131.神の歪んだ愛 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「本当に手術刀みたいな女ね」葉綺安が言う。
「暴走したやつ」
「初めて私を見たときも、だいたいそんな印象だったんじゃない?」
「少なくとも、あのときはまだ人間に見えた」
「今は?」
俺は下の中庭を見ていた。
「今は、同僚だな」
中庭では、もう建物の中へ突入していた。
先頭の大柄な男は防弾フェイスシールドを着け、左手に破城用ハンマー、右手にショートショットガンを握っていた。玄関ホールに飛び込んだ瞬間、正面にバローロが立っている。距離は五メートルもない。男は迷いもなく、引き金を引いた。
火花が玄関ホールに広がる。
散弾は、バローロの胸部を覆う強化プレートと、ばかみたいに厚い法衣にめり込み、布と金属が一緒に震えた。神社の門に砂利をぶつけたみたいな音だ。バローロは一歩も退かない。視線を落としもしない。ただ十五キロはあるあの金属装丁の聖書を、ゆっくりと持ち上げた。
「息子よ」彼は言った。低い声が、地下で打つ鐘の音みたいだった。「武器を捨て、悔い改めなさい」
男は罵声を吐き、二発目を撃つ前に、バローロが一歩踏み出した。
たった一歩だ。
それでも、その一歩で床が沈んだみたいな重量感があった。
聖書が横殴りに振り抜かれる。振る、ではなく、裁く。分厚い金属の表紙が、防弾面と顔の真ん中のラインに叩きつけられた音は、人を殴った音というより、骨の入った土鍋をハンマーで叩き潰した音に近かった。大柄な男はその場で後ろに吹き飛び、背中からドア枠に叩きつけられて、破城ハンマーを取り落とし、そのまま壁に沿ってずるずると崩れ落ち、脚だけが二度ほど痙攣した。
バローロは彼を見下ろした。
「主は、それでも君を赦してくださるだろう」彼は言う。
そう言うと、もう一度聖書を顔面めがけて振り下ろした。
無駄がない。重く、乾いていた。
俺は二階からそれを見ていた。何も言わなかった。
葉綺安が横で小さく鼻を鳴らした。
「この老いぼれ、本気で祈りながら人を壁に打ちつけるのね」
「祈りじゃない」俺は言う。「上の連中に、『これから荷物を送る』って連絡してるだけだ」
門から二人飛び込んできて、左右に割れて角度を取った。今度はさっきより訓練されている。一人が銃線を押さえ、もう一人がフラッシュバンを投げ込もうとする。バローロは左手を上げ、三メートルの鋼鉄チェーンが急に生き物みたいにしゃらりと走った。まずフラッシュバンを叩き落とし、そのままの勢いで右側の男の手首に絡みつく。
男が状況を理解する前に、バローロが引いた。
引き寄せるんじゃない。
解体する。
相手の体はあの質量と慣性に引きずられて床から浮き、間違った場所にストラップを掛けた荷物みたいに飛ばされて、神父の膝の前に叩きつけられた。バローロは左足を一歩出し、膝を杭打ち機みたいに男の腹にねじ込んだ。男はその場で折れ曲がり、人間の体ではありえない角度になって、喉から声とも音ともつかない空気を絞り出した。
バローロの顔は、まだ無表情のままだ。
「悔い改めなさい」彼は言う。
もう一人がフルオートで撃ってくる。弾丸が門枠、チェーン、ショルダーアーマーに当たってカンカンと鳴る。バローロは顔を動かしもしない。チェーンをひと振りすると、先端の金属部分が鞭のようにしなって飛び、相手の銃口を弾き飛ばし、そのまま首に巻きついた。
そこで初めて、彼は祈りの言葉を口にした。
低く、一定のリズムで、感情の起伏を一切乗せずにラテン語が紡がれていく。あの石みたいな口から、黒塗りの装甲列車が教会の地下を走り抜けていくみたいに、ずるずると音が流れ出す。男は両手で必死に首のチェーンを引き剥がそうとして、踵で床を蹴りまくる。バローロは祈りながら前へ歩いた。一歩踏み出すごとに、チェーンが一巻き締まる。三文節目に差しかかったとき、彼の目の縁が赤くなっているのが見えた。
悲しみで赤くなっているわけじゃない。
固いものが、中で熱を帯びている色だった。
「主よ」彼は低く言う。「彼らをお赦しください。自分たちが誰の門の前に立っているのか、彼らには分かっていないのです」
そう言ってから、両手で一気に引いた。
男の体は床から引き剝がされ、背中から石柱に叩きつけられた。手足が宙でばたつき、次の瞬間、糸が切れたみたいにぶらりと垂れ下がった。
俺は眉をひそめた。
血のせいじゃない。
この老いぼれが、本当に泣いているからだ。
芝居でも、演出でもない。本気で人間の赦しを神に願いながら、同時に相手を徹底的に破壊している。純粋な殺人機械より、よほど厄介だ。こいつには底がないんじゃない。底のラインそのものを武器にして振り回しておいて、自分はきれいだと疑っていない。
「なんで神父があなたを気に入らないか、ようやく分かった気がする」葉綺安は言う。
「祈祷書っぽくないから?」
「自分が汚れてると、ちゃんと知ってるから」
