140.歪んだ愛 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
その二文字が落ちた瞬間、テーブルの端で二人が明らかに顔色を変えた。
初めて聞くからじゃない。こういう部屋でそれを正面から口にした人間がついに現れたからだ。
ワイスマンはそれを楽しんでいるようだった。
「そう、永生だ」と奴は言った。「敗戦の後、奴らはようやく一つのことを学んだ。帝国は倒れる、旗は燃える、指導者は死ぬ、スローガンは時代遅れになる、だが技術は違う。技術が残れば、死はもう終点じゃなくなる。ただの高価な修理になる。骨は換えられる、皮膚は補える、臓器は取り外せる、神経は再接続できる、記憶は保存できる、戦闘人格は転移できる、意志はロードされ、訓練され、再利用できる。きみたちは一つの組織を追い詰めていると思っているが、実際に追っているのは、『死』を工程上の問題として扱う工業的なパイプラインだ」
俺は動かなかった。手はまだカップの横にある。
こいつの話を聞くのは初めてじゃない。だが聞くたびに、頭蓋骨を割って中に屍から剥ぎ取った優越感がどれだけ詰まっているか確かめたくなる。
ワイスマンがもう一層のデータを展開した。
慈善団体、老人療護センター、遺体提供ネットワーク、戦後行方不明になった科学者のリスト、そして単独では意味が分からないが繋ぎ合わせれば眠れなくなるような、脊椎、骨髄、頭蓋内電気刺激、記憶保持実験の断片が並んでいた。
「きみたちはずっと一つの間違いを犯している」と奴は言った。「政治の言語で敵を探すから、宣言があって、党旗があって、新しい本部があって、地下室で敬礼している若い信者の群れがあるはずだと思い込む。ない。そういうものは騒々しすぎて、俗すぎて、写真に撮られやすすぎる。本当に続いてきたのは、静かな部分だ。帳簿だ。白衣だ。麻酔だ。輸血だ。骨壺の上の新しい名前だ。きみたちが『特殊な事情』、『戦後の混乱』、『機密の協力』という言葉で一時的に許してきた小さな隙間だ。八十年後、隙間は廊下になった。廊下の向こうには建物丸ごとある」
教皇がついに口を開いた。
「なぜこれを我々に話す?」
ワイスマンは彼を見た。その目に、侮辱的なほど穏やかな何かがあった。
「聖座陛下」と奴は言った。「きみたちは今も自分たちを部外者だと思いたがっている。だが違う」
部屋が静まった。
本当の静寂だった。
バローロの眼鏡の縁が一瞬光を反射した。マリアの手が袖の中でわずかに動いた。何かの針に触れたみたいに。レイチェルは顔を上げなかったが、俺には分かった。彼女はこの言葉がどこへ切り込んでいくかを知りすぎるほど知っている。
ワイスマンはゆっくりと手を上げ、テーブルの上の書類の束を指さした。
「きみたちの災変処置線だ」と奴は言った。「公式には認めないが必要な時に起動する地下の連絡網、灰色のファイルに封じられた神父の名簿、貨物の通路、修道院の隠匿所、遺骸の転送認可、そして——」
奴は少し笑った。
「下との取引だ」
下。
その二文字を、奴はひどく軽く言った。
「だいたいそんなところだ」とワイスマン(ワイスマン)は言った。「もう一つ付け加えると、レイチェルをただの保護対象として扱うのはやめた方がいい。彼女は花瓶じゃないし、聖痕の標本でもない。彼女はある種の手順を見て、記憶して、生き延びてきた。『そういうことがある』と知っているだけじゃない。それがどう機能して、どう命名されて、どう偽装されて、どうやって器を選ぶかを知っている。だからこそ、必ず彼女を取り戻そうとする者がいる」
レイチェルがついに顔を上げた。
顔はまだ白い。だが目は安定していた。
回復じゃない。決意だ。
彼女は教皇を見て、一言一言区切るように言った。「私はここには残りません」
誰もすぐに返さなかった。
彼女は続けた。「ここが安全だと言ってもいい。内城で保護されているとも言える。でも私は、この白い壁の向こうに何が隠れているか知っています。ここにいろということは、また棚の上に戻れということと同じです。外に出ます」
