140.歪んだ愛 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
連れて行かれた時、ドアはすでに半分閉まりかけていた。
普通の意味でのドアじゃない。掩蔽壕の隔壁みたいに分厚い、白い金属板だ。二重密封で、内側には暗い金色の十字の紋様が一周縁取っている。入ってくる者全員に念押しするみたいに——ここは礼拝堂じゃない、応接室でも、祈りや忠誠を捧げる場所でもない。ここは白い壁の一番深い層だ。言葉が記録になり、記録が命令になり、命令が最後に屍になる場所だ。
入った瞬間、二種類の匂いが鼻をついた。
一つは焚き香。冷たく、乾いていて、死に装束を乾燥させてから細切りにしたみたいな匂い。もう一つは古紙と皮革。保存状態が良すぎる。ここで口にされた言葉は全て、最終的に製本されて、永遠に日の目を見ない棚の奥にしまい込まれるということだ。教廷が一番得意なのは、赦すことじゃない。ファイリングすることだ。
部屋は広かったが、空ではなかった。
中央に長テーブルがある。黒い木材で、静止した深い水みたいに磨き上げられている。テーブルの上に装飾はなく、グラスが一列、銀のポット、書類ケース、そして整然と間隔を置いたキャンドルスタンドだけ。光は明るくなく、それぞれの顔に陰影を刻むには十分だが、相手が何を考えているかを一目で読み取るには足りない。これは欠点じゃない。設計だ。
教皇が一番奥に座っていた。
ヨゼフ一世は正装の礼服を着ていなかった。白い法衣を一枚羽織り、肩には細い金糸が走り、胸の十字架は大きくないが、地図の上に打ち込まれた鋼の釘みたいな重みがある。老いていたが、人を油断させる類の老い方じゃない。骨の中にまだ硬さが残っていて、血もまだ冷えていない、ただ全てを静けさの中に仕舞い込む術を身につけた、そういう老い方だ。
その左側に八人の枢機卿が座っていた。
八人、八つの顔、八通りの濃淡の赤。干からびて、長く鞘にしまい込まれた裁断刀みたいな者。首が襟元に積み重なるほど太って、それでも目だけは倉庫の消えかけた監視カメラみたいに光っている者。両手を組んで祈るみたいにしている者。人差し指でテーブルを叩き続け、そのリズムが処刑のカウントダウンを無言で刻んでいるみたいな者。こういう人間なら、俺は別の場所でも見たことがある。ただその時は赤い衣を着ておらず、スーツや軍服や官服や白衣を着て、別々の国の別々の灯りの下で、別々の言語で同じことを話し合っていた。汚いことをどうやって合法にするか、屍をどうやって黙らせるか、代償をどうやって他人に払わせるか。
バローロ神父は教皇の右後方、半歩引いた位置に立っていた。
その立ち位置は計算されている。侍従でも護衛でも、単なる聖職補佐でもない。鞘から抜かれたが、まだ水平に構えられていない刃みたいに、そこに立っている。法衣は清潔すぎるほど清潔で、襟元のボタンは一つの乱れもなく、銀縁の眼鏡の奥の目はいつも通り——冷たく、安定していて、余分な感情がない。この場で一番権力のある人間ではないが、「執行」に一番近い人間であることは確かだ。こういう人間が一番厄介だ。空論を語る人間じゃないから、決議を現実にする。
マリア修道女はさらに後ろにいた。
今日は抑えていた。
少なくとも、見た目には。
医務の印が一切ない灰白の修道服に着替えて、両手を袖の中に収め、頭を少し下げて、祭壇の脇に置かれた石像みたいに立っている。だが俺には分かる。あれは石像じゃない。刃物の収納棚だ。中の一格一格に名前がついていて、どれを取り出しても人を叫ばせることができる。動かないのは、今は動くなと命令されているからで、本当に静かなわけじゃない。
レイチェルは俺から二席離れたところに座っていた。
