150.マルセイユの夜 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
K7は減速しなかった。
バローロ神父がロータリーの外縁に車頭を無理やり押し込み、バンパーが横に止まっていた警察車両を擦り、プラスチックの外装が引き剥がされて短く不快な引き裂き音を立てた。次の瞬間、ヘッドライトが女性警官の方へ向きを変えかけていた白袍の乾いた死体二体を正面から照らした。雨夜に立つ二本の白い処刑柱みたいだった。
俺は車が完全に止まるのを待たず、ドアを押し開け、降りて、銃を上げた。
一発目は膝。
左の白袍の脚の骨がその場で逆方向に折れ、全身が前へ膝をついた。倒れきる前に二発目を顎の下へ送り込んだ。弾丸が口腔から上へ突き抜け、頭蓋の半分が吹き飛び、白い帽子と砕けた骨が一緒に飛んだ。三発目は右の白袍の眼窩へ。頭が激しく横へ傾き、ようやく足運びが一拍乱れた。
「引け!」俺は振り返りもせずに男性警官へ向かって怒鳴った。
中国語が分かるわけがないが、語気に翻訳は要らない。彼は一瞬固まってから、すぐに地面の女性警官へ飛びついて、防弾ベストを掴んで引きずった。女性警官の脚はまだ地面を蹴っていて、手は脇に転がった盾を掴もうとして二度外した。
ロータリーの銃声が一気に細かく散った。
局面が落ち着いたからじゃない。まだ立っていた者が大半散ったからだ。警察車両の陰に隠れた者、分流路の入口へ走った者、撃ちながら振り返る者このときになってようやく、自分が相手にしているのが暴徒でも薬物で錯乱した人間でもないと、本当に理解した者たちだ。
死体だ。
しかも列を組んで前進する死体だ。
俺は二歩前に出て、さらに二発補い、路障を跨ごうとしていた一体を打ち倒した。胸はやはりほぼ効かない。完全に撃ち抜かない限り。こいつらには最低限の運動構造が残っていて、本当に断ち切るべきは関節、頸椎、頭蓋骨だ。
「胸を狙うな!」一番近くにいた警官に向かって英語で怒鳴った。「脚だ!頭だ!まず脚を撃て!」
顔中汗だらけで、聞こえているかどうか分からなかったが、少なくとも従った。次の点射が前よりずっと低くなり、ようやく一体の白袍の大腿部を撃ち砕いた。そいつは下半身を引きずりながら前へ這い、白いローブがアスファルトの上に灰白色の跡を引いた。
後部ドアが勢いよく開いた。
バローロ神父が降りる動作は速くなかった。むしろ落ち着いていると言っていい。突撃の姿勢じゃない。予定通りの時刻に法廷へ入り、今日読み上げる判決が何件あるか分かっている人間の歩き方だった。
左手に煉瓦のように分厚い聖書を抱え、右手を一振りすると、鉄の鎖が地面まで伸びて展開した。鎖の節がアスファルトの上で耳障りな金属音を立てた。
白袍の乾いた死体が一体、神父へ向かって突っ込んできた。
神父は退かなかった。ただ手首を一回転させ、鉄の鎖が蛇みたいにそいつの首に巻きついた。相手の突進の勢いを利用して力任せに引いた。その乾いた死体の頭が横へ、あるべきでない角度に折れた。それでも足はまだ前へ蹴り続けていた。神父は口の中で低く経文を唱えていた。声は書類を読み上げるときのように平坦で、それから左手を上げた
ドン。
聖書がそいつの顔面に直撃した。
叩いたんじゃない。押したんでもない。完全な鈍器による打撃だった。表紙が鼻梁と眼窩に当たった瞬間、骨が潰れる音がはっきり聞こえた。乾いた死体の顔全体が鉄槌で叩かれたみたいに内側へ凹み、神父は続けて逆手で側頭部へ二発目、そのまま頭頂へ三発目を垂直に叩き込み、かろうじて形を保っていた頭蓋骨を強引に沈め込み、頸骨が乾いた音を立てて折れた。