彼女は振り返って俺を見た。
「周士達と行きます」
その言葉が出た瞬間、左手側の枢機卿の誰かが、ごくかすかに息を吸い込む音がした。核心的な証人を、教廷に対して何の敬意も持たない外部の人間に連れ出させるのは荒唐無稽で危険だ、とでも言いたそうに。
だがバローロは反対しなかった。
ただレイチェルを見ていた。自分がとっくに予測していた書類がようやく提出されたのを見るような目で。
ヨゼフ一世はしばらく黙っていた。
そして俺を見た。
「この責任を引き受けるか?」
俺は言った。「あんたらのために聖遺物を預かるつもりはない」
「彼女は聖遺物じゃない」
「分かってる」と俺は言った。「だから連れて行ける。ただし、いくつか条件がある」
「言え」
「一つ目、あんたらがこれからやる内部の狩りには参加しない。イタリア国内の高層をどう処理するか、どの名簿を清算するか、どのファイルを燃やすか、誰をどの地下室に引きずり込むか、それはあんたらの家の話だ。俺は入らないし、お墨付きも出さない」
何人かの枢機卿の顔色がすぐに沈んだ。
俺は無視した。
「二つ目、俺と行動する人間は、あんたらの目付け役じゃなく、仕事のできる人間だ。葉綺安と林雨瞳は外線の再編に入る。バローロが来るなら神学顧問としてじゃなく、執行権を持つ人間としてだ。マリアが来るなら、誰かが彼女を抑えられる状態にしておく。どれだけ暴れても、レイチェルに指一本触れさせない」
マリアがついに目を上げて、俺を一瞥した。
その目に怒りはなかった。自分の爪について誰かが議論しているのを聞いた猫みたいな、少しの興味だけがあった。
俺は続けた。「三つ目、ルート、ノード、接触の順序は外線では俺が決める。授権、封鎖、窓口、後方支援は出してもらって構わない。ただし深夜に太った司教を寄越して、道徳的優越感で遠隔指揮されるのはお断りだ」
八人の枢機卿のうち二人が口を開きかけたが、教皇の一瞥で押し戻された。
「それから」と俺は言った。「レイチェルが俺と来るなら、あんたらが呼べばいつでも出てくる展示ケースじゃない。証言もできるし、識別もできる。だが、あんたらが思い出した時に呼び戻して、また一度死なせるようなことはさせない」
言い終えると、部屋がまた静まった。
こういう場所で言うには直接的すぎる条件もある。だが俺はここに座っている以上、誰かの体面を守るつもりはない。
ヨゼフ一世は俺をじっと見た。長い時間。
最後に、視線をバローロへ向けた。
「意見を聞かせろ」
バローロは一瞬も迷わなかった。
「問題ない」と彼は言った。
一人の枢機卿が冷たく言った。「神父、これが何を意味するか分かっているか?聖座の外線裁量権を——」
「生きた人間を生きたまま連れ帰れる人間に渡すということだ」バローロは静かに遮った。「文章を整えることしかできない人間に渡すより、ずっと価値がある」
その枢機卿の顔色が悪くなった。
俺は笑いそうになるのをこらえた。
バローロは続けた。「聖座がイタリア国内の上層部と汚染ノードを処理するのであれば、私は外巡任務を引き受け、審裁優先権の付与を申請します」
その一言で、教皇までわずかに目を上げた。
審裁優先権。
気軽に要求できるものじゃない。
外巡期間中、彼は単なる神父でも顧問でも連絡担当でもなくなる。移動式の異端審問局だ。審問でき、判定でき、執行できる。地方教区より先に、通常の司法より先に、内部手続より先に、特定の人間を「開かれるべき、引き出されるべき、除去されるべき対象」として定義できる。
つまり彼は、自分を合法的な刃にしてほしいと要求している。
しかも斬り捨て御免の刃に。
教皇はすぐには答えなかった。
後方でマリアが、ごく小さく笑い声を立てた。
暗闇の中で誰かが針の先を弾いたみたいな音だった。
俺はバローロを見た。
彼は背筋を伸ばして立ち、表情を動かさず、行政上の申請を一つ提出しただけみたいな顔をしていた。だがこのことの本当の重みは俺には分かる。神父は権力を争っているわけじゃない。立場を表明しているのだ。ローマの血はローマに残す。外の汚れた場所は、彼と俺が一緒に行って片付ける。