服が替わっていた。内城が用意したダークグレーの長いスカートで、上に分厚すぎる薄い色のショールを羽織っている。普通の若い女性らしい見た目に包み直そうとしたみたいだ。だが無駄だ。ある場所から歩き出した人間は、もう布で自分を包み戻すことはできない。彼女は背筋を伸ばして座り、両手を膝の上に置いていて、指の関節が白くなっている。視線は落ち着いていて、伏せてもいない。彼女は耐えている。恐怖で崩れ落ちそうな耐え方じゃない。一息でも気を緩めたら、胃の中のものを全部吐き出してしまいそうで、だから耐えている、そういう耐え方だ。
俺が座った時、彼女がちらりと俺を見た。
その視線は短く、周りには何も見えないほどだった。
だが俺には分かった。彼女が確認しようとしていた二つのことが。一つ目、俺がまだここにいるということ。二つ目、俺が彼女を証拠品として扱い始めていないかということ。
俺は頷かなかった。安心させようともしなかった。ただ椅子を半寸後ろに引いて、立ちやすい姿勢にし、テーブルの上の銀のカップが右手の一番自然な位置に来るようにした。これは意思表示じゃない、習慣だ。会議室でも尋問室でも交渉テーブルでも、本質は同じだ。どれが一番自然に手に取れるか、どの動線が最短か、誰かが立ち上がった時にまず打つべき角度はどこか——それを常に把握しておく。
ドアが完全に閉まった。
鍵の音が落ちた瞬間、部屋全体が水の中に沈んだみたいになった。
教皇が最初に口を開いた。
声は高くなく、引き延ばさない。説教じゃない、報告の開幕だ。
「周士達さん」と彼は言った。「この非公開会議にご出席いただき、感謝します」
俺は言った。「自分から来たわけじゃない。あんたらが人を寄越して連れてきたんだ」
年長の枢機卿の一人が、すぐに眉をひそめた。こんな場所でこんな時にこんな口を利くのは、礼儀を知らず、畏敬も知らないということだ、とでも言いたそうな顔で。
俺はそいつを見向きもしなかった。
教皇も怒らなかった。ただ静かに頷いた。
「では、それでもここに座っていてくださることに感謝します」
俺は言った。「座っているのは、あんたらの側に立つってことじゃない。どのテーブルを先にひっくり返すか、まだ決めていないってだけだ」
バローロは動かなかった。マリアも動かなかった。レイチェルの肩が、分からないくらいわずかに強張った。
八人の枢機卿のうち、二人が目を見合わせた。
連中は俺が気に入らない。それは普通のことだ。俺はこういうきれいなテーブルに対する破壊力が昔から低くない。特に、手続きの裏に隠れることに慣れた人間が、突然前線にいる人間と同じ空気を吸わされた時、本能的に不安を感じるものだ。前線にいる人間はたいてい、多くの手続きが別の形の埋葬に過ぎないことを知っているから。
教皇の視線がレイチェルへ向いた。
「あなたの証言は、三チームによる交差検証が完了しています」と彼は言った。「内城の一部施設と複数の旧記録に重大な問題があることを証明するに足る内容です。あなたは今も本座の直接の保護下にあります」
レイチェルは感謝の表情を一切見せなかった。
ただこう言った。「保護はタダじゃない。分かってます」
その一言で、テーブルの周りが半秒だけ静まった。
バローロの目の中を、ごく薄い何かがかすめた。認めているのか、諦めているのか、俺には判断できなかった。教皇は否定せず、ただ言った。「この世に無償の保護など、最初からありません」
俺は椅子の背に体を預けた。
「本題に入ってくれ」と俺は言った。「俺と彼女と神父と修道女と、赤い服を着た八人の高級観客を同じ部屋に詰め込んだのは、互いに詩篇を朗読し合うためじゃないだろう」
一人の枢機卿が口を開いた。声は細く鋭い。
「言葉に気をつけなさい」
俺はようやくそいつを見た。
