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137.星の子 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

地獄は地下にあるとは限らない。帳簿の中にもある。認可チェーンの中にもある。署名欄の中にもある。いいスーツを着て、ゆっくり喋る人間の手の中にもある。バローロは前に言った、主は懺悔を重んじる、言い逃れは重んじないと。だが今の俺にははっきり見えていた。このシステムは罪を罰するだけじゃない。それ自体が、罪を八十年間維持できる器でもある。


銀縁眼鏡がもう一問しようとしたとき、バローロが手を上げて制した。


「もういい」


スーツの男が顔を上げた。「神父、具体的な名簿がまだ取れていません」


「もう出ない」バローロが言う。


「でも――」


「もういい、と言った」


声は大きくない。でも鉄の槌が石台に落ちたみたいだった。


スーツの男はすぐに黙った。


マリアは一歩下がって、道具を一つずつトレイに戻した。きれいに並べる。手術を終えた外科医みたいな手つきだ。エンツォを見た。嫌悪もない、同情もない。この素材から使える部分はすべて取り終えた、という確認の目だ。


俺は数秒、彼女を見た。


気づいたのか、彼女は顔を上げて俺と目が合った。


その瞬間、修道院でまだ完全には理解できていなかったことが、ようやく分かった気がした。あいつは単純に狂っているんじゃない。狂人は乱れる。あいつは乱れない。あいつの恐ろしさは、自分の病巣を訓練して、技術にしてしまっていることだ。手が疼く。興奮する。人体の限界に近づく過程に視線を引き寄せられる。でもそれは暴走じゃない。その欲求を手順の中に収めて、信頼できる工芸として育て上げている。


単純な制御不能より、ずっと危険だ。


なぜなら、繰り返し使えるから。


「もう十分ご覧になりましたか、(ジョウ)さん?」彼女は静かに聞いた。


「おかげで、お前から距離を取るべきだとよく分かったよ」俺は言った。


彼女はわずかに笑った。


「とても健康的な判断ね」


バローロが聖書を閉じて、俺を見た。


「聞いただろう」彼は言った。


「はっきりとな」


「ならお前には分かるはずだ。これから先は、お前一人で処理できる話じゃない」


俺はうなずいた。「一チームと数丁の銃で、八十年物の死体の管をひっくり返せるとは、最初から思っていない」


葉綺安が歩いてきて、俺の横に並んだ。声を低く落として言う。


「で、これからどうする?やつらが会議するのを待つ?それとも先にやつら同士で噛み合うのを待つ?」


「両方待つ」俺は言った。


銀縁眼鏡がファイルフォルダを閉じた。普通の朝のブリーフィングを終えたみたいな動作だ。


「本日の記録は内廷審査室に転送されます」彼は言った。「一部の内容は上申されます。内部節点に関わる部分は、さらなる交差検証が必要です。あなた方は引き続き、行動制限下に置かれます」


俺はその表情のない顔を見た。


「これだけ聞かされて、返ってくるのが"行動制限"一言か?」


「保護だと理解していただければ」


「俺には管制に聞こえるがな」


彼は眼鏡を押し上げた。


「多くの場合、その二つは同じことです」


俺は短く笑って、それ以上は返さなかった。


やつが事実を言っているのは分かっていたからだ。組織の言う「保護」とは、たいてい自分たちの管理下に置くことを意味する。価値があるうちは、自由にはさせない。これはすべてのシステムに共通する言語で、違いは軍規を使うか、法律を使うか、教義を使うかだけだ。


エンツォが拘束を解かれたとき、もう自力では立てなくなっていた。黒衣の内勤二人が両脇を抱えて連れ去った。誰の顔も見ない。床にはほとんど何も残っていなかった。汗、水滴、そして色の区別もつかない数滴の痕跡だけ。清掃係が入ってきて、会議室でも片付けるような手際で処理していく。


この場所は残酷さでさえ、十五分以内に原状回復される。


俺が立ち上がったとき、バローロが呼び止めた。


周士達(ジョウ・シーダー)


振り返った。


彼はまだ余熱の残る鉄椅子のそばに立っていた。黒い法衣がブーツの甲まで垂れ、手は聖書の上に置かれている。呼吸する壁みたいだ。


「これで分かったか?」彼が聞いた。


「何がだ?」


「我々が直面しているのは陰謀ではない」彼は言った。「陰謀とは短期的なもので、何かを奪うためのものだ。これは違う。これは信仰の裏返しであり、八十年間供養され続けてきたものだ」


俺は二秒沈黙して、言った。「分かった」


バローロは俺を見て、適当に流していないことを確認したみたいだった。


そして、うなずいた。


「結構だ」


マリアがトレイを持ち上げて、立ち去ろうとした。俺のそばを通り過ぎるとき、立ち止まって、淡々と言った。


「今夜はあまり深く眠らないことね、(ジョウ)さん。内城の壁は厚い。外に聞こえない音がある」


俺は彼女に顔を向けた。


「忠告か、それとも脅しか?」


彼女は少し考えて、意外なほど真面目に答えた。


「自分でも、よく分からないわ」


そう言って、去っていった。


石門の向こうに消えていく細くてまっすぐな背中を見ながら、俺の心には一つの結論しかなかった。バローロが槌なら、あいつは針だ。槌は物を砕く。針は違う。針は、誰も触れられないと思っている場所を探し当てて、静かに刺さる。