こういう人間は狂人より厄介だ。狂人は時々失手するが、制度化された執行者はたいてい失手しない。
ヨゼフ一世は最後に頷いた。
「許可する」
一言だけ。
だが十分だった。
バローロはわずかに頭を下げ、元の位置に戻った。
教皇は次にマリアを見た。
「修道女マリア」
「はい」と彼女は静かに答えた。
「外巡期間中、神父の直属に編入する。授権なしに保護証人に対するいかなる形の教諭、治療、試験、矯正、または個別処置も行ってはならない」
長い言葉で、重みもあった。
彼女がこれまで最も手慣れていたいくつかのことを、直接切り取った命令だ。
マリアは頭を下げたまま、口の端にごく細い弧を浮かべた。
「承知しました」と彼女は言った。
字義は理解しているのだろう。精神の方については、保証の限りではない。だが少なくとも今、この縄は明文で縛り付けられた。
教皇は最後にレイチェルを見た。
「確かなのか?」
レイチェルは言った。「確かです」
「外は白い壁より優しくはないぞ」
レイチェルの声は小さかったが、安定していた。
「優しさを探しに行くわけじゃありません。世界を見に行くんです。生きながら」
俺は初めて本当に彼女の方を向いた。
彼女は俺を見ていなかった。あの長テーブルを見ていた。グラスを、書類を、赤い衣を、世界を手順に切り分ける人たちを。顔はまだ白いが、あの言葉は強がりじゃない。本当に決めたのだ。もう棚の上に戻りたくない。内城の中で保護され、配置され、用途を定義される物でいたくない。外に出て、世界を見て、自分がまだ生きていることを世界に見せ返したい。
黄色い星を縫い付けられた人間にとって、それはもう旅行じゃない。主体を取り戻すことだ。
俺は歓迎も保証も言わなかった。
ただ言った。「ついて来い」
彼女はごく小さく頷いた。
投影の向こうで、ワイスマンは自分の予測通りに進んだ芝居を鑑賞しているみたいだった。
「よし」と奴は言った。「ようやく少しはましな判断をしたな」
俺は奴を見た。
「喜ぶのは早い」
「喜んでいない」と奴は言った。「期待しているだけだ。スペインは面白いぞ。あそこの宗教裁判所の遺産は、きみたちが思うより完全な形で残っている。壁は語りかけてくる、地下室は名前を覚えている、文書庫の中には教会の祭壇より価値のある灰がある。気に入るはずだ」
俺は言った。「行ったことがあるのか?」
ワイスマンは笑った。
「周士達、この世界で隙間のある場所なら、大体行ったことがある」
「なら次に会う時に十分速く逃げられるよう祈っておけ」
「きみも祈るといい」と奴は言った。「そこに着いた時に見るのが、まだ死人だけであって、すでに服を着て言葉を覚えた古いものじゃないことを」
投影が不安定になり始めた。
切れる寸前らしい。
だが最後の一秒、奴はまたレイチェルに目を向けた。声があの不快なほど柔らかい温もりに戻った。
「怖がるな、子よ」と奴は言った。「お父さんはずっと見ているから」
俺が立ち上がるのと同時に、バローロも動いた。
俺を止めるためじゃない。テーブルの端のもう一つの切断ボタンを直接押すためだ。投影が一瞬で消えた。部屋にはキャンドルの光と、砕けたガラスに残った焦げた白だけが残った。
まだ胸の中に火がある。
だが今は追えない。
あのクソ野郎はいつもこうだ。踏み込んできて、毒を吐き散らして、正しすぎる情報を一列残して、そして一番むかつく一言を土産に置いていく。怒りも推進力になると知っているから。
部屋がしばらく静まり返った。
誰もすぐに手順の話を続けなかった。
さっきの数分間で、この会議の本当の骨格は全部掘り出されていたからだ。
沈黙を最初に破ったのはやはり教皇だった。
声は少し老いて聞こえたが、硬さも増していた。
