↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
491/585

136.レイチェルの証言 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

この一言が出た瞬間、テーブルの後ろのスーツ二人が同時に俯いて書類をめくった。ずっと触れたくなかった一本の糸を、誰かに直接引き出されたみたいな動きだ。俺はその動作を見て、頭の中でただ一言だけ思った。やっぱりな。こいつらは知らないんじゃない。ただ、実験場から生きて這い出てきた女の子に、こんなに清潔な部屋でそれを言語化されたくなかっただけだ。


レイチェルはさらに一言付け加えた。声はより低く、でもより正確だった。


「戦後に誰かが残党を匿ったと思っているでしょう。違う。戦前も、戦中も、戦後も、ずっと誰かが彼らに供給し続けていた」


銀縁の神父はそれ以上追わなかった。


もうこれで十分だったから。


記録担当のスーツの一人が、そのとき小声で隣の人間とドイツ語を一言二言交わした。全部は聞き取れなかったが、一つだけ名前がはっきり聞こえた。


ベルタス。


俺は椅子の背にもたれた。昨夜この建物の静けさに耳をやられたのかと思ったが、次の瞬間、黒衣の司祭の一人が手元の書類を確認するように言った。


「ベルタス氏が以前に送ってきた、下層の交差情報と一致する」


部屋の冷たい光は変わらない。でも俺は、後頭部をスパナで一発叩かれたような感覚を覚えた。


ベルタスが本当にあの連絡をしていたことに驚いたわけじゃない。


この連中がそれをあまりにも自然に口にしたことに、だ。


「ベルタス氏が以前に送ってきた情報」が、「昨夜の夕食が少し塩辛かった」と同じくらい、ただの手続き上の一項目として扱われている。誰も神学的な後ろめたさを見せない。誰も咳払いで誤魔化そうとしない。これが意味するのは二つだ。一つ目、これが初めてじゃない。二つ目、この場所と下のあいつらのあいだには確かに一本の線があって、それは急ごしらえじゃない。


俺は笑った。


嬉しいからじゃない。ずっと何かがおかしいと感じていた匂いの正体が、ようやく分かったときに喉の奥から絞り出てくる、あの種類の笑いだ。


場の視線が一斉にこちらを向いた。


銀縁の老神父が俺を見た。


(ジョウ)さん、限定傍聴の規則では――」


「分かってる」俺は遮った。「質問しない、口を挟まない、勝手に動かない。昨夜、ほぼ暗記するくらい読んだ」


俺は椅子の背にもたれたまま、テーブルの後ろの顔を一通り見渡した。


「ただ、ちょっと気になることができただけだ」


誰も返さなかった。


俺はそのまま、自分で続けた。


「あんたらの天の親父さんが、地底のドラ息子と手を組まなきゃならないって知ったら、怒りでコップをあんたらの顔に叩きつけるんじゃないか?」


証言室が、誰かがすべての時計を一度に握り潰したみたいに静まり返った。


(シキ)が保温ボトルを抱える指を、わずかに縮めた。林雨瞳(リン・ユートン)は顔も動かさず、ただごく小さく息を吐いた。心の中で「やっぱり」と補足したみたいな吐き方だ。葉綺安(イェ・キアン)は隣に座ったまま、ようやくテーブルの面から目を上げて、口の端が少し動きかけた。エリザヴェータは俺を見なかった。テーブルの後ろの聖職者たちを見据えていた。処刑を前にした、あの種類の冷たい無表情で。


マリアが後方でかすかに笑った。


針の先がガラスの上に落ちたような音だったが、この部屋ではそれで十分に刺さった。


スーツの二人の顔色が瞬時に変わる。


一人が口を開きかけたとき、バローロ神父が先に動いた。


俺を遮るわけでも、庇うわけでもない。ただレイチェルの方から視線を外して、俺を一瞥しただけだ。その目は静かだったが、「お前はやはりそれを言うのか」という確認が滲んでいた。


銀縁の老神父は数秒沈黙してから、叱責はせず、ゆっくりと手元の書類を閉じた。


「コップで解決できるなら」彼は言った。「今夜、我々はここに座っていない」


この返しは安定していた。


そして十分に、厚顔だった。


俺は彼を見た。


「じゃあ、認めるってことか?」


彼はすぐには答えなかった。代わりに、テーブルの後ろのさらに年かさの、深紅の縁を持つ司祭が口を開いた。長いあいだ、こういう話に使っていなかったみたいな、しゃがれた声だ。


