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153.地下施設 1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

俺たちが東向きホームのラインをひとまず塞いだとき、夜はまだ明けていなかった。


だが、マルセイユはもう夜の街には見えなかった。


夜の街がどれだけ荒れようと、少なくとも日常という皮が一枚残っている。看板、街灯、車の流れ、酔っ払い、終電——どこが騒がしくてどこが静かであるべきか、誰もが肌で分かっている。だが街が一度戦争を始めると、その皮はあっという間に剥ぎ取られる。残るのは繁栄でも文明でもない。配管、道路、火点、哨戒線、負傷者、死体、そしてまだ辛うじて保たれている数本のライフラインだけだ。


コンコースの割れたガラス扉を押し開けて外に出ると、メイン出口前の広場は鉄の熊手でひと掘りされたばかりみたいだった。


路面は薬莢、砕けたガラス、焼け焦げた白ローブの布切れ、機関銃で削り取られた肢体で埋め尽くされている。放棄された車はまだ燃えていて、消防の放水で路面が光を反射し、血と油と灰が混じって、踏み込むたびに靴底に粘りつく抵抗を感じる。さっきまで封鎖線の外で怒鳴り、撮影し、何が起きているかと問い続けていた連中は、もうほとんど見えない。代わりにいるのは軍用トラック、野戦照明、弾薬箱を運ぶ兵士、後方へ押しやられるストレッチャー、そして指揮系統から最前線に無理やりねじ込まれたばかりだと一目で分かる将校たちが、無線を聞きながら必死に状況を掌握しているフリをしている。


シュトゥルムシュライターはメイン出口のスロープ前に立っていた。一斉射撃を終えたばかりの鋼鉄の要塞みたいに。


機体外装にはまだ射撃後の熱が残り、四連装MG42の銃身からは薄い白煙が立ち上っている。足元には弾帯の山と踏み砕かれた白ローブの残骸が散乱していた。あれは俊敏さとは無縁だ、最初からそういう設計じゃない。そいつが立っているのを見ると、精密機械なんて言葉は思い浮かばない。戦場の重砲座、装甲列車、あるいは自分で立ち上がるべきじゃない工業化された殺戮装置——そういうものを連想させる。


ヴィクトリアはまだコックピットの中にいて、降りてこない。


それでいい。


今は戦損を確認する時間でも、フランス人に世界観をゆっくり消化させる時間でもない。シュトゥルムシュライターがそこに立っている限り、メイン出口という井戸はまだ俺たちの手の中にある。今夜のマルセイユにとって、それは些細なことじゃない。戦略だ。


デュヴァルが俺の後ろから出てきた。石炭の山から引きずり出されたばかりみたいなツラだ。 こめかみの傷がまた開いていて、防弾ベストは灰と乾いた血まみれだった。シュトゥルムシュライターを一瞥し、街角で再構築されつつある封鎖線を見やり、最後に俺に視線を戻した。


「あんたの言う通りだった」彼は言った。


「どの台詞だ?」


「ここは、一つの駅を塞げば済む問題じゃない」


俺は何も返さなかった。こんな時に頷いたところで意味はない。 本当に重要なのは、彼がようやく「ここ」という点で物事を見るのをやめ、「街全体」の視点で考え始めたことだ。前線の警官がこの一線を越えれば、その後の判断はいちいち手取り足取り教えてやる必要がなくなる。


イヤホンからルシアの声が響く。背景音は、指揮センターの半分が彼女の頭上で殴り合いでもしているのかと思うほどうるさい。


「周、市長が三分以内に危機管理センターに戻れと。南側の医療搬送ラインで接触を確認、旧メンテナンスシャフトが一箇所陥落、港湾の地下貨物接続線は完全にブラックアウト。軍が封鎖エリアの引き直しを始めてる」


「分かった」俺はメイン出口前の火線を一瞥した。「ヴィクトリアの方は?」


「まだ持ってる。でもメインストリートの外周で白ローブの新しいローテーションが現れ始めた。盾兵の数が増加。騎馬ユニットはまだ迂回中で、焦って突っ込んでくる様子はない」


