148.想定外 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
あの厚い扉が目の前に立ちはだかったとき、俺の中にはすでに一つの確信があった。
「中に何があるか分かる」という確信じゃない。
「中にいいものがあるはずがない」という確信だ。
さっきの交戦は終わるのが早すぎた。本当の核心区が持つべき抵抗の強度としては、あまりにも早すぎる。C.A.L.F.と俺たちが顔を合わせるのは今回が初めてじゃない。修道院から山の中、そしてこの北側黙想会館まで、奴らには一つの安定した悪い癖がある——外側の血と死体を壁として使い、その壁の裏が全てだと思わせることだ。そう思った瞬間、罠にはまるまであと一歩だ。
俺はまだ息のある顎鬚の男を踏み越えて、あの厚い扉の前に立った。
扉に描かれた牛の頭のシンボルは新しく描かれたもので、血の色がまだ完全に乾ききっていない暗い艶を帯びていた。その色は最近見すぎて、胃が反応する気力すら失っている。本当に俺を不快にさせたのは、牛の頭の下に打ち付けられた鉄の板だった。角が丸く磨り減っていて、ここ数日で取り付けたものじゃないのは明らかだ。そこに刻まれているのは極めてシンプルな印。下向きの槍の穂先。線は真っ直ぐで、冷たい。
十字でも、角でも、山羊でも、安物の悪魔学的紋章でもない。
槍の穂先だ。
俺は手を伸ばしてその鉄板に触れた。死人の口から掘り出した歯みたいに冷たかった。
ルシアは俺の左後ろに立ち、銃口を部屋の中でまだ息のあるC.A.L.F.の構成員たちに向けたまま、相変わらず感情のない声で言った。
「何か分かった?」
「今夜は相当忙しくなりそうだってことが分かった」俺は言う。
「それだけ?」
「それだけじゃない」俺はその鉄板を指差した。「ここは拘束室でも倉庫でも普通の地下拠点でもない。奴ら自身が核心区と認定している場所だ。さっきの牛の頭、革エプロン、排水テーブル、冷蔵ユニット、あれは全部まだ仕事用の皮だ。この扉の向こうに、奴らが本当に守りたいものがある」
ルシアはその鉄板を一瞥し、何も訊かずに後ろの特殊工作員に手で合図を出した。
二人が前に出る。一人が警戒、一人が解錠に取り掛かる。ヴィクトリアもそのタイミングで後ろから降りてきた。足取りは速くないが、一歩一歩が確かだ。まず扉の隙間を確認し、次に蝶番を見て、最後に扉枠の縁を指先でなぞった。指先に白灰のような粉末が付着する。
「爆薬じゃない」と彼女は言う。
「じゃあ何だ?」俺は訊く。
「骨粉と石灰を混ぜたもの」彼女は目を上げて俺を見る。「誰かが意図的に扉の縁に塗り込んである。乱暴に開けると隙間に落ちて、第二の仕掛けを作動させる」
「第二の仕掛けって?」
「鐘かもしれないし、針かもしれない」彼女はズボンの脇で指を拭く。「どちらにしても、丁寧な出迎えじゃないわね」
俺は頷いた。
この女は言葉を無駄にしない。「丁寧な出迎えじゃない」と言ったなら、十中八九、かなり礼儀を欠いた出迎えだ。
バローロ神父もそのとき近づいてきた。俺の右側に立ち、扉の槍の穂先の印を見た瞬間、眉間に深い線が刻まれた。誰かがそこにナイフで一本余分に切り込んだみたいに。
「この印は見たことがある」と彼は言った。
俺は横を向いて彼を見る。
「どこで?」
「実物じゃない。写本だ」声が低い。「戦後に封印された教廷の内部記録の一部に、意図的に曖昧にされた輸送システムについての記述があった。聖遺物本体を運ぶんじゃなく、『聖遺物資格』の認証書を運ぶシステムだ。各認証ノードは互いに繋がっておらず、特定のシンボルと授権物件だけで識別する。槍の穂先は、その識別シンボルの一つだ」
俺は思わず笑った。
「なるほど。今夜俺たちが掘り当てたのは、邪教の地下室じゃなくて、あんたたちの宗教システムが過去に埋めた負の遺産か」
バローロ神父は反論しなかった。
それがいい。こういう人間が反駁すら省いたとき、事態が彼の許容できる底線をはるかに下回っているということだ。
ルシアはヴィクトリアが扉の縁の骨灰石粉を少しずつ丁寧に処理し終えるのを待ってから、ようやく開扉を命じた。
液圧工具が扉の隙間に食い込む音は耳障りだった。長年錆びついた棺桶を無理やりこじ開けるような音だ。金属の扉が内側に動いた瞬間、さっきの地下作業間よりもずっと冷たい空気が一気に溢れてきた。自然の地下の涼しさじゃない。何かを長時間低温保存し続けた場所特有の冷たさだ。その中に、乾いた布、古い木材、錆、蠟、そして言葉にしにくい古い生臭さが混ざっている。
その匂いが流れ出てきた瞬間、俺の頭に最初に浮かんだのは死体じゃなかった。
タンスだ。
巨大で、古く、あってはならないものが詰め込まれたタンス。
扉が完全に開いてから、俺は約一秒、立ち止まった。
血まみれだったからじゃない。
整然としすぎていたからだ。
そこは外の地下作業間全体よりも清潔な、細長い空間だった。両側に天井近くまで達する棚が並んでいる。古い修道院の図書館を思わせる構造だが、そこに収まっているのは本じゃない。番号付きの木箱、封蠟の匣、巻物筒、革張りの冊子、そして——
白い法衣だ。
ずらりと並んで吊るされた白いローブ。
