137.星の子 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
銀縁眼鏡がすぐに一歩前に出た。「どんな転置表だ?」
「基金……戦後救済基金……児童、患者、復興、戦後物資……」エンツォの声は完全に砕けていた。「でもそのコードが……後から出てきたコールドチェーン倉庫、霊柩車、臓器処理、特殊合金の仕入れコードと……同じ体系だった……私には分かった、昔コード審査をやっていたから……」
スーツの男が猛烈な速さで書き留める。
葉綺安が低く口笛を吹いた。
エリザヴェータは表情を変えず、ただ少し頭を傾けた。ようやく、それほど愚かではない話を聞けた、というように。
バローロが問う。「一九四六が始まりか?」
「違……違います」エンツォは目を閉じた。もう後戻りできないと悟ったみたいに。「あれは……戦後最初の書き換えです。本当の種は……戦争が終わる前に、すでに埋められていたと……」
「誰が言った?」バローロが問う。
「……前任の顧問です」
「名前」
「本名は知りません。ただ、みんなが彼を……彼を……」
マリアがクランプを反対側に移した。
エンツォの顎が胸に叩きつけられ、涙と汗が一緒に落ちた。
「オットー!」彼は叫んだ。「オットーと呼ばれていた!後で死んだ、いや、書類上は死んだことになっているが、印鑑はまだ使われていた!何人もの取締役がそうだった、死んでも印鑑が使われ続けて、認可チェーンが切れていない!」
スーツの男がペンを止めて、銀縁眼鏡を見た。
銀縁眼鏡はフレームを押し上げた。顔に波一つない。
「死亡後も印鑑による認可が継続」会議の要旨を読み上げるみたいに言った。「結構。続けなさい」
エンツォが泣き崩れた。
懺悔じゃない。崩壊だ。この種の崩れ方を俺はよく知っている。目の前の連中が罪を認めさせたいんじゃなく、罪の連鎖ごと喉から引き摺り出そうとしていると気づいた瞬間、人間は自分がまだ生きていることを呪い始める。
バローロは彼を見ていた。目に慈悲は一欠片もない。だが、快感もない。
それもあいつが人を寒くさせる部分の一つだ。人を打ち、自白を強い、内側から叩き割る。だが楽しんでいない。ただ、それが必要だと信じているだけだ。血を好む人間より、こういう人間の方がずっと厄介だ。言い訳がいらないから。
「お前たちが運んでいたのは金じゃない」バローロが言った。「言え」
エンツォは必死に首を横に振った。
「金じゃない、金だけじゃない……設備、冷蔵ケース、生体維持部品、骨格置換材、脊椎サポート、私には読めない……神経導体……それから子どもたちが……」
最後の二文字が出た瞬間、部屋の気温がもう一度下がったみたいだった。
俺はそれまで椅子の背にもたれていたが、体を起こした。
「どんな子どもだ?」俺が聞いた。
エンツォは俺を見た。自分が答える資格のない人間を見るような目だったが、恐怖が最終的にすべてを上回った。
「名簿に載っている子どもじゃない……コードです……"子ども"は暗号名で……最初は第一陣を指していた……でも後になって……後になって本当に子どもが……遺腹子もいた、身元不明の収容児もいた、それから……」
突然、言葉が詰まった。
マリアはそのとき道具に手を伸ばさなかった。ただ、彼の肩に手を置いた。
その動作の方が刃物より恐ろしかった。安心させようとしているみたいに見えるから。
「それから、何だ?」彼女が聞く。
「培育……された子どもも……」
葉綺安が飲み込みかけていた息を吐き出した。悪態を肺の中に無理やり押し込んだみたいな吐き方だ。
俺はエンツォの顔を見て、聞いた。「何を育てていた?」
「俺じゃない!俺が育てたんじゃない!」全身が震えていた。「俺は表を見ていただけだ!戦後からずっと止まっていないと知っているだけだ!復国でも、再建でも、街頭を走り回るネオナチでもない――ずっとそこにいて、ずっと地下で皮を替え続けていたんだ!会社名が変わる、基金名が変わる、医療プロジェクト名が変わる、難民定住の名目が変わる、宗教修復の名目が変わる、でもその核心システムはずっと動き続けていた!」
