155.二線並行 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
探り合いは終わった。
突撃してきたわけじゃない。本当に軍陣を理解してるモノは、初登場で力を怒号に浪費したりしない。そいつはゆっくり歩いてきた。この地下通路の幅を測るように、俺たちの呼吸を測るように、この節点にまだ何人の生存者が詰まってるかを測るように。
白衣騎乗指揮ユニット。
もう影じゃない。壁に投影された輪郭でもなければ、怯えた作業員の戯言でもない。そいつは中央線の後方に立っていた。両脇を大盾扈従が固め、後ろにはさらに厚い白衣歩兵が鉄柵門の向こうから層を重ねて詰め込まれてくる。手に持つ戦標とも長槍とも権杖ともつかない長柄は、すぐには下げない。ただ、わずかに一寸だけ前に持ち上げた。
地下線上の白衣が、全員同時に止まった。
この整然さは、突撃よりよほど戦争だ。
俺は銃口を安定させ、枯れ馬の胸から垂れ下がるぼろぼろの白布と金属護片を見据えた。前脚は生きた馬のような起伏がない。関節の折れ角が硬すぎる。歩幅が真っ直ぐすぎる。死肉と甲片が、何らかの命令によって支えられてるみたいだ。馬上のモノも普通の白衣とは違う。外袍の下にもっと硬い線がある。肩と胸前の輪郭は板甲に近く、顔面は極端に細い頭罩か面盔で、冷たい一本の縫い目みたいに収まっていた。
そいつは何も言わない。
だが隊列全体が、そいつの代わりに語ってる。
バローロ神父が俺の右側に立った。黒鉄の杭を三叉路に打ち込んだみたいに。鎖は右腕の外側に垂れ、左手の聖書は胸に押し当てている。デュヴァルと俺が左右に分かれ、後ろには医者二人、警備員一人、憲兵一人が、最後の重傷者を左の旧連絡廊へ引きずり込もうとしていた。
誰もがわかってる。この出口が崩れたら、後ろの人間は撤退じゃなく、押し戻される。
枯れ馬がもう一歩前に出た。
今度は踏みしめ方が重い。地下の反響が壁と天板を這い回り、全員の肋骨を鉄槌で一発ずつ叩いたみたいに響く。それから、手の長柄がゆっくりと下に向かった。
俺が先に撃った。
最初の一発はそいつを狙ったんじゃない。左側の扈従盾列の下縁だ。こいつらが本当に軍陣なら、最前列の価値が一番高い。弾は盾の足と床の隙間に潜り込み、中で一本の脚が後ろに折れた。デュヴァルが続いて、もう一枚の大盾の角に短い点射を二連、後方の長柄武器を一瞬だけ乱させた。
だが今回、前列は前みたいに崩れなかった。
中央の騎乗ユニットが長柄兵器を右にわずかに傾けると、左側の盾列がすぐに補位した。二枚の大盾が前に押し出し、後ろの槍は急いで突き出すのをやめ、盾の縁に沿って一寸一寸前に送ってくる。呼吸する絞り機みたいだ。
「節奏を制御してやがる!」デュヴァルが怒鳴った。
「見りゃわかる!」俺は返しながら、銃口を盾の縁の隙間に補った。
バローロ神父が動いた。
今度は扉口に釘付けになって砸し続けるんじゃない。三歩前に出て、ほとんど三叉路の中央に踏み込んだ。一歩目で重靴が地面の折れた矢を二つに踏み砕き、二歩目で鎖がすでに走り出て、一番左の大盾の上縁に絡みついて引き傾ける。三歩目、左手の聖書が続いて落ち、盾の後ろからちょうど半分だけ露出した白い顔面に叩きつけた。
「悔い改めよ」
ドン。
本で顔を叩いた音じゃない。角のある鉄塊で骨を叩いたような音だ。盾の後ろの白衣は頭を傾け、そのまま後ろに仰け反った。神父は追い打ちをかけず、鎖を返して右から送られてきた槍桿を壁に押しつけ、矛先を自分の肩甲に沿わせて逃がし、肩でそのまま前に押し込んで、前列の欠け目を力ずくで広げた。
「ジョウ!」
言われなくてもわかってる。その裂け目に沿って俺はすでに切り込んでいた。死神の鎌が掌から滑り出て、黒い刃が地面を這うように横薙ぎに走る。まず一番前の扈従の脚を断ち、そのまま上に引いて後ろの槍持ち白衣の腹を横に割る。地下通路は狭すぎて血が飛び散る余地もなく、盾面と壁の角を伝って流れ落ちるだけで、地面に新しい道を引き直してるみたいだった。
それでも向こうは崩れない。
