138.病的な執着 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
バチカン内城の昼間は、夜よりもさらに一種の規律に近い。
夜ならまだ、影や銃口、足音、ドアの隙間の向こうの呼吸を連想させてくれる。昼は違う。昼はすべてをはっきり照らし出して、はっきり見えることが安全だと錯覚させる。だがこの城では、光は別の種類の覆いに過ぎない。機械の外殻を磨き上げて、内部の歯車が回ることを当たり前に見せるためのものだ。
前の夜はろくに眠れなかった。
怖かったからじゃない。脳が掘り出したものを並べ直し続けていたからだ。一九四六、戦後再コード化、ペーパーカンパニー、コールドチェーン、骨格置換、神経導体、Sternkind、永遠の命。これらの言葉は冷えた薬莢みたいにテーブルの上に散らばっていて、どれも単体では爆発しない。でも正しい順番に並べると、戦場全体が地図の上に浮かび上がってくる。
朝一番で、昨夜書いた簡報をもう一部書き写した。字はより小さく、隠し場所はより深く。これは習慣だ。一部しか残さないのは、偶然に命を預けることだ。二部あれば、少なくとも偶然と賭けができる。
七時きっかり、ドアが二回ノックされた。
バローロの重くて短いノックでも、スーツの内勤の事務的なリズムでもない。修道院の食前の知らせに近い。軽いが、無視できない。
ドアを開けると、若い司祭が木の板を持って立っていた。今日の各区のスケジュールが書かれている。B区朝食七時十五分、八時三十分内廷医務再確認、十時から自由移動一時停止、十一時三十分特別付添課程、午後二時三十分資料交差検証、五時晩課の鐘の後はA-2附棟内廊への接近禁止。
俺は一通り目を通して、板を返した。
「特別付添課程って何だ?」
若い司祭は手元の副本を確認した。自分が説明すべきじゃない欄を確認しているみたいに。
「レイチェルさんの読経と安定プロセスです」
俺はうなずいて、それ以上聞かなかった。
バチカンには特有の癖がある。血の匂いがするものには必ず、穏やかで、合法的で、牧会的な温かみすら感じさせる名前をつける。隔離は「安置」、尋問は「問責」、管制は「保護」、今日のこれはたぶん「安定プロセス」だ。名称が穏やかなほど、刃は深い。
朝食はB区二階の小食堂だった。
人は少ない。俺、葉綺安、林雨瞳、警備二名、スーツ先遣の記録担当一名、それから薬を届けに来た年かさの修道士一名。誰も口を開かない。ナイフとフォークが皿に当たる音だけが高い天井に吸い上げられて、戻ってこない。熱いパン、薄いバター、四角く切り揃えたハムのスライス、ブラックコーヒー。どの皿も精確に同じ配分だ。
葉綺安はコーヒーを半分飲んでから、低く聞いた。「昨夜の石室の話、まだ頭の中で回ってる?」
「そう見えるか?」
「さっきからバターを作戦地図みたいに塗ってるから」
俺は皿を見下ろして、否定しなかった。
林雨瞳は新しく配られた行動制限表をめくりながら、声のトーンを落とした。「今日の午前十一時半から、レイチェルは内城東側の小礼拝読書室に移動する。バローロ神父が全行程に同行。医務隔離担当の署名はマリア、読経付添の署名はバローロ、行政立会はロッセッティ」
葉綺安が鼻を鳴らした。「神父が経を読んで、修女が印鑑を押して、スーツが立会する。クソほど完璧な布陣ね」
俺はコーヒーを飲み干して、立ち上がった。「見てくる」
林雨瞳が顔を上げた。「中は見えない」
「分かってる」俺は言った。「やつらがどうやってあいつを落ち着かせるつもりなのか、知りたいだけだ」
十時を過ぎると、内城東側の廊下が目に見えて静かになり始めた。