外院でさらに大きな銃声が炸裂した。
ワイスマンの手の者は、この一組だけじゃなかったらしい。側門と裏窗から二組が乗り越えてきて、さらに東側二階へ直接よじ登ろうとしている者もいる。第三車の護衛が院壁沿いで交戦を始め、射線が乱れ、弾丸が壁面を跳ね回った。ヴィクトリアはようやく銃を組み上げて立ち上がり、装填済みのライフルを肩にかけて廊下の中ほどに移動したが、降りようとはしない。意味は単純だ。私たちの防衛ラインを誰も越えない限り、あの二人の狂人の仕事を横取りする気はない。
下の院の西側から、細かく不規則な音の連なりが聞こえてきた。
掃射じゃない。
外科医が手術器具のトレーをまるごと引っくり返して、一つ一つが勝手に飛び出していくような音だ。
俺は西側の窓に顔を向けた。
マリアがいた。
もう抜刀していた。
「七苦」は彼女の手の中で武器というより、あまりにも正直すぎる病気みたいに見えた。銀白の刀身が引き出されるとき、たいした気迫はない。ただ細すぎる一条の光が走る。薄く、冷たく、長く、夜の中に突然立ち上がった手術切開線みたいだった。院の端の低い塀の上に立ち、上半身をわずかに前に傾けている。その姿勢は不快なほど美しい。人を切ることに転職を決めたバレリーナみたいだ。
向かいの侵入者二人がフックを窓の縁に引っかけたとき、彼女はもう笑いながら飛び込んでいた。
本当に飛び込んだ。
でも無謀な突進じゃない。ルールを無視した精度とでも言うべきものだ。一歩一歩が相手の予測の外を踏んでいる。前の瞬間は左にいたのに、次の瞬間にはある男の肩側を掠めて通り抜けていた。刀は大きく振らない。軽く横に流し、跳ね上げ、点を打つ。二人の男は半拍遅れて、自分のどこかがおかしくなったと気づいた。一人はロープガンを前腕ごと取り落とし、もう一人は振り返った瞬間、膝が言うことを聞かずに折れた。
マリアはくすくす笑う。
「雑すぎるわ」彼女は言う。「切り込み口が、雑すぎる」
逆手で一刀、刀背を一人の首側に沿わせて掠めた。斬り落とすんじゃなく、相手の体幹ごと崩して前のめりに倒す。大刀だけでは物足りないと思ったのか、左手を一振りすると、袖口から薄く光る鋼片が数枚飛び出した。小型の聖餐パンを悪意を込めて祝聖したみたいなものだ。それが空気を掠めて走り、塀を乗り越えようとしていた二人が同時に硬直し、手の甲、頬の側面、喉元にそれぞれ細い糸みたいな血筋が浮かんだ。
「うわ」俺は言った。
「私が昔やってたよりも、もっとうっとうしいわね」葉綺安は言う。
「あのときのお前は、少なくともまともな狂い方だった」
「今のあの人は、プロの狂い方ね」
マリアは俺たちの声が聞こえたらしく、院の中から二階を見上げた。目が発熱したみたいに光っている。
「周士達——」彼女は声を伸ばした。「よく見てて、これが本当に綺麗ってことよ」
「それは綺麗じゃない」俺は返した。「感染だ」
彼女はさらに嬉しそうに笑った。
そのとき、防刃ベストを着た侵入者が彼女の右後ろから飛びかかった。手には短い斧を持ち、肩から首筋に向かって振り下ろす。マリアは振り返りもしなかった。上半身をただ前に折り畳んだ。その角度が不自然なほど柔らかく、まるで脊椎が人間の構造をしていないみたいだった。斧が彼女の髪の毛を掠めて空を切る。その勢いのまま彼女は相手の懐に後ろ向きに滑り込み、ショートブーツの金属底を踏み回して相手の足の甲を踏み砕き、同時に左手を上に送った。
それが鋼片なのか袖刃なのか、俺には見えなかった。
次の瞬間には、その男の喉から声が消えていた。両手が本能的に首に向かう。マリアは彼の懐から滑り出して、耳元で何かをささやいた。男が膝から崩れ落ちるころには、彼女はもう次の一組に向かって流れていた。
そう、流れていた。
速さが不快なのだ。爆発力の速さじゃない。リズムが全部ずれている速さだ。普通の人間は技を出して、引いて、移動する。彼女は切って、止まって、笑って、跳んで、振り返って、また切る。制御を失った手術刀が足を生やして、歌まで覚えたみたいだ。
院の中央の戦場は、まったく別の種類のものだった。
バローロは刃じゃない。
ロードローラーだ。
ワイスマンの手の者たちはようやく中に怪物がいると気づき、火力を集中させ始めた。自動小銃三丁、短機関銃一丁、近距離制圧。弾丸が玄関ホールと院の中心に金属の火花を散らした。バローロは避けない。ただ金属縁取りの聖書を胸の前に掲げ、肩を落とし、移動式の陣地みたいに前へ押し進む。
弾丸が聖書の表紙と装甲に当たる音は、雹が降っているみたいに密だった。
それでも彼は喋り続けた。
「お前たちは間違った人間に使われている」一歩一歩、前へ。「命令を実行していると思っているだろうが、実際には堕落した者のために罪を運んでいるだけだ」
短機関銃が弾倉を交換した瞬間、バローロが加速した。
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