150.マルセイユの夜 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
後になって俺は、マルセイユ市政危機センターで、あの夜をつなぎ合わせた録音、監視映像、警察のドライブレコーダーを見た。まだまともに話せる状態だった目撃者の証言もいくつか聞いた。
だから俺には分かっている。俺があの市長と電話を終えて、K7が外縁の検問線の前で通過を待っていたのと同じ一分間に、街全体はすでに「緊張」から「制御不能」へ滑り落ち始めていた。
ただその時点では、マルセイユ自身がまだそれを知らなかった。
市長パトリス・ヴィダルは危機センターのメインテーブルの前に立っていた。上着は脱いでいない。ネクタイは曲がっている。机の上には互いに矛盾する三つの報告書が広げられていた。一つは大規模宗教デモ。一つは国境からの不明武装勢力の浸透。一つは最も正直で、なぜなら端的にこう書いてあったからだ。分類不能。
隣の警察総監はすでに机を叩き始めていて、北港・南門・高速入口の全てをレッドゾーンに指定するよう要求していた。消防総隊長は怒鳴り散らしていた。前線の複数の班から「熱源のない移動隊列」という報告が上がっているのに、上の誰かがまず機器の故障を確認しろと言ったからだ。憲兵連絡官は反対側の端に立ち、死人より硬い顔色で電話を三本続けて受け、最後に一言だけ言った。「市政府が授権しないなら、守るだけで攻められない。」
これが大都市が壊れていくときの光景だ。
どこかのビルが先に爆発するわけでも、どこかの通りで先に人が死ぬわけでもない。
全てのシステムがまだ規則通りに動こうとしているのに、規則が想定している相手がもう人間の問題じゃなくなっている、そういう状態だ。
同じ頃、北港近くで早朝のパン屋を開けていた老人が、最初のパンをオーブンから引き出したところだった。名前はブランシェだかブランジェだか、後で俺は覚えていない。とにかく一生小麦粉と早番の労働者と付き合ってきたような人間だ。外から足音がたくさん聞こえてきて、最初は夜の店から流れ出た酔っぱらいだと思った。ところが扉を引き開けると、先に海風が飛び込んできて、続いて通りの角に長い白い影の列が、霧の中から整然と歩いていくのが見えた。
デモじゃない。
修道士の夜の行列でもない。
あいつらの歩く音がなかったからだ。
少なくとも、生きた人間が立てるべき音じゃなかった。
老人が後で言ったのは、最初に目に入ったのは尖った帽子でも白いローブでもなく、あいつらの足元の灰だったということだ。一歩踏み出すたびに、地面に非常に乾いた薄い土が落ちた。まるで誰かが墓穴の壁を粉に挽いて、道に沿って撒きながら来たみたいに。
彼はパンの盆を取り落とし、店も閉めずに裏通りへ走り出した。走りながら、妻がまだ二階で寝ていることを思い出した。
それでもまだ、最初に見た人間の話だ。
南区では消防車一台がサン=タンドレ通りの交差点で立ち往生した。衝突でも火災でもない。市民の一群が道路の真ん中に立って遠くへスマホを向けていて、泣いている者もいれば罵っている者もいた。若い消防士が飛び降りて人を後ろへ押しのけようとした。顔を上げた瞬間、通りの奥から白い帽子の列が濃煙の中からゆっくりと浮かび上がってくるのが見えた。
彼が報告書に書いたのはこうだ。
宗教的苦行隊に類似した外見。
だが個人の録音の中では、別の言葉を使っていた。
「なんだあれ、中世の棺桶から順番に出てきたみたいじゃないか。」
そっちの方が人間の言葉だ。
危機センターの市長はまだ持ちこたえていた。
怖くないわけじゃない。ただ、まだ自分に怖がることを許可していなかっただけだ。
補佐官に全市の監視映像をメインウォールに切り替えさせた。するとスクリーン全体が発作を起こしたみたいに、一格また一格と点灯し始めた。旧港、A7入口、工業地帯、北駅周辺、山側の外環、いくつかの小さな教会の前、地下鉄の出口、駐車場二か所、高架橋の下三か所全ての映像に、何かおかしいものが映り始めた。
最初は時間帯に合わない人の流れ。
次に、理屈に合わない停滞。
