154.ナイト型 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
三度目の衝撃が収まった瞬間、俺は扉を引き開けた。
様子を伺いながら、なんて段階じゃない。まだ震えている鉄扉の端を思い切り外へ引っ張り、扉板を壁にぶつけ、そのまま肩で半身を外にねじ込む。こういう時の「慎重」は意味がない。外の連中がすでに前列の交代に移ってるってことは、次に入ってくるのは槍か、もっと重いものが通路ごと押し潰してくるか、そのどっちかだ。
扉の外から、冷たい風が一気に流れ込んでくる。鉄錆と砕けたガラスと、さっき解き放たれたばかりの血の匂いを混ぜて。
最初に見えたのは盾だった。
三叉路の手前の通路はたいして長くなく、その上、照明は弓手に半分撃ち落とされていて、残っている非常灯が、空間全体を死体の腹の中みたいな鈍い反射光で照らしている。前列の二枚の盾は既に立て直されていた。さっきより近い。盾の下端は床にしっかり突き立てられ、その後ろに三本の長槍が押し付けられている。そのまた後ろに弓手の姿は見えない。だが、消えたわけじゃない。位置を変えただけだ。さらに奥で鳴っていた、あの重い衝撃音は止んでいる。撤収じゃない。前列がこの出口をきっちり閉じ切るのを待っている音だ。
「左の盾だ」俺は言った。
デュヴァルはすぐ意味を悟り、銃口をそちらに下げた。俺は自分で右に斜めに一歩出て、右側の盾の後ろの槍を先に狙う。弾は盾の縁を掠めて隙間に潜り込み、槍の穂先がはっきりと揺れた。次の瞬間、バローロ神父が俺の左後ろから踏み出してくる。
この体格の人間は、「突撃」には向かないが、「体当たり」には向いている。
一歩目を踏みしめた時点で、通路全体が一度押し下げられたみたいに感じた。鎖が右腕から半巻き滑り落ちて床を打ち、そのまま真っ直ぐ前に走る。芸なんかじゃない。ただの重い鉄鎖を、盾の縁めがけてぶち当てているだけだ。一番左の盾が半センチほど横に弾かれた。だが、その半センチで十分だ。神父はその僅かなズレに自分の全体重を乗せて切り込み、左手の聖書を盾の後ろから覗いた半分の顔面に叩き下ろした。
「悔い改めよ」
ドン。
二撃目はさらに低く、今度は本の背で鼻梁と上顎の間を潰す。当たりは、筋の残った骨付き肉を短いハンマーで叩き割るような感じだ。
「アーメン」
白衣の一体が後ろに倒れ、後ろの二体目も巻き込んで崩れた。その隙に、俺は前に二歩詰め、二枚目の盾の下縁に銃口を差し込み、膝と喉を続けて二発で抜く。デュヴァルの点射もすぐに右側の長槍を押し下げさせる位置にかかった。さっきの点滴スタンドを持った医者も、まるっきり役に立たないわけじゃなく、床に転がった槍の柄を狙って思い切り踏みつけ、前列の白衣どもをさらに後ろに押し乱していく。
こういう時、「乱れ」はそのまま命に変わる。
「出ろ!」俺は補助室の中に向かって怒鳴った。「動ける奴は、今すぐだ!」
婦長が女の子を抱いて先頭で出てきて、警備員が一番重傷の男を引きずるようにして続く。憲兵がストレッチャーを無理やり敷居から持ち上げ、車輪をガタガタ言わせながら押し出した。全ての音が混ざり合って、通路全体が「まだ人間の声と動きが残っている場所」に戻っていく。
神父は一番狭い喉元を塞ぐ位置に立ち、黒い扉板そのものみたいにそこを守っていた。
二列目の白衣が前に詰めようとした瞬間、神父の鎖がすでに一番前の槍桿に絡みついていた。下に押し込み、槍桿全体を盾と壁の角の間に挟み込む。槍を持った白衣が本能的に後ろへ引こうとするのを、神父はその力に逆らわず、半歩引きずり出してから聖書を頬骨に叩きつけた。
