149.マルセイユ事変 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
六時十四分、マルセイユ北側、外環へ向かうバス路線。
四十六番線の運転手カミーユは、今日も普通の渋滞だと思っていた。
いつもより二分早く発車したのに、外環の交差点手前でもう減速を強いられた。前の車の流れがおかしい。事故後みたいな一区間ずつ進む感じでもなく、ピーク時の連続ブレーキのいらいらした感じでもない。全員が同じ方向を見ているせいで、足が無意識に緩んでいるような、そういう遅さだ。
二十メートルほど進んだところで、ようやく理由が見えた。
前方の高架の欄干に数人が立ち、スマホを北に向けている。若い男が一人、欄干の外側に半身を乗り出して、もっとよく撮ろうとしている。カミーユは視線を北へ向けた。一瞥して、固まった。
遠くの道路に、白い線が見える。
車のライトじゃない。霧の壁でもない。工事用のシートでもない。
隊列だ。
白いローブを纏った一列また一列が、路面に沿って南へ移動している。距離があるから細部は見えない。ただ、異常なほど整然としていることは分かる。前後の間隔がほぼ均等で、そして——
手を振っている者が一人もいない。言葉を交わしている者も一人もいない。
カミーユはバスを十七年運転してきた。サポーターの暴動、組合の道路封鎖、移民の検問突破、宗教行進、結婚式の車列、抗議のうねり——人の群れがどう動くか、全部見てきた。本物の群れというのは、どれだけ規律があっても端がある。しっぽがある。一歩遅れる人間がいる。少し横にずれる人間がいる。手が揺れる人間がいる。気が散る人間がいる。
だが目の前の白い線は、そうじゃない。
定規で測ったみたいに整然としていて、理屈に合わない。
車内の乗客がざわめき始めた。スマホを出す者、市政府を罵る者、これは絶対ニュースになると興奮する者。
カミーユはその輪に入らなかった。
ただ、ハンドルが少し冷たくなった気がした。
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六時二十二分、マルセイユ警察署、通報センター。
最初の電話が入ったとき、受付のアマンディーヌはまだ普通の変な通報だと思っていた。
「北の道路で白いローブを着た集団が歩いている。抗議でも巡礼でもない感じ。数が多い、すごく多い。」
こういう電話は毎日ある。酔っぱらい、撮影隊を見た人、どこかの極端な集会を見た人、単純に自分を怖がらせたい人。手順通りに場所、方向、推定人数、武装の有無を記録し、「異常大型集結、巡回確認待ち」に分類した。
二件目はすぐ来た。内容はほぼ同じで、場所だけもっと北側の別の道路に変わっていた。
三件目から「あいつらは車を無視する」「クラクションを鳴らしても振り返らない」という内容が入り始めた。
四件目から「死人みたい」という言葉が出始めた。
アマンディーヌは目を白黒させかけたが、次の瞬間、同僚も似たような内容を受けているのに気づいた。
受付台が一つずつ点灯し始め、通報の内容が重なり合い始める。
北側道路に大量の白袍集団。疑似宗教過激団体の可能性。墓地の外壁が破損。郊外の修道院が連絡不通。港区北向き道路で車を乗り捨てて引き返す者あり。市民が撮影した映像に、後方に騎乗または異常に高い人形が映っているとの情報。隊列にプラカードなし、スローガンなし、音楽なし。呼びかけに無反応。
当直の班長がそこでようやく後ろから出てきて、通報画面を一通り見渡した。顔色が苛立ちからじわじわと悪い方に変わっていく。
「近くの巡回車は行かせたか?」
「二台が移動中。一台が東側から、一台が北側工業地帯から接近中。」アマンディーヌは答える。
「無許可大型宗教集会で一時分類、大区支援の準備を通知。」
口ではそう言っているが、心の中ではまだ完全には信じていない。彼の職業人生において、「白いローブを着た大勢の変な人たち」の一番まともな説明は、どう考えても三万体の乾いた騎士が街へ向かっているというものにはならない。
人は、自分が受け止められる言葉で災害を描写しようとする。
本当に見るまでは、誰でもそうだ。
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六時三十分、マルセイユ北側郊外、巡回線。
二台のパトカーが前後に並んで通報区域へ近づいたとき、最初に感じたのは視覚じゃなかった。
静けさだった。
おかしい。
現場には人がいる。車もある。スマホを構える人間もどんどん増えている。なのに全体の環境から、誰かが背景音を吸い取ったような感覚がある。遠くのエンジン音はある。風の音もある。でも生きた人間の雑音が薄い。みんなが本能的に、あまり大きな声を出したくないと思っているみたいに。
前の車の助手席の警官ルノーは、まだ「どうせまたイカれた宗教活動だろ」と毒づいていたが、護欄の一角を回り込んで前方の道路の光景が目に入った瞬間、その言葉が喉の途中で折れた。
道路の先に、白袍の隊列が本当に来ていた。
映像じゃない。
誇張した描写でもない。
列また列、並びまた並びの白袍の影が、灰色の朝霧の中から自分で生えてきたみたいに、静かにマルセイユへ向けて圧し進んでいる。前列の者は白いローブに尖った頭巾、胸には暗い十字の痕跡、歩調は軍隊のように安定している。その後ろはよく見えない。ただ高さが合っていない。いくつかの影が普通の人間より硬く、真っ直ぐで、見えない硬い殻を背負って前へ進んでいるようだ。
ルノーは無線機をつかみ、反射的に慣れた言葉で報告した。
「こちら二七号車、大量の無許可隊列を確認……繰り返す、大量の無許可隊列を確認、推定……」
そこで詰まった。
何人以上?