「ってことは、もっと安上がりに切り込める場所を探してるってことだ」


ルシアは向こうで一秒黙った。俺の推測が正しいと分かっているからだ。


この白ローブの死軍が一番胸糞悪いのは、その数じゃない。


計算してきやがることだ。


奴らはただ一番明るくて、一番うるさくて、一番象徴的な場所に押し寄せてくるだけじゃない。まずこっちが見えている穴に圧力をかけ、必死に人員と火力と注意力を注ぎ込ませる。それから、本当に街の内臓をえぐり出せる位置から、一口で噛みちぎりにくる。医療搬送ライン、港湾の地下接続線、メンテナンスシャフト、排水幹線——普段なら誰も気に留めないような場所が、こういう時には大通りよりよほど価値を持つ。


通信車の方へ歩き出そうとしたとき、地上から再び蹄の音が響いた。


大きくはない。


だが、はっきりと。


北側の交差点の奥、二棟のビルと炎越しに転がってくる。「まだここにいるぞ」とわざと知らせるように。 補充に入ったばかりのフランス兵たちも明らかにそれを聞きつけ、若いの一人が反射的に銃口を少し上に向けた。空から降ってくるとでも思っているらしい。


俺は顔を上げなかった。


あの馬が今ここで姿を現そうが隠そうが、全体の局勢は変わらない。


今本当に処理すべきなのは、奴らが今夜の戦場を「いくつかの点」から「全体的な面」に変え始めているという事実だ。


少佐が反対側から早足で歩いてきた。その口調にはもう、最初の頃のような反発の膜はない。地下での盾・槍・弓の波に余計な感情をゴリゴリ削り取られ、骨だけが残ったような佇まいだ。


「南側への命令が下りた」彼は言った。「軍からの指示で、部隊を二つに分けて医療搬送ラインとメンテナンスシャフトに向かわせる。メイン出口は後続の部隊に引き継ぐ」


「引き継げないな」俺は言った。


少佐は顔色を変えず、ただ問うた。「理由は」


「後続の連中は、下のあの戦法をまだ見ていない。地上と地下の同時圧も経験していない」俺は広場の向こうに到着したばかりの兵士と装備を見た。「今夜の戦場のテンポに一度も入っていない奴らをメイン出口に放り込めば、第一波であの騎馬に振り回されて終わる。ここには少なくとも一人、地下の戦い方を見た人間を残すべきだ」


少佐は俺を二秒見つめた。


「デュヴァルか?」


「そうだ」


傍らで聞いていたデュヴァルは、自分の名前が出ても表情を変えず、ただ簡潔に頷いた。こいつはもう、災害現場を本当に引き受けた人間の顔になり始めている。 英雄気取りじゃない。自分にきれいな仕事を選ぶ資格はないと知っている顔だ。


少佐は息を吸い、通信兵に向かって命令を修正し始めた。いい判断だ。命令を変えられる人間は、少なくとも生き残る見込みがある。


俺はシュトゥルムシュライターのそばまで歩き、コックピットを見上げた。


装甲板が半分跳ね上がり、ヴィクトリアが中から俺を見下ろしている。薄暗い赤の炎と計器の反射に照らされた顔は、やけに淡く見えた。あんなものに乗っている時の彼女は、普段よりさらに人間離れして、戦争機械に組み込まれた古い肖像画みたいだ。


「地下はまだ動いてる?」彼女は訊いた。


「動き続けるさ」俺は言った。「南側も始まった。ここはひとまず動かすな。メイン出口はまだ押さえておく必要がある」


彼女は頷き、余計なことは訊かなかった。これがいいところだ。本当に戦場に立てる人間は、こんな時に「じゃああなたはどうするの」なんて無駄な質問はしない。


次にやるべきことは、次の切れかけの線に向かうことだと、誰もが分かっているからだ。


通信車へ向かって背を向けたとき、空の端がようやく白み始めていた。


日の出じゃない。


雲と煙の向こうの色が、ほんの少し緩んだだけだ。普通の日なら、夜勤が終わる時間、市場が開く時間、最初の配達車が走り出す時間を意味する空の色。だが今夜は違う。今夜のそれは、ただ一つのことしか意味しない。マルセイユが夜戦の第一段階を生き延びたから、これからもっと酷い昼間を迎える資格を得たってことだ。