騎乗ユニットは馬頭をわずかに前に送っただけで、後列がすぐ補充された。突撃すらしない。ただ中央線全体を一マスずつ前に送り続けてるだけだ。一マス進むたびに、俺たちの立てる場所が一マス消える。
これが軍隊と屍群の違いだ。
屍群は飛びかかる。乱れる。飢えを見せる。
軍隊はそんなことをしない。お前が立てる場所を奪えばいいだけだ。
火力を抑えながら、左の旧連絡廊を一瞥した。最後の重傷者がすでに引きずり込まれ、婦長が女の子を抱えて曲がり角の後ろに縮こまり、医者二人が横倒しのストレッチャー、薬品カート、酸素ボンベを廊口に積み上げて第二の障害物を作っている。
いいな。
後ろが少なくとも空じゃなくなった。
その時、胸元の通信機がまた鳴った。
音声じゃない。オープンな短波チャンネルで、繋がった瞬間から地上の音が流れ込んでくる。風、サイレン、走る群衆の足音、そして遠くから鉄の蹄みたいなリズム。
シキの声が先に入ってきた。
「ジョウ・シーダー、南区の港外環サービス道路で接敵開始」
撃ちながら返す。「状況を絞って言え」
向こうに余分な言葉はなかった。
「外圏の高位ユニットが正式に圧線。扈従大盾、騎乗指揮、後方に重装推進掩体あり。主要道路はもう使えない。今は倉庫街と医療線の間の側道に入ってる」
霰弾を一発、前列の盾の後ろに送り込んで、前に突き出していた長槍二本を一瞬だけ上に弾かせた。
「敵との距離は?」
「二百から百二十まで縮んだ」今度は別の声が答えた。
イェ・キアンじゃない。
いや、体はあれだが、話し方がもう別人だ。
声が硬い。乾いている。陣前で号令をかけることに慣れきった人間の声だ。
「主要道路右側の第二街区、通れる隙間を一本借りたい」彼女は言った。
一瞬、俺の思考が止まった。次の瞬間には答えが出ていた。
推測じゃない。あまりにも明らかだ。
「マー・サンニャン?」
向こうが半秒沈んだ。この呼び方に驚いた様子はない。
「今は私だ」彼女は言い切った。「南の側道が乱れすぎてる。凡人の封鎖じゃ持たない。外のこの層は私が先に抑える」
背景で誰かが息を飲んだ。まだこういう場面を見たことのないフランスの軍警か民間人だろう。そこへ、もう一つの声が割り込んできた。シキの普段の気質とは明らかに違う、もっと冷たく、もっと薄い女の声だ。
「重力場は局所だけ開く」その声は言った。「線は渡す。見世物はやらん」
ニウ・シャオチン。
いいな。
シキも、もういない。
それ以上確認する暇はなかった。地下の騎乗ユニットが、初めて本当に命令らしい動作をしたからだ。手の長柄兵器を水平に前に向けると、左右の大盾扈従が一斉に半歩前に押し出し、後方の槍が揃って送り出された。乱突きじゃない。斉射みたいに分けて繰り出してくる。
「頭を下げろ!」俺は怒鳴った。
一列目の矛先が俺の肩を掠めて過ぎ、二列目が盾の後ろからすぐ補充された。バローロ神父が全体重で前に押し込み、肩甲で一本を受けて矛桿を押し逸らし、鎖を返してもう一本の槍桿を壁に縛りつけた。槍を持った二体の白衣が直線を崩されて引き乱される。俺はすぐ切り込んで、鎌を盾の縁に沿って斜めに走らせ、一体の喉と顔の半分を一緒に割いた。
それでも中央のそいつはまだ前に出てこない。
ただ見てる。
前列を使って、俺たちにどれだけ力が残ってるかを測ってるみたいに。
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同じ時間、地上の倉庫街はもう街じゃなかった。臨時の塹壕だ。
もともと貨物トラックの出入り用だったその側道は、今や両端が完全に塞がれていた。左側、低い倉庫の外壁沿いに民間車と救急車が押し付けられて細い通路ができ、右側には憲兵が急ごしらえで張った有刺鉄線と鋼製の拒馬が並んでいる。民間人、医療スタッフ、警察、消防士、全員がこの選択肢のない隙間に追い込まれていた。
そして外圏の白衣どもが、主要道路に沿ってゆっくりとここへ圧力を注ぎ込んでいる。
最初に状況を読んだのは士官でも警察でもなかった。街角にしゃがんでタバコを吸っていた老いた倉庫番だ。主要道路の大盾列がこの側道の入口へと折れ始めるのを見た瞬間、口のタバコが地面に落ちた。
「あいつら、ここに人がいるのをわかってる」と彼は呟いた。