口の中の経文は止まらなかった。
あれは祈りじゃない。どちらかといえば宣読だ。
宣読が終われば、執行する。
別の白袍が横から飛びかかってきた。神父は右手を振り、鎖が膝の裏に叩きつけられ、脚の骨を直接断った。そいつが完全に倒れる前に、神父は半歩踏み込み、ブーツの爪先でローブを踏みつけ、左手の聖書を後頭部へ重く叩き込んだ。一発、二発、三発。動きは冷酷なまでに無駄がない。怒りでも発散でもない。純粋に処理だ。
俺はそれ以上見ていなかった。
前にまだ四体いる。
角度を変え、ロータリー中央の横転した小型車の脇へ向けて連続して撃ち込み、回り込もうとしていた二体を押さえた。弾倉が空になり、後退して警察車両に背を預け、半秒の間を作った。隣のフランスの警官は紙みたいに白い顔で、俺が聞き取れない単語を口の中で繰り返していたが、手はちゃんと予備弾を俺の方へ差し出していた。
俺はその警官を一瞥した。受け取らなかった。
「自分のために取っておけ。」俺は言った。
彼が固まった。
前のあいつらはもう、弾を換える価値もないくらい近かったからだ。
最後に一番速く突っ込んできた白袍が倒れた路障を跨ぎ越え、あの女性警官まで五歩を切った。彼女はタイヤの脇まで引きずられてきて、半身を起こした状態で、左手は同僚の袖をまだ死ぬほど握っていた。手を放したら街全体に放り捨てられるとでも思っているみたいに。
俺は空の銃を横へ投げた。
左手を一回転させ、指輪が指の節の上で冷たく光った。
舞台効果のために向いた動作じゃない。速すぎるし、近すぎる。ただ空気が内側から何かに引き裂かれたみたいになり、続いて重い鉄の意志が掌に落ちてきた。
死神の大鎌が現れたとき、最初に静かになったのは人の声だった。
全員が急に安全になったからじゃない。人間の頭が理解の範囲を超えたものに出くわすと、必ず一拍、空白が入るからだ。
誰かが息を呑む音が聞こえた。
あの男性警官かもしれないし、盾の陰に隠れていた別の二人かもしれない。どちらでもいい。今夜マルセイユに入ってきたのが白袍だけじゃないと、遅かれ早かれ全員が受け入れるしかない。
乾いた死体が俺の前に飛びかかってきたとき、俺は右へ半歩だけ避けた。
鎌を横に払った。
派手な音はしなかった。ただ厚いものを鋭い刃が断ち切るときの、鈍い抵抗感だけがあった。そいつは肩から脇腹にかけて斜めに断ち割られ、白いローブと中の乾いて黒ずんだ肉が一緒に二枚に分かれた。上半身はまだ前のめりの姿勢のまま少し前へ滑って、地面で散った。
二体目が左後方から来た。
逆手で跳ね上げ、折れた棒を握ったままの腕ごと肩から削り飛ばした。続けて柄を回し、鎌の刃をそいつの首に引っ掛けてこちらへ手繰り寄せた。頸骨が断ち切れる手応えは明確で、干からびた木の枝を折ったみたいだった。
もう少し遠くで、一体の白袍が同類の残骸を踏み越えてまだ前へ来ようとしていた。
俺は突っ込まなかった。ただ一歩前へ出て、刃を低く送り込み、腰の横から水平に切り抜けた。
上半身はまだ立っていた。下半身はもう散っていた。
こういうとき、見ている人間は決まって一つの勘違いをする。
一番怖いのは武器だと思う。
違う。一番怖いのは、こういうものを使っている人間の動きが冷静なことだ。慣れた仕事をこなしているみたいに冷静なことだ。それはつまり、事態が自分の理解できる範囲にないということを意味する。
ロータリーの周辺にようやく短い空白ができた。
静寂じゃない。静寂はとっくになかった。遠くではまだガラスが割れ、クラクションと警報と泣き声が一面に続いていた。ただこの一点で、最初に押し込んできた白袍の一群を俺たちが強引に断ち切ったことで、ろくでもない空気を一息吸う間ができた。