「あんたも現実に気をつけた方がいい」と俺は言った。「事態が自分たちだけでは飲み込めないほど腐っていなければ、俺がここに座ることを許さなかったはずだ」
そいつの口の端が少し震えた。何か言い返そうとしたが、教皇が手を上げて抑えた。
ヨゼフ一世は俺を見た。最初から協力しないと分かっていながら、それでもテーブルに置いておく必要のある武器を見るような目だ。
「本題は、」と彼は言った。「敵が誰で、どこから来て、何をしようとしているのか。そして——」
彼は少し間を置いた。
「そして、一定の期限内に、最低限の協力関係を構築できるかどうかだ」
俺は声なく笑った。
「最低限度、か」と俺は言った。「その四文字は、たいていもっとましな選択肢がなくなった時に出てくる」
誰も反論しなかった。
事実だからだ。
バローロが一歩前に出て、黒い書類ケースをテーブルの中央へ押し出した。中身は紙じゃない。何層にも重なった透明フィルムで、地図、名簿、年代、送金チェーン、修道院の資産移転記録、慈善財団、医療研究機関、戦後の海運会社、そして歴史の上ではとっくに断ち切られているはずなのに、誰かに意図的に今日まで生かされてきた姓がいくつか、重なり合っていた。
一目見ただけで分かった。これは急ごしらえじゃない。
長い年月をかけて埋められ、長い年月をかけて隠されてきた線だ。
死人の線だ。
バローロは言った。「現時点で確認できているノードは、三層に分かれている。最外層は慈善、療護、研究、宗教的庇護のシステム。中間層は資産、技術、人員の分流構造。内層は核心的な保存と転置だ」
俺は言った。「あんたらは以前、これを何と呼んでいた?」
部屋が少し静まった。
バローロはすぐには答えなかった。
最終的に口を開いたのは、白髪で声のしゃがれた枢機卿だった。「災変処置備援だ」
俺は鼻で笑った。
「いいネーミングセンスだな」
彼の顔色は変わらなかった。ただテーブルに置いた手に、少し力が入った。
俺は頭を下げて、透明フィルムの年代を見た。
一九四六、一九四九、一九五二、一九六一、一九七八……線は途切れていない。ただ外皮を替えただけだ。海運会社が倒れると資産が財団に入り、財団が問題を起こすと金が療護施設経由に切り替わり、ある戦犯の名前が消えると次のページには彼の娘婿、弟子、看護主任、外科機器サプライヤー、骨材研究所が現れる。
これは復辟じゃない。
復辟には旗があり、スローガンがあり、先人の姿勢を真似て拳を高く上げる若者の群れがある。歴史は模倣で繰り返せると思い込んでいる。この線にはそういう演技性がない。古すぎて、安定しすぎて、光を避ける術を知りすぎている。旧帝国を再建しようとしているわけじゃない。あの屍を解体して粉にして、今日の壁一枚一枚、輸血管一本一本、寄付の領収書一枚一枚に混ぜ込んで、毎日少しずつ吸い込ませながら、肺の中に骨灰があることを気づかせない、そういうやり方だ。
俺がちょうど口を開こうとした時、天井の照明が一度明滅した。
停電じゃない。
誰かが割り込んできた。
最初の反応は顔を上げることじゃなかった。右手をカップの横に置きながら、同時に余光でドア、窓、天井の四隅、バローロの位置、マリアの袖口の幅、そしてレイチェルの呼吸を確認した。
二度目の明滅が落ちた瞬間、テーブル中央の黒い木の面に灰白色のノイズが浮かび上がった。時代遅れのテレビが死ぬ直前に吐き出す最後の息みたいに。続いて、俺が何度も見て、何度も打ち合った顔が、その雑音の中からゆっくり形を作り始めた。
ワイスマン。
一度目でも二度目でもない。
大武山で奴がやったことを見た。日本でやった汚い仕事も見た。ヨーロッパ大陸のあちこちで、別々の国でやった別々のクソみたいなことも見た。
会うたびに、死人が出た。
会うたびに、奴は辛抱強そうに笑っていた。