誰も答えなかった。
その場にいる全員が、同じものを見ていたからだ。
シキ——いや、今はニウ・シャオチンと呼ぶべきだ——が側道入口の内側に立っていた。手は同じ手、顔は同じ顔。だが全体の気配がもう別人だ。目が沈んだ瞬間から、周囲の空気まで見えない重みで一層押さえられたみたいになった。手を上げて印を結ぶわけでもなく、余分な動作をするわけでもない。ただそこに立って、視線を前に落とした。
次の瞬間、側道入口の前五十メートルの路面が、一斉に一寸沈んだような感覚が走った。
地面が本当に沈んだわけじゃない。重さが変わったんだ。
先頭の白衣三体の前進速度が落ちた。止まったんじゃない。全ての関節が見えない手で下に引っ張られてるみたいに、一つ一つの動きが重くなった。後列の槍持ち白衣二体が続こうとしたが、足元が沈んで歩幅が半分に縮まり、矛先が本来届くはずの距離まで届かない。さらに後ろで弓に矢をつがえた白衣弓手は、矢が弦を離れた瞬間から何かに引き下げられたみたいに、半分も飛ばずに地面に落ちた。
周囲の一般人はまるまる一秒沈黙し、それから悲鳴が上がり、罵声が飛び、ただ呆然と固まる者も出た。
若い憲兵が地面に刺さった、突然ずれ、突然重くなり、突然狙いを外した矢を見つめながら、やっと一言絞り出した。
「これは何なんだ——」
ニウ・シャオチンは相手にしなかった。
彼女がやったのは、入口前の三つの節点に重力場を押しつけることだけだ。人の流れが通る口、担架が折れ曲がる口、主要道路から側道に入る正面。外には広げない。通り全体を見世物にしない。車を飛ばさない。壁を割らない。ただ一つのことをする——敵を遅くして、味方を安定させる。
それで十分だ。
さっきまで担架の脇でもう立っていられなかった看護師が、車輪がもう片側に傾かないことに気づいた。坂に引っかかっていた救急ストレッチャーも滑らなくなった。パニックで押し合っていた人の波さえ、その瞬間に何かに下から押さえられたみたいに落ち着き、足が地面に戻って、指示通りに倉庫の内側へ流れ始めた。
ニウ・シャオチンの右側では、イェ・キアンの体がもうイェ・キアンじゃなくなっていた。
マー・サンニャンは見た目を変えない。突然古い衣装が現れるわけでも、大軍が出てくるわけでもない。ただ立ち方が変わった。もっと真っ直ぐに。もっと安定して。この若い体に間借りしていた老将が、ようやく背骨を一本残らず立て直したみたいに。手の長矛がいつの間にか定まっていた。穂先は前に向き、槍身はわずかに沈んで、派手さも震えもない。戦場教範の第一頁みたいに、ただ簡潔だった。
外圏の白衣どもも、この側道が突然変わったことを察したらしい。前列の三体が重力場に押さえられ、後列の盾持ち二体がまだ前に押し込もうとして、重みで入口を力ずくでこじ開けようとしている。
マー・サンニャンが一歩前に出た。
怒鳴らない。無駄口も叩かない。
一撃目——いや、一突き目は、横薙ぎじゃなく正突きだ。
矛先が一番前の白衣の大盾の上縁から一寸の隙間に直接潜り込み、顔面を貫いて後頭部から抜けた。手首を一回転させると、盾ごとその屍体が横に倒れて、ちょうど二体目の白衣が露出した。二突き目はさらに速い。喉仏の下に直接刺し込んで、後ろの廃車の車体に縫い付けた。三突き目は止めを刺すためじゃない。横から送り込まれてきた槍を弾いて、後ろで担架を押していた消防士のために二歩分の空間を余分に作るためだ。
その簡潔さが、冷酷さに近い矛の使い方が、見ていた全員に一瞬でわからせた。これは普通の人間が持てる技術じゃない。
老いた倉庫番は口を開けたまま、マー・サンニャンを見て、ニウ・シャオチンを見て、最後には同じ言葉を繰り返すしかなかった。
「これは何だ……一体全体……」
隣の若い警官は撃つことすら忘れて、その場に固まっていた。マー・サンニャンが振り返って一瞥し、淡々と言った。
「銃を持ってるのに、顎を支える棒のつもりか。前列の脚を撃て」
その一言が平手打ちみたいに効いた。警官は慌てて銃を上げた。