人がいないわけじゃない。この時間帯は声を立てるべきじゃないと、全員が知っているだけだ。窓の外の日差しは強くて、石壁が反射する白さが廊下を洗ったみたいにきれいにしている。突き当たりの小読書室は本来、聖職者が個人黙想に使う場所だ。広くない。アーチ型の窓が二つ、入り口に簡単な木彫り、壁に一枚の聖母像がかかっていて、色はもう古びている。
今は扉の外にテーブルが一つ、スーツの記録担当が一人、修道士が一人、それから点いていない壁燈が一つ増えていた。
俺は視線の外に立ち、半開きのドア越しに内側の一部を見た。
レイチェルは窓際の席に座っていた。清潔すぎるくらい清潔な薄灰色のスカートを着て、髪を上げて、手首に拘束帯はない。テーブルの上にはぬるいお湯が一杯と白い布のハンカチ。前の数日より安定して見えたが、それはリラックスじゃない。限界まで消耗した後に一時的に保っている均衡だ。何度も限界まで引っ張られた鋼線みたいに、表面は動かないが、全体がまだ震えている。
バローロ神父が向かいに座っていた。
黒い法衣、まっすぐ、余計な皺は一本もない。古いウルガータ訳の聖書を開いてテーブルの中央に置き、手のひらでページを押さえている。めくれ上がってはいけないものを押さえているみたいに。今日の声は石室よりもさらに低く、さらに遅い。わざと角を全部削り落として、一つ一つの言葉が人の呼吸の中に入れるようにしているみたいだ。
詩篇を読んでいた。
大声で宣言するわけでも、慰めるように諭すわけでもない。ただ読んでいる。一節ずつ、音節は安定して、発音は正確で、今にも切れそうな橋の上に誰かが杭を一本一本打ち込んでいるみたいだ。
レイチェルは最初ただ聞いていた。両手でお湯のカップを握って、指の関節が少し白くなっている。バローロがある節で止まって、彼女に跟読させた。声は小さく、いくつかの言葉が震えて、唇の端に昨夜の悪夢がまだ少し残っているみたいだ。二回間違えて、三回目でようやく通った。バローロは責めなかった。慰めもしなかった。ただ静かに同じ節をもう一度繰り返した。
その光景は表面上、ごく普通だった。
精神状態が不安定な女性に付き添って経文を読む神父。恐怖の深い井戸から少しずつ意識を引き上げてやろうとしている。外から通りかかった人間なら、誰もがそう見るだろう。静かで、神聖で、秩序がある。
だが俺はドアの外で三分も見ていないうちに、話がそう単純じゃないと分かった。
バローロは彼女を安心させているんじゃない。
校正している。
一回一回の間、一回一回の訂正、一回一回ある節を繰り返させる、そのどれもが単純な牧会的ケアじゃない。記憶が連続しているか、呼吸が安定しているか、意味が偏移していないか、創傷のトリガーがいくつかの言葉の中に隠れていないかを測っている。経文を物差しとして使って、レイチェルの精神状態を一段ずつ計測している。温和さは本物だ。忍耐も本物だ。でもその温和さの中に、余分な柔らかさは一ミリもない。機能的な優しさだ。彼女が崩れないためのもので、彼女が楽になるためのものじゃない。
こういう人間が最も厄介だ。
ケアを極限まで完璧にやるから、文句のつけようがない。でも自分を委ねたら、最終的に持っていかれるのは恐怖だけじゃない。自律性も一緒に持っていかれる。
数分見ていると、スーツの記録担当がようやく顔を上げた。
「周さん、ここは一般開放していません」
「入ってない」
「ここに立つのも規定違反です」
俺はそいつを一瞥した。「呼吸の角度まで管理するのか?」
やつは俺の皮肉を受け流して、ドアの方向にわずかに半歩ずれた。意味ははっきりしている。下がれ。