二百?五百?千?
一目で数えられる規模じゃない。白い長い列は長すぎて、通常の警察報告用語の快適な範囲を超えていた。
隣で運転していた女性警官ソフィーはすでに警光灯を点けていた。青い光が朝霧の中でパルスを打つ。ハンドルを握る手が白い。声が緊張している。
「呼びかけろ。」
ルノーはスピーカーを手に取り、手順通りの言葉を一つずつ外へ出した。
「前方の集団に告ぐ。こちらは警察だ。無許可集会を行っている。直ちに前進を停止し、その場で待機、検問を受けよ。」
反応なし。
減速なし。
顔を上げる者さえ一人もいない。
その無視は、怒鳴り声より不快だった。
ソフィーが長いサイレンを一度鳴らした。
隊列は前へ進み続けた。
ルノーはそのとき、ふと気づいた。
前列の白袍の者たちは頭を下げているが、歩行中の人間が自然に持つわずかな揺れがない。肩のラインと頭部が、見えない枠組みに吊り下げられているみたいに安定していて、歩幅まで揃いすぎている。
喉が乾いた。もう一度無線機を開いたとき、声が少し変わっていた。
「二七号車より報告、相手は呼びかけに不応、停止せず。一般的な集会ではない可能性。繰り返す、一般的な集会ではない可能性。」
この言い方は稚拙だ。でもその瞬間、他にいい言葉が見つからなかった。
後ろの車の若い警官は、明らかにルノーより動揺していて、小声で直接罵った。
「なんだあれ、カルト教団とKKKが合同ピクニックでもやってるのか。」
誰も返事をしなかった。
なぜなら次の瞬間、隊列の前列でついに一体の白袍が頭を上げたからだ。
距離はまだ遠い。普通ならそこまで顔は見えない。それなのになぜか、その一瞬に、何人かの警官が同時に、はっきりとした感覚を覚えた——
あれはパトカーを見ているんじゃない。
パトカーがどこに止まるべきかを確認している。
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六時四十五分、マルセイユ市危機センター。
市長ジャン=バティスト・ヴィダルが電話で叩き起こされたとき、最初は港でまた何かあったと思った。
マルセイユというのはそういう街だ。港、労働安全、ストライキ、ギャング、移民ルート、抗議、警察と市民の衝突——どれか一つあれば市長が夜中にベッドから飛び起きるには十分だ。だから最初は秘書を怒鳴りつけていた。北区でまた誰かが道を塞いだだけなら、そんなことで自分を引きずり起こすなと。
十分後、危機センターに腰を下ろしたとき、ネクタイは歪んでいて、シャツのボタンも全部留まっていなかったが、誰も笑わなかった。
部屋全体の空気がもうおかしかったからだ。
壁の主スクリーンがいくつかのブロックに分かれている。交通監視カメラ、警察のリアルタイム報告、港湾局の信号、地方ニュース局、SNSモニタリング。最初はまだ誰もが正常な言葉で目の前のものを包もうとしていた——無許可宗教活動、過激派集団、暴力武装リスクを伴う可能性のある集結、北向き道路の異常渋滞——しかし映像が一つ増えるたびに、前線からの報告が一件届くたびに、その正常な言葉が少しずつ使えなくなっていった。
警察代表が最初に口を開いたが、言い切ることを一番避けていた。
「現在、北側の複数の入市ルートで大型白袍集団の存在を確認しています。規模は通常の集会を大幅に超えています。現場の人員は相手が警告、サイレンを無視していると報告しており、隊列は異常なほど整然としていて、後方にはさらに大規模な集団がいる可能性があります。」
市長が眉をひそめた。
「さらに大規模というのはどのくらいだ?」
部屋が静かになった。
それから、誰かが小声で言った。
「万単位かもしれません。」
この数字が出た瞬間、市長の隣でずっと書類をめくっていた顧問まで顔を上げた。
「万単位?どういうことだ?白いローブを着た人間が何万人、マルセイユへ向かって歩いているというのか?」
すぐに答えられる者は、誰もいなかった。
そもそもこの問いかけ自体が馬鹿げている。
そして馬鹿げているからこそ、誰もが本能的に信じたがらない。
市長はスクリーンを見た。