葉綺安(イェ・キアン)が俺の隣に来て、声を潜めて聞いた。「まだ、レイチェルを安全な場所に送り届けただけだと思ってる?」


「最初の門をくぐったときから、そんなこと思ってない」


「じゃあ、今はどう思ってる?」


俺はあの鉄椅子を見て、排水溝を見て、テーブルの金属角金具がついた聖書を見た。


「今はこう思ってる」俺は言った。「俺たちは人を要塞に送り届けたんじゃない。自分で手を動かす兵器工場に送り届けたんだ」


葉綺安は少し黙ってから、冷たく笑った。


「その表現、クソみたいに正確ね」


俺たちは来た道を戻った。


階段を上るとき、石壁の奥のどこかから鈍く重い鐘の音が響いてきた。一つ、また一つ。何かの時間を計っているように遅い。俺は歩きながら、さっき聞いた言葉をもう一度頭の中で並べ直した。一九四六、戦後基金、転置表、コールドチェーン、葬儀、骨格置換材、神経導体、Sternkind、永遠の命、旧軍需コード。


繋ぎ合わせると、吐き気がするほどはっきりした絵が浮かび上がった。


ワイスマン(ワイスマン)は亡霊帝国を復活させようとしているんじゃない。


とっくに死にきれていなかったあの死体を、再び地底から引き摺り出そうとしているだけだ。


そして教廷は――少なくともこの城の一部は――俺たちよりもずっと前から、その死体の血管がどこに張り巡らされているかを知っていた。やつらが今動いたのは、初めて発見したからじゃない。ある意味で、それが地下にしか存在しないふりを、もう続けられなくなったからだ。


B区に戻る前、俺は銀縁眼鏡に聞いた。


「今日の内容は、どこまで上に上がる?」


彼は足を止めなかった。


「あなたがすぐに召喚されるくらいには上まで」


「誰に?」


今度は足を止めて、俺を振り返った。


レンズの奥の目はひどく薄かった。見すぎて、もう感情が残っていないみたいな薄さだ。


「どう思われますか、(ジョウ)さん?」


そう言って、歩き去った。


俺は数秒その場に立ち尽くしてから、再び歩き出した。


廊下の突き当たりの窓は高かった。外はまだ完全に明るくはなく、バチカン内城の屋根の稜線が朝日に照らされて、伏せられた刃の背みたいに見えた。この街は観光客にとっては信仰であり、芸術であり、歴史だ。だが今の俺には、巨大な白い機械にしか見えない。外殻は清潔で、静かに動いているが、その中には、あまり長くは考えたくない歯車が詰まっている。


そして俺たちは、すでにその中に巻き込まれている。


部屋に戻ると、鍵をかけ、窓、通風口、ベッドの下、天井の隅を点検した。異常なし。それから机に向かい、覚えている内容をすべて書き出した。字は小さく、作戦ブリーフィングみたいに箇条書きにした。


一、金の流れは戦争末期まで遡り、戦後一九四六年に再コード化。 二、ペーパーカンパニーは単なる資金洗浄ではなく、技術・サンプル・臓器・生体部品・戦争設備の分流パイプライン。 三、目的は永遠の命。政権復辟ではなく、システムそのものの延続。 四、ローマ外縁は中枢ではなく、選別と中継の拠点。 五、教会内部への浸透は単発ではなく、戦後の避難・医療・埋葬・収容体制を通じた根付き。 六、キーコード:Sternkind。 七、旧軍需序列と新資金チェーンに重複あり。 八、バローロとマリアの危険度を上方修正。前者は制度化された暴力の核、後者は高機能性病態の執行者。


八番目まで書いたところで、ペンを止めてしばらく見た。


それから九番目を書き足した。


九、ここにいる全員が、表向きより早く何かを知っている。


紙を折って、内ポケットに入れた。


ドアの外から台車の音がした。朝食を運んできた。銀の蓋、白い磁器のカップ、パンはきれいに切り揃えられていて、何も起きていないみたいだ。


カップを手に取って一口飲んだ。まだ熱かった。


これがバチカンで俺がいちばん嫌いなところだ。


制度的な自白強要を見届けた直後に、時間通りに朝食を届けてくる。すべてを体裁よく保ち続ける。まるで苦しみも、スケジュール表のルーチンワークの一項目であるかのように。


カップを置いて、椅子の背にもたれ、目を閉じた。


次の展開は読みやすい。


下の層から言葉を掘り出した以上、上の層で誰かが出てきて、それを命令に、認可に、交渉に、あるいはもっと汚い取引に変えるはずだ。さらに上に行けば、誰が動けて誰が動けないか、どの線を公開してどの線を永遠に封印するかを決める人間にぶつかる。


そして俺にはよく分かっている。俺みたいな外から来た銃手、途中で割り込んできた証人が上層の会議に呼ばれるのは、たいてい二つの場合だけだ。


まだ利用価値があるか。


知りすぎたか。


バチカンの鐘の音が、さらに遠くで鳴り響いた。


新しい一日が始まった。


だが、この城で本当に始まるのは、祈りじゃない。


清算だ。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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