「何を認めると?」


「地獄と繋がりがあること」俺は言った。「しかも一本じゃない。たまに情報交換するレベルじゃなく、電話を直接お前たちの机の上にかけてこられる関係だ。ベルタスのあの老いぼれが教皇に電話すると言ったとき、俺はでたらめだと思った。だが今見ると、そのでたらめが本当に漂い上がってきたらしい」


さっきより荒い言い方だ。


だがここまで来て、礼儀を取り繕う必要はない。


テーブルの後ろの聖職者たちが互いに目を見合わせた。この一言を、誰が引き取れば一番傷が浅いかを計算している目だ。最終的に、また銀縁眼鏡の老神父が口を開いた。


「教廷は地獄と同盟を結ばない」


「ほう」俺は言った。「じゃあ、あれは何だ。異教徒間カスタマーサービスか?」


彼は俺を見たまま、声のトーンを変えなかった。


「同盟ではない。通信だ」


「違いは?」


「我々は信頼しない。服従しない。信仰も共有しない」彼は言った。「だが、死者、堕落者、異端技術、魂の汚染、下層界域に関わる事案において、双方のあいだには歴史的に長い、照会と警報の災害対応ラインが存在する」


聞き終わって、俺はただタバコが吸いたくなった。


「裏取引に名前をつけるのが、本当に得意だな」


脇のスーツがついに堪えきれなくなった。


(ジョウ)さん、言葉を選んでください」


俺は顔を向けた。


「昨夜お前たちは俺をここに押し込んで、一層ずつ、スキャンして、封印して、分類して、管理した。今度は地獄からの連絡役の話を俺の前でして、それでもまだ俺に言葉を選べと言うのか?」


彼は黙った。


どうしようもないからだ。手続きがどれだけ硬くても、神学をそこまできれいに拭き取ることはできない。


銀縁の老神父は退かなかった。


「このラインは秘密同盟ではない」彼は言った。「災害対応のラインだ。八十年来、ある種の扉は両側から交互に叩くしかない。応答しなければ、下からもっと多くのものが這い上がってくるだけだ」


この説明は理解できた。だから余計に気持ち悪かった。


ベルタスのあの電話は、特権の誇示でも偶発的な事件でもない。ある古いシステムの一部だということだ。教廷が下のあいつらを好きである必要はない。だが明らかに、通常の神学の範囲を超えた腐臭がするとき、鼻をつまんでそのラインを取るということを、ずっと前から覚えていたのだ。


俺は椅子の背にもたれて、この部屋がさっきよりさらに白く見えることに気づいた。


台湾からここまで、自分は力ずくで押し通してきたつもりだった。違った。少なくとも、完全にはそうじゃなかった。もちろん、一路殺して、耐えて、人を連れてきた。それは本当だ。だが同時に、もっとずっと前からテーブルの下に埋められていた一本の線が、俺が台湾を出る前にすでに一度、叩かれていた。


ベルタスのあの老いぼれは、本当にかけていた。


そして、この連中は本当に受けていた。


胸の中の怒りが沈んで、もっと冷たいものに変わった。


レイチェルはまだ向かいに座っていた。手の中のお湯はもうほとんど冷めかけている。彼女が今しがた口にしたものは、教廷と地獄が密かに繋がっているという話より、ずっと気持ち悪い。なぜなら、それは戦争そのものが死なずに、ただもっと上手く隠れる皮に替えただけという話だからだ。


俺は彼女を一瞥した。


俺たちのやり取りに乱されていない。あるいは、もっとばかげたものを見てきたから、今はただ見たものを話しているだけだ。


バローロがそのとき口を開いた。石が元の場所に押し戻されるみたいな低い声だ。


「供述に戻れ」


一言で、部屋の空気がまたテーブルの上に押し戻された。


俺の肩を持つわけでも、聖職者たちに説明するわけでもない。ただ事態を前に進めるだけだ。これがあいつの最も腹立たしいところだ。どこに本当に立っているか、永遠につかめない。やつが立っているのは手続きそのものの上で、その手続きがたまたまスーツの連中よりも人間らしく見えることがあるだけだ。


レイチェルはうなずいた。今しがた飛び出した話を一秒で頭の後ろに押し込んで、自分を戻すみたいに。


そして先を続けた。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。