「主が憐れんでくださるように」
そいつは膝をつくこともなく、そのまま倒れた。
俺はそいつを跨いで三叉路へ突っ込んだ。左は旧連絡廊、右は設備通路、真ん中がさらに奥の補助エレベータ井戸区域への直通路だ。三本の道、全部を取るつもりはない。まず「真ん中」をはっきりさせることだ。あの重いモノが左右から回り込んでくるはずがない。一番広く、一番真っ直ぐで、一番「軍道」に近い道を通ってくる。
ケミカルライトを中央に向けて投げた。
緑の光が滑っていき、床で二回跳ねて三叉路の中央で止まる。その一瞬、前方の空洞全体が半呼吸分だけ照らし出された。
十分だ。
奥の半開きになった鉄柵門が見えた。
柵門の向こうで、左右二列の白衣盾兵がゆっくりと分かれていくのも見えた。
そして中央の床に、奥から手前まで真っ直ぐに伸びる、二本の深い引き摺り痕も見えた。
普通の歩兵じゃない。
その判断が頭に落ちた瞬間、右側の設備通路から短い金属音が響いた。人間の声じゃない。鉤爪か矢尻が壁を掠めた音だ。後ろに隠れていた弓手が側面に回ったんだ。銃を向けようとした時には、バローロ神父が先に動いていた。
振り返りもしない。聖書を斜め上に持ち上げただけだ。
一本の矢が黒鋼の表紙に突き刺さり、矢柄がその場で半分に折れた。神父は上半身だけを回し、灰白色の目で右側の暗がりを一瞥すると、鎖を一気に振り抜いて設備扉の後ろに潜んでいた弓手を半身引きずり出す。そいつが体勢を立て直す前に、神父が踏み込んで重靴でふくらはぎを踏み、聖書を叩き下ろした。
「静まれ」
二本目の矢は来なかった。
「ジョウ!」デュヴァルが後ろから怒鳴る。「後ろの連中が出てきた!」
振り返って一瞥する。婦長はすでに子供と歩ける負傷者二人を左の連絡廊に誘導し、もう一人の医者と憲兵が腹部重傷の男を引きずって前進している。補助室の入口は一時的に片付いたが、退路はまだない。真ん中の線がもう一度押し上がってきたら、この人の塊は三叉路で再び潰される。
「まず左の扉枠を押さえろ!」俺は言った。「デュヴァル、人を連れて左廊の入口に障害物を積め。俺と神父でもう一度中央線を確認する」
デュヴァルが悪態をついてから、従った。
これがベテラン警官と組む利点だ。好き嫌いは関係ない。正しいとわかれば、体が先に動く。
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同じ時間、地上ではシキも別の「押し込み」をやっていた。
外圏の仮設道路から工業地帯の縁に切り込んだ後、車はそれ以上前に進めなくなった。単なる渋滞じゃない。道路網全体が目の前で書き換えられているからだ。二台の憲兵車が主要交差点を塞いで臨時封鎖線を張り、その脇で警官隊が群衆を左の倉庫街へ誘導している。右側の医療搬送ルートに繋がるはずの道は、数体の白衣と廃棄車両で完全に断ち切られていた。さらに遠くからは断続的な銃声が聞こえる。誰かが最後の空間を一つ一つ潰していく音だ。
シキは先に降りて、十歩も歩かないうちに路肩に倒れた憲兵を見つけた。
まだ生きているが、脚が折れ、防弾ベストには矢が半分刺さったまま、呼吸のたびに矢柄が震えている。そばの若い警官が引きずろうとしているが動かせず、手についた血も自分のものじゃない。
「どいて」シキはしゃがんで傷口を確認し、呼吸と瞳孔を見る。「死にはしない。これ以上引きずるのをやめれば、ね」
警官が顔を上げる。見知らぬ人間がこんな状況で平気な顔をしていることへの困惑と、本能的な不信感が混ざった目だった。
イェ・キアンはすでに交差点の真ん中に立ち、二百メートル先で折れ角を始めた大盾列を見ていた。