最後に、誰が見ても一目で分かるが、頭がまだ認めたくない、整然とした白い線。
あれは人の波じゃない。
人の波は乱れる。押し合う。振り返る。分岐する。立ち止まって怒鳴る者がいる。スマホを見下ろす者がいる。突然列を横切って煙草を買いに行く者がいる。
あの白い線は違った。
ただ前へ進むだけだった。
危機センターの誰かが映像を拡大した。さらに拡大した。もう一度拡大した。
全員が見た。尖った白い頭巾、垂れ下がるローブ、胸の黒い十字、そして一枚一枚、皮革が骨を包んでいるような干からびた顔。隊列の中には人の形を保っているものもあれば、時間に半分食われながらもまだ安定して前へ歩けるものもあった。隊列の先頭が時折頭をわずかに傾けた。動きは速くない。だがそちらを向いた瞬間、スクリーンの向こうの人間が本能的に後ろへ引いた。画面越しでも、見られることを恐れるみたいに。
市長の隣の総監がついに黙った。
彼にも分かったからだ。
もう「緊急事態を宣言するかどうか」の問題じゃない。
緊急事態はとっくに彼らの顔に宣言されていた。あとは街全体に判を押すだけだった。
そしてそのとき、俺たちの検問線のバリケードがようやく上がったところだった。
バローロ神父がアクセルを踏み込み、K7は詰まった喉から鉄の塊を無理やり押し通すみたいに前へ出た。両側の警告灯が青と白を交互に車体へ叩きつけ、フランスの憲兵が数人、路障の脇に立って手を銃に添えていた。ただその姿勢は安全感を掴んでいるというより、最後に残った職業的な習慣にしがみついているように見えた。
俺は助手席から、若い憲兵の一人を横目で見た。そいつは顔中そばかすで、唇が白くなっていて、三十にはなっていないだろう。K7が通り過ぎるとき、その目に非常に厄介なものが浮かんでいた。敵意じゃない。答えを求める目だ。
災害が来たとき一番怖いのは悲鳴だと思っている人間が多い。
違う。
一番怖いのは、訓練を受けて、普段は他の人間を落ち着かせる側にいる人間が、「自分にも分からない」という顔を目の前で見せたときだ。
その顔が出た瞬間、秩序は風を通し始める。
「左側三キロに第二封鎖がある。」ルシアの声が通信機から届いた。「フランス側はあなた方を直進させるつもりだけど、幹線道路に一般車の逆流が起きてる。旧工業線を切って、北側から市街へ入ることを勧める。」
「今頃ルートを切ろうとしてる。まだ完全に頭が死んでるわけじゃない。」俺は言う。
バローロ神父は返さなかった。前だけを見ている。この老人がK7を運転するとき、神父には見えない。法廷の入口まで直接乗り込んで被告を引きずり下ろしに来た護送官に見える。ハンドルを握る手は安定していて、肩は動かず、視線も揺れない。外の道路全体が乱れているのに、彼だけが平常より石に近い。
塩気を帯びた海風に、さらに別のものが混じってきた。燃えたプラスチックの臭い、軽油、都市の下水が逆流してくる湿気、遠くの煙の中の焦げた苦み、そして港湾の大都市の夜にあるはずのない臭い乾き。
砂埃の乾きじゃない。
死んで長すぎて、封じられて長すぎて、急に開けられて空気を吸い始めたときの乾きだ。
その臭いが、ずっと前に見た地下室を思い出させた。扉を開けたとき、中から漂ってきたのは腐臭じゃなかった。時間そのものが風化して、死人だけがまだ立っているような乾きだった。
K7は幹線を外れ、倉庫地帯の外縁に沿った道を街へ向けて押し進んだ。遠くにマルセイユの灯りが見え始めていたが、今夜その灯りはもう街に見えなかった。海に漂う、熱を出している病んだ肉の塊みたいだった。サイレンが四方から届いてくる。近いものは耳を刺し、遠いものは海風に引きちぎられたみたいに途切れ途切れだ。空は異様に低く、雲の層が鉛色の灰で塗り潰されたみたいに、全ての建物の上に圧し掛かっていた。
路肩に放棄された車が出始めた。
最初はバイクが一台、路肩に横倒しになっていた。
次にパン配送の小型トラック。運転席のドアが開いたまま、中に人はなく、パンの箱が地面に転がっていた。
それから乗用車が一台。後部座席にチャイルドシートが固定されたままで、持ち主は急ぎすぎてドアも閉めきれていなかった。