鎌の刃から灰白色の破片を払い、顔を上げた。
あの女性警官は警察車両の後ろまで引きずられていた。額が割れ、唇が白くなっていたが、それでも立ち上がろうとしていた。俺の手の鎌を見て、それから少し離れたところで鉄の鎖を使ってまだ痙攣している乾いた死体を引き倒し、聖書で頭骨を一発ずつ砕いているバローロ神父を見て、その目の中にあった純粋な恐怖が少しずつ変わっていった。
まだ怖い。
でも、さっきの追い詰められた怖さとは違う。
現場に受け止められる人間がいると、ようやく分かったときの怖さだ。
年配の警官が路障の後ろから出てきた。肩章が歪み、顔に血がついていて、右手にはまだ無線機を持っていた。俺を見る目は、正式な報告書に載るべきじゃないものを見る目だった。二度口を開いてから、ようやく英語を一言絞り出した。
「Who… who are you?」
「今は関係ない。」俺は言った。「このエリアに生きた人間がまだ何人閉じ込められてる?」
彼は無線機を見下ろし、喉仏が動いた。今更自分が何をする人間だったかを思い出したみたいに。
次の瞬間、周波数全体が爆発した。
比喩じゃない。本当に一斉に流れ込んできた。
「六班、実弾使用の授権を要請!実弾授権!」
「地下通路B出口突破された、繰り返す、B出口突破!消防が入れない!」
「サン=フェレオール教会の鐘が異常、人員進入の記録なし、鐘はまだ鳴り続けている」
「港区の監視カメラ、白袍隊列の前進を継続確認、熱源なし、繰り返す、熱源なし!」
「北線封鎖車両に群衆が衝突、踏み潰し発生!」
「増援要請!増援要請!ここは暴動じゃない、ここは暴動じゃない」
その警官の顔が一瞬で灰色になった。
地図がなくても分かった。これらの声は同じ通りから来ていない。
これはどこかのロータリーが不運にも変なものに遭遇した話じゃない。
マルセイユ全体が、同時に裂け始めている。
俺は顔を上げて遠くを見た。街の上空に煙が一本じゃなく、何本も、違う方向からゆっくりと立ち上っていた。さらに遠くで、教会の鐘の音が建物の群れと警報の間に混じって、途切れ途切れに聞こえてくる。誰かがこの街の時間感覚ごと叩き壊したみたいだった。
新しい白袍の影の一群が大通りの突き当たりから折れてきた。歩幅が整然としていて、見ているだけで不快になる。
暴徒じゃない。
屍の群れでもない。
行軍だ。
俺は鎌を持ち直し、低く言った。
「ふざけやがって、本当に東征のつもりか。」
バローロ神父は俺から数歩離れたところに立っていた。聖書の縁に黒ずんだ肉の破片と灰がついている。俺を見なかった。ただ鉄の鎖をゆっくりと手に収めながら、法廷で次の案件番号を確認するときみたいな平坦な声で言った。
「ジョウ・シーダー、ここは前衛に過ぎない。」
俺は大通りの突き当たりから街の中へ押し進んでくる白い線を見て、うなずいた。
「分かってる。」
それから俺はまだ震えていた警官に手を伸ばし、無線機を直接取り上げた。
「今から、まだ話せる者は全員、失守した線、詰まったポイント、まだ生きている人間の場所を全部報告しろ。」
俺は少し間を置いて、呆然としたいくつかの顔を見渡した。
「今夜を暴動として処理するのは、もうやめろ。」
大通りの向こうで、白袍の隊列が迫ってきていた。
そして俺はついに一つのことを確信した。
マルセイユは失控しかけているんじゃない。
もう失控している。ただ、この街がまだそれを認める暇がないだけだ。
---
あの女性警官は警察車両の後ろまで引きずられてきたとき、まだ無意識に転がり出た盾を引き戻そうとしていた。
