしている。急いで殺そうとせず、俺たちがミスをするのを待っている。さらに後ろで、俺が一度叩いたあの護教騎士が位置を変え始め、通路の真ん中から右側へ退き、もっと広い入場軸線を空けようとしているみたいだった。
いい知らせじゃない。
「道を掃除してるな」俺は言った。
神父は前を見据え、灰白色の顔に表情はなかった。
「そうだ」
「後ろのやつのためにな」
「そうだ」
石灰と蒸気の匂いが充満した空気を吸い込み、あの警官に命令を下した。
「あんたも最後の組を連れて上がれ。上に着いたら馬三娘に伝えろ。市庁舎では修理だけじゃなく、爆薬、ガソリン、ワイヤー、消火器を確保しておけってな。車の修理に使うか何かを燃やすかは勝手だが、とにかく準備させろ」
警官は理由を聞かず、すぐに人を動かした。最後の兵士二人が脚を貫かれた負傷兵を抱えて裂け目に押し上げ、梯子を登る音と引きずる音がすぐに頭上から遠ざかっていった。俺たちのいるこの地下保守通路はあっという間に半分空になり、俺と神父、そして残ると言い張る兵士二人が残っただけになった。
「お前ら二人も上がれ」俺は言った。
そのうちの一人が首を振った。「長官、俺たちはまだ撃てます」
俺はそいつらを一瞥し、すぐには怒鳴らなかった。こういう時に残ろうとする奴は、死ぬのが怖くないからじゃない。自分が退いても役に立たないかもしれないとわかっているからだ。だが俺が今求めているのは熱血じゃない。一番無駄のない配置だ。
「お前らが上がる方が、ここに残るより役に立つ」俺は言った。「市庁舎には、最前線がどうやって死んでいくかを知ってる人間が必要だ。伝令に行け」
二人は顔を見合わせ、最後に歯を食いしばって立ち去った。
これで本当に、俺と神父だけになった。
通路が広くなった。
空間が広がったわけじゃない。人が減ったせいで、地下整備道全体が肺を抉り取られたみたいに空洞になった——それでも前方のあいつらは、息もせずに押し寄せてくる。天井の破れたパイプからは黒い水が滴り続け、一滴、また一滴と床に落ちて、白衣の靴底、骨鎧、盾の縁がコンクリートを擦る音と混ざり合い、空間全体をまだ稼働中の屠殺場みたいに仕立て上げていた。
ショットガンを背中に回し、鎌を握り直す。右足を半歩ずらして、脚を引っ掛けて膝を刈るのに一番いい角度に体を収めた。
「あんたのK7、」前方を睨んだまま言った。「戻ってこなかったら、惜しいと思うか?」
神父の左手がわずかに震え、鎖を一節分巻き取った。
「道具が壊れたところで、惜しくも何ともない」
「じゃあさっき、なんであんなに何度も見てたんだ?」
「誰かがそれで生き延びるから」
短く笑った。笑いとも呼べないくらい短く。
「それは人間の言葉だな」
前列の最初の守護者が十メートル圏内に入った。
撃たない。直接いく。
狭い通路では、最大の火力は弾丸じゃなく地形だ。半歩前に出て、盾を胸に押し込んでくると思わせる。そこで鎌を下から上へ一閃——まず盾の底を跳ね上げ、次に足首を刈る。乾いた骨と革のガードが一緒に引き千切れ、そいつは前のめりに膝をついた。後ろの穿刺者がすぐに槍を繰り出す。最初の一本は体を捻って躱し、二本目は防弾板に擦らせ、槍柄の伸びた長さを測って一気に引っ掛け、右へ流した。
神父が動いたのはその瞬間だ。
突進じゃない。沈み込みだ。
前に一圧——まるで黒い扉板が盾列の角に叩き込まれるように。左手の鉄鎖が穿刺者の前腕に絡みつき、下へ引き絞って槍ごと床に叩きつける。右手の聖書が振り下ろされ、相手の顔面と鼻梁の真ん中を直撃した。音は、濡れた木材を斧で割ったときのそれだった。
「悔い改めよ」
二撃目は打ちじゃない。踏みだ。
釘底の靴が頭部を直接踏み抜き、顔面ごと灰塵に叩き込んだ。
「アーメン」
言葉は交わさなかった。必要がないから。今の連携はもう阿吽の呼吸なんてもんじゃない——工程だ。俺が脚を断ち、あいつが口を封じる。俺が倒す、あいつが倒れた奴を新しい障害物に変える。前列の守護者が二重に積み重なって倒れ、後ろの穿刺者が詰まる。槍先が届かなくなった。痛覚はない、だが体積はある。体積がある以上、利用できる。
遠くから、低い轟音が届いた。
爆発でも、エンジン音でもない。