この言葉が終わると、脇のスーツが顔を上げてバローロを見た。
バローロはすぐには返さなかった。
ゆっくりと聖書を開き、あるページを探して、安定した声でラテン語の一節を読み始めた。音節は低く、わざと強調しているわけじゃない。それでも石の部屋全体が、その律動に押し潰されるみたいになった。エンツォは震えながら泣いた。みっともない泣き方だった。鼻水も涙も出て、芝居がかったところは何もない。ただ醜くて、どうしようもなかった。
バローロが読み終えてから、言った。
「永遠の命だ」
エンツォは蒼白な顔で彼を見た。
「目的は政権でも、領土でも、古い国旗でもない」バローロは言った。「それらは全部、表面だ。本当の目的は永遠の命だ。言え」
エンツォは喉を絞められたみたいに、まともな文章が出てこなかった。
マリアは細長い探針をトレイに戻して、木の楔に持ち替えた。動きは速くない。それでもエンツォは突然、発狂したみたいに暴れ始めた。
「やめろ!それだけはやめてくれ!頼む、それだけは――」
あの道具がどんな手順に使われるものか、俺には分からない。だが彼の反応だけで十分だった。
マリアは彼を見下ろした。記述ミスのあるカルテでも見るような目だ。
「では言え」
「永遠の命だ!」エンツォの声は割れた。「死は技術的な問題に過ぎないと言っていた!肉体は換えられる、臓器は換えられる、骨格は補修できる、記憶は保存できる、戦闘意志は植え付けられる!最初は傷病兵から始まって、次が将校、その次が研究者だ!戦後の資金は逃亡のためじゃなかった、延続のためだった!人間、技術、文書、サンプル、臓器、骨、神経経路、全部バラして送り出して、八十年かけてゆっくり繋ぎ直す!」
スーツの男のペンが一秒止まり、また動き始めた。
銀縁眼鏡が聞いた。「核心節点はどこだ?」
「全部は知らない……ローマ外縁は中心じゃない、選別と中継だ!本当の深層節点はもっと南で、もっと閉じていて、宗教医療施設、私有墓地、戦後収容名簿と紐付いている……それから……それから――」
喘ぎすぎて、白目になりかけた。
バローロが聞いた。「それから何だ?」
「旧軍需コードが……」
今度は俺が口を開いた。
「どんなコードだ?」
エンツォは俺を見た。目の焦点が崩れ始めていた。「現代の体系じゃない……第三帝国末期の戦争機械の予備序列……とっくに存在しないはずのものが……新しい帳目の下に移されていた……神経フレーム、重装歩行モジュール、密閉生命維持ポッド、ロケット燃料残式の改造体……」
ここまで言ったとき、部屋全体が静まった。
全員が分かっていたからだ。これは単純に死体を何体か作る話じゃない。
戦争そのものを、八十年間冷蔵保存できる缶詰にして、頃合いを見てから再び開封するという話だ。
俺はレイチェルが証言室で言っていた言葉を思い出した。
復辟でも、再編成でも、新しい旗の下の新しい狂人でもない。
あのものは、最初から死んでいなかった。
ただ地下に潜って、名前を変え、皮を替え、帳簿のつけ方を覚え、合法のふりを覚え、スーツを着ることを覚え、財団とペーパーカンパニーを作ることを覚え、屠殺ラインを慈善事業と物流の中に隠す方法を覚えた。生きている人間が全員それを歴史と呼ぶようになった頃に、地の底から機械を一体一体押し上げてくる。
「滑稽じゃな」エリザヴェータが突然口を開いた。
全員が彼女を見た。
腕を組んで、顔には倦怠に近い冷笑を浮かべていた。
「八十年、これだけ遠回りして、最後はやっぱりその古臭い願望。死が怖くて、権力を手放せなくて、だから文明の皮を何層も腐肉に貼り付けて、それを永遠の命と呼んでいる」
彼女は体を起こして、出口の方へ歩き始めた。
スーツの男が眉をひそめた。「その場を離れないでください、お嬢さん」