俺は一メートル下がって、壁に寄りかかった。ドアはまだ半開きで、内側の影の一部が見えた。バローロがそのとき聖書を少し前に押して、レイチェル自身にさっきの箇所を探させた。彼女の指先がページの上をゆっくり移動する。触れると崩れそうなものを触るみたいに。見つけると、顔を上げて彼を見た。
前の言葉は聞き取れなかったが、最後の一言だけ聞こえた。
「もしあのものたちが本当にずっとそこにいたなら……私がこれを読むことに、意味はあるの?」
バローロは彼女を見て、二秒沈黙した。
「ある」彼は言った。
「なぜ?」
「人間とは何かを、まず覚えておく必要があるからだ」
この言葉は慰めに聞こえた。でも俺の胸の中で何かが沈んだ。
単純に傷ついた女の子にかける言葉じゃないからだ。あれはすでに存在してはならないものを見すぎた人間に向けた、内部命令だ。まず人間とは何かを覚えておけ。言い換えれば、ここはすでに、その境界線を磨り減らすに足るものをこれからも彼女が見ることを、前提としている。
レイチェルは俯いて、ページを見て、長いあいだ声を出さなかった。
バローロがまた一節読んで、跟読させた。今度は随分と滑らかで、声はまだ掠れているが、震えはない。陽光が彼女の横顔に落ちて、睫毛の影を薄く伸ばしている。バローロは向かいに座って、影が石像みたいに動かない。その絵は奇妙だった。ほとんど慈悲に見える拘束だ。女の子は節の中で息をすることを許されているが、その息は神父が与えたリズムに沿って入り出るしかない。
葉綺安がいつの間にか俺の横に来て、しばらく立ってから、低く笑った。
「あなたも気づいた?」
「何に?」
「あいつ、福音でバラストを取ってる」
俺は返さなかった。
葉綺安は腕を組んで、ドアの隙間の中の光景を見つめた。「普通の神父は人に付き添って経を読む。あいつは違う。あいつは彼女をある種の枠に入れて、一節ずつ鍵をかけていってる。はっきり言えば、昨夜の石室でやってたことと大差ない。あっちは針を使って、こっちは言葉を使ってるだけで」
「こっちは血が出ない」
「血が出ないから安全だと思ってる?」
俺は横目で彼女を見た。
彼女は肩をすくめて、冷たく笑った。「私が言いたいのは、人に痛みを自分から飲み込ませられるものは、直接切るより残酷なこともある、ってこと」
俺たちはそれ以上話さなかった。
三十分後、読経が終わった。バローロが聖書を閉じて、レイチェルに最後の一節をもう一度読ませた。読み終えると、彼女は目を閉じた。ずっと揺れていた神経をようやく元の場所に押し込めたみたいに。彼はお湯のカップを少し前に押して、二口飲むのを待ってから、立ち上がった。
ドアが開いたとき、俺と正面から目が合った。
バローロは俺を一瞥して、なぜここにいるかは聞かなかった。ただ静かに言った。「今日は昨夜より状態がいい」
「見れば分かる」
「規律が必要だ」
「それも分かる」
彼は少し止まった。俺の言葉に別の意味があることを感じ取ったみたいだ。
「異議があるか?」
「ない」俺は言った。「ただ、ここでは人を救うことまで固定工法でやるんだと思っただけだ」
レイチェルが彼の後ろを歩いていて、この言葉を聞いて顔を上げた。目は疲れていたが、数日前より覚醒していた。何か言おうとして、最後に小さく口を開いた。
「あの人がいると、眠れる」
この一言で、俺は言いかけた皮肉を引っ込めた。
本当のことだから。
どんな方法を使っていようと、少なくとも今のところ、バローロは確かに彼女を眠れるようにして、呼吸できるようにして、まだ完全に恐怖から抜け出せていない状況の中で、自分を自分と呼べる人間として繋ぎ止めている。代償が何かは、まだ見えない。
バローロは聖書を脇に挟んで、平坦な声で言った。「今日の午後は重い質問はしない。休んでいい」最後の一言はレイチェルに向けたものだ。