「主要道路は使えない」彼女は言った。「あいつら、正面を残してる」
「何を言ってるんですか?」若い警官が聞く。
「全員を主要道路に流したら、その道がすぐ閲兵場になるって言ってる」
その一言は冷たすぎて、相手はすぐには意味を飲み込めなかった。だが遠くから響いてきた音が、代わりに説明してくれた。
銃声じゃない。
爆発でもない。
もっと重く、もっと規則的な、鉄が路面を叩く音。
ドン。
ドン。
ドン。
シキが顔を上げ、表情も沈んだ。
外圏の大盾列が左右に開いていた。崩れたわけじゃない。整然と道を空けている。その後ろの、さらに深い影が前に出始めた。最初に現れたのは異様に高い何かだった——旗でも槍でもない。ぼろぼろの白布と金属の装飾品をぶら下げた、長柄の戦標だ。その戦標の下から、さらに高い人影がゆっくりと浮かび上がってきた。
歩兵の高さじゃない。
地下で影だけ見て推測していたような錯覚でもない。
本当に高い。
その人影は何かに跨っていた。輪郭は前傾し、兜か面甲は極端に細く、肩幅だけが異様に広い。その下には、同じように異常に細長い、しかし前半身を白布と金属片で覆われた枯れ馬がいた。生きた馬の、あの呼吸に合わせた起伏がない。歩き方が真っ直ぐすぎる。安定しすぎている。まるで一歩踏み出すたびに距離を測ってから着地しているみたいだ。四本の蹄鉄がアスファルトを叩く音は、二百メートル離れていても胸の奥まで響いてきた。
若い警官の顔から血の気が引いた。
「あれは何なんですか……」
誰も答えなかった。全員が見ていたからだ。
単体の怪物でもなければ、単純な騎兵でもない。その後ろには、さらに分厚い扈従の大盾が二列続いていた。盾の縁は胸元まであり、その後ろには長柄武器が低い林みたいに立ち並んでいる。さらに後方では、数体の白衣が細長い重装護板か何かの押し進められる掩体を引きずりながら、主要道路の正面へと運んでいた。人を追うためじゃない。道を自分たちの望む形に変えるためだ。
イェ・キアンが最初に動いた。
あちらに向かって突っ込んだわけじゃない。振り返って若い警官の肩を掴み、そのまま横の路地へ押し込んだ。
「動ける人間を全員、倉庫街の中へ。主要道路は使うな。固まるな。負傷者から先に倉庫の内側へ入れて、重装車は角の後ろに隠せ」語速は落ち着いていた。演習の指揮を執っているみたいに。「急げ」
警官はまだ固まっていた。シキが負傷した憲兵の止血帯を縛り終えて顔を上げ、一言だけ言った。
「あいつの入場を見物するか、生きるか」
どんな分析より、この一言の方が効いた。警官はすぐ怒鳴り始め、手を振り、負傷者を引きずり、交差点全体が動き出した。良くなったわけじゃない。ただ、方向のある混乱に間に合っただけだ。
シキは通信機を手に取った。
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地下で彼女の最初の一言を聞いた時、俺はちょうど中央線に半歩踏み出していた。
「ジョウ・シーダー、外圏に正式に出た」
余計なことは聞かなかった。「何が?」
「高位指揮ユニット。騎乗。大盾の扈従付き。後ろには重装の推進掩体か護板もある。道を探してるんじゃない。入場の準備をしてる」
早口だったが、一語一語の重さは十分だった。
俺は三叉路の緑の光が照らし出した引き摺り痕をもう一度見た。背筋が一気に半寸冷えた。
「はっきり見えたか?」
「今回は十分に」シキが言った。
続けてイェ・キアンの声が割り込んできた。シキより平坦だった。