巨大な箱体が路上をゆっくりと引き摺られ、地面と共鳴して長い振動を生んでいるような音だ。最初は遠かった。それが壁、床、配管、床板を伝って、一層一層と降りてきた。整備道に垂れる黒水の滴が乱れ、亀裂から砂埃がさらさらと落ちた。
護教騎士の後退がより明確になった。
俺たちを恐れているんじゃない。道を空けているんだ。
穿刺者の膝裏の腱を一刀で断ち、半歩退いて低く言った。「新しいのが来た」
神父が頷く。判決文の次のページを読み上げられるのを、とっくに知っていたような顔で。
その時、耳機に市庁舎側のチャンネルが繋がった。背景は滅茶苦茶だ——怒号、金属の打撃音、エンジンのアイドリング、負傷者の呻き声が全部混ざり込んでいる。それでも主軸の声が浮かび上がってきた。
最初は葉綺安。
「市庁舎に到着。K7は所定位置。シュトゥルムシュライターは西側階段前に停車。軽傷エリア、弾薬エリア、整備エリアの分離完了。林雨瞳は内部にいる」
次はヴィクトリア。
「使えるの、三人確保した。一人はディーゼルエンジン担当、一人は軍用車両の底盤経験者、もう一人は造船所で液圧と溶接やってた人。死ぬのはまだ早い、時間が必要なのよ」
それから小希——息はまだ整っていないが、声は落ち着いていた。
「刀を取りに行く。取ったら、あんたたちの踏ん張りを無駄にはしない」
短く応答した。余計なことは言わない。こういう約束は水増し不要、覚えておけばいい。
市庁舎側の状況がより鮮明になってきた。K7のボンネットが開かれ、厚い鉄板が風に煽られて歪んだ口のように揺れている。軍警が弾薬箱を一箱ずつ広場を引き摺って運び、古い布と油缶が散乱している。誰かがシュトゥルムシュライターの左側底盤の下に蹲り、懐中電灯とスパナで断点を探している。ヴィクトリアに引き連れられた一般市民の中から選ばれた技術者たちが、最初の狼狽から少しずつ「手に仕事がある人間」へと変わっていく。林雨瞳はあちらで刀を渡す準備をして、小希が祖霊庇護の繋がりを再び結べるようにしようとしている。あそこはまだ生きている。そして動き始めていた。
それで十分だ。
チャンネルを半分ミュートにして、前方に集中し直した。
守護者はもう前押しをしない。穿刺者も両翼に散り始めた。この地下夾層はもう主攻点ではなく、牽制機能だけが残っているということだ。本命は地上を前進している。そして今俺たちがいる位置は、亀裂と崩れた上部構造を通じて、それの一部を見ることができる。
最初に届いたのは音だ。
轟音そのものじゃない——スピーカーだ。
歪んだ、不釣り合いなほど巨大な音。教会の朗読台を引き剥がして鉄の箱に押し込み、腐汁と焦油で配線を繋ぎ直したような音だ。まず低音域が圧し掛かってきて、胸が重くなる。それから言葉が来る。フランス語、ラテン語、そしていくつか——聞いた瞬間に、都市の中で流してはいけないと分かる何かが混じっていた。告知でも軍令でもない。黒ミサ式の邪典朗読だ。逆転した祈祷文、引き伸ばされた人声、背後に群衆の応唱のように響く反響音が混ざり合っている。
内容を伝えようとしているんじゃない。
まだ生きているすべての者に、何かが入城したと知らしめるためのものだ。
足元の地面まで、その音と一緒に重くなる気がした。亀裂から砂埃が絶えず落ちてくる。遠くでまばらだった銃声が途切れ始めた。あの音を聞いて、引き金を引く手の拍子が自分で崩れた人間がいるんだろう。
「冒瀆だ」神父が低く言った。
今度は人に向けてじゃない。あの物体に向けて。
二歩前に出て、倒れた守護者の盾面を踏み台にして、崩れた上壁の隙間から外を覗いた。
最初に見えたのは火だ。
塔の上の火じゃない——それが街角を通過するとき、横転した車、路障、壊れた信号機、吹き飛ばされた商店のショーウィンドウが反射する火光だ。その火がシルエットを節々に切り分け、より高く、よりゆっくりと見せていた。
次に牽引群が見えた。
十数体じゃない、数十体でもない。半ブロック分の死体を全部鉄索で繋いで前に追い立てたような、一面の人形牽引群だ。走っているんじゃない——整然と引き摺り歩いている。肩、背中、腕、全てが太い索と木の横棒に套められ、一列が一列を引いて、あの物体を儀式的な速度で前へ押し進めていた。遅い。だが一瞬の躊躇もない。一歩一歩が、路障も防衛線も、まともな都市が持つべき全てのものが無意味だと宣言しているようだった。