彼女はうなずいて、扉の外の修道士と一緒に歩いていった。
彼女の背中が廊下の角に消えてから、俺はバローロに聞いた。「彼女が上の人間と会わされるのはいつだ?」
「すぐだ」
「どのくらいすぐだ?」
「今夜中に通知が来るかもしれない」
俺は眉をひそめた。「じゃあ今、読経をさせたのは、その場を乗り越えさせるためか、それとも話をより安定させるためか?」
バローロはすぐには答えなかった。
ただ俺を見た。深い色の目に怒りはない。見抜かれたことへの不快もない。もともとそういう人間だ。見抜かれても、手続きに支障がなければ、気にしない。
「両方だ」彼は言った。
「正直だな」
「お前に対して嘘をつく必要がない」一拍置いてから付け加えた。「お前も信じないだろうしな」
そのとおりだ。
もう一問しようとしたとき、マリアが反対側の廊下から現れた。
清潔な布巾を一束抱えて、足音が軽い。修道服は一点の汚れもなく、どこかごく普通の療養室から出てきたみたいだ。俺たちを見て、バローロを先に見て、次に俺を見た。口の端にほとんど見えないくらいのわずかな弧を作った。
「今日の脈拍はずいぶん安定していた」マリアは言った。
バローロはうなずいた。
「結構だ」
マリアの視線が俺の上で半秒止まった。「周さん、昨夜はよく眠れた?」
「まだ生きてる」
彼女はその答えに満足したみたいに、小さく「ええ」と言った。「内城の最初の夜は、眠れない人が多い」
「安心しすぎる場所は、かえって眠れないもんだ」俺は言った。
彼女は俺を見た。目の中のあの細い光がまた現れた。刃の背が灯りの下を一瞬流れたみたいだ。
「そうね」彼女は言った。「安心させすぎてはいけない場所というのは、確かにある」
それだけ言って、去っていった。布巾を腕に抱えたまま、雪のように白く整然と。後ろ姿だけ見れば、どこにでもいる普通の修女と変わらない。でもアーチの向こうに曲がっていく瞬間、俺の首の後ろの神経が自分で縮んだ。
これは直感じゃない。経験だ。
戦場で本当に命取りになるものは、たいてい命取りに見えない。
午後は穏やかだった。
穏やかすぎるくらいに。医務再確認は血圧と瞳孔反応だけ。資料交差検証も、林雨瞳がいくつかのペーパーカンパニーの認可チェーンに補足注記をするだけだった。葉綺安は部屋で仮眠を取り、俺は内城の時間節点をもう一度頭の中に入れ直した。鐘の音、門禁、食事の配膳、巡回、廊下の交代。規律が厳しい場所ほど、異常が目立ちやすい。白い紙の上の血の一滴みたいに。
だが夕食の前まで、すべては正常だった。
正常すぎて、マリアの危険な感じを自分が大げさに感じていたんじゃないかと疑い始めるくらいだ。でもその疑い自体が罠だと分かっている。人間が死ぬのは、たいてい「大丈夫だろう」という四文字の中で死ぬ。
夕食後、内城の鐘が六回鳴った。
廊下の人通りがさらに減り、灯りはさらに明るくなり、空気に消毒液と古い石壁が返す冷気が混ざった。レイチェルは食堂に現れなかった。東側の小部屋でそのまま休んでいると聞いた。バローロもいない。マリアは来た。一番遠いテーブルの端に座って、お湯を半杯だけ飲んで、何も食べなかった。姿勢は正しく、指先がカップの縁に添えられている。磁器の温度を感じているみたいに。
俺は気づかれないように何度か目をやった。
彼女は気づいた。顔を上げて俺の視線と合わせた。逸らさない。笑わない。ただ静かにカップを置いた。その動作に挑発は何もないのに、無言で「あなたが警戒しているのは分かっている。でも、それに意味はない」と言っているみたいだった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