「記録する」と彼は言った。「即刻、聖座内部にて封存と清算の手続きを開始する。イタリア国内上層部の関連名簿は本座が直接回収する。周士達は内部執行序列に含めない。外線に別途巡回審裁部隊を編成し、第一目的地はスペインとする。バローロ神父に審裁優先権を付与する。マリア修道女はその直属補助序列に編入する。レイチェルは保護的核心証人として、本人の意思に基づき同行する」
一言発するたびに、隣の誰かがそれを書き留めた。
これが教廷だ。
一秒前まで亡霊を見ていたのに、次の瞬間にはその亡霊を条文に整理できる。
こういう効率は好きじゃない。だが認めざるを得ない。こういう効率があってこそ、より古く、より汚いものと正面からぶつかれる時がある。
一人の枢機卿が堪えきれずに訊いた。「外巡中に地方教区の汚染上層部と接触した場合、権限はどう分けるのか?」
バローロは素早く答えた。
「先に審問し、後で通知する」
「地方の司教が抵抗した場合は——」
「審裁優先権で上書きする」
「聖座系統外の武装または異常な力と遭遇した場合は——」
俺が口を開いた。「俺が処理する」
その枢機卿は俺を一瞥して、それ以上何も言わなかった。
これが分業だ。ローマの血はローマが自分で拭う。俺は入らない。だが白い壁の外に出れば、まだ流れていて、まだ偽装していて、まだ次の器を探しているものと向き合う番は俺だ。
教皇が最後に立ち上がった。
会議の終わりを示している。
全員が続いて立った。俺は作法通りに礼をしなかった。ただ椅子を後ろに押した。レイチェルが立ち上がった時、体がわずかによろめいた。彼女が自分で持ちこたえると思っていたが、バローロが先に動いた。ただし彼女の腰や肩を支えたわけじゃない。テーブルの上の手をつけていないグラスを彼女の前へ押した。
「飲め」と彼は言った。
口調は平静だった。
命令みたいに。
レイチェルは彼を一瞥して、受け取り、一口ずつ飲み干した。手はまだ震えていたが、こぼれなかった。バローロは彼女を慰めなかった。さっきの屈辱を神学的な言葉で包み直すこともしなかった。ただ彼女が飲み終えると空のグラスを回収した。不必要な展示の手順を直接省いたみたいに。
これは俺には見ていられた。
マリアが近づいてきた時、俺は本能的に少し体をずらした。
彼女はそれを見て、口の端にごく薄い弧を浮かべた。
「ご安心を、周さん」と彼女は言った。「今日はあなたに触れるつもりはありません」
俺は言った。「永遠にないのが一番いい」
彼女は小さく笑い、視線を俺の向こうのレイチェルへ向けた。その目はやはり正常じゃなかったが、確かに以前より抑えられていた。短い鎖で繋がれた野獣が、まだ牙を舐めながらも、とりあえず飛びかかっていない、そういう状態だ。
「スペインは美しいわよ」と彼女は言った。「古い教区、石畳、地下墓地、尋問ファイル、封蠟、拷問具の保存状態は人々が思うより良好なことが多い」
レイチェルは無視した。
俺は言った。「その調子で観光案内を続けるなら、二か所目まで辿り着けないぞ」
マリアは今度は本当に笑った。
「なら誰が先に壊れるか見ましょう」と彼女は言った。
俺はもう相手にしなかった。
ドアが再び開いた時、外の廊下は室内より冷たかった。白い壁は音を吸い込んで、靴のかかととブーツの底が交互に落ちる反響だけが残る。八人の枢機卿はそれぞれの方向へ散っていった。八本の処理チェーンが即座に起動したみたいに。今夜以降、ローマでは多くのドアが叩かれ、多くの鍵が替えられ、多くの人間がベッドから丁寧に起こされて、断れない礼儀正しい形で、より静かな別の部屋へ連れて行かれる。
それは俺の戦場じゃない。
興味もないし、同情もしない。教廷が自分で作ったツケだ。
俺の戦場は外にある。
分岐点に差し掛かった時、バローロが足を止め、振り向いて俺を見た。
「二時間後、南側の装備庫に集合だ」と彼は言った。「外巡授権文書、通行コード、現地接点と第一陣の封存ファイルを、そこで引き渡す」
俺は言った。「やけに早いな」
「早いに越したことはない」と彼は言った。「内部清算が始まれば、外線のノードにも話が漏れる。スペインに本当に必要なものがあるなら、今動けば、奴らが逃げる前の足跡がまだ見える」