その顔は相変わらずだ。整いすぎて、きれいすぎて、きれいすぎるから踏みにじりたくなる顔。髪を後ろに撫でつけ、額が広く、目は冬の鉄板みたいな灰色。口の端には常に、世界を少し見下した柔らかさがある。自分は教養があると信じている屠殺者が、家畜相手に声を荒らげる手間を省いているみたいに。
奴が現れた瞬間、枢機卿が二人立ち上がった。三人目がテーブルの縁の隠しスイッチに手を伸ばした。だがバローロはただ一言言った。「切るな」
全員が彼を見た。
バローロは投影を見据えたまま、声を平静に保った。「話させろ」
ワイスマンはそれを聞いて、少し笑った。
「ああ、バローロ」と奴は言った。「きみはいつも実用的だ。それが俺がきみを嫌いじゃない理由の一つだ。もう一つの理由は、きみたちがやっと、本当に仕事をしてきた人間を会議室に入れることを覚えたからだ。弔辞を読むだけの人間ばかり集めるんじゃなくてな」
奴の視線がテーブルの端の顔を一つずつゆっくりと滑っていった。刃の背を肉の上で滑らせるみたいに。
俺のところに来た時、口の端が半寸上がった。
「周士達」と奴は言った。「まだ死んでないな」
俺は言った。「あんたもな。地獄の収容基準が緩くなったらしい」
枢機卿の何人かが顔色を変えた。
ワイスマンはさらに楽しそうに笑った。
「いや、いや、いや」と奴は言った。「そんな言い方はよせ。今日ここにいる連中で、地獄を語る資格があるのは、俺だけじゃないぞ」
その一言で、部屋の空気がさらに一段冷えた。
ヨゼフ一世は遮らなかった。怒りもしなかった。ただ投影を見ていた。古い墓の扉を押さえる石みたいな目で。
俺には分かった。奴が待っているのだと。ワイスマンが今日強引に割り込んできた目的を、自分で全部吐き出させるのを待っている。こういう人間は、ただ人を不快にさせるためだけに動かない。必ず目的がある。しかも一層じゃない。
案の定。
ワイスマンは胸に手を当て、ひどく芝居がかった礼をした。
「皆さんの時間を少し節約させてもらいましょう」と奴は言った。「今あなた方が一番知りたいのは、俺がどこにいるかでも、どうやってこの立派な穴に入ったかでもない。追いかけてきた果てに、いったい何を追っているのか、それが知りたいはずだ」
そう言いながら、投影が切り替わった。
データの列、骨格の透視図、神経接合図、古い写真、戦時中の病歴、現代の医学論文タイトル、資金の流れ図、そして何十枚もの異なる年代の顔写真が、皮を剥がれたドミノ牌みたいに空中に層を重ねて広がった。
「ある人たちはこれを残党と呼んでいる」とワイスマンは言った。「ある人たちは地下ナチスと呼ぶ。戦後復辟と呼ぶ人もいる。少し純粋な人たちは、これは新世代の模倣犯だと言いたがる」
奴はゆっくり首を振った。
「全部違う」
一枚の図を拡大した。
半完成の人体モデルだ。頭蓋骨が開かれ、頸椎が換装され、胸腔には見慣れない金属の骨格が植え込まれ、神経束は配線し直されたケーブルみたいに並んでいる。横には、俺が別々の現場で何度も見たことのある一連のコードが書かれていた。
Sternkind。
その文字列を見て、胃に冷たい鉛を押し込まれたような感覚がした。
ワイスマンの声は急かさず、緩めず続いた。
「きみたちの敵は、新生の復辟者じゃない。古い写真に向かって自慰している政治の学徒でもない。旗をもう一度ヨーロッパの屋根に突き刺そうとしている愚かな若者でもない。きみたちの敵は、同じ一本の線が今日まで続いてきた古いものだ。骨は古い、手法は古い、思想も古い。違うのは、制服を白衣に替えて、徽章を慈善マークに替えて、収容所を療養院に替えて、人種の純化をもっと文明的な言葉に替えたことだけだ——最適化、保存、延続、転置」
奴は少し間を置いて、一語ずつ沈ませた。