---


危機管理センターは、前回ここを出たときより、はるかに戦時指揮所らしくなっていた。


地下入口の外に停まっていた政府車両が減り、軍用通信車が増えた。紙の資料を抱えて走り回っていた幕僚の半分は通信席に座り、残り半分は憲兵に付いて動き始めている。前みたいにドアの前に立って、下へ降りるべきか迷っているような奴はいない。ドアを押し開けると、中の空気は相変わらず最悪だ。汗、コーヒー、湿ったコンクリート、機械の熱、そしてプレッシャーが人から絞り出す酸っぱい臭いが、何層にも分厚く重なっている。だがさっきと違うのは、ここがもう制御不能寸前のオフィスではなく、血を流し始めた中枢に見えることだ。


巨大スクリーンはまだ点灯している。


マルセイユの夜が、その上で一コマずつ砕け散っていく。


北側の高架は依然として完全に詰まり、ヘッドライトが腐った川のようだ。港湾区はもっと酷い。もともと数区画がブラックアウトしていただけだったのが、今やその「黒」自体が移動し始めている。単なる通信途絶じゃない。何かが接続線に沿って内側へ食い込んできている証拠だ。 別の画面では、医療搬送拠点の外にストレッチャーと放置車両が溢れ、サーモグラフィーの中にいくつか、真っ白な点がきれいに映っている。この世界に属さない空洞の群れが、一番入り込んではならない場所から突き刺さろうとしている。


市長はまだ元の位置に立っていた。


だが、一時間前とは別人のようだ。


顔が変わったんじゃない。姿勢が変わったんだ。 最初はまだ、災害で地下室に追い込まれた首長として、背筋を伸ばすことで街全体の尊厳を保とうとしていた。今は違う。尊厳なんてものが屍の軍隊の盾にならないとようやく悟った人間の姿勢だ。 全注意力を地図と映像と命令系統に注ぎ込み、他を気にする余裕などない。


林雨瞳(リン・ユートン)は右側の二列目に座り、目の前には拡大された路線図と手書きのメモが広げられていた。彼女は前線に出なかった。それで正解だ。今の彼女の役割は何かを斬ることじゃない。山のような超常現象の中から、本当に互いに関連し合う法則を引っ張り出すことだ。 俺が入ってきたのを見て、彼女は一度だけ顔を上げ、すぐに図面を一枚ルシアの方へずらした。


テーブルの前に歩み寄る。俺が口を開くより先に、市長が訊いた。


「メイン出口は」


「まだ手の中だ」俺は言った。「だが、その言葉を軽く受け取るなよ。シュトゥルムシュライターがそこに立っていて、地下コンコースの封鎖口がまだ落ちていないってだけだ。あのラインで俺たちが勝ちを収めたわけじゃない」


市長は頷き、先を促した。


俺は巨大スクリーンの左下、南側の医療搬送ラインを直接指差した。


「地下の東向きホームで第二波の押し上げがあった。盾、槍、弓はすでに戦法を修正し始めている。照明の壊し方、階段の切り取り方、死体を足場にする方法、封鎖口を自壊させる方法を知っている。これは局地的な変異じゃない。学習だ」


部屋の中の軍警数名が、一斉に顔を上げた。


彼らが一番聞きたくないのは、敵が多いことじゃない。敵が学習することだ。


俺は南側のメンテナンスシャフトの画面を指差した。


「だが、メイン出口は奴らが一番食いたい場所じゃない。あそこは噛み合わせの点だ。火力と目と判断力を縛り付けるためのな。本当に価値があるのは、南側の旧メンテナンスシャフト、医療搬送ライン、排水幹線、そして港湾の地下接続線だ。これらが全部繋がれば、地上の封鎖線は下から先に腐り落ちる」