俺は頷いた。
そんなこと、言われるまでもない。
バローロはもう一度レイチェルを見た。口調は変わらない。
「気が変わってもいい」
レイチェルは言った。「変わりません」
「よし」
それだけだ。祝福もない、励ましもない、主のご加護をなどという綺麗な無駄口もない。
彼は背を向けて歩き出した。
マリアがその後に続いた。灰白の衣の裾が石畳を擦って、体温のない煙みたいに流れた。数歩歩いてから、彼女は突然振り返って俺を見た。二本の指を立てて、自分のこめかみの横で軽く叩いた。どこかおかしな敬礼みたいに。
俺は返さなかった。
二人が廊下の奥に消えてから、レイチェルがようやく静かに息を吐いた。
緩んだわけじゃない。溺れかけた水面から頭を引き上げた、そういう息だった。
俺は彼女を見て、訊いた。「歩けるか?」
彼女は言った。「歩けます」
声がひどく掠れていた。
俺は前を向いて歩き出した。
彼女がついてきた。最初の数歩は少し頼りなかったが、三歩目には安定した。こういう人間は火の中から引き出された鋼材に似ている。表面は全部溶けたように見えて、実際に叩いてみるとまだ硬い。ただし硬いことは無傷じゃない。硬いのは、亀裂がまだ誰にも見えていないだけだ。
長廊下を半分ほど進んだところで、彼女が口を開いた。
「さっきなんでカップを投げたの?」
俺は振り返らなかった。
「手元にカップしかなかったから」
彼女は少し黙った。
「そういうことじゃなくて」
俺は半歩止まった。それでも彼女の方は見なかった。
「あいつがぶつけられて当然のクソ野郎だったから」
彼女は笑おうとして、笑えなかった。最後にかすかな鼻音だけが残った。
もう数歩進んで、彼女は言った。「あの言葉……前にも似たようなことを言われたことがある」
俺は言った。「知ってる」
「なんで分かるの?」
「ああいうクソ野郎は、使う語彙のリストをそう何度も入れ替えない」
彼女は黙った。
白い壁の外側の窓は高く、月の光が斜めに差し込んで、石畳を一格ずつ切り分けていた。牢屋みたいでもあるし、チェス盤みたいでもある。彼女は俺の横を歩き、一格また一格を越えて、やがて低い声で言った。
「あなたについて行くのは、あなたの方が安全だからじゃない」
俺は言った。「俺も安全なつもりはない」
「分かってる」と彼女は言った。「あなたは……前に進むから」
その一言で、俺は少し足を止めた。
優しい言葉だからじゃない。むしろ逆で、正確すぎたからだ。
俺みたいな人間には避難所がない。あるのは方向だけだ。誰かがついてくるかどうかは、その人間が決めることだ。風が弱くなるとは保証しないし、明日のことも保証しない。ただ前に進む。架子から外された人間の中には、保護よりそれの方が役に立つ者がいる。
俺は言った。「スペインに着いたら、後悔するかもしれない」
彼女は言った。「ここに残ったら、今すぐ後悔する」
それで十分だ。
分岐点まで来た時、俺はようやく横を向いて彼女を一瞥した。
顔色はまだ戻っていない。唇にも血の気がない。だが目は生きていた。白い壁に取り込まれた生き方じゃない。自分で無理やり持ちこたえている生き方だ。
俺は言った。「なら、はぐれるなよ」
彼女は頷いた。
俺たちは前に進み続けた。
前には装備庫がある。通行証がある。新しいルートがある。スペインの、より古く、より容赦のない壁がある。宗教裁判所が残した影がある。まだ完全には開かれていない文書庫がある。永生の線が外へ伸びていく次の脊椎がある。
ローマの血は、ローマが自分で拭う。
俺たちはといえば——
教廷から下りてきたばかりの合法的な処刑権を手に、白い壁を出て、より古く、より冷酷な場所へ向かう。まだ完全には腐り切っていないものを、石の下から一つずつ引きずり出すために。
そして俺には分かっていた。この旅で、誰も以前より清潔にはなれない。
ただ先に死ぬ者が出るだけだ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