左肘で地面を支え、脚は明らかに傷んでいて立てないのに、それでも前へ向かおうとしていた。勇敢さじゃない。職業的な反射だ。崩壊した現場に長くいると、頭が秩序の消滅に追いつかず、体だけが手順通りに動き続ける。
俺は彼女の膝の外側から滲んでいる血を一瞥して、さっき転んだときの角度を見た。
「靭帯の捻挫だ。骨は折れていない。」俺は言った。
彼女を引き戻した男性警官は水の中から引き上げられたみたいに息を切らしていて、顔には汗と灰と血が混じっていた。俺がなぜこんなときにそんなことを言うのかを考える余裕は明らかになかった。ただ彼女の防弾ベストの肩ストラップを死ぬほど掴んでいた。手を放したら、この女性が次の瞬間また前へ這い出すとでも思っているみたいに。
俺の手の死神の大鎌はまだ収めていなかった。周辺の警官と消防士が俺を見ていたが、誰も口を開くかどうか決めかねていた。さっきのわずかな時間の中で、彼らは白袍の死体が銃弾を受けながら前進するのを目の当たりにし、バローロ神父が経文を唱えながら聖書で死体の顔を砕くのを目の当たりにし、最後に俺が指輪から存在するはずのない鎌を引き出して、あいつらを薪を割るみたいに断ち切るのを目の当たりにした。
こういう光景を見た後、人間の頭は大体十数秒遅れて警報を出し始める。
一度出し始めると、混乱する。
「周囲三十メートルを空けろ。」俺は年配の警官に言った。「体裁のためじゃない。あいつらの後ろからまた補充が来るからだ。」
彼の喉が動いた。俺が何者なのかをまだ判断しようとしているのは明らかだったが、この人間は少なくともまだ完全には壊れていなかった。すぐに振り返ってフランス語で怒鳴ると、周辺の警官数人がすぐに路障を動かし、負傷者を移動させ、まだ動ける人間を集め始めた。
それが俺がまだ彼に話しかけている理由だ。
秩序というのは一度完全に散ると拾い直すのが非常に難しい。でも自分がどこに立つべきかをまだ覚えている人間が数人でもいれば、局面はまだ死にきっていない。
バローロ神父が戻ってきたとき、鉄の鎖はすでに腕に巻き直されていた。煉瓦みたいに分厚い聖書の縁には灰黒色の肉の破片と皮屑がついていて、さっきよりずっと凶器に見えた。顔に何の表情もなかった。息も乱れていない。地面に転がった白袍の乾いた死体を見もしない。名前を覚える価値もない判決を数件処理し終えたばかりの人間みたいだった。
「一時的に断ち切った。」彼は言った。
俺はうなずいた。
断ち切ったのと、防いだのは別物だ。その二つの差は大きい。
俺は顔を上げて大通りの反対側を見た。白袍の隊列はまだ街の中へ押し進んでいたが、前の一群が急に崩れたことで少し詰まっていた。遠くから見ると、白い尖った帽子が夜の闇と煙の中で揺れていた。わざと歩みを緩めた死刑執行人の列みたいで、こちらが見えていると知っていて、逃げられないとも知っている。
あの女性警官がようやく顔を上げて俺を見た。
さっきまで本能で持ちこたえていたが、今は一時的に安全な場所まで引かれてきて、意識が戻ってきた。意識が戻ると、恐怖も戻ってくる。俺の手の鎌を見て、目が一度縮んだ。それからすぐにバローロ神父の手の聖書へ移り、地面の頭骨が砕かれた白袍の死体へ移った。
唇が震えて、フランス語で何か言った。
俺には聞き取れなかった。
男性警官が息を切らしながら大まかに訳した。「彼女は……あなたたちは教会の人間かと聞いている。」
「完全にそうとは言えない。」俺は言った。
バローロ神父は俺の隣に立ち、平坦な声で言った。「十分だ。」
男性警官には意味が分からなかったようだったが、今は追及する気にもなれないようだった。