一つのブロックに、警察の無人機から送られてきたばかりの高空映像が流れていた。映像は安定していた。だから余計に怖い。灰色の道路の上を、白い列が一列また一列、路面に沿って街の方向へ押し進んでいる。走っていない。散らばってもいない。淡々と、前進している。最前端の白袍の者たちは一定の間隔を保ち、後方にはさらに密度が高く、さらに不自然な塊状の群体が続いていて、まるで軍陣が朝霧と道路によって一区間ずつ切り分けられているようだった。
「熱源は?」市長が聞く。
技術担当の顔色が悪い。
「異常です。」
「異常とはどういうことだ?」
「前列の白袍には散発的な熱点がありますが、分布が正常ではない。後列は広範囲にわたってほぼ正常な人体熱がない。機器の故障ではありません。レンズとプラットフォームを二組替えて確認しました。」
部屋でようやく誰かが悪態をついた。
市長は違った。
ただスクリーンを見つめ、喉仏をゆっくりと動かしてから、非常にゆっくりと聞いた。
「パリは知っているのか?」
内務連絡官がうなずく。
「知っています。対応レベルを引き上げ中です。ただ現時点では中央から、地方で先に秩序を維持し、全面的なパニックを引き起こさないよう求められています。」
市長は彼の方を向いた。
「全面的なパニックを避ける?」
語気はまだ抑えていたが、その一言にもう火がついていた。
「白袍の隊列が丸ごと私の街へ向かって押し寄せているのに、お前たちがまだパニックを避ける話をしているなら、何があれば十分だと思っているのか、ぜひ聞かせてもらいたい。」
すぐに返せる者はいなかった。
こういうときに一番役に立たないのは言葉の技術だ。メディアには言葉の技術が使える。市民にも、議会にも、自分自身にも使える。だが主スクリーンの白い線がどんどん近づいてきて、前線の警察からの報告に「通常の分類が不能」「非人間的な通常行動の可能性」という言葉が出始めた瞬間、どんな洗練された政治言語も一瞬で薄くなる。
市長は深く息を吸った。
「『可能性』はもう聞きたくない。」彼は言った。「今すぐ二つのことを教えろ。一つ目、あれは街に入れるものか。二つ目、今日の朝、何時まで普通の市民が何も起きていないふりができるか。」
いい答えを出せる者は、部屋に一人もいなかった。
そしてそれは、往々にして悪い答えより始末が悪い。
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七時三分、マルセイユ北側近郊。
最初に何かおかしいと気づいたのは、実は官僚でも警察でもなかった。
市場への配送業者だった。
魚を積んだ小型トラックが北側の支線で動けなくなり、運転手は苛立ちながら車を降りた。前で誰が道を塞いでいるのか確認しに行こうとした。ところが坂の端まで歩いて、遠くを一瞥しただけで、踵を返して車に戻った。ドアを閉める音が、いつもより少し早かった。
後で誰かに何を見たのかと聞かれ、彼は一言だけ答えた。
「整いすぎていた。」
最初に聞いた人間の多くは、馬鹿みたいな答えだと思った。
でも実際に見た人間には、分かる。
整いすぎている方が、乱れているより怖い。
乱れているのは、生きた人間が制御を失ったということだ。整いすぎているのは、まだ誰かが制御しているということだ。
そして、後ろへどこまでも続く白袍の死の列の中に、生きた人間ではない何かも一緒に制御されているとしたら——それは単純な暴動より、百倍処理が難しくなる。
七時七分、地元警察の増援班がようやく外側の一本道に最初の正式な路障を設置した。
車を横に置き、警告灯を点け、拡声器を二台、臨時の暴動鎮圧シールドの列、スパイクストリップまで半分敷いた。この構成なら一般的な過激派集団を止めるには十分で、ギャングの車列を相手にしても様になる。だが目の前のあの白い線を前にすると、その路障が急に哀れに見えた。
現場の指揮官はまだ正規の手順でやっていた。
呼びかけ。
警告。
停止の要求。
警察管制区域の宣告。
白袍の隊列は止まらなかった。
最前列の数体は、躊躇も、互いへの確認もなく、ただ元の歩幅のまま前へ進んだ。スパイクストリップは徒歩の隊列には意味がない。路障は死を恐れない者には説得力を持たない。そして最悪のことが、ついに起きた——