「市民が車を捨てて歩き始めた。」俺は言った。
「始まったんじゃない、」神父が冷たく言った。「秩序の方が先に彼らを見捨てた。」
俺は横目で神父を見た。
「今夜の口調はずっと判決みたいだな。」
「今夜は実際にそうだからだ。」彼は言った。
俺はそれが本当のことに聞こえすぎるのが嫌だった。
そして彼はいつも本当のことに聞こえすぎる。
もう少し進んだところで、最初の本格的な避難の波が視界に飛び込んできた。
整然とした避難じゃない。崩れた人の群れだ。スーツケースを引きずっている者、裸足の者、子どもを両手に一人ずつ引いて何度も後ろを振り返る母親、隣人に支えられながら歩く老人、バーの制服を着たままの若い女性二人が走りながら泣いていて、化粧はとっくに崩れきっていた。路肩のコンビニは扉が半分開いたまま、店員が中からシャッターを引き下ろそうとしていて、外ではまだ水を買おうとする人間がガラスを叩いていた。
出前配達の若い男が、バイクを交差点の真ん中に放り捨てて、保温バッグを抱えたまま人の波の中に飛び込んでいくのが見えた。本能だろう。災害が来たとき、多くの人間が最初にすることは逃げることじゃない。手元にあるものを抱きしめることだ。まだ元の日常の中にいるかのように。
でも元の日常は、もうとっくになかった。
ルシアの通信がまた入った。今度は彼女一人の声じゃない。フランス警察の周波数が激しく飛び交い、消防の通報がその中に挟まり、市政側の人間が封鎖区域を引き直している声もあった。
「北駅広場で群衆の踏み潰しが発生、南区の二つの教会で鐘の音が異常、」ルシアは速く言った。「消防は電気系統の故障ではないと言っている。外部から引かれた形跡があると。それと民間の映像が三本、白袍の隊列が外環の視距範囲に入ったことを示している。フランス側はまだ遺体の性質を公表していない。『不明宗教武装』という表現を使っている。」
「それが奴らに残った最後の体面だ。」俺は言った。
「それと、」ルシアが少し間を置いた。「市長は入市後まず危機センターへ来てほしいと言っている。」
「状況次第だ。」俺は言った。
彼女はそれ以上勧めなかった。こういう場に入ったら、道は人が選ぶんじゃなく、事態が人を選ぶと分かっているからだ。
前方の交差点に突然、盾と路障の列が現れた。警察車両三台が道路の半分を塞いでいる。フランスの警官が一人走り寄ってきて停車を求める手振りをした。神父はきれいに止め、K7は少し前に出ただけで止まった。その警官が俺の窓を叩いた。窓を下げると、相手は素早いフランス語を飛ばしてきた。恐慌まで一緒に吹き込もうとするみたいな速さだった。
俺には全部は聞き取れなかった。神父が直接二言返した。
その警官は一瞬固まり、車内を覗き込み、バローロ神父の顔を見た瞬間、表情が変わった。
有名人を認識したんじゃない。
「この人間は検問を受けに来た側じゃない」という空気を認識したんだ。
半歩後退し、仲間に向かって何か叫んでから、腰をかがめて今度は俺に英語で言った。訛りのある英語だった。「前方は通れません。群衆が逆流しています。それと目撃者が、白い武装集団が内側の通りに入ったのを見たと……。引き返すか、市政の避難ポイントへ向かうことをお勧めします。」
「避難ポイントで止められるのか?」俺は聞いた。
その警官は口を開いたが、答えられなかった。
自分が言ったのが判断じゃなく手順の要求だと、自分でも分かっていたからだ。
市長からの授権を伝え、神父の名を告げた。相手のイヤホンにすぐ反応があったらしく、聞きながら何度もうなずき、顔色がどんどん悪くなっていった。最後に手を一振りして、隣の警察車両を横へ動かさせた。
その数秒の間に、右前方二本先の通りから、妙な音が届いた。
爆発じゃない。
銃声でもない。
巨大な金属扉を誰かが内側から力任せに叩き開けたような音で、反響が街区を何層にも転がっていき、周辺の車の警報が全部一斉に鳴り出した。ほぼ同時に、その通りの角から人の群れが崩れ出てきた。文字通り、崩れた。先頭を走っていたのはランニングシャツ一枚の男で、右手にバットの折れた半分を持ち、顔中が血だらけだった。その後ろに裸足の女性が子どもを抱えて走り、叫び声は既に声が割れていた。さらに後ろで三人の若者が誰かを引き戻そうと振り返りかけたが、一瞬見てまた全員走り出した。