そのとき、ロータリー周辺の音が再び鮮明になってきた。
人間は動き始めると、耳が仕事を再開する。さっきの衝撃が密度が高すぎて、全ての音が一塊に混ざっていたが、目の前の白袍の一群が断ち切られた後、街全体が一層ずつ浮かび上がってきた。
最初に来たのは、遠くで一面に続くクラクションの音だ。
交通渋滞の苛立たしい催促じゃない。エンジンが止まり、運転手が車を捨て、後ろの状況が分からない人間がまだ死ぬほど押し続けていて、最終的に通り全体が壊れた巨大な肺みたいになって、断続的に息を吐き出している音だ。
次に警報。
パトカー、救急車、消防車、それぞれの周波数が混ざり合っている。普通の街なら、これらの音には最低限の規則性があって、どの車がどこへ向かっているか分かる。今は違う。今は全ての音が途中で誰かに絞め殺されて、別の場所でまた繋ぎ直されているみたいだ。
それから人の声。
泣く声、罵る声、助けを求める声、電話をかける声、状況が分からないのに離れようとしない声、スマホで撮影する声、家族に引っ張られながらまだ振り返ろうとする声。数百万人の大都市は、災害が来たからといってすぐに静かにはならない。本当に恐ろしいのは、壊れながらも、普通の生活の残滓みたいな音をまだ立て続けていることだ。
俺は手を伸ばし、さっきあの警官から取り上げた無線機の音量を上げた。
周波数の中に秩序はなかった。
少なくとも表面上は。
様々な声が互いにぶつかり合い、フランス語の中に英語の略語、地名、部隊コード、制御を失った悪態、どんどん短くなる文章が混じっていた。こういうとき全部を聞き取る必要はない。災害の形は、破片の中から自分で育ってくる。
「Eエリア地下駐車場の封鎖失敗!スロープを何かが上ってくる、繰り返す、スロープを何かが上ってくる!」
「実弾使用授権を要請、実弾授権を要請!通常の暴動鎮圧が効かない!」
「病院外周に大量の市民が集結、入口が放棄車両で完全に塞がれている!」
「港区十五番ライン通信途絶、最後の映像で白袍隊列がコンテナヤードに進入」
「ノートルダム方向の鐘が鳴り続けている、人員進入なし、繰り返す、人員進入なし!」
「地下鉄駅の改札が突破された、下層の照明が落ちた、中にまだ人がいる」
「これはデモじゃない!これは侵攻だ!上に報告してくれ」
声は周波数の中でひどく砕けていた。全員が、もう存在しない指揮センターに向かって話しかけているみたいだった。
俺は斜めに押し込まれた警察車両に背を預け、ゆっくりと情報を整理した。
地下施設が突破され始めている。
医療拠点が避難車両と負傷者で詰まっている。
港区のラインが切断されている。
教会の鐘の音が異常だ。
複数の部署が対処レベルを暴動より上へ引き上げるよう要請しているが、上はまだ完全に受け止めきれていない。
どこか一つのエリアが不運に見舞われているんじゃない。
システム全体が、異なる場所で同時に風を通し始めている。
年配の警官も、俺たちのやり取りをじっと聞いていた。額の端に入った裂け目に血が乾き、眉骨の上に一本余計な硬い線を作っている。無線を数秒聞き終えると、彼は手を伸ばして受信機を返してくれと目で示した。俺はそれを返した。
「中央危機センターは?」俺は尋ねた。
彼は一瞬固まってから、地名を口にし、英語で付け加えた。「市庁舎の地下階。一時的に移動してる。」
それだけで十分だった。
どれだけ手順に囚われているフランス人でも、ここまで来れば正規の会議室がもう使い物にならないことくらいは分かる。地下層なら壁は厚く、モニターも多く、予備電源もある。だが問題は場所じゃない。中の人間の頭が外の変化に追いついているかどうかだ。