エリザヴェータは足を止めて、振り返った。その目は、喋る請求書でも眺めているような目だ。
「そなたらで続けよ」彼女は言った。「この手のつまらぬ執念、一度聞けば十分じゃ」
そう言って、出て行った。
誰も止めなかった。
というより、このタイミングで彼女を止めようとする者がいなかった。
俺は彼女が扉の向こうに消えるのを見て、逆に少し納得していた。彼女は冷たいふりをしているんじゃない。本当に退屈なのだ。長く生きすぎて、見すぎた人間にとって、人類が八十年かけて不死への管を作ろうとすることは、確かに包装を変えただけの古い病気にしか見えない。
エンツォはまだ泣いていた。口から断片的な言葉が漏れ続ける。
「Sternkind……蘇生槽……搭載体互換……遺伝安定……戦闘人格保持……」
スーツの男が聞いた。「Sternkindとは何だ?」
「正式名称は知らない……最上位の計画コード名だとだけ……子ども、サンプル、血液型、脊髄バンクに関連していると……」
マリアが銀縁眼鏡を見て、静かに言った。「論理が崩れ始めています」
「あと何分取れる?」銀縁眼鏡が聞く。
「二十分」マリアは言った。「それ以上は作り話が混ざり始める」
この一言に、俺は一瞬詰まった。
彼女は人を壊せるかどうかを聞いているんじゃない。情報の品質を管理している。実験室でサンプルの安定期を測るみたいに。他人の神経を物差しとして使うやり方が、精密すぎて病的なくらいだ。狂っているとは言いにくい。一手一手が計算されすぎているから。でも正常とも言いにくい。正常な人間は他人の神経を定規にしない。
バローロが聖書をテーブルに置いた。
「最後の一回りだ」
銀縁眼鏡がうなずいてページをめくった。
「このチェーン、教会内部で浸透されている節点はどこだ?」
エンツォは本能的に黙った。
意志じゃない、反射だと分かった。これは前の内容すべてを合わせたより、ずっと敏感な部分だということだ。
マリアが木の楔を再び手に取った。
エンツォの全身が発熱したみたいに震えた。
「やめてくれ……やめてくれ……倉庫も、ナンバープレートも、保険証書番号も全部教える、これだけは聞かないでくれ……」
バローロは彼を見た。
「それを怖がっているということが、聞かなければならない理由だ」
エンツォは必死に首を振った。涙が顎まで飛んで、声はもう人間の声じゃないくらいしゃがれていた。
「浸透じゃない……あなたたちが思っているような話じゃない……誰かが潜り込んできたんじゃない……最初からそこにあったんだ……戦後からずっと……避難、洗礼、定住支援、修復、遺体収容、埋葬……本当に人を救おうとした人もいた、でも同時に、その隙に何かを埋め込んだ人もいた……主の地下室に、孤児院に、修道院に、療養所に、墓地管理に、戦後行方不明者名簿に……最初は道を借りていただけだった、でもいつの間にかその道が、やつらの血管になっていた……」
「名前を言え」銀縁眼鏡が言う。
「節点しか知らない、本名は知らない……早くに死んだ者もいる、継承した者もいる、家族ぐるみのところもある、聖職者もいる……」
スーツの男が聞いた。「どの位階だ?」
エンツォは肩ごと震えながら泣いた。
「全部だ……下は汚れ仕事をやる、中は物流を管理する、上はサインするだけ……自分が何にサインしているか分かっていない者もいる……でも分かっている者もいる……はっきりと分かっている者が……」
「誰がはっきり分かっている?」俺が聞いた。
エンツォは顔を向けた。恐怖に満ちた顔の中に、ふいに命乞いに近い何かが浮かんだ。
「地獄はあなたたちの下にしかないと思っているのか?」
この一言で、葉綺安が直接悪態をついた。
俺は動かなかった。
脅しじゃないから。事実だから。
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「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