その後ろに、ようやく塔身が見えた。
高い。細い。垂直だ。単純な攻城塔じゃない——どちらかといえば、車道の真ん中に無理やり引き摺り込まれた移動式礼拝堂だ。外層は白漆喰、腐った木材、鉄条で覆われ、縦の骨格は鐘楼に似ているが、各層に戦具の匂いが染み付いている。中段には細長いスリットがあり、その中で人影と兵器の穂先が揺れているのが見えた。上層プラットフォームは半開きで、縁に数人の輪郭が直立していた。塔身四面にはそれぞれ巨大なスピーカーが吊り下げられ、黒い口を四方に向け、邪典朗読と黒ミサの断片を街に注ぎ込み続けている。
攻城しているんじゃない。
これ自体が、入城する儀式だ。
守護者が前方と両側に展開し、王の行列に道を空けるように並んでいる。穿刺者は盾壁の後ろに縮み、槍先が塔のリズムに合わせて上下する。護教騎士は外翼に退き、推進軸線全体を周回して調整している——より大きな何かのために囲いを作る牧羊犬のように。
邪教徒ども。
全員、邪教徒だ。
「C.A.L.F.の邪教攻城塔楼だ」低く言った。
神父が隣に立ち、同じものを見た。
あの死人石像みたいな顔は変わらない。だが息を一つ、深く沈めたのが分かった。
「礼拝堂を攻城兵器にしたか」
「しかも拡声車まで兼ねてる」俺は言った。
塔上のスピーカーから新たな朗読が吐き出された。今度はさらに大きく、街区の窓、階段、地下室、鼓膜に直接流し込んでくるようだった。遠くでさっそく悲鳴が上がった。やられたんじゃない——精神が先に折れた。市庁舎側の人間がどう反応するか、容易に想像できた。動きを止める者、呆然とする者、吐き気を催す者、耳に詰め込めるものを探す者。ヴィクトリアはたぶん、一番近くで固まった奴をまず蹴って油箱を運ばせる。葉綺安は最も冷たい声で現場を引き戻す。小希がもう刀を手にしているなら、その瞬間から全身の気配が変わるはずだ。
だがそれは後の話だ。
今は、目の前のこの黒ミサ塔が俺の視界に入ってきた。
塔身下段前方の鉄装甲板が見えた。牽引群の肩に食い込む太索と木の横槓が見えた。プラットフォームの縁に打ち付けられた、現代の街路には本来存在しないはずの宗教紋章と苦行鉄具が見えた。守護者がどうやってその速度に合わせて盾列の間隔を調整しているかが見えた。これは場当たりで組まれたものじゃない。設計がある。工程がある。用途がある。C.A.L.F.が宗教的冒瀆、心理戦、攻城術を一台の機械に練り込んで、堂々とマルセイユに送り込んできた結果だ。
前方の邪教徒、守護者、穿刺者、護教騎士、そして俺たちを一路後退させてきたあの骨馬——全部が本体じゃない。この塔のために道を開けていただけだ。目的は一本の通り、一つの交差点、数十人の生存者じゃない。街全体に見せること、街全体に聞かせること、陥落する前に街全体を一度宣告すること——それが目的だ。
盾面から飛び降り、二歩退いて整備道の中央に戻った。前方の地下夾層では、守護者と穿刺者が再び隊列を組み直し始めていた。塔が所定位置に着いた以上、俺たちの価値も変わった。急いで飲み込む必要はない。釘付けにしておけばいい。上のあの物体が戦場全体を書き換えるのを待ちながら。
鎌を握り直し、灰混じりの息を一つ吐いた。
「神父」
「言え」
「どうやら今日は、まだ仕事納めじゃないらしい」
鉄鎖を手首にもう一巻きして、聖書を右手に提げた。打ち下ろされる直前の墓石みたいに。
「そんなことを考えたことは一度もない」と彼は言った。
前方、黒ミサ塔のスピーカーがまた歪んだ朗読を吐き出した。音は通り、壁、亀裂、配管を伝って圧し入り、構造全体がそれと一緒に呼吸しているようだった。守護者が再び前進を始め、穿刺者の槍先が一列一列と持ち上がり、護教騎士が塔の外翼で頭を垂れてゆっくりと歩く——自分たちより大きな何かの意志に、場所を譲るように。
攻城兵器が街に入ってきた。
そして俺たちは今、それが最初に目を向ける場所に立っている。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




