145.スペインの羊飼い 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
後になってわかったことだが、俺たちが山区を突破していたあの数分間、バルセロナの方も俺たちと大差ない修羅場だった。
これは俺がその場で見た光景じゃない。後からルシア、ハビエル、そして本来なら目を通すべきじゃない何通かの内部資料を拾い集めて、ようやく形になったものだ。これを一人称と呼べるか? 呼べる。あの夜以降、この件はもう俺と一本の縄で括られた。別の場所で流れた血も、最後には全部俺の足元に垂れてくる。
ハビエルはその時、まだ臨時指揮センターの三階にいた。
机の上には修道院の写真、ルートマップ、法医学のタイムライン、ダミー会社の資料、そして俺たちがさっき会議室で叩き出したばかりの二波構成の犯行仮説が広げられていた。第一波は影が修道院に侵入して物を奪う。殺しはせず、縛るだけ。第二波はC.A.L.F.が現場入りし、鍵と地図が消えているのに気づき、尋問に失敗して激昂し、虐殺に移行する。この論理を俺たちが会議室で組み上げたのは、ついさっきだ。まだ冷めてもいない。
そこへ、二件目の殺人事件の通報が入った。
通報場所はモンカダ郊外、サン・クリストバル工業区。ダミー会社名義の倉庫兼オフィスだ。表向きは物流とコールドチェーンの中継業務で、帳簿はきれい、従業員構成も普通、消防申告まで整然としていた。教科書通りの殻だ。普通の人間が会社情報だけを調べれば、退屈すぎて、本当に面白いものを隠すのに適している場所だと思うだけだろう。
ハビエルが送り込んだ鑑識チームは、地元警察より早く現場に入った。
最初の写真が戻ってきた時、臨時会議室は三秒ほど静まり返ったと聞いた。死体の数のせいじゃない。手口が整いすぎていたからだ。七体の遺体。男三人、女四人。そのうち二人の手首には束帯の圧迫痕があり、先に制圧されてから移動させられたことを示していた。三人の首には絞扼痕があったが、本当の致命傷は胸腹部の切開と刺突だった。もう一体は逆さ吊りにされていた。屠殺場で豚を吊るすように掛けられ、胸の前に血で一文が書かれていた。
牧人は自分の家畜を回収する。
やれやれ、この一言の腹立たしさといったら。
単なる脅しでも自慢でもない。意味は明確だ。お前たちは自分を人間だと思っている。条件交渉もできて、仕事もこなせて、金で安全も買えると信じている。だが俺たちにとっては、柵の中で飼われているものでしかない。放したければ放すし、引き戻したければ引き戻す。
C.A.L.F.の一番おぞましいところはそこだ。暴力を道具ではなく信仰として扱う。この手の人間が効率まで身につけ始めると、厄介さは一気に跳ね上がる。
さらに厄介なのは、現場が意図的に「洗浄済み」に見せてあったことだ。
床には血を流すための溝が切られ、血液は同じ排水口に向かって集中的に流されていた。痕跡を消すためというより、むしろ強調するために。壁には引きずり痕があり、フレームには吊り下げ痕がある。冷蔵区のドアノブに残された血痕付きの指紋も、逆に不自然なほど少なかった。感情に任せて斬りまくった邪教集団が、そのまま逃げ出した痕跡ではない。何を探し、誰を殺し、どんな印を残すかを理解した上で動いた連中の仕事だ。
壁には図形が描かれていた。
十字でも山羊でも、ありふれた悪魔崇拝の古い意匠でもない。粗雑で下品な牛の頭の輪郭で、二本の角が外に開き、中央に銀色の丸い点が釘で打ち付けてあった。何かの宗教的な紋章を模しているようだったが、模し方がひどく低俗で、血塗れの手で祭壇の上のものをべたべた触る屠夫みたいだった。
ルシアが後から俺に言った。あの写真を見た時、最初に浮かんだ言葉は「示威だ」じゃなかった、と。
「通知よ」と彼女は言った。
何の通知か?