地図のそばに立っていた憲兵大佐が、ここでようやく傍観者をやめた。港湾区の図面に手を押し当て、冷ややかな声で言う。


「つまり、地下に内通線を構築していると」


「そうだ」俺は言った。「しかも無闇に掘り進んでるわけじゃない。優先順位がある。メイン出口、乗り換え駅、医療、港湾。これらは同じ価値じゃないが、互いに引っ張り合う。奴らは一層ずつ繋ぎにきている」


市長は息を吸い、赤ペンで囲まれた画面上のラインに視線を落とした。


「では、我々は今、何を握っている?」


いい質問だ。


災害において最も重要なのは「どこが落ちたか」ではなく、「時間を稼ぐために使えるカードが、手元に何枚残っているか」だ。


俺は三つの場所を指で叩いた。


「メイン出口」 「この危機管理センターそのもの」 「まだ動ける予備ライン」


三つ目を言い終えて、俺は一拍置いた。


この言葉は彼に聞かせるためじゃない。自分自身のテンポを整理するためだ。


マルセイユがまだ完全に倒れていないのは、いくつかのカードがまだ本当にめくられていないからだ。シュトゥルムシュライターがメイン出口に立っている。周士達とバローロ神父がまだ地下へ切り込める。デュヴァルのような現場の警官がまだ死んでいない。市長もようやく超常戦争に直面していると認めた。さらに重要なのは、予備ラインがまだ本格的に投入されていないことだ——つまり、俺たちはまだ手持ちの戦力で時間を引き延ばしているだけで、最後の層までは追い詰められていない。


そのとき、林雨瞳が口を開いた。


声は大きくない。だが、部屋全体が一瞬、動きを止めた。


「単なる攻城戦ではない」彼女は言った。「新たな秩序の再構築」


市長が彼女を見た。


俺も彼女を見た。


的を射た言葉だ。


彼女の指が、赤線で囲まれたノードをゆっくりとなぞっていく。教会、鐘楼、地下の乗り換えハブ、医療、港湾と。


「気づいているか」彼女は言った。「無作為な攻撃ではない。この都市における流動、集積、避難、権威、儀式を象徴する場所ばかり。地下鉄は流動。医療は生存。教会は精神。港湾は出入り。市庁舎は命令。破壊が目的ではない。彼らなりのやり方で、これらの点を別の構造へと繋ぎ直している」


部屋の中が数秒、静まり返った。


何人かの将校の顔に「オカルトすぎる」という反応が浮かんだが、反論はできない。大スクリーンの映像が、すでにその判断の裏付けになっているからだ。


俺は彼女の言葉を引き継いだ。


「分かりやすく言えば、あんたらのよく知る街を、奴らがよく知る戦場に書き換えてるってことだ」


今度は誰も言葉を発しなかった。


どんな綺麗な言葉より耳障りで、そして真実だからだ。


ちょうどその時、ルシアが更新されたルート表をテーブルに投げ出した。


「バルセロナ側の予備ラインが動き始めた」彼女は言った。「でもまだマルセイユには入ってない。すぐには前線に届かないわ」


俺は一瞥しただけで、名前は訊かなかった。


今はまだ、全部のカードをめくるタイミングじゃない。 高戦力を早々に全部引きずり込めば、作者が負けを恐れてオールインしたみたいに見える。本当の戦場はそうじゃない。本当の戦場ってのは、後続が向かっていると分かっていても、奴らが到着するまでは、目の前のラインを自分たちで支えなきゃならない場所のことだ。