「永生だ」と奴は言った。
その二文字が落ちた瞬間、テーブルの端で二人が明らかに顔色を変えた。
初めて聞くからじゃない。こういう部屋でそれを正面から口にした人間がついに現れたからだ。
ワイスマンはそれを楽しんでいるようだった。
「そう、永生だ」と奴は言った。「敗戦の後、奴らはようやく一つのことを学んだ。帝国は倒れる、旗は燃える、指導者は死ぬ、スローガンは時代遅れになる、だが技術は違う。技術が残れば、死はもう終点じゃなくなる。ただの高価な修理になる。骨は換えられる、皮膚は補える、臓器は取り外せる、神経は再接続できる、記憶は保存できる、戦闘人格は転移できる、意志はロードされ、訓練され、再利用できる。きみたちは一つの組織を追い詰めていると思っているが、実際に追っているのは、『死』を工程上の問題として扱う工業的なパイプラインだ」
俺は動かなかった。手はまだカップの横にある。
こいつの話を聞くのは初めてじゃない。だが聞くたびに、頭蓋骨を割って中に屍から剥ぎ取った優越感がどれだけ詰まっているか確かめたくなる。
ワイスマンがもう一層のデータを展開した。
慈善団体、老人療護センター、遺体提供ネットワーク、戦後行方不明になった科学者のリスト、そして単独では意味が分からないが繋ぎ合わせれば眠れなくなるような、脊椎、骨髄、頭蓋内電気刺激、記憶保持実験の断片が並んでいた。
「きみたちはずっと一つの間違いを犯している」と奴は言った。「政治の言語で敵を探すから、宣言があって、党旗があって、新しい本部があって、地下室で敬礼している若い信者の群れがあるはずだと思い込む。ない。そういうものは騒々しすぎて、俗すぎて、写真に撮られやすすぎる。本当に続いてきたのは、静かな部分だ。帳簿だ。白衣だ。麻酔だ。輸血だ。骨壺の上の新しい名前だ。きみたちが『特殊な事情』、『戦後の混乱』、『機密の協力』という言葉で一時的に許してきた小さな隙間だ。八十年後、隙間は廊下になった。廊下の向こうには建物丸ごとある」
教皇がついに口を開いた。
「なぜこれを我々に話す?」
ワイスマンは彼を見た。その目に、侮辱的なほど穏やかな何かがあった。
「聖座陛下」と奴は言った。「きみたちは今も自分たちを部外者だと思いたがっている。だが違う」
部屋が静まった。
本当の静寂だった。
バローロの眼鏡の縁が一瞬光を反射した。マリアの手が袖の中でわずかに動いた。何かの針に触れたみたいに。レイチェルは顔を上げなかったが、俺には分かった。彼女はこの言葉がどこへ切り込んでいくかを知りすぎるほど知っている。
ワイスマンはゆっくりと手を上げ、テーブルの上の書類の束を指さした。
「きみたちの災変処置線だ」と奴は言った。「公式には認めないが必要な時に起動する地下の連絡網、灰色のファイルに封じられた神父の名簿、貨物の通路、修道院の隠匿所、遺骸の転送認可、そして——」
奴は少し笑った。
「下との取引だ」
下。
その二文字を、奴はひどく軽く言った。
だが、その場にいた全員が彼の言っている意味を知っていた。
地下室のことじゃない。
地獄のことだ。
比喩としてじゃない。
俺が一路踏みながら来た、そして存在することをとっくに知っていたあの暗線のことだ。教廷は白い壁の下にもう一層の白い壁を持っていて、必要な時には開く。誰もが入れるわけじゃないし、誰もが知っているわけでもない。だがそれはある。制度が長く生き続ければ、もう一日生かしてくれるものなら何とでも取引を覚える。悪魔とでも。
一人の枢機卿が激しくテーブルを叩いた。
「冒瀆だ!」
ワイスマンは感情を制御できない小学生を見るような目で彼を見た。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