もう線を切り始めた、という通知だ。
修道院での一波目には、まだ怒りが混じっていた。尋問の失敗後の制御不能が混じっていたから、遺体の配置も時間の層も乱れている。現場に二、三種類の感情が踏み荒らした跡があった。だが工業区での一波は違う。今回は尋問じゃない、回収だ。物が手に入らなかったから殺したんじゃない。物がもうここにないとわかっているから、まだこの件を知っている人間を全員消した。
端的に言えば、修道院は失敗後の八つ当たりだ。工業区は失敗に気づいた後の、補修作業だ。
この二つが意味する危険度は、まるで違う。
ハビエルという男を初めて見た時の印象は、典型的なスペインの硬派な国家警察だった。肩幅が広く、気性も硬く、忍耐はそれほど多くなく、まず場を押さえてから物を言うタイプ。だがこの手のタイプの利点が一つある。事態が普通の殺人事件では済まないと本気で理解した瞬間、命令を出すのがやたら早い。
その夜、彼がまず手を打ったのは現場の封鎖だった。
普通の意味での封鎖じゃない。この事件の「語られ方」を先に握り潰すという意味だ。メディアに出したのは「複数殺人事件」というラベルだけ。地方機関に渡した報告書は一番浅いバージョンに限定し、宗教テロ、国際情報、特殊組織といった単語に近づくのを禁じた。次に、鑑識、情報、財務の三つのラインを直接束ねて同時に走らせた。これが決定的に重要だ。C.A.L.F.は単一の暴力組織じゃないからだ。修道院側は血、影の側は人、ワイスマン(ワイスマン)の側は金。この三つを別々に追っていれば、事件はいつまでも「複雑なだけ」に見える。だが束ねて見れば、針を通した一本の糸が見えてくる。
その糸の先にぶら下がっているのは、もちろん俺たちの手元の銀鍵と地図だ。
そしてその時、俺たちはまだ国道の上にいた。
ルシアが電話を切る前に言ったのは一言だけだった。「予定の合流地点には戻らないで、ルートを変えて。新しい座標を送る。ハビエルが言っている、戻ったら会議室じゃなく直接作戦テーブルに来いって」
それを聞いた時、俺は思わず笑った。
「ようやく、俺を普通の証人扱いするのをやめたらしい」
電話の向こうで一秒だけ間が空き、ルシアが淡々と返した。「普通の証人は、追われながら遺失物を回収したりしない。生きて戻ってきなさい。死なれたら、上への説明が面倒になる」
「安心してくれ。俺はどんな面倒より命の方が長持ちする」
「だったら、もう少し長持ちさせなさい」
彼女は切った。
俺はスマホをセンターコンソールの脇に放り出し、前方の道路がヘッドライトの中で一区画ずつ後ろへ流れていく。バローロ神父が横を向いて俺を見た。目には聞きたいことが山ほど詰まっていたが、すぐには口にしなかった。今夜の局面が「地図と銀鍵を取り戻す」だけの話ではなくなったと、ようやく理解したのだろう。物が手渡されたとわかった瞬間、C.A.L.F.は話を知っている枝を全部切り始めた。修道院の修道士が第一陣。工業区でダミー会社の仕事をしていた人間が第二陣。その次の第三陣は誰か。第四陣は?