同じ時間、別の路地から飛び出してきた白衣二体が負傷者に飛びかかろうとした瞬間、重力場が横に二メートル広がった。光もなく、音もなく、衝撃波もない。その二体はただ明らかに沈んだ。骨の中まで鉛を流し込まれたみたいに。膝関節が崩れ、前に倒れ込む瞬間には、マー・サンニャンの矛がすでに斜め方向から差し込まれていた。前後二体、二突きで喉を封じる。
側道全体で、生きてる人間も死んでる白衣も、一瞬だけ同時に静まり返った。
それからようやく、誰かがまた銃を撃ち始め、また人を引きずり始め、この理解の範囲を超えたものを、神の奇跡じゃなく現場で使える戦力として扱い始めた。
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地下に奇跡はない。
あるのは、もっと重い圧力だけだ。
通信機越しに両方の声を聞きながら、地上のあの一般人たちが今どんな顔をしてるか、頭の中で想像できた。だが考える暇はない。騎乗ユニットがついに自分から一歩前に出てきたからだ。
全速じゃない。
ただ三叉路の光の中に踏み込み、枯れ馬の前胸と前脚を完全に露出させただけだ。
十分だ。
今はもっとはっきり見える。あれは白袍を纏っただけの騎手じゃない。上半身の前甲の外側に宗教的な残飾のついた硬板を重ね、細い面盔の下には普通の人間の口や鼻の形がない。ただ内側に凹んだ黒い空洞があるだけだ。長柄兵器の下端には小型の横刃と鉤が付いていて、戦標としても使えるし、この狭い空間で人を引っかけ、押さえ、貫くこともできる。
そいつが前に出た瞬間、前列扈従の動きがさらに安定した。怖いくらいに。
「本格的に来るぞ」デュヴァルが言った。
「それがわかるなら、まだ頭は動いてる」俺は返した。
バローロ神父がその時、わずかに半回転だけ頭を向けた。通信機の向こうが俺の嘘じゃないと、ようやく確認したみたいに。ニウ・シャオチンとマー・サンニャンの短いやり取りを彼も聞いていた。それに加えて、地上から伝わる火力の節奏が突然安定したことで、直接見ていなくても何が起きたか察しはついたはずだ。
次の瞬間、通信機から断続的な映像が流れ込んできた。デュヴァルの方で誰かが危機センターから街区の監視カメラ映像を共有ストリームに切り込んだらしい。画質は最悪で、側道口の混乱の中に二人の東洋人の女が火線の縁に立っているのがかろうじて見えるだけだ。一人は大した動作もしていないのに、周囲の空気ごと重くなったみたいで、もう一人は矛を持って真っ直ぐ前に進み、その槍路は命の奪い方を教えているみたいに簡潔だった。
バローロ神父の眉がごくわずかに動いた。
驚愕じゃない。衝撃ですらない。
世界は決まった手順で動くはずだと信じてきた人間が、別の、同じくらい有効で、しかも予想以上に確かな存在感を持つ別の手順を突然目にした時の、あの短い停止だ。
ぼやけた映像を半秒見て、それから俺に視線を戻し、低く言った。
「東洋人というのは、どうしてそう芝居がかる」
この一言が彼の口から出るとは誰も思っていなかった。デュヴァルは聞き間違いかと思い、俺でさえ一瞬固まった。
だが神父はそれだけ言って終わりにした。顔はすぐにあの黒い石を削り出したような死んだ静けさに戻り、聖書を左手に押し直して半歩前に出て、俺とあの騎乗ユニットの間の一番細い線の上にぴたりと立った。
「ツッコミが遅すぎる」俺は言った。
「事実を述べただけだ」彼は返した。
次の瞬間、枯れ馬の長柄兵器がついに前に送り切られた。
今度は命令じゃない。接敵だ。
左右の扈従が同時に前に押し込み、槍列が続き、後方では何かが細長い護板を前に引きずり始めた。鉄と骨でできた壁が、本当にこちら側に向かって動き始めた。
俺の一発目は馬の眼を狙った。
バローロ神父の一歩目は三叉路の真ん中に踏み込んだ。
地上では、マー・サンニャンの矛とニウ・シャオチンの重力場も同時に、外圏から側道に本格的に押し込んできた最初の白衣の列を迎え撃った。
内と外の二本の線が、同じ朝に、同時に本当に軍隊に近いものとぶつかった。
そして今回は誰もがわかっていた。昨夜みたいに「暴動」と呼べるような場面は、もうここにはない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




