148.想定外 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
単純な攻城じゃない。
示威だ。宣告だ。マルセイユを舞台に仕立て上げて、全員が見ている場所で、C.A.L.F.の「牧人と家畜」という狂気を陽の下に引きずり出そうとしている。
バローロ神父が俺の隣に来て、一目見ただけで顔色が鉄みたいに沈んだ。
「これは地方教区が対処できるレベルじゃない」と彼は言った。
俺は横を向いて彼を見る。
「よし、ようやくまともなことを言った」
彼は俺を無視し、視線を白い法衣が並んだ棚の列に沿って流し、最奥の壁で止めた。
その壁はもともと石積みだったはずが、後から平らに塞がれ、何列かの木製棚が打ち付けられている。その中央に、大きな古い旗が吊るされていた。旗の色は黒ずんで褪せているが、元は白地だったと分かる。赤い十字が刺繍されていて、その十字の周囲には後から誰かが牛角に似た黒い線を補い加えていた。
バローロ神父の声が、急に冷たくなった。
「十字軍の標章を盗用している」
「見れば分かる」俺は言う。「醜い」
「醜い醜くないの話じゃない」彼はその旗を見つめ、初めて明確な怒りを目に浮かべた。「これは、奴らが異端になろうとしているんじゃない。自分たちを裁判者だと名乗ろうとしているんだ」
俺は笑った。
「あんたたちの教会って、こういう精神病を定期的に生産するのが得意だよな。何百年かに一回、十字の服を着た連中が飛び出してきて、自分は天の代理人だと思い込む」
普段なら神父は「歴史を居酒屋の酔っ払いみたいに理解するな」とでも返してくるところだ。だが今回は違った。彼はただ二歩前に出て、その旗の縁に手を伸ばし、指の腹で少し擦った。乾いてもろくなった暗い何かが剥がれ落ちた。
血だ。
それと、ずいぶん古い煙の灰。
この旗は展示品じゃない。実際に使われたものだ。
何か言おうとした瞬間、部屋の反対側から非常に小さな音が聞こえた。
銃声でも機械の稼働音でもない。
誰かが爪で、木箱の内側を軽く引っかいたような音だ。
部屋全体が即座に静まった。
ルシアが最初に反応し、銃口が音の発生源に向いた。二名の特殊工作員も同時に散開し、中央テーブルと棚の間の視線の死角を押さえる。
俺は最奥の番号付き木箱の列を見た。
音は三段目の左から二番目の格から来ていた。
短い音だったが、はっきり聞こえた。
バローロ神父も聞こえていた。その顔が底まで沈む。
「箱の中に何かいる」
「当たり前だ」俺は言う。「問題は、完全に死んでるかどうかだ」
ヴィクトリアはすでにその棚の前に来ていた。急いで箱を開けようとせず、まず木箱の縁の固定方法を低い位置から確認する。蓋は釘で打ち付けられておらず、取り外し可能な金属の留め具で閉じられている。その留め具には非常に細い銀線が結ばれていて、箱の側面から後ろの壁の中へと続いていた。
「牽引式警報装置ね」と彼女は言う。
「処理できるか?」ルシアが訊く。
「できる」ヴィクトリアは極細の鉗子を取り出し、動作は古い時計の中で一番繊細なゼンマイを外すかのようにゆっくりだった。「でも、中に本当に何か動いているものがいるなら、開けた瞬間に備えておいたほうがいい」
俺は銃を少し上げた。
「俺はいつでも準備できてる」
「あなたはいつでもうるさい」ルシアが言う。
「ありがとう、知ってる」
ヴィクトリアは約二十秒かけて、その銀線を留め具から外した。全行程が静寂の中で進み、聞こえるのは呼吸音と彼女の鉗子の先が金属に触れる細い音だけだった。彼女が半歩下がると、ルシアが特殊工作員の一人に合図を送る。
留め具が外される。
蓋が開いた瞬間、中のものはすぐには飛び出してこなかった。
普通の生きた人間じゃなかったからだ。
ミイラだった。
正確に言えば、白いローブを着せられ、尖った頭巾を被せられ、胸に十字の紋章まで縫い付けられたミイラだ。皮と肉はほとんど縮んで骨に貼り付き、干した革が人型の骨格を包んでいるようだった。だが俺を一番不快にさせたのは、乾燥していることじゃない。整然としていることだ。両手は胸の前で重ねられ、足も真っ直ぐに縛られている。精密に保管された軍需物資のようだった。
もともと目は閉じられていた。
蓋が開くと、それはゆっくりと目を開けた。
これまでの人生で、開いてはいけないものが開く場面はさんざん見てきた。幽霊、死体、何かに憑かれた人間、飲んではいけないものを飲んで死に切れずに踏ん張っている狂人。全部見た。だがこういう目は初めてだ。目そのものがそこにあるんじゃない。すでに乾いて黒ずんだ眼窩の奥に、炭火の燃え残りのような暗い赤がわずかに残っているだけだ。
唸り声も上げない。痙攣もしない。
ただそのまま静かに俺たちを見て、それから、起き上がり始めた。
「下がれ!」ルシアが低く叫ぶ。
特殊工作員の銃口が下がり、二発が胸に叩き込まれた。
ミイラの体が後ろに揺れたが、生きた人間のように倒れ込まない。弾丸はそいつを貫通した。だがそれは少し止まっただけで、次の瞬間、上半身が人間の動きとはかけ離れたリズムで跳ね上がり、白いローブの下から腕が持ち上がった。その瞬間、俺はそいつがずっと何かを握っていたのを見た。
短剣だ。
現代の武器じゃない。細身で十字型の護拳を持つ短剣で、刀身は古びて黒ずんでいるが、刃はまだ生きている。