最初の白袍の一体が、警告灯の照明範囲に踏み込み、全員に顔を見せた。
いや、あれを顔とは呼べない。
頭巾の下から露出していたのは、人間の皮膚が持つべき色ではなかった。
干からびて、黒ずんで、羊皮紙を汚水に浸してから干し直したような質感だ。唇はほとんど縮んで消えかけていて、鼻梁は硬い影だけが残り、二つの眼孔の底に暗い赤がかすかに滲んでいる。そして何より最悪なのは、それがまだ歩いていることだ。痙攣でも、よろめきでもない。列に並ぶことをまだ覚えている死人が、安定した足取りで前へ踏み出している。
現場の警官が一人、その場で半歩後退した。
もう一人は本能的に銃を持ち上げた。
人間が理解の崩壊を経験するとき、往々にして叫ばない。
まず静かになる。
そのあとで、恐怖が追いついてくる。
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七時十二分、マルセイユ市危機センター。
最初の「確証映像」が主スクリーンに繋がれた瞬間、部屋が本当に静かになった。
映像は警官の胸部カメラからのもので、アングルは低く、ひどく揺れていた。持ち主がその時点でもう相当緊張していたことを意味している。映像の前半はまだ正規の手順だ。呼びかけ、路障、青い点滅灯。後半が、警告灯の範囲に踏み込んだあの白袍の一体だ。
尖った頭巾。
十字の紋章。
縮んだ口。
そして、あの絶対に存在してはならない歩き方。
映像は、その警官が制御を失って後退したとき一度ぶれ、それから誰かが非常に汚い罵り言葉を一言吐き、続いて最初の警告射撃の音がした。
弾丸が白袍の肩口に当たった。
布が破れ、骨屑のようなものが飛んだ。だが倒れなかった。
少し傾いただけで、前へ進み続けた。
その瞬間、危機センターの中でもう誰も、目の前のものを「大型無許可宗教集会」という言葉の中に押し込めなくなった。
市長が最初に立ち上がった。
「北側の分区に避難準備の発令。港区は不要不急の車両進入を一時停止。学校は——」
彼は一瞬止まった。学校を言い出した時点で、もう少し遅すぎると気づいたように。
「教育システムに休校の準備案を用意させろ。ただし全市放送はまだするな。先に街全体の感情を爆発させたくない。」
内務連絡官が何か言おうとした。市長が直接その目を見た。
「パリに意見があるなら、自分でここへ来てこの映像を見ろ。」
誰も止めなかった。
手順を最も語れる人間でさえ、もう手順が現実に負け始めていることは分かっていたからだ。
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七時二十分、マルセイユ市街。
最初の本当のパニックは、ネットから来た。
公式発表でも、サイレンでもなく、市民が自分で撮った映像、回した短い動画、拡散し続ける音声メッセージから。
「北の方に本当に何かが入ってきてる。」
「A7は通るな、あっちへ行くな。」
「あいつらは普通の人間じゃない、車を止めて見るな。」
「テロだという人もいれば、死霊術だという人もいる。分からないけど、あれは歩く。」
「子どもを外に出すな。」
群衆が最も得意なことの一つは、当局がまだどう言うか決める前に、災害に自分たちで名前をつけることだ。
そして名前が流れ始めると、秩序も一緒に緩み始める。
まだ信じない人間もいた。どうせSNSの誇張だと思っている。
すぐに車の向きを変えた人間もいた。遅刻してでも、北へは行きたくない。
そして一部の人間——特に若者——は逆に北へ向かった。一生に一度あるかないかだ、撮れれば再生数が取れる、もう少し近づけばもっとはっきり見える「カルト行進」が見られるかもしれない、そう思って。
こういうとき、街はまずリズムから壊れ始める。
バスが遅れ始める。
物流トラックが無秩序に車線を変える。
学校の保護者グループが爆発する。
市場の値段が乱れる。
病院の救急は怪我人がまだ来ないうちに、パニックで過呼吸になった人間を先に受け入れ始める。
そして本当に厄介なものは、このとき往々にして、まだ完全には街に入っていない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