市長が俺を見て、単刀直入に訊いた。


「次のポイントはどこへ行く」


この質問が出た瞬間、部屋中の視線がこちらに集まった。


分かっている。この瞬間から、こいつらは俺を「腕の立つ変人」としては見ていない。前線の次の判断を求めている。


それでいい。


俺は南側の旧メンテナンスシャフトの画面に手を押し当てた。


「ここだ」


大佐がすぐに眉をひそめた。「ではメイン出口は?」


「メイン出口にはシュトゥルムシュライターがいる。デュヴァルもいるし、あんたが補充した部隊もいる」俺は彼を見据えて言った。「綺麗に守り切れるかは分からないが、持ちこたえはする。だが南側のこのラインが完全にブラックアウトしたら、医療搬送ラインと地下駐車場が一緒に腹をぶち抜かれる。その時は、どの駅が落ちるって次元の話じゃない。内城の避難秩序全体が、腹の中からえぐり出される」


大佐はもう反論しなかった。


俺の言っていることが正しいと分かっているからだ。


ちょうどその時、バローロ神父が入ってきた。


顔色に変化はない。コートの裾と聖書の表紙には、地下のあの乾いた黒灰がこびりついたままだ。中世の処刑場から現代の危機管理センターのドアを直接くぐり抜けてきたような佇まいだった。 部屋にいた数人、初めて彼を間近で見た連中の視線が、あの聖書で一瞬止まり、そしてすぐに逸らされた。


神父は時間を無駄にしなかった。テーブルの前に歩み寄り、地図を一瞥して、極めて平坦な声で言った。


「南側が落ちれば、メイン出口の死守も単なる時間稼ぎに終わります」


この一言は、俺のさっきの判断に判子を押したのと同じだった。


市長はもう迷わなかった。


「分かった」彼は言った。「メイン出口は維持。南側はあなたたちに任せる」


命令が下ると同時に、危機管理センター全体が再び忙しく動き始めた。通信員がチャンネルを切り替え、軍はペンで図面に新たな封鎖線を書き込み、医療代表は喉を締め上げられたみたいに慌てて搬送ノードの再調整を始める。これが戦時中枢の本来あるべき姿だ。 全員が納得したわけじゃない。全員が、もう「分からないフリ」をしている暇がなくなっただけだ。


俺は予備のマガジンを一つずつ腰のポーチに押し込み、ついでに銃のボルトをチェックした。神父は傍らに立ち、鎖を一番引き抜きやすい角度に巻き直している。彼は俺に疲れていないかとは訊かない。今夜、そんな質問は無駄でしかないからだ。


ルシアが俺のイヤホンに新しいチャンネルをねじ込んできた。


「これは南側の医療ラインとメンテナンスシャフトの共有チャンネル。それと」彼女は一拍置いた。「予備ラインはマルセイユまでまだ距離がある。すぐには着かない」


「分かってる」俺は言った。


この言葉は、実は自分自身に言い聞かせるためのものだった。


後続が向かっているからといって、目の前の命を他人に預けられるわけじゃない。


背を向けて歩き出そうとしたとき、不意に林雨瞳が俺を呼んだ。


周士達(ジョウ・シーダー)


俺は振り返る。


彼女は俺を見て、極めて平坦な口調で言った。


「本当に秩序の再構築なら、歩兵と地下浸透だけで終わるはずがない」


「分かってる」


「より『軍隊』に近いものを送り込んでくる」


俺は頷き、それ以上は言わなかった。


そんなことはとっくに分かっている。 ただ、今はまだ指揮室の全員にそっちの方向を想像させるわけにはいかない。「盾・槍・弓の編制」を消化し、「騎馬の指揮ユニット」を認めるだけでも、こいつらにとっては十分すぎる負荷だ。その先のものは、実際に画面に映し出されて初めて、誰もが本当に信じることになる。


危機管理センターのドアを押し開けて外に出ると、外の空はさっきよりようやく少し明るくなっていた。


だが、その明るさに慰めなんて微塵もない。


昨夜まで暗闇に隠れていたものを、一つ一つ鮮明に照らし出しているだけだ。通りに転がる死体、火に焼き抜かれた車のドンガラ、パジャマとスリッパのまま逃げ出してきた人々、硬直するまで限界を耐え抜いている医療従事者の顔、憲兵が交差点に新しく引き直した重バリケード、そしてさらに遠く、都市へ再配置されつつある軍用車列の列。


マルセイユは、夜の最初の一口を生き延びた。

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