警官が振り返り、顔が瞬時に固まった。
「何があった?」俺は聞いた。
イヤホンの中で誰かが叫んでいた。聞き取れたのはいくつかの単語だけだ。地下駐車場、白袍、倒れてから再起立。
「クソ。」俺は低く言った。
そのタイミングで、角の反対側から消防車が強引に突っ込んできた。赤いライトが煙の中で発熱しているみたいに点滅している。車が止まるや否や、助手席の消防士が飛び降り、封鎖線に向かって怒鳴った。地下に市民が閉じ込められている、命令を待つな、と。両者が一瞬で言い合いになった。警察は対象の安全確認が取れていないと言い、消防は下に人がいる、入らないわけにはいかないと言う。警察は今入るのは死にに行くのと同じだと言い、消防は入らなければ人が死ぬのを見ているだけだと言う。
俺は車の中でその光景を眺めながら、妙にマルセイユらしいと思った。そして災害に喉を噛まれたどの街にも似ていると思った。
本当に壊れる前は、誰もがまだ自分の役割を果たそうとしている。
警察は封じたい、消防は救いたい、市長は抑えたい、市民は逃げたい。
誰も間違っていない。
だが間違っているものが全ての手順より大きいとき、役割同士が互いに潰し合う。
神父がクラクションを一度鳴らした。
強くない。
ただ、迷いがない。
全員が振り返った。バローロ神父が窓を下げ、消防士と警官にそれぞれ一言ずつ言った。俺には後半しか聞き取れなかった。「……地下室じゃない、通路だ。下に入るなら、見てはいけないものを見る覚悟をしてから行け。」
消防士が固まった。警官も固まった。
神父はそれ以上説明しなかった。ただ窓を上げ、俺に言った。「ここを覚えておけ。市政から出た後、ここはもう一度見る必要がある。」
俺はうなずいた。
前方の路障がようやく全開になり、K7は再び中へ向けて押し進んだ。
さらに五分走ったところで、マルセイユが本当に失控した顔が、初めて丸ごと俺の目の前に貼りついた。
旧港の方向を遠く見渡せる斜面の道に入った。本来このアングルから見下ろせば、なかなかの景色のはずだ。坂地、建物の群れ、港の灯り、海面ロマンチックという言葉にさほど思い入れのない俺でも、観光客がスマホを出したくなる景色だとは認める。
だが今夜、景色はなかった。
あるのは災害の顔だけだった。
低地全体がひっくり返されたみたいだった。
警告灯、車のライト、サーチライト、ビルの屋上の赤い警示灯、遠くの港のクレーンの作業灯が全部混ざり合って、街を沸きかけた鍋のように照らしていた。いくつかの幹線道路の人の流れはもう歩いていない。押し合い、逆流し、渦を巻いている。どこかで催涙ガスが使われたのか、風が吹くたびに一帯が白い辛い霧に包まれた。さらに遠くで、二つの教会の塔の鐘が互いにずれたリズムで打ち合っていた。一方が三回打つと、もう一方が半拍遅れて四回乱れ打ちする。街の違う角で誰かが鉄槌で空を叩いているみたいだった。
だが俺が一番不快に感じたのは、音でも人の波でも火でもなかった。
白だ。
街の中に、あるべきでない白が増えていた。
長い通りの突き当たりに一列。
港沿いの倉庫の裏に一面。
高架橋の陰の下にいくつかの点が、ゆっくりと線につながっていく。
そしてもっと長く、もっと淡い白い帯が、外環の暗闇の中から内側へ向けて押し進んでいた。死体の骨が皮膚の下からゆっくりと押し上げてくるみたいに。
ついに俺は自分の目で見た。
白いローブを纏い、尖った白い帽子をかぶり、胸に十字の標識を掲げたあいつらは、気勢で人を怖がらせているんじゃない。あいつらの存在そのものが、現代都市への侮辱だった。
車が走り、灯りが点滅し、無線が叫び、警察がプラスチックの盾を持ち、消防がホースを引き、市長が指揮センターで怒鳴り、群衆がスマホを構え、泣き、罵り、子どもを探している二十一世紀全体が一塊の忙しい混乱として広がっている。