「外圏の盾列は主役じゃない。主役が今出てきた。そっちの地下でも道を空けてるなら、一歩引いて考えろ」
一歩引いて考えるまでもなかった。目の前で見えていたからだ。
中央の柵門の向こうで、二列の白衣盾兵が完全に左右に分かれていた。交代じゃない。儀仗みたいに、真っ直ぐな中道を丁寧に開けている。それまで衝撃音と引き摺り音だけで存在を示していたモノが、ついにその輪郭を非常灯の縁に滑り込ませてきた。
最初に見えたのは馬の頭だった。
いや、馬に似た何かの頭だ。
頭骨が長すぎる。鼻梁が細すぎる。額から首筋にかけて、くたびれた白布と金属の護片が垂れ下がっている。その上に跨っているのが、白衣の上からさらに硬く厚い何かを重ねた人影だった。板甲に近い。あるいは何らかの宗教的な法衣を鎧に直接打ち込んだような見た目だ。左手には細長い盾、右手は槍じゃなく、戦標と権杖を掛け合わせたような長柄の兵器を持っている。急いで突っ込んでくるわけじゃない。柵門の後ろの中道に沿って、一歩一歩、外へ向かって歩いてくるだけだ。
地下の蹄鉄の音は地上より性質が悪い。
壁があるからだ。
一発ごとに反響して、頭蓋骨の内側を叩いてくる。
デュヴァルも見ていた。顔色が一瞬で変わった。
「おい、騎馬指揮の影だけだって言ったじゃないか——」
「もう影じゃない」俺は言った。
バローロ神父が俺の右側に進み出た。三叉路の中央に、黒鉄の塊が一つ落ちたみたいに。後ろを見ない。退くかどうかも聞かない。ただゆっくりと鎖を垂らし、左手の聖書を胸に押し当て、灰白色の目を、中道をこちらへ歩いてくる枯れ馬と、その上のモノへ向けた。
「なるほど」彼は言った。
俺は横目で見る。「何がわかった?」
「あいつらは、ただ街を壊したいわけじゃない」神父の声は低かった。「秩序そのものを、馬に乗せて連れてきた」
枯れ馬がもう一歩前に出た。
頭と前胸で柵門の枠が埋まった。後方の大盾扈従の二列が左右を整然と押さえ、まるで法廷の中道を開けてやるみたいに並んでいる。すぐに突撃してくるわけじゃない。普通の屍体みたいに喚き散らして飛びかかってくるわけでもない。ただ、その戦標と兵器を兼ねた長柄を持ち上げ、半空で一秒止めた。
その瞬間、後方の白衣が全員同時に止まった。
その動作が、命令に似すぎていた。
だから突進してくるより、ずっと怖かった。
俺は銃を握り直した。胸元の通信機には、まだ地上回線の雑音が残っている。シキの方でも、似たものが見えている。内と外が同期している。偶然じゃない。
本当に軍隊に近いモノが、今ようやく正式に入城した。
俺は通信機に向かって一言だけ言った。
「見えた」
シキの方が少し間を置いてから返した。
「こっちも」
通信機を胸元に戻し、目は前の馬と、馬上の白衣指揮ユニットから離さない。
後ろでは、まだ人間たちが左側の旧連絡廊へと撤退していた。婦長が子供を抱え、医者が負傷者を引きずり、車輪と靴底が地面に情けない音を立て続ける。まだ生きている全員が、この出口から離れようとしている。逃げ切れるかどうかは、俺たちがどれだけここで立っていられるかにかかっている。
バローロ神父がわずかに顎を上げた。
石碑みたいに四角いその顔は、地下のわずかな白い光の中で、一筋の揺らぎもなかった。唇だけが、ごく小さく動いた。
「悔い改めよ」
それは俺たちに向けた言葉じゃない。
向かいの白衣騎乗指揮ユニットは反応しなかった。ただ、その長柄兵器をもう一寸だけ前に押し出した。
地下の通路全体が、何かに呼吸を押さえつけられたみたいに、静まり返った。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