尖った頭巾、目と口だけが開いたフード、長く垂れ下がる布の胴体。布は不自然なほど清潔で、胸にはそれぞれ異なる十字の紋章が縫い付けられている。非常に古い直角十字のものもあれば、十字軍の紋章の変形版のようなものもある。肩口に黒い糸と銀片が縫い込まれたものも何着かある。それらが両側に吊るされ、静かに垂れていた。まるで誰かが着るのを待っている皮のように。
その光景を見て、俺は堪えきれなかった。
「今から十字軍でも始めるつもりか?」
口から出た瞬間、部屋の誰も返さなかった。
笑えなかったからだ。
C.A.L.F.の連中はもともと宗教的な屠殺者として十分すぎるほど気持ち悪いが、この白い法衣、尖った頭巾、十字の紋章、そして下に並んだ番号付きの木箱を一緒に見ると、雰囲気が一変する。単純な邪教じゃない。十字軍、苦行修道士、屠殺作業員、私刑集団を全部一つの鍋に煮込んだような何かだ。悪く言えば、中世の狂熱と近代の白装束民族主義の美学を一緒に腐らせて、引き上げて乾かしたものだ。
ルシアは部屋に入るなり、まず中央を見た。
そこに長テーブルがあった。
テーブルの上には地図が数枚、分厚い台帳が二冊、まだ完全にシャットダウンされていない通信中継機、その脇にラベルの差し込まれたガラス小瓶が一列。小瓶の中身は灰白色の粉末と暗赤色の乾いた滓で、骨粉と乾いた血のように見えた。
そしてテーブルの後ろの壁面に、一面の黒板が打ち付けられていた。
黒板は白いチョークの文字で埋め尽くされている。
祈りの文句でも、聖書の一節でも、もったいぶったラテン語の格言でもない。
時間、場所、数字、バッチ番号、ナンバープレート、封印コード、そして俺が一目で読み取れた名前がいくつか。
Marseille
Massilia
Porte Sud
A7
Cohorte I / II / III
30,000
その数字を見た瞬間、俺の最初の反応は衝撃じゃなかった。
苛立ちだった。
厄介事がこの規模になっていたとしたら、それはもう一晩で片付けられるレベルじゃないからだ。
「雨瞳」俺はイヤホンに向かって言う。「上は片付いたか?」
林雨瞳の声がすぐ返ってきた。「庭園、メイン棟、宿舎一階は封鎖済み。鑑識が降りる準備中。そっちは何を見つけたの?」
「歴史へのこだわりが溢れる白装束の更衣室」俺は言う。「それから黒板。マルセイユと三万が書いてある」
イヤホンの向こうが一秒、静かになった。
それから林雨瞳の声が、さらに平坦になった。
「降りる」
ルシアはすでに黒板の前に歩いていた。
視線が素早く走る。刃のように文字と数字を一行ずつ切り取りながら、手には記録用のペンを持ち、空白の端に短いメモを書き込んでいく。俺は長テーブルへ向かった。テーブルの上の地図は普通の都市地図じゃない。フランス南部の複数の地点を重ね合わせた転送ルート図だ。マルセイユ港、外周高速道路、小規模な修道院がいくつか、旧墓地が三か所、地下空間の入口と思われる場所が二か所に丸で囲まれている。さらに北に視線を伸ばすと、リヨン方向に繋がる旧ルートまで見えた。
観光ルートじゃない。
行軍ルートだ。
俺は脇の分厚い台帳を開いた。一ページ目は文字じゃない。黒い封蠟で押された極めて不格好な牛角の印章と、その下に曲がったフランス語が一行。全部は読み取れないが、大意は難しくない——「白装束各隊動員簿」だ。
二ページ目から先は、もはや神秘的な雰囲気は消え、実務的すぎて頭皮が粟立つようなリストが続く。
第七骨庫:四千二百
聖ラザロ墓廊:三千一百
十字軍遺坑:六千四百
旧修道院地下封蔵:二千八百
転化完了:一万九千
装填待ち:六千
行進中:……
台帳の文字は多く、記録者は明らかにまともな教育を受けていない。綴りは乱れ、術語も滅茶苦茶だ。だがその乱れが、かえってリアルさを増している。人を怖がらせるために作られた展示品じゃない。本当にスコップと縄を手に墓地と骨庫の間を行き来していた人間たちの、作業日誌だ。
中ほどのページを開くと、一枚の写真が挟まっていた。
近代のカラー写真じゃない。監視カメラの映像を印刷した白黒画像だ。画質は粗いが、それでも分かる。非常に長い地下通路で、白装束の人影が一列に整然と前へ進んでいる。尖った頭巾、胸の十字の印。それらは人間が歩いているようには見えない。何か意志のようなものに押されて進んでいるように見える。最も奇妙なのは、画面の中で一人も振り返らず、一人も口を開いていないことだ。隊列全体が、布と骨と長年乾燥した肉で構成された川のように、地底を南へ向かって流れていた。
俺は二秒その写真を見つめ、もう一度ページ番号を確認した。
見間違いじゃない。
誇張でも、宗教画でも、心理戦の素材でもない。
この馬鹿どもは本当に、フランス南部で死人の軍団を掘り起こしていた。
そのときルシアが黒板のほうから俺を呼んだ。
「周士達」
「何だ?」
「これを見て」
俺は歩み寄った。
黒板の右側に、特別に丸で囲まれた欄があった。標題はPré-marche——先行。その下にいくつかの番号と数字が記され、一番下には目を引くフランス語が一行。
La ville doit voir avant que l'Église parle.
——城市が見る前に、教会が口を開いてはならない。
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