「中世テーマを最後まで貫く気か、この連中は」口で悪態をつきながら、手は止めない。頭に向けて一発。
ドン。
ミイラの尖った頭巾が後ろに傾き、頭全体が叩き割られた陶器のように半分ずれた。暗い破片と乾いた粉が箱の内側に飛び散る。今度こそバランスを失い、箱の中に倒れ込んだ。
だが終わりじゃなかった。
棚の反対側から、二度目の引っかき音が聞こえた。
続いて三度目。
四度目。
俺の顔は、さっき「30,000」という数字を見たときより、確実に険しくなっていた。
これは単体の展示品じゃない。
この棚全体が、サンプルで埋まっている。
ルシアが即座に命令を下した。「全箱体を封鎖!個別に開けるな!制御装置を探せ!」
部屋全体が動き出した。特殊工作員が二組に分かれて両側の棚を押さえ、ヴィクトリアは銀線が集まる壁へ直行し、バローロ神父は黒板の脇に退いて台帳と重要文書を一か所にまとめ始める。俺は銃を持った人たちの手伝いには行かず、直接長テーブルに戻って、まだ完全にシャットダウンされていない通信中継機をひっくり返した。
機器の背面には三組の配線が接続されていた。二組は壁の内部に走り、一組は長テーブルの下のフットスイッチ式の構造に直接繋がっている。放送用じゃない。起動と報告のための簡易的な制御ハブだ。
「ヴィクトリア、こっちだ!」俺は呼んだ。
彼女は一目で状況を把握し、すぐに来てしゃがみ込んで分解を始めた。その手の速さは機械を解体しているというより、死にかけた人間の胸を切り開いて蘇生処置をしているようだった。三秒、五秒、八秒——彼女が鉗子を持ち上げて一本の細い銅線をパチンと切断した。
同じ瞬間、棚の木箱全体の引っかき音が止まった。
全部止まった。
部屋が、空気まで誰かに押さえ込まれたように静まり返った。
俺は息を吐いた。
「あんたは俺が見た中で、一番時計職人らしくない時計職人だ」
「ありがとう」と彼女は言う。「あなたは私が見た中で、一番トラブルそのものみたいなトラブルよ」
「それも褒め言葉として受け取っておく」
ルシアには俺たちの無駄話を聞いている暇はなかった。彼女はすでに、銃傷を負いながらまだ生きている濃い色のジャケットの男を長テーブルの前に引きずり、銃口を鎖骨の下に押し当てていた。
さっき俺が厚い扉に叩きつけた、あの男だ。
顔の牛皮ハーフマスクはすでに剥がされ、四十前後の顔が露わになっている。鼻筋が高く、目が深く落ちくぼんでいて、顎鬚の跡が濃い。スペイン南部によくある顔立ちじゃない。フランス南部かイタリア北部の線に近い骨格だ。口の端に血が滲んでいるが、目は真っ直ぐだ。捕まっても、自分の背後にはもっと大きな何かが控えていると思っている目だ。
この手の目は好きじゃない。
たいていの場合、相手が単純な狂信者じゃなく、本当に何かを手の内に持っているという意味だからだ。
ルシアは直接的に訊いた。
「名前」
答えない。
「階層」
まだ答えない。
俺は近づいて、そいつの胸の内側の裏地に縫い付けられた銀片と十字の紋章を一瞥した。
「そういう質問は無駄だ」俺は言う。
ルシアが目を上げて俺を見た。
「じゃあ、あなたがやって」
俺はその男の前にしゃがみ込み、二秒ほど眺めてから、脇の台帳を指差した。
「乾いた死体を三万体掘り出して、マルセイユへ向かわせている。これは本当のことか、それとも自己満足の妄想か?」
男はそれまで死んだ目で耐えていたが、俺がいきなりそこに飛び込んだ瞬間、瞳孔が明らかに一瞬縮んだ。
その一瞬だけで十分だった。
俺は笑った。
「よし。どうやら嘘じゃないらしい」
男は俺を睨み、ついに口を開いた。声は砂紙が木を擦るようにかすれていた。
「もう遅い」
「最近その台詞が流行ってるな」俺は言う。「修道院でも同じことを言ってた連中がいたが、今は全員横になってる」
男は口元を歪めた。笑おうとしているのかもしれない。
「お前には分からない」
「俺がまだ辛抱できるうちに、分からせてみろ」
男の胸の上下が速くなったが、目はむしろ明るくなっていく。殴って消したくなるような明るさだ。
「スペインは……入口に過ぎない」と男は言う。「扉が開けば……南が見る……牧人の軍勢を……」
俺は頷いた。
「詩的な部分は聞いた。普通の言葉で話せ」
男は本当に笑った。血まみれの口で。
「マルセイユが最初に見る」と彼は言う。「街も、港も、軍も警察も、司教も……全員が最初に見る。お前たちの神が……二言目を言う前に」
俺は最後まで聞かずに、脇腹の銃傷の近くに一発入れた。
汚い手だが、効く。
男が一瞬で縮こまり、顔色が白くなった。
ルシアが俺を一瞥したが、止めなかった。
それでいい。今は人道主義を気にする場面じゃないと、彼女も判断しているということだ。
俺は少し近づき、声を落とした。
「半分だけ言う人間が嫌いだ」俺は言う。「今から俺が訊く、お前が答える。三万、どこにいる。どういうルートで。誰が率いている。いつ到着する」
男は数回息をついた。目にはまだあの忌々しい余裕が残っている。
「三万は……すでに出発した」
「どこから?」
「骨庫……墓廊……修道院の地下……南線が全部開いた……」
俺は眉をひそめた。
答えが散漫すぎる。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