答えは難しくない。
この件に触れた者は全員、リストに載る。
そして俺は昔から、他人のリストに自分の名前が載るのが嫌いだ。特に死亡リストには。
林雨瞳が新しいナビの目的地が表示されたのを見て言った。「ルシアがルートを変更」
「上等だ」俺は言った。「元のルートも、きれいじゃなかったということだ」
「なんで全然驚いてない?」
「俺がC.A.L.F.なら、山の中だけで待ちはしないからだ」俺は前方の、少しずつ明るくなっていく地平線を見た。「今夜俺たちを一度しか殺しに来ないつもりなら、追跡と呼ぶ価値もない。本当にきちんとした網は、山道から街の入り口まで全部敷いてある。山は牧場で、道の出口は屠殺口で、街に入ってからが解体、冷凍、ラベル貼り、配送だ。あいつらはプロセス全体をやろうとしている」
バローロ神父が低く言った。「事あるごとに屠殺業の話に例えるのは、やめられないのか?」
俺は彼を一瞥した。
「あいつらが俺たちをそう見ているからだ。神父、早めに慣れた方がいい」
彼はそれ以上言わず、ただ手を十字架に戻した。祈りじゃない。手を安定させるためだ。
ヴィクトリアはバックミラーで後方の暗闇を一度確認してから、今夜何度目かの短い発言を落とした。「後ろに追跡の灯りはない」
「ないんじゃない」俺は言った。「見えないところまで下がっただけだ」
「なぜそう言える?」
「山の中の仕掛けが失敗した後、俺がC.A.L.F.なら、そのまま張り付いて追うほど馬鹿じゃない。近づきすぎれば、こちらに狙える標的を与えるだけだ。少し引いて、前の線に引き継がせた方が安定する」
林雨瞳が俺を見た。
「『俺がC.A.L.F.なら』って言うたびに、安心していいのかどうかわからなくなる」
「安心しろ」俺は言った。「クズの視点で考えるのが得意なだけで、クズになりたいわけじゃない」
「その言い方は、たいていあまり説得力がない」
「でも、たいてい本当のことだ」
こんな話ができるのは、緊張していないからじゃない。頭の中に少し雑音を入れておかないと、追われているという感覚に丸ごと引きずられてしまうからだ。C.A.L.F.が今夜一番巧かったのは、手を出す凶暴さじゃなく、こちらの内側のリズムまで奪おうとしたことだ。鐘の音、黒い布、犠牲の羊、落とし穴、冷凍車——一つずつ来るたびに、この山は全部あいつらのものだ、この道も全部あいつらのものだ、次の息でさえあいつらに許可されているみたいだと感じさせようとしていた。
残念ながら、俺には一つ悪い癖がある。
他人が俺の道を決めようとすればするほど、わざとずれた方向へ行きたくなる。
特に相手が、自分を牧人だと思っている畜生どもなら。
車はバルセロナの外縁へ向けて下り続け、夜が純粋な黒から深い青へと変わり始め、街の方向の光がどんどん増えていった。だが山はバックミラーの中でまだ重く沈んでいる。俺はその黒い塊を見ながら、今夜はまだ終わっていないと、はっきりわかっていた。
あの鐘の音は終わりじゃない。
開幕だ。
二件目の殺人事件が出たということは、C.A.L.F.は俺たちだけを追っているんじゃない。答えを知っている人間全員を追っている。こうなれば次の手は単純だ。俺たちにより重い一撃を加えるか、俺たちの周りの人間に手を出させるか。最悪なのは、その両方を同時にやってくる可能性が十分あることだ。
そして今、車の中にある銀鍵と数枚の地図は、本質的には手がかりじゃない。
導火線だ。
持っている者が、次に鐘の音が向かう方向になる。
ハンドルを握りながら、俺は少し笑いたくなった。
嬉しいからじゃない。事態がようやく、本来あるべき形に育ってきたからだ。修道院のあの血、バルセロナの会議室での回りくどい情報交換、影が物を渡すときの「これは汚い、あとは勝手に死ね」という顔——全部が今、一致した。
S.O.M.B.R.A.は物を奪ったが、殺しはしなかった。ワイスマン(ワイスマン)のダミー会社が金で動かした道具だ。C.A.L.F.が入って、鍵と地図がないと気づき、逼問が通じず、修道士を生贄に変えた。そして金の流れ、ルート、ダミー会社を調べ直し、物がすでに転手されたとわかった瞬間、ノードを清算し、仲介人を消し、沿道を回収し始めた。
これは単独の犯人の事件じゃない。
連鎖殺人だ。
そして俺たちは今ちょうど、第二走者と第三走者の間に挟まれていて、しかもバトンを手に持っている。
俺は息をついた。
バローロ神父が聞いていて、訊いてきた。「何を考えている?」
俺は前方の街の光を見ながら、淡々と言った。
「バルセロナに戻ってから、ハビエルがまた俺を会議室に入れて冷めたコーヒーを飲ませようとしたら、あの銀鍵を奴の机の国旗立てに突っ込んでやろうと思ってる」
林雨瞳が、今夜初めて笑った。
ヴィクトリアは笑わなかったが、肩が少し下がった気がした。
バローロ神父だけが顔を拭って、低く言った。「主よ、どうかこういう人間と同じ船に長く乗せないでください」
俺は前を向いたまま、振り返らずに言った。
「遅すぎる、神父」
「修道院から出た時点で、もうとっくに船の上だ」
そして今、船の後ろは全部、火だ。
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