「市長はそこに?」俺は聞いた。
「いるはずだ。」彼は一息ついてから加えた。「軍の連絡官も。」
「上等だ。」俺は言った。
ようやく、俺がただの世間話じゃないと気付いたようだった。
「そこへ行くのか?」
「他にどこ行く?ここに残ってお前らが暴動マニュアルで三万体の行軍する屍体を相手にするのを見ていろって?」
彼は反論しなかった。
言葉に詰まったからじゃない。俺の言うことが事実だと分かっていたからだ。
バローロ神父は警察車両のドアの端で聖書の一番汚れた角を軽く打ち付け、こびりついたものを落とした。会話には加わらず、遠くの高層ビルの間の夜空を見ている。
俺も同じ方向を見やった。
煙がもう一本増えていた。
爆発で一気に上がる炎じゃない。どこかの区域が持続的に燃え始めていて、火の勢いはまだ街の半分を赤く染めるほどじゃないが、空の底を暗い橙に染めるには十分だった。
その煙の下に、小さな光の点が通りに沿って塊になっていた。棄てられた車と群衆が幹線の一本を完全に塞いでいるのだろう。ここからでも見えるということは、そのラインはもう渋滞じゃない。完全な停滞だ。
「K7は動くか?」俺は聞いた。
バローロ神父がフロントバンパーを一瞥した。
「動く。」
「なら行こう。」
このロータリーに長居する意味はない。守れないからじゃない。このロータリー一つ守ったところで、マルセイユ全体への戦略的価値はゼロだ。本当にやるべきことは、システムが完全に切れる前に、まだ話が通じる人間を繋ぐことだ。
女警官は俺たちが去ると聞くと、立ち上がろうともがいた。両隣の同僚が慌てて押さえつける。俺は足元に転がっていた盾を蹴り戻した。
「そこで待ってろ。」俺は言った。
彼女は俺を見上げ、歯を食いしばって何か言った。今度はだいたい分かる。ありがとうか、行かないでか、そのどちらかだ。
「見捨てるわけじゃない。」俺は言った。「この街をまだ生かせる相手を探しに行くだけだ。」
彼女は一瞬呆然とした。理解しようとしているような、そもそも理解する余裕がないような顔だった。
これ以上は説明しなかった。災害現場で一番時間を浪費するのは、今さっき死の淵から引き戻したばかりの人間に細かく説明しようとすることだ。彼女が知るべきなのは一つだけ。俺たちは通りすがりでもなければ、ヒーローごっこをしに来たわけでもない。ここで助けたのは、現場を「必ず崩壊」から「まだ使える」へ一段引き戻しただけだ。
K7が再始動すると、周囲の警官と消防士が自然と道を空けた。
敬意からじゃない。本能だ。
理解できない武器や処理方法を見た人間は、まず道を空ける。それが普通だ。
乗り込む前に、俺は死神の鎌を指輪に戻した。その瞬間を年配の警官がしっかり見ていた。今度の目は恐怖というより、「手順で自分を守れると思い込んでいた公務員」が、現実にぶつかった瞬間に全ての報告書や規則や分級や会議録がどれだけ薄っぺらいか悟った時の顔だった。
「俺の後ろについて来い。」彼は言った。「案内する。」
俺は彼を見た。
肩にはまだ血がつき、右手はかすかに震えていたが、それでも決断はできていた。こういう人間は、街が割れ始めたときに特に重要だ。強いからじゃない。まだそこに立っているからだ。
「名前は?」俺は聞いた。
「デュヴァル。」
「分かった、デュヴァル。死ぬなよ。」
彼は笑おうとしたが、口の端が少し引きつっただけで、すぐに自分の車へ走っていった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