そしてあいつらは別の時代から歩いてきた。整然と、沈黙したまま、一瞬の躊躇もなく。まるでこの街に向かってわざわざ告げに来たみたいにお前たちのその賑やかな秩序とやらも、死人の目から見ればこんなものだ、と。
「見えたか。」俺は言った。
神父は答えなかった。
彼も見ていたからだ。
斜面の下のロータリーの脇で、警察車両三台が白袍の小隊を封じ込めようとしていた。拡声器からフランス語で止まれ、武器を置け、身分を明かせと叫んでいる。あいつらは止まらなかった。速くもならなかった。ただ元の速度で前へ進んだ。前列の二人の警官が明らかに追い詰められていて、銃を上げ、また下げ、また上げた。隣の年配の警官がたぶん勝手に撃つなと怒鳴っていた。
遅かった。
ロータリーの脇で突然誰かが叫んだ。逃げ遅れた通行人が転んだらしい。隊列の前列の白袍の一体が頭をわずかに傾けた。何かを聞きつけたみたいに。そして動きが一瞬だけ速くなった。
その一瞬で十分だった。
警察が発砲した。
車の中からでも分かった。最初の三発のうち二発は胸に当たり、一発は肩と首のあたりを外れた。だがあいつらはわずかに揺れただけで、白袍から灰が少し散り、足は止まらなかった。二人目の警官も撃った。今度は顔に当たり、帽子が飛んで、下から干からびた皮革みたいな顔が露出した。
ロータリーを囲んでいた人間が全員散った。
戦術的後退じゃない。本能による潰走だ。
若い女性警官が後退するとき路縁に躓いて転んだのが見えた。盾が地面に落ちた。隣の同僚が引き戻しに行こうとしたが、まだ手が届かないうちに、白袍の隊列の中から二体がわずかに方向を変えた。
「右だ。」俺は言った。
神父はもうハンドルを切っていた。
K7は斜面を直接切り下り、タイヤがカーブの護欄を擦り、車体が重く一振りした。安全ベルトが肩に食い込んだ。後部でシュトゥルムシュライターが低く唸った。向こうのフランスの警官たちは、黒い霊柩車みたいな大型車が守るべきか逃げるべきか決めきれていない交差点に直接突っ込んでくるとは、夢にも思っていなかっただろう。
だがこのとき、俺は初めて一つのことをはっきりと確信した。
マルセイユは失控しかけているんじゃない。
もう失控している。
ただ、まだ街としての最後の一点の体裁を保っていた
警察はまだ立ち、消防はまだ入ろうとし、市長はまだ怒鳴り、市民はまだもう少し速く走れば元に戻れると信じている。
でも俺には分かっていた。元の日常は、もうあの白い足の下に踏まれて、街の中心へ一歩一歩送り込まれていた。
K7が下へ突っ込むとき、左側の高層ビルの窓の列の向こうに、灯りの中で外を見ている人たちが見えた。
老人、子ども、パジャマ姿の女性、双眼鏡を持つ男性。
ガラス越しに、通りを歩いてくる中世から這い戻ってきたものたちを見ていた。現代都市がその前で一枚一枚剥がれ落ちていくのを見ていた。
明日もまだ生きている者もいるだろう。
そうでない者もいるだろう。
でも今夜、全員が覚えることになる。マルセイユがどうやって自分の目の前でマルセイユでなくなっていったかを。
「ジョウ・シーダー。」バローロ神父がついに口を開いた。
「聞いてる。」
「今でもまだ、これは三万体の歩く乾いた死体だと思っているか?」
俺はロータリーで崩れた防衛線を見た。その後ろでまだ内側へ押し進んでいる白い線を見た。口の端を少し引いた。
「違う。」俺は言った。「今俺が思っているのは、誰かが意図的に、この街全体に自分がどう怖がらされるかを先に見せようとしている、ということだ。」
神父の横顔が警告灯の中で石像みたいに冷たかった。
「よし。」彼は言った。「見えたなら、どこから断ち切るべきかも分かる。」
K7がロータリー外側の分離帯を轟音で乗り越え、白袍の一群と崩れかけた警察の防衛線へ向かって真っ直ぐ突っ込んでいった。
そして俺には分かっていた。これは入城してから見た最初の一幕に過ぎない。
本当のマルセイユは、もっと奥で待